「LINEを開けたら満月の写真」おじさん構文だけじゃない…スマホを床に投げつけたくなるイタい投稿事例
プレジデントオンライン / 2023年6月7日 11時15分
※本稿は、石原壮一郎『失礼な一言』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
■LINEで評判を落とす方法
世の中には、いろんな「似たり寄ったり」があります。些細なことを「失礼だ!」と声高に責めるのも、人から「それは失礼だよ」と指摘されて「大きなお世話だ!」と逆上するのも、失礼という点では似たり寄ったり。当失礼研究所は、そんな前提に立ちつつ、自分も相手も心地よい境地を目指し続けています。
本項のテーマは、便利だけどちょっと怖い「LINE」。国内の利用者数は約9300万人。最近ではビジネスの場面でも、欠かせない通信手段となりつつあります。しかし、誕生してまだ10年ちょっとで、明確なマナーは確立していません。
それだけに今日もあちこちで、意外な失礼や戸惑いを生み出しています。今現在、ビジネスシーンでLINEを使う場合に「それをやったら自分の評判を落とす」とされていることを挙げてみましょう。
●何時でもお構いなしに送る
送る側は「忘れないうちに」のつもりでも、深夜に上司から仕事のLINEが届くのは、部下にとっては恐怖です。「電話をかけてもいい時間帯」を目安にしましょう。
●長文で込み入った内容を送る
LINEは、長文が必要な話には不向き。大事な資料送るのも避けましょう。タイトルがないので、あとで探しづらくて不便だし、相手の考え方によっては「セキュリティ意識が低い」と思われます。
●おちゃらけたスタンプを送る
かつては「ビジネスシーンでスタンプはタブー」とされていましたが、最近では「真面目なスタンプならOK」という認識が一般的。ただし、スタンプの連投はやめたほうがいいでしょう。
●誰だかわからない登録名にする
仕事の緊迫した連絡が「ピヨちゃん」みたいな登録名で届いたら、ちょっとイラッとします。狙い過ぎたプロフィール(「さすらいの吟遊詩人」みたいなの)も、失礼というより自分が恥ずかしいかも。
●最初に定型の挨拶を書く
LINEでは「いつもお世話になっております」などの挨拶は不要とするのが主流。前置きが長いと、スマホの通知に文章の最初がチラッと表示されたとき、いちいち開かないと内容がわかりません。開いて既読にしてしまうと「早めに返信しなきゃ」というプレッシャーを覚えることになり、忙しいタイミングだとけっこう迷惑です。
■「おじさんLINE」問題
ただ、このあたりは業界や年代によって、感覚が大きく異なります。相手が「あれ?」と思う使い方をしてきたからといって、いちいち「失礼だなあ」と腹を立てるのは不毛。それこそ自分の基準で人を断罪する失礼な行為です。「この人はこう使うんだな」とゆるく受け止めましょう。LINEを平和に使う上でもっとも大切なのは、寛容の精神です。
さっきの「最初に挨拶~」にも関係する「既読スルー」の問題も、送った側が神経質になり過ぎるほうが失礼。相手が読んですぐに返信できる状況とは限りません。しばらくたっても反応がないからといって「おーい、返事まだ」などと催促すると、間違いなく相手をムッとさせます。全力でこらえましょう。
いっぽうで、日程のすり合わせなどの連絡を長く放置しておくのは、失礼であり迷惑。こっちの都合がわからないと相手が困ります。
LINEがらみの失礼を考える上で外せないのが、数年前から話題の「おじさんLINE」の問題。おじさんが若い女性に送るLINEには、なぜか共通点があり、それが失笑(憎悪?)の対象になっています。たとえば、こんな調子。
〈おはよう☀ ゆうこチャンは、もう起きたカナ? おじさんは今日も仕事です(ノД`)シクシク…
寒いから、ゆうこチャンとしっぽり♨にでも行きたいナ♥ ナンチャッテ(^^;じゃあね~(^o^)/〉
若い女性のあいだでは、同性の友達とこの手の文面をやり取りして笑い合う「おじさんLINEごっこ」という遊びがあるとか。
「笑いものにするなんて失礼だ!」と、身に覚えのある方はご立腹なさっているかもしれません。それはあまりにも図々しい憤り。失礼なのは、親しくもない相手に馴れ馴れしいLINEを送る側です。
「おじさんLINE」が批判されるのは、そこに不愉快な失礼が凝縮しているから。読みづらいだけの絵文字や顔文字の多用&不自然なカタカナの混ざり具合、返事のしようがない一方通行の言いっ放し、距離感を無視した下心の押し出しっぷりなど、あまりにも自分本位。たぶん「若い女性にLINEを送る」という時点で、すっかり舞い上がって、タガが外れてしまうのでしょう。恐ろしいことです。
うっかりやらかさないように肝に銘じるのはもちろん、どういう相手にどんなLINEを送るにせよ、相手を不快にさせない配慮は欠かせません。「おじさんLINE」を反面教師にさせてもらいましょう。
■一線を見極めて
SNSで呼びかけて「LINEでやらかした失礼&受けた失礼」の実例を寄せてもらいました。
うわー、こ、これはこっぱずかしい。内容が上司の悪口じゃなかったのは、不幸中の幸いですね。
グループLINEあるあるですね。通知が鳴ってグループのスレッドを開いたら、個別のやり取りだったり満月の写真だったりすると、スマホを床に投げつけたくなります。
なんという災難。おじ様たちは軽い気持ちで言ったんでしょうけど、スタンプにあれこれ口出しされるのは、かなりウンザリですね。
便利で頼もしいLINEですが、危険な一面もたくさん持ち合わせています。「これをやったらマズイ」という一線を見極めて、その線を越えないようにお気を付けください。LINEだけに。
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大人系&検定系コラムニスト
1963年三重県生まれ。1993年に『大人養成講座』でデビューして以来、大人の素晴らしさと奥深さを世に訴え続けている。『大人力検定』『父親力検定』『大人の言葉の選び方』など著書多数。最新刊は、会社の理不尽と戦うための知恵と勇気を授ける『9割の会社はバカ』(飛鳥新社、共著)。郷土の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める。
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(大人系&検定系コラムニスト 石原 壮一郎)
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