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「最悪の職場」でもすぐ辞めてはダメ…ひろゆきが「新卒1年目の若者」にどうしても伝えたいこと

プレジデントオンライン / 2023年6月6日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

新卒で入社した職場が「最悪」だったら、どうするべきか。2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは「日本において『新卒カード』は非常に強いので、そんなカードをすぐ捨てたとなれば、転職活動でも不利になりやすい。すぐに職場を飛び出さないほうがいい」という――。

※本稿は、ひろゆき『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

■「新卒一括採用」は悪なのか

日本には、「新卒一括採用」という独特の仕組みがあります。これについて、「そんなことをやっているから日本経済は世界に後れをとっているのだ」という否定的な意見も多くあります。たしかに、経験のない新卒が一斉に入ってくれば、その企業の生産性は落ちます。しかし、悪いことばかりではありません。

この仕組みがあることで、若者の失業率は低く抑えられているのです。他国の若者の失業率を見てみると、フランス20.92%、韓国10.13%、アメリカ8.16%と、日本の3.7%をはるかに上回っています。なぜ、日本以外の国で失業率が高いかというと、企業が人を募集するとき、年齢に関係なくジョブ型のスキルを重視するからです。

多くの先進国では企業は「募集している分野の仕事ができる人」を採用します。となれば、経験の少ない若者や、ましてや新卒はなかなか仕事にありつけません。一方で、日本の新卒一括採用は、まだ社会経験のほとんどない新卒をまとめて採用し、仕事ができるようになるまで育ててくれます。それによって、企業には一定のコストがかかるものの、すごく優秀な学生であっても、まとめて安く買い叩くことができるし、長く縛っておくこともできます。

というのも、一括採用された日本の若者は、諸外国の若者のように転職経験を積んでいないため、自分のスキルを客観的に判断できず、怖くて転職に踏み切れないのです。このように、企業側にも若者側にも、一定のメリットとデメリットがある一括採用ですが、だんだん廃止される傾向にあります。

■これからは「スキル採用」の時代になっていく

加えて、日本の雇用制度の大きな特徴であった終身雇用は、すでに過去の話となっています。これからは、よりよい条件や職場環境を求めて転職していく積極性が必要になります。ただし、転職市場においては、何よりスキルが問われます。

たとえば、同じ20代半ばでも規模の大きい会社に3年間、正規雇用で勤めていた人と、就職氷河期に当たったためずっとアルバイトをしてきた人だと、後者はかなり不利になります。新卒一括採用がなくなれば、すべての若者が「スキル採用」の波に晒されます。しかも、会社に育ててもらいながらスキルを身につけることなどできないわけですから、ぼやぼやしていると一生浮き上がれない状況に陥りかねません。

アメリカで大ベストセラーになった書籍『サードドア』(東洋経済新報社)は、こうした状況に置かれた日本の若者たちに大きなヒントを与えてくれるでしょう。著者のアレックス・バナヤンは、人生には三つのドアがあると指摘しています。

その一つは、多くの人が並ぶ正面入り口。二つ目がVIP専用。そして、三つ目が自分だけに見つけられる抜け道となるドアです。

会議室で3人のビジネスマンが会う。
写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yagi-Studio

■自分だけの道としての「サードドア」

もともと親が資産を持っているような人は、人生においてもVIP用の入り口を使って楽々生きることができます。そんな特権を与えられていない多くの庶民は、混み合う正面入り口に並ぶしかないと思っているわけですが、実はもう一つドアがあるのです。

そのドアの存在に気づき、かつ上手に抜け道に出られるかどうかが、これからの競争社会で成功するためのポイントとなります。

あなたが、勤めている会社を辞めて広告代理店を立ち上げたとしましょう。どこかの企業に「仕事をください」と正面入り口から押しかけても相手にされません。相手にされないからと、ここで諦めてしまえばそれまで。成功する人は、抜け道を探す努力をしているのです。

たとえば、大手企業が多く入っているビルの近くにある飲み屋に通って、広報担当の社員と仲良くなる。たとえば、社長の講演会に行き、懇親会で直接自分を売り込む。特にコネがなくても、やり方はいろいろ考えられます。僕自身も常にサードドアを探し続けています。普通の人が疑問を持たず選んでいる道を進みたくはない。どこかにきっと、もっと楽しかったり、もっとラクだったりする道があるはず。そう考えてきました。

大学時代にプログラミングを学んで起業したのもまさに「サードドア」です。サードドアを探し続けるために1つルールとしているのは、「やらない言い訳を探さない」ことです。時間がないからとか、恥ずかしいからとか、あれこれ言い訳を探さないで、やるべきことをただ、すっとやってみる。そうやって、「自分だけの道」を見つけてきたのです。

■縁故採用しかないのであれば知り合いを作ればいい

かつて、岩波書店が採用試験を受ける条件に、「岩波書店の著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」を挙げていたことが問題となりました。日頃から差別を糾弾しておきながら、自分たちは縁故採用しかしていないことを厳しく指摘されたのです。

出版社は有名なところでも規模は小さく、新規採用などあったとしてもほんの数名です。コストをかけて大々的に募集し、採用した数名が会社のカラーに合わないというリスクを避けるために、確実なところを狙いたかったのかもしれません。ただ、本当に岩波書店に行きたいのなら、「岩波書店の著者や岩波書店の社員」と顔見知りではないからといって諦めてしまうことはありません。なぜなら、顔見知りになればいいのですから。

いろいろつてをたどり著者を紹介してもらってもいいし、岩波書店のビルの前に毎日立って社員と知り合いになることだってできるでしょう。そうやって、知り合いになってしまえば、ほかの人たちが諦めてしまって倍率が低くなっている分、かなり優位に立てます。誰でもできる簡単なことなのに、やらない人がほとんどです。ほとんどの人がやらないからこそ、やった人にとっては立派な抜け道となる。つまり、サードドアが開くのです。

僕の知人の成功者は、中卒をウリにしています。中卒だと言うと相手が食いついてくれるそうで、東大卒よりはるかに強い武器となっているようです。このように、種類は違うけれど、誰にでも抜け道はあるのです。たいていの成功者は、VIP用から入ってきてはいません。みんなサードドアをこじ開けています。そして、それは特別に難しいことではありません。

■地位や肩書に関心がない若者たち

人材育成に関わる企業ラーニングエージェンシーが、学生たちを対象に行った調査では、将来会社で担いたい役割について、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい」という答えが31.6%を占めています。一方、「組織を率いるリーダーになり、マネジメントを行いたい」という答えは、過去最低の23.5%に留まりました。

日本のビジネス オフィス、日本中握手。
写真=iStock.com/LeoPatrizi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LeoPatrizi

今の学生たちは、マネジャーや部長などという地位や肩書きには興味がなく、自分の特性が生かせることを望んでいるのがわかります。さらに、産労総合研究所が企業の採用担当者に行ったアンケートでは、そうした傾向を裏付ける結果が出ています。配属(職種・勤務地)に関心がある学生の増減について問うたところ、「増加」が20%、「やや増加」が40%となっているのです。

たしかに、専門的なスキルを身につけるとなれば、就職した会社でどの部署に配属されるかは重要な問題です。そこで、内定をもらうやいなやOBやOGを訪ねてアピールするなど「配活」を行う学生も増えているそうです。しかし、欧米で主流のジョブ型採用と違って、「総合職」として採用する日本の新卒一括採用では、配属は入社ギリギリに決まるのが普通です。

■「上司ガチャ」で退職してしまう若者も少なくない

KDDIなど、特定のスキルを持つ学生を採用する企業も増えてはいるものの、それは高い専門性のある学生に限られます。だから、多くの学生にとって、採用された企業でどこに配属されるかは不明。まったく希望と異なることも多々あり、まさに「配属ガチャ」となっています。

また、幸いにして希望する部署に配属されたとしても、上司との相性もあります。上司といい関係が構築できなければ、仕事を覚えてスキルを磨くどころではないかもしれません。もちろん、どんな上司につくのかは選べません。だから、「上司ガチャ」も生じてしまいます。実際に、上司ガチャが原因で辞めてしまう優秀な若者は多く、それを危惧した企業は、前もって人事部が新人と上司の相性を見てから配属を決めるなどという手を打ち始めています。

ただ、学生がどれほど「職種」についてわかっているかは疑問で、最初から自分の可能性を狭めてしまうことに僕は反対です。学生たちが「自分が携わる可能性がある仕事」として把握しているのは、メディアやマスコミなど華やかな業界や、レジャーや金融、メーカーといった、これまでに接したことがあるBtoC業界がほとんどです。

実は、BtoBで手堅く設けている優良企業がたくさんありますが、そうしたことについて学生は知りません。僕は、貴重な新卒段階では職種にこだわるよりも、大企業に入っておくことをすすめます。

■すぐ辞めずに社会を観察したほうがいい

大企業は給料が高いばかりでなく、新卒に対してコストをかけていろいろ教育してくれます。その範囲は、社会人としての立ち居振る舞いなどにも及んでいて、案外こういうことが、その後の転職活動にも役に立つのです。

ひろゆき『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)
ひろゆき『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)

いくら専門性の高い業種でも、中小企業にはそうした余裕がありません。大企業で、かつ若い社員が多いならなおいいですね。若い人が付加価値をつくり出している企業なら、長く潰れずに残る可能性があります。社員の平均年収がほかと比べて高く、平均年齢が低めの会社なら、転職せずにずっと働き続ける価値があるかもしれません。

とはいえ、そもそも一発で満足できる職場に行き着こうと考えるほうが無理。とにかく世の中に出てみれば現実がいろいろわかってきますから、そこで実際に見たり感じたりしたことをもとに転職していけばいいでしょう。ただし、ここで大事なことがあります。最初に入社した会社を、すぐに辞めないほうがいいのです。

日本において「新卒カード」は強く、中途採用の人と比べても有利な扱いを受けます。そうした状態に置かれている会社を「入ってすぐに辞めた」というのは、何かよからぬ理由があるのではないかと疑われかねません。それに、「ここは最悪だな」と感じても、もっとひどいところはたくさんあります。比較対象を持たないうちに感情的になって飛び出さず、その場に身を置いたまましっかり社会を観察しましょう。そして、次を決めてから辞めるようにしてください。

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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。

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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

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