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つまらない雑談を「笑顔で聞く」のはもったいない…相手からの評価が爆上がりする「スマートな返し」

プレジデントオンライン / 2023年6月17日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RRice1981

聴き上手な人とそうでない人の違いは何か。元TBSアナウンサーの堀井美香さんは「自分が1割しか話さなくても、コメント次第で会話の主導権を握ることができる。相手から『何かを教えてもらう』という意識で話を聞くと聴き上手になれる」という――。

※本稿は、堀井美香『聴きポジのススメ』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

■聴き上手は「話す割合が1割」

だれかと会話する場面がやってきたら、「話し手のポジション」ではなく「聴き手のポジション」を取りましょう。私はそれを「聴きポジ」と呼んでいます。私は常にこの「聴きポジ」を狙っていて、イメージとしては「相手9割、自分1割」のバランスで会話したいと思っています。

多くの人が無意識にしていることですが、人間が集まると自然と「ポジション」が決まっていきます。2人なら「話す」と「聴く」、複数人なら「場を回す」「話題を提供する」「聴く」といったように。

ですから会話の場についたらまず、「聴きポジ」を確保。「場の中心にならない」「質問をしたり話を振ったりする」と、しっかりマインドセットしてください。

「聴きポジ」に入ると、会話の主導権を握れます。相槌や質問、受けのコメントで、会話自体をコントロールできるからです。

受け手である「聴きポジ」の人間がどうやって会話をコントロールするのだろう、と思われるかもしれません。でも、どんなになにげない会話でも、じつは「聴き手」が担う役割はとても大きいのです。

■話の方向性は聴き手次第

たとえば、先輩と話しているとき、次のように言われたとします。

「昨日、○○社のAさんとふたりで飲みに行ったんだけどね、今日から新入社員が部署に配属されるんだって緊張していたよ」

ここから抽出できるトピックは、3つですね。

①「Aさんとふたりで飲みに行った」
②「新入社員の配属」
③「仕事での緊張」

この3つから、聴き手がどこにフォーカスして、展開していくかで、ゲームブックのように会話は変化していきます。

①「Aさんと飲みに行くんですか? 楽しそうですね。よく行くんですか?」
②「もうそんな季節なんですね。今年はどんな新入社員が入ったか聞いてますか?」
③「Aさんでも新人さん相手に緊張されるんですね。先輩も新人さんに緊張したりするんですか?」

話題を振ったのは先輩のほうでも、そこからどの方向に話をふくらませるかは、聴き手が握っているということがわかるでしょうか。

■会話の質は聴く人によって決まる

会話とは流動的なものです。聴き手がどの方向に話を深めるか、どんなエピソードを引き出すかで、次から次にと変化します。

少しハードルを上げた言い方をしてしまうと、会話の質は、聴く人によって決まると言ってもいいかもしれません。

「いま、自分はどの方向に話を転がそうとしているのか」

余裕があるときは、そんな意識を持ちつつおしゃべりしてみてください(とはいえ、インタビューなどのお仕事をしていないのであれば、「どうすれば質を高められるか」とまで考える必要はないと思います)。

もちろん、会話は一発勝負ではないので、①を聴ききったあと、「そういえば……」と③に話を進めるのでも構いません。

まずはシンプルに、「この人に関するこの部分の情報を得たい」と興味を持ったところを狙って問うてみてください。聴き手によって会話が変化していくさまを、実感していただければと思います。

■謙虚に「情報を教えてもらう」という意識を持つ

「聴きポジ」を取るための心構えは、「教えてもらう」という意識です。

相手のことも、「話し手」ではなく「教え手」と捉えると、どう振る舞えばいいかわかりやすいでしょう。「話を引き出そう」とか「聴いてあげよう」ではなく、「どうかあなたのこと(本人のこと、知識、情報)を教えて!」という気持ちで接する。

実際、「教えていただく」ことで、私たちは多くのことを学ぶことができます。これまでの自分の人生で知らなかったことや考えもしなかったことをインプットできるのです(なんとありがたいことでしょうか!)。

仕事で偉大な成果を残しているような、一流の方にかぎった話ではありません。仕事の後輩であってもママ友であっても、夫婦や恋人同士であっても同じです。どんな些細なことでも(たとえば相手の定番のランチでも、キャリアでも、子育ての方針でも、ニュースへの考え方でも)相手の情報をいただくことで自分はひとつ豊かになれます。

謙虚な気持ちは態度にもあらわれますから、ぞんざいな態度を取ってしまうこともなくなります。

そして、「私の知らないことを教えてください」という気持ちで対面することで、聴きたいことも泉のようにわいてくるはずです。

メモに書かれた質問と疑問符
写真=iStock.com/fotosipsak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fotosipsak

会話は、取材。ひとつでも多くの情報をいただく場。

インタビュアーやアナウンサーのようにオフィシャル感を出す必要はありませんが、ぜひこのスタンスで会話してみてください。

■「ウソの好奇心」は見破られる

「聴くスキル」を身につけるというと、「小手先」というイメージがあるかもしれません、相手に「聴いてくれている」と感じさせるようなリアクションを身につけよう、こんな相槌を打てば相手は喜ぶ、というような。

もちろん、そうしてスキルから入るのもひとつのやり方です。

ただし、好かれるために、いい関係を築くために、自分にトクがあるから「無理やり聴く」のは違います。それは「聴きポジ」とはちがいます。

心から聴きたいと思える自分をつくる。これが、なによりも大切です。

そういうマインドに持っていければ、自分自身も純粋にその場を楽しめますし、結果的にいい人間関係を作れるようになるのです。

みなさんも、セールスの人や取引先、後輩などが自分に対して「ウソの好奇心」を持って話を聴いているとき、なんとなくわかりますよね? リアクションだけ立派だけれど真心が込もっておらず、その場を回すためだけに「聴いている」人。なぜか「聴かれていない」よりもモヤモヤするし、気を遣わせていることに申し訳なくもなります。

同じように、あなたがどれだけ「ウソの好奇心」を相手にぶつけても、相手と心を通じ合わせることはできません。

はじめは自己暗示でも構いません。「自分はこの人のことが大好きで、ひとつでも多くのことを知りたいんだ」という気持ちを意識的に持つようにしてください。「なんて素敵な/おもしろい/自分とは違う人なんだ」と心の中で唱えたり、相手と懇意になる未来を描くのもいいかもしれません。

■好奇心の持てない相手=相性が悪い

ただ、何回か会ったあとなど、すでに嫌な部分が目についてしまっている場合は好奇心を持ちづらいかもしれません。そういうときは、相手の「いいところ」だけにぐーっとレンズを寄せ、注目してみてください。

「失礼なところがある……でも仕事はすごくできるし、頼れるなあ」
「見栄っ張りだ……でもチーム全体をよく見ているし、思いやりがあるなあ」

そんな「いいところ」を持っている相手は、自分の知らないどんなことを話してくれるのだろう、と考えてみるのです。

ちなみに、ベースにこの気持ちを持てるようになると、どうしても合わない人に遭遇したときに「だいたいの人に興味を持てる自分が好奇心を持てないなんて、よっぽど相性が悪いんだな」と開き直ることもできる、という副産物もあります。

堀井美香『聴きポジのススメ』(徳間書店)
堀井美香『聴きポジのススメ』(徳間書店)

結局は、相手を尊重したり大切に思ったりする気持ち、真心がすべてです。

上辺のハウツーでは、相手の心を開くことはできません。スパルタな言い方になってしまいますが、いくら小手先のスキルを磨いても、みなさんの「聴く」についての捉え方や聴く姿勢を変えなければ、よりよい聴き手にはなれないのです。

私の敬愛する聴き上手な方々は、みなさん心の底から相手の話を受け止め、本心がにじみ出たリアクションをし、心の底から寄り添ってくれます。

テクニックを身につけることで自信を持つことは大切です。でも、それは第一歩に過ぎません。

「小手先の聴き上手」は、決して相手と幸せな会話をすることはできないことをお忘れなく。

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堀井 美香(ほりい・みか)
フリーランスアナウンサー
1972年、秋田県生まれ。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。永六輔、みのもんた、久米宏、竹中直人(いずれも敬称略)など、個性的な先達のアシスタントを長年にわたって務めた。2022年3月に退社し、現在はフリーランスアナウンサーとして活動。ジェーン・スーとの大人気ポッドキャスト「OVER THE SUN」など、独立後の活躍も目覚ましい。著書に『OVER THE SUN 公式互助会本』(左右社)、『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)、『一旦、退社。』(大和書房)がある。

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(フリーランスアナウンサー 堀井 美香)

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