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不倫され別れた元夫から「愛している」メールで即再婚…借金1400万円の夫と複数愛人を処罰する50代女性の胸中

プレジデントオンライン / 2023年6月10日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/in4mal

現在50代女性は20代の時に2歳下の男性とアメリカで結婚、2人の子を出産した。だが30歳の時、もともと浮気性タイプの夫が不倫。離婚することを決め、子供を連れて帰国した。夫は最終的に愛人にも捨てられ、「やっぱりあなたを愛している」と女性に復縁を迫り、女性はそれを受諾して再婚。ところがそれから十数年後、夫が1400万円の借金をしていることがわかり、別の女との不倫も発覚した――。
ある家庭では、ひきこもりの子供を「いない存在」として扱う。ある家庭では、夫の暴力支配が近所に知られないように、家族全員がひた隠しにする。限られた人間しか出入りしない「家庭」という密室では、しばしばタブーが生まれ、誰にも触れられないまま長い年月が過ぎるケースも少なくない。そんな「家庭のタブー」はなぜ生じるのか。どんな家庭にタブーができるのか。具体事例からその成り立ちを探り、発生を防ぐ方法や生じたタブーを破るすべを模索したい。

■同棲と海外留学

関東在住の日向杏樹さん(仮名・50代・バツ2)は、21歳の時、大学に通いながら飲食店でアルバイトをしていた。そのアルバイト先で2歳下の男性と知り合う。特にタイプなわけではなかったが、不思議と惹かれていき、3カ月後には男性が日向さんのアパートに転がり込む形で同棲が始まった。まだバブル景気の名残りがある、1991年のことだった。

ある日、日向さんは男性とお互いのバイトが終わったら、レンタルビデオを2人で見る約束をしていた。先にバイトが終わった日向さんは、ビデオを借りに行き、ワインとつまみも用意した。

男性は22時までバイトだったため、最寄り駅には23時に着くはず。待ちきれない日向さんは、駅まで迎えに行った。当時はまだ携帯電話がない。30分ほど待ったが、一向に男性は帰ってこないため、日向さんは諦めてアパートに帰った。終電前にもう一度駅に行ったが、男性は降りてこなかった。

全く眠れなかった日向さんは翌朝6時ごろにカギが開く音に気付いた。玄関には見慣れない下品な柄物のシャツを着た男性が立っていた。

「後で分かったことですが、彼は私と出会う前に別の女性と同棲しており、その女性に追い出されたため、私の部屋に転がり込んできたのです。この日も会っていたのが元カノなのかはわかりませんが、とにかく女性と会っていたことは確かで、彼は私との約束をすっぽかし、一夜を共にした女性にもらったシャツを着て朝帰りしたのでした」

約束を反故にされ、浮気されたのだと確信した。日向さんは涙が止まらず、男性が着ていた柄シャツを切り裂き、「別れる! 出ていって!」と言ってバイトに出た。泣き腫らした目で仕事をしていると、バイト先の人から、「届け物だって」と声をかけられる。

「私、何も頼んでないです」と裏口へ行くと、「日向さんですね? こちら、お届け物です」と宅配便のスタッフが真っ赤なバラの花束を差し出した。

日向さんは再び泣いた。送り主は、朝帰りした男性だった。

日向さんは大学を卒業した後、1993年には同棲の男性とともにアメリカに留学。アメリカで2人は同じ大学に通った。やがて1996年に妊娠が分かると現地で結婚。日向さんはアメリカで息子を出産したとき、27歳になっていた。

■最初の不倫

1997年には2人目を妊娠。女の子だとわかった後、夫と2人で名前を考えていると、夫は「みほはどう?」と言った。日向さんは、「なんで?」と聞いたが、夫は答えなかった。

頭を床につけて股の間からこちらをみつめる赤ちゃん
写真=iStock.com/StockPlanets
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/StockPlanets

2000年のある日のこと。30歳になっていた日向さんは夫と兼用しているパソコンを開く。すると“みほ”という女性からメールが届いていることに気付いた。心がざわつき、メールを開くと、「またあなたと1日中ベッドの中にいたい」と書かれている。

日向さんは目を疑った。他にも何通も届いており、もっと過激な内容のメールもあった。日向さんはふだんあまりパソコンを使わないため、夫は油断したのかもしれない。メールには携帯電話と家の電話番号が記載されていた。

思い切って電話すると、“みほ”が出た。関東在住の26歳で、大病院の一人娘。夫はアメリカにいながらにしてどうやって出会い、密会していたのかはわからない。“みほ”は日向さんの夫に妻子がいることを知らなかった。

「すみませんでした。すぐ別れます」。そう言って泣いた。

ところが、“みほ”はなかなか別れなかった。しびれを切らした日向さんは、夫に直接不倫を問いただし、離婚を切り出す。すると夫は悪びれもせず、すんなり離婚を受け入れた。

「“みほ”という女性が金持ちの娘だったので、夫はあちらに行きたかったのでしょう。まるで別人格になったかのように私に冷たくなりました」

離婚手続きへ向けて、取り急ぎ別居を決めた日向さんは、4歳の息子と2歳になろうとしていた娘を連れて帰国して北陸地方にある実家に帰った。ふと“みほ”に何か言ってやろうと電話すると“みほ”の母親が出た。別居に至った経緯と原因を話すと相手は、「あなたの夫に騙されていました」と言った。母親は“みほ”と夫は結婚の約束をしており自分たち両親にも挨拶していると言った。

「娘は別れさせます。でもうちはあなたの夫を訴えません。うちはプライドのある家だから」。“みほ”の母親はそう言った。

■離婚と再婚

同じ年の8月、夫は「子どもに会いたい」と言って、夏季休暇を取って日本に来た。日向さんの実家近くのウィークリーマンションを借りて、時々そこに日向さんや子どもたちを呼んだ。夫がはるばる日本に来てくれたことが嬉しかった日向さんはすっかり機嫌を直し、「私の実家に泊まればいいのに」と言ってしまったほどだ。だが、夫はそれを丁重に断った。

「今なら分かります。夫は私たちが来ていない時間には、ウィークリーマンションに“みほ”を呼んでいたのでしょう」

夫の誕生日。日向さんは午前中から夫と子どもたちと過ごし、ランチ後に「ケーキを食べよう」と言ったが、夫は首を振った。かつて夫は自分の誕生日にケーキを食べることを楽しみにしていたため、日向さんは疑問を持つ。しかし子どもたちの世話に追われ、忘れてしまった。

夫は、その日の夜「東京のホテルに一泊してからアメリカに戻る」と言っていた。日向さんは夫と実家近くのJRの駅で別れた。

夜、子どもたちを寝かせた後、一人になった途端、日向さんは胸騒ぎに襲われた。夫が泊まると言っていた都内のホテルに電話をすると、「そのお客様は泊まっておりません」と言われた。冷たい汗が流れた。「あの後、女と会うから私たちとケーキを食べなかったんだ」。胸が締め付けられる思いだった。

次の瞬間、もしかしたらと、隣の同じ系列のホテルにも電話をかけてみた。すると信じられないことに、「○○様はダブルの×××号室にお泊まりです」と詳細に教えてくれた。日向さんは、「個人情報の扱いが緩いホテルだ」と思いつつも、動悸(どうき)が激しくなった。夫が一緒にいるのは、あの大病院の娘“みほ”に違いない。そう確信した。

ルームナンバー235のプレート
写真=iStock.com/JaysonPhotography
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JaysonPhotography

時計は22時を回っていた。日向さんは実家の自分の部屋の隣にいた弟に声をかけた。「夫が東京で不倫している。お願いだから車で連れていってほしい!」。弟は「行ってもつらくなるだけだから行かない方が良い」と止めたが、日向さんは聞かなかった。

子どもたちを母親に預け、日向さんは数時間かけて弟と東京に辿り着き、×××号室の前に立っていた。コンコン、コンコン。いくらドアをノックし声をかけても、2人は出てこない。仕方がないので扉の前で「みほさん、出てこないようなので、お母さんに電話しますね」と言って、携帯電話で“みほ”の母親に電話した。すると深夜0時を回っているにもかかわらず母親は電話に出て、「すぐに行きます」と言い、すぐ切れた。

1時間ほど経った頃、“みほ”の前に現れた50代と見られる母親。深夜なのにエルメスのケリーバッグを持ち、金色のロレックスをし、シンプルな膝丈の上等なワンピースを着て、肩にかかる髪は上品にカールされていた。

母親は、「みほちゃん開けなさい」と強い口調で言った。いつしか集まっていたホテルの警備員は日向さんに耳打ちした。「手を出したら負けです。我慢してください」。ホテルではよくある光景なのだろうか。

瞬間、ドアが開いた。途端、母親が突入する。母親は“みほ”に平手打ちをし、娘の腕を強く握り、「連れて帰ります!」と引っ張った。すかさず、「それで済むわけないでしょう? ちゃんと説明してください」と同行した弟が言う。するとそれまで一言も言葉を発さなかった“みほ”の父親が、「うちに来てください」と言った。

外は夜が明け始めていた。都内の“みほ”の家は広大な敷地だった。日向さんは離れの応接間に通され、冷たい麦茶を差し出された。“みほ”は下を向きながら謝罪すると、あとは黙り込み、母親は「後は顧問弁護士に任せるので、お引取りください」と言った。

あやうく愛人と同じ名前を付けられるところだった娘が2歳になる直前、日向さんは夫に自分の分は記入済の離婚届を渡し、“みほ”に対しては慰謝料を請求した。

ところが、この後、信じられない展開となる。“みほ”の弁護士が提示した和解金は80万円だったのだが、日向さんは、それを一切受け取らなかったのだ。

実は、“みほ”との関係を強制終了させられた途端、夫は「あなたを愛している、家族が恋しい」と執拗(しつよう)にメールを送ってきた。腸が煮えくり返っていたはずの日向さんだが、元夫の薄っぺらいメール文を信じ、復縁の申し出を受け入れたのだった。大学時代、浮気された彼氏時代の夫に別れを告げたものの、バラの花束を贈られて元のサヤに収まったのと同じようなプロセスだった。

「この頃、私は1人で2人の子どもを育てていくことに疲弊して、食事も満足にとれず、精神を病んでしまっていました。私には、幼い子どもたちを1人で育てるのは無理でした。今思うと、感情のままに生きるばかな私でした……」

日向さんは娘が3歳になる直前、再び正式に夫と結婚。日向さんの父親は何も言わず、弟は反対したが、母親はほっとしていた。その後、夫は娘の幼稚園の入園式から大学の入学式までのすべての式典に出席した。

■借金発覚

それから十数年の歳月が流れた2018年9月。日向さんは48歳、社会人になった息子は22歳、大学に進学した娘は19歳になっていた。2012年から会社の経営を始めた夫を含め家族4人で北関東の賃貸マンションに住んでいた。

ある日、隣室に住む大家の妻から日向さんに「下記の契約書の件、ご存じですか?」というLINEが来た。見ると、契約書のような書類の写真が3枚並んでいる。

「2012年9月4日、2013年2月2日、2013年11月7日」

3つの日付の写真には、「金銭消費貸借契約書」と書かれ、夫のサインがある。夫は、大家に借金をしていたのだ。計1400万円の借金。寝耳に水だった。

「契約書にはすぐ返すようなことが書いてありましたが、夫は私が知った時点で一銭も返済していませんでした。2012年当時、夫は会社設立の時の資金は、自分の兄弟が出してくれたと言っていましたが、嘘でした」

日向さんは夫と2人で大家の妻に謝りに行き、2018年9月から、夫は月10万円ずつ10年以上かけて大家に返済していく約束をした。

それからというもの、日向さんは肩身の狭い思いをして暮らした。息子は社会人になっていたが、まだ娘には学費がかかる。自分のものはめったに買わず、買ってもセール品しか買わなくなった。

■2度目の不倫発覚

2020年7月、コロナ禍で世間は自粛ムードなのに、夫は頻繁に出張に出ていた。

少しでも夫の借金を減らし、家計の助けになるために、金融系の会社で事務をしていた日向さんは、同僚たちと雑談をする。「日向さんは夫婦仲が良くて羨ましい」。そういう同僚は10年前に離婚している。日向さんは場の空気を読み、「うちの夫なんて、何やってるかわかんないですよ。先日もオフィスで夫のボロボロのキーケースを見た女性が、『今度素敵なキーケースをプレゼントします』って言ったんですって。信じられます?」と笑い話のつもりで言った。

すると、先輩の女性が話に入ってきた。

「ちょっと待って! オフィスで他人の家や車のキーケースを見るシチュエーションってある? 女が男のキーケース見るのって……」

たちまち顔をこわばらせた日向さんは帰宅すると、一泊で出張に行っている夫の携帯電話の充電器が部屋に置いたままだった。夫の仕事に携帯電話は必需品だ。一日使えば充電はかなり減るはずなのに……。心がざわついていた。これまで出張中の夫にはほとんど連絡しなかったが、LINEせずにはいられなかった。

「充電器が家にあるけど浮気?」

22時を回っていたが、ほどなくして返信があった。

「何考えているんだ? 新しいiPhoneだから、2日ぐらい充電しなくても大丈夫なんだ」

いくら機械に弱い日向さんでも、そんな言い訳には騙されなかった。

「夫は出張の時はいつも、『夜は取引先の接待だから』と言って、私が夜LINEしても返してくることはありませんでしたが、この日は違いました」

疑いが晴れない日向さんは、宿泊先に戻っているはずの夫に電話した。15分鳴らし続けたが、夫は出なかった。嫌な予感しかしない。日向さんは都内の大学に進学し、一人暮らしをしている娘に電話をかけた。娘は状況を察し、「お父さんと3人でビデオ通話しよう!」と提案した。

すると夫は電話に出た。娘は泊まっているホテルの名前を聞いたが、夫は答えない。「部屋にあるホテルのパンフレットを写メして」と言っても応じない。「じゃあお父さん自身を写して」と言うと、渋々写した写真が送られてきた。それは上半身裸で、ベッドから落ちそうなくらい左端で横になっている不自然極まりない写真だった。

赤いパンツをはいた男性がスマホを見ている
写真=iStock.com/4x6
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/4x6

「衝撃的でした。夫は裸で寝る習慣はありません。一体どうしてホテルのベッドの端っこに上半身裸でいる自分の写真を送ることができたのでしょう? “右端には誰かいますよ”と言わんばかりの写真を。そんなことに気づけないくらい一緒にいる女性に夢中なのでしょうか?」

翌朝、日向さんは職場に電話し、体調不良で休む旨を伝えた。(以下、後編へ続く)

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旦木 瑞穂(たんぎ・みずほ)
ライター・グラフィックデザイナー
愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する連載の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、東洋経済オンライン「子育てと介護 ダブルケアの現実」、毎日新聞出版『サンデー毎日「完璧な終活」』、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、日経BP 日経ARIA「今から始める『親』のこと」、朝日新聞出版『AERA.』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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(ライター・グラフィックデザイナー 旦木 瑞穂)

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