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これからも元ジャニーズの出演はありえる…松本人志の新番組は「日曜夜の定番になる」と私が予想するワケ

プレジデントオンライン / 2023年5月28日 20時15分

フジテレビ「まつもtoなかい」公式ホームページより

初回ゲストに元SMAPの香取慎吾を招いて話題を集めた松本人志と中居正広の新番組「まつもtoなかい」(フジテレビ系)が低空飛行を続けている。コラムニストの木村隆志さんは「視聴者が求めているのは、ここでしか見られない人による、ここでしか聞けないトークだろう。それさえ確立できれば日曜21時の定番になる可能性はある」という――。

■TVerのバラエティ歴代最高再生数を記録した初回放送

反響の大きさは今春スタートの新番組で断トツと言っていいだろう。

「まつもtoなかい」は4月30日の初回放送がTVerのバラエティ歴代最高となる245万再生を記録。注目度の高い最初のゲストに香取慎吾を招き、中居正広とは6年ぶりの共演だったことが成功の理由であることは間違いないだろう。

しかし、この番組は単に元SMAPの共演に留まらない可能性と、それが出落ちだったと言われかねない危うさを感じさせられる。

はたして「まつもtoなかい」はどんな可能性と危うさのある番組なのか。視聴者からどんな声が上がり、松本人志と中居正広、スタッフたちは、どんなことが求められているのか。放送前からの1カ月あまり番組関係者たちに聞き込みをした話を交えながら、それらを掘り下げていく。

■4回目で見られたキャスティングの妥協

番組は“トークパート”と“パフォーマンスパート”の2部構成。ここまで1回目は1・2部ともに香取慎吾が務め、2回目は上沼恵美子×北川景子/マカロニえんぴつ、3回目がトータス松本×安藤サクラ/ちゃんみな、4回目が岡田准一×広末涼子/Snow Manが出演し、28日放送の5回目は小栗旬の登場が予告されている。

第4回までの視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は以下の通りだ。

4月30日:香取慎吾【世帯10.5%、個人7.0%】
5月7日:上沼恵美子、北川景子【世帯5.2%、個人3.1%】
5月14日:安藤サクラ、トータス松本【世帯4.9%、個人3.3%】
5月21日:岡田准一、広末涼子【世帯5.7%、個人3.5%】

トークパートのゲストが1人だったのも、パフォーマンスパートを兼ねていたのも1回目の香取だけ。つまり、あえてインパクト重視でイレギュラーな形を選んだのだが、こちらのほうが視聴率や配信再生数を得られている。ゲストは1人か2人か、1・2部通しのほうがいいのか、最適解が見えるのはまだまだ先だろう。

それでも2回目以降の苦戦傾向を見る限り、やはりメインのトークパートはキャスティングの重要性が高い。香取ほどのインパクトはなかなか難しいとしても、特番時代の甲本ヒロト×菅田将暉、布袋寅泰×新庄剛志、長渕剛×千鳥・大悟あたりと同等レベルのこの番組でしか見られないというキャスティングを実現できていないのが気がかりだ。

特に4回目の岡田准一×広末涼子は映画の番宣であり、この2人は前週に裏番組の「行列のできる相談所」(日本テレビ系)に出演していた。このあからさまな番宣ゲストは、放送前から批判の声が上がっていただけに、今後もスタッフサイドがキャスティングで妥協していたら先行きは暗いと言わざるを得ない。

■成功の鍵を握るのは

レギュラー化が発表されたとき、出てほしいトークゲストに松本は甲本ヒロト、矢沢永吉、吉永小百合、鳥山明、中居は黒柳徹子、トランプ前大統領の名前をあげていた。さらにその基準について松本は「めったにテレビに出ないような人」、中居は「規格外の人」と語っていた。まるでスタッフサイドにプレッシャーをかけるようなコメントだったが、はたしてどこまでそれを実現できるのか。

複数の番組関係者に取材してみたところ、キャスティングには最も力を入れているのは確かだが、「組み合わせの必然性、本人たちの許諾、スケジュール調整、各方面への配慮などがあって難しい」と、かなり苦労している様子がうかがえた。

キャスティングに関してはプロデューサーを中心にスタッフサイドが努力をしているのは間違いない。しかし、一部のスタッフがどれだけ頑張っても限界があるだけに、局全体での協力体制に加えて、芸能界の大物で広い人脈を持つ松本と中居がどれだけポジティブに関与できるかが成否の鍵を握るのではないか。

■トークバラエティの厳しい現実

トークパートでもう1つ危うさを感じさせるのが、この番組のような少人数のトークバラエティがゴールデンタイムにまったくないという厳しい現実。「踊る!さんま御殿‼」「上田と女が吠える夜」(日本テレビ系)のようなグループのトークバラエティはあっても、1~2組の話をじっくり聞く番組がなくなってひさしい。

プライムタイムの22時台に「おしゃれクリップ」(日本テレビ系)、深夜帯に入る23時台の「A-Studio+」(TBS系)が放送されているが、これらは前者が資生堂、後者が花王の一社提供という特殊な条件による番組に過ぎない。

業界内では松本人志と中居正広の番組であっても、21時台にトークバラエティを放送することに関して、今なお懐疑的な目を向ける人が少なくないのだ。

少人数のトークバラエティがゴールデンタイムで放送されなくなった理由は、かつてより大物の有名人が減り、視聴率をとれなくなったから。芸能人が雲の上の存在であり、「見かけただけでうれしい」などと喜ばれていたのは1990年代あたりまでで、2000年代に入ったころからその数は急激に減っていった。

SNSで発信する芸能人が増え、会いに行けるアイドルが人気を集めるなど、親近感を抱きやすくなる一方で、存在としてのスケール感はダウン。少人数のトークだけでは厳しいとみなされ、グルメやロケを軸に据えたバラエティ要素の濃いものだけが生き残っていたが、近年はそれすら難しくなり、ほぼグループトークのみが放送されている。

■番組継続のために必要なこと

その点、「まつもtoなかい」は意欲的なチャレンジなのだが、少人数のトーク番組が衰退し、大物有名人が減ったという難題をどうクリアしていくのか。

たとえば、香取以外のSMAPメンバーや元ジャニーズ、とんねるず、ウッチャンナンチャン、爆笑問題などの松本と近いレベルの芸人、織田裕二、堺雅人、深津絵里、松嶋菜々子などのバラエティ出演の少ない俳優、世界で活躍するアスリートやアーティストを招いてワクワクさせる。

あるいは、共演NGが噂される2人、元カップルや元夫婦、解散したユニットの元メンバー同士などの緊張感ある組み合わせ。さらに、テレビから遠ざかっている、のん(能年玲奈)、小出恵介、江頭2:50、西内まりや、水嶋ヒロ。またはスキャンダルを起こした人や疑惑のある人などの大胆なキャスティングで驚かせたいところだ。

これらのキャスティングをできれば月1レベルの頻度で見せ続けていけるのか。そして、松本と中居が「視聴者が本当に聞きたいこと」に突っ込んで聞いていけるか。それができればここでしか見られない特別な番組というブランドイメージを作っていけるだろう。

ザッピングしながらテレビ番組を見る
写真=iStock.com/Yuzuru Gima
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yuzuru Gima

■番組の足を引っ張る後半の歌パートは必要なのか

一方、パフォーマンスパートは4回連続で音楽系アーティストが出演し、それぞれ披露したのは1曲のみ。明らかに歌よりトーク時間のほうが長いのだが、この構成は2年連続で放送された大型特番「FNSラフ&ミュージック~歌と笑いの祭典~」(フジテレビ系)とほぼ同じだった。

この特番では、松本が「キャプテン」、中居正広が「サポーター」という立場で事実上の進行役を担当。そもそも松本は「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」、中居は「うたばん」というトークベースの歌番組を担っていただけに違和感はなく現在アーティストの扱いが最もうまいMCと言っていいかもしれない。

ただ気になるのは、やはりキャスティング。毎回プレゼンターを務める芸人が「話題のアーティストや注目のエンターテイナーなど今イケてる才能を松本と中居に紹介する」という趣旨を紹介しているにもかかわらず、これまでそれとはかけ離れたキャスティングが続いている。

放送された4回のうち趣旨に合っていたのは、3回目に出演した、ちゃんみなくらいで、残りの3組は松本も中居もよく知っているアーティストばかり。なかでもSnow Manとマカロニえんぴつは明らかにファン層の視聴率を狙ったものだった。これらのアーティストはファンの視聴こそ見込める反面、それ以外の層を巻き込んでムーブメントを生み出すことは難しい。

■毎分視聴率も下がっている

残念ながらネット上には「トークパートをもっと長くしてほしい」「歌はいらないのでは」などの声が毎週上がっている。これは現在、番組を見ている視聴者はパフォーマンスパートに面白さを感じていない人が多いことの表れ。さらに毎分視聴率も下がっていて、番組関係者は頭を痛めているという。

この課題は歌と笑いを交互に放送しているだけなどと揶揄された「FNSラフ&ミュージック」と同じであり、それが改善されることなく「まつもtoなかい」に引き継がれているように見えてしまうのだ。

レギュラー化する際、なぜ特番のときにはなかったパフォーマンスパートを作ったのか。その理由が前述したような松本と中居の音楽番組での実績と技術を生かすという前向きなものならいいだろう。

しかし、トークだけで1時間もたせられる人をキャスティングするのが難しいという後ろ向きな理由なら、番組の足を引っ張る存在になりかねない。

■近年のフジにはなかった意欲作

最後に「まつもtoなかい」に期待できるポジティブなポイントを2つあげておきたい。

1つ目はここまですべて日曜21時台に1時間で通常放送していること。2010年代から現在まで、視聴率や制作費の低下などを理由に既存番組の2~3時間特番を乱発するなど、各局自ら内容の密度を下げ、視聴習慣を失わせるという事態が続いて視聴者を辟易させていた。

業界内では、もともと2時間超の特番だった「まつもtoなかい」も、「2時間特番の隔週放送になるのでは」と言われていた。しかしフタを開けてみたら、香取慎吾を招いて大きく出たいはずの初回は1時間の通常放送で、2回目以降も通常放送を続けている。

これは「日曜21時は『まつもtoなかい』という視聴習慣をつけてほしい」「エンタメを凝縮した中身の濃い番組にしたい」という狙いの表れ。目先の視聴率や効率を優先させない編成姿勢は近年のフジテレビでは見られなかったものだけに期待が持てる。

■黒子に徹する松本人志の存在

2つ目は松本人志の意気込み。放送前から「『ワイドナショー』を辞めてまでやるんで」とコメントしていたように、退路を断ってこの番組に挑んでいる様子がうかがえる。さらに、松本がいなくなった「ワイドナショー」に中居がゲスト出演する可能性は極めて低いだけに、まるで自分にプレッシャーをかけているように見えてしまうのだ。

匿名前提で制作サイド周辺の人物に取材してみたところ、松本の取り組み方そのものが頼もしいという声を聞いた。誰より松本自身が主役になりうる大物だが、「ゲストのトークを引き立てるために一歩引いた上で、必要なところでサッと出て笑いを加える」というスタンスを見せているという。

冠番組であるにもかかわらず松本が黒子に徹しているからこそ制作サイドは他番組でも頼っている松本人志に恥をかかせられないという気持ちが強く、より神経をつかうような仕事が続いていると聞いた。

そんなスタッフの奮闘が続き、松本の意気込みを継続させられたら、早ければ半年後、遅くとも1年後には日曜21時の定番バラエティとなるのではないか。

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木村 隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
テレビ、エンタメ、時事、人間関係を専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、2万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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(コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者 木村 隆志)

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