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プライドを捨てて「中学生向け参考書」からやり直すべき…カリスマ講師が勧める英語習得の最短ルート

プレジデントオンライン / 2023年6月18日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SB

英語学習はどこからやり直せばいいのか。大学や企業で英語を教える濱崎潤之輔さんは「いきなり英字新聞などを選んで四苦八苦しながら勉強するのではなく、中学レベルの参考書からはじめたほうがいい」という――。

※本稿は、濱崎潤之輔『Hummer流 英語勉強法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■参考書を選ぶときにまず確認すべきこと

参考書を選ぶときのポイントは、まず本の分量・厚さ、総ページ数を確認することです。

まだ勉強の習慣が身についていないときは、あまり厚すぎない参考書・問題集を選ぶようにするのが、勉強を継続できるようになるコツです。

そして、自分がめざすもの、たとえば高校入試、大学入試、TOEIC L&Rテスト、英検など、さまざまな試験の出題範囲をすべて網羅しているものを選ぶようにしてください。

まとめると、必要な範囲を網羅しつつ、全体としてはあまりボリュームがありすぎない参考書を選ぶということです。

また、英語の試験には、多くの場合リスニング問題も出題されます。

リスニング対策の参考書や問題集には、当然のことながら、英文を読み上げている音声が、CDやダウンロード形式、アプリなどの形で提供されているはずです。

リスニングの勉強ではなく、単語や文法、読解の勉強をする際にも、掲載されている単語や英文の音声が付属しているものを選ぶようにしてください。

混雑した電車の中のように、読んだり書いたりすることができない環境でも、音声だけで勉強することができますし、発音のわからない単語や語句の音声を耳から理解することが可能になるからです。

■収録されている単語の6〜7割わかる教材がおすすめ

勉強をはじめたばかりの頃、とくに単語をあまり知らない状態だと、1文の中にいくつもわからない単語や語句があったり、文法もあまり理解できていなかったりして、英文の意味がさっぱりわからない、ということは珍しくありません。

初級〜中級レベルの人は、収録されている単語の少なくとも6〜7割は意味がわかる教材を選ぶことをおすすめします。少しだけ背伸びをすれば届くレベルの教材で練習を繰り返す、というやり方は、英語力が非常に伸びます。

ですから、いきなり英字新聞などを選んで四苦八苦しながら勉強するのではなく、中学〜高校レベルの参考書や問題集などを使って、無理なく英語の勉強をはじめるようにしてみてください。

英語に自信がない人、基礎からやり直さないと不安がある人は、ぜひプライドを捨てて中学英語からやり直すことを強くおすすめします。

中学英語からやり直すことは、一見遠まわりに見えるかもしれませんが、結局は近道なのです。

中学英語がどれだけ身についているかを確認するには、英検3級のテキストを総ざらいするのがよいです。

英検3級のレベルは中学3年生修了レベル、4級は中学2年生修了レベル、5級は中学1年生修了レベルです。

英検3級レベルの問題を難しく感じ、中学3年生修了レベルの英語を100パーセントマスターできていないと思うのなら、中学1年生〜2年生レベルの文法を復習することから勉強をはじめましょう。

学生時代に英語の勉強を頑張っていた人ほど、自分の英語レベルが中学生と同じだとは認めづらいかもしれませんが、さらっと一通り中学英語の勉強をやってみると、かつての勘が戻ってくるものです。

■米国大統領のスピーチで勉強するのもおすすめ

もし、英検3級のテキストがおもしろくない、ちょっと自分には合わないなと感じるのなら、大人向けの中学英語のテキストもたくさん出版されています。手軽に手に取れるように、「○時間で中学英語の総復習」というような、短期間で効率よく学べるものもあります。そうしたテキストをうまく使って「中学英語」という土台をみっちりと踏み固めてみてください。

ビジネス英語の本もエンターテインメント系の本も、本格的なコンテンツとなると、中学英語だけでは十分に楽しむことは難しいかもしれません。ちょっと変わったチョイスになるかもしれませんが、歴代の米国大統領の演説が収録されているテキストもおすすめです。

大統領のスピーチでは(選挙に勝つために)戦略的に平易な英語を使っていることが多く、11歳くらいの子どもでも十分に理解できるレベルになっていると言われています。気分転換として、このような副教材を使って勉強してみるのもおもしろいのではないでしょうか。

アメリカの政治家
写真=iStock.com/AnnaStills
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AnnaStills

学生の場合は、中学生も高校生も、1つの学年で学ぶべき文法の範囲が決まっていますし、勉強時間も社会人と比較すると十分に取ることができます。一方、社会人になれば勉強のために使える時間が限られている一方で、やらなくてはならない範囲というものが決まっていません。

節目節目に、英検の問題集などでスキルチェックを実施するようにして、焦らずじっくりと、自分に合ったレベル・ペースで勉強を進めていきましょう。

■CNNのニュース音声でリスニング力を鍛える

僕はリスニングの力を伸ばすために、CNNのニュース音声つきの本を使っていました。現在は『CNN ニュース・リスニング』(朝日出版社)というタイトルで販売されているものです。

CNNのニュースを苦もなくシャドーイング(自分の声を聞こえてくる音声から少しだけ遅らせて英語の音声に後ろからついていくように音読をするトレーニング)できるようになったら、TOEIC L&Rテストのリスニングが楽になるのではと思い、本に記載されている英文と日本文、そして付属の約30秒のニュース音声を使ったシャドーイングを毎日行っていました。

続いて、ライティング力(書く能力)についてですが、英語を話したり書いたりすることを「アウトプット」(外に出すこと)と言います。アウトプットできるようになるためには、まずは自分の中に話したいこと、書きたいことが入っていなくてはなりません。

それらを「インプット」(中に入れること)するために行うのが「聞く」ことと「読む」ことです。

「聞く・読む」練習をして自分の中にストックを作り、それを「話す・書く」練習で実際に使用してみる、という手順で勉強を進めていくのが効率的です。

■TOEIC L&Rテストはビジネス英語習得にうってつけ

「ビジネス英語」とは具体的にどんな英語でしょうか。

たとえば、銀行員が仕事で使う英語と、建築会社で働く人が仕事で使う英語はまったく違うはずです。

ここでは、業種や業界を問わず、一般的なオフィスで日常的に使う英語をビジネス英語と定義します。

そう考えると、TOEIC L&Rテストはどの業界・職種の人も使う汎用(はんよう)性の高い表現だけで構成されているテストなので、ビジネス向けの英語を学ぶのにはうってつけですし、このテストで使われている英語は「ビジネス英語」とよぶのが適切でしょう。

ただしTOEIC L&Rテスト対策だけでは、聞く・読むというスキルの習得がメインになるので、TOEIC L&Rテストの内容を使って「話す練習・書く練習」もできれば、必要十分でしょう。

ネイティブと対等に渡り合える英語力をつけたいというのであれば、話は別です。

■TOEIC満点でもネイティブとの会話で苦労すること

TOEIC L&Rテストで満点を取得した知人が、カナダのトロントに渡って現地の人たちと仕事をしていました。日常会話にはほとんど問題ないけれども、少し突っ込んだ議論をしたり、お互いの国の文化的な楽しみについて話をしたりするのは、なかなか骨が折れたと話していました。その知人いわく、とくに自分に足りていなかったのは、リスニング力だったということです。

話すことは自分のペース・自分の語彙(ごい)力だけでなんとかなるけれど、聞く立場になるとネイティブの扱う表現をなかなか聞き取れない・理解することができないことがしばしばあったと言うのです。

ネイティブの話す英語が僕たち日本人にとって早口に感じるのは当然のことながら、彼らと親しくなればなるほど、こちらを「日本人」だと見てもらえなくなり、会話の中にフォーマルではない、くだけた表現・スラングが使われることが多くなるということも原因でしょう。

TOEIC L&Rテストは、誰もがビジネスで使うであろう英語だけで作られている、汎用性の高いすばらしいテストです。

ただし、「社会人の日常生活とビジネスシーン」という範疇で作られているので、次のような種類の英語が必要なら、プラスアルファの知識を身につけておくと、コミュニケーションがよりスムーズになるでしょう。

■実は神話や聖書からの引用頻度は高い

①より格式の高い英語(接客業などに必要な英語)

TOEIC L&Rテストの範疇を超える尊敬語や謙譲語なども使いこなすには、それ相応の表現や言い回しを覚える必要があります。

②教養的な内容(神話や聖書、格言など)

ビジネスシーンの会話で意外と登場するのが、神話や聖書からの引用や格言などです。比喩表現としてかなりの頻度で使われるので、知っておくと一目置いてもらえるかもしれません。

また、逆に日本の文化などについても語れるようになっておくとよいでしょう。

■「くだけた英語」の使いすぎには注意が必要

③時事的な内容(ニュースや政治事情)
濱崎潤之輔『Hummer流 英語勉強法』(かんき出版)
濱崎潤之輔『Hummer流 英語勉強法』(かんき出版)

業務に直接関係ないことでも、同僚との会話では時事的なニュースが話題になる場合は多いです。

そのような際に話についていくことができないと、人として軽んじられてしまうケースがあるのは、日本でも同じかもしれません。

日々のニュースを日本語でチェックしている人も、今後はCNNやBBCなどの動画サイトなどを見聞きして、キーワードをおさえつつ、内容を理解してみてください。

日頃から常に目と耳で最新のニュースを追うようにしておけば、不意に会話で時事問題が話題になったときも、戸惑わずにいることができるでしょう。

④慣用表現やスラング

ネイティブの同僚と仲良くなればなるほど、スラングや慣用表現などが登場する頻度が高くなります。無理して覚える必要はありませんが、映画や小説、海外ドラマなどで使われる「くだけた英語」を知っておくと、それらが聞き取りやすくなります。

ただし、フォーマルな会話が身につかないうちに慣れ親しみすぎると、取り引き先や顧客に対しても、その場では使うべきではない表現をうっかり使ってしまう可能性があるので注意が必要です。

基本的にTOEIC L&Rテスト対策の教材を使った勉強だけでもまずは十分だとは思いますが、①〜④を学ぶことができる教材も使うと、よりビジネスシーンで使える英語能力が養われていきます。

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濱崎 潤之輔(はまさき・じゅんのすけ)
大学・企業研修講師、書籍編集者
早稲田大学政治経済学部卒業後、大手証券会社での勤務を経て、神奈川県にある大手学習塾の専任講師となる。2004年に独立し、自身の塾で小学生や中学生を対象に受験対策の指導経験を積む。これまでにTOEICテスト(現:TOEIC L&Rテスト)990点(満点)を80回以上取得。現在は、全国の大学で講師を務めるかたわら、ファーストリテイリングや楽天銀行など大手企業でもTOEIC L&Rテスト対策の研修を行う。著書に『改訂版 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』『同問題集』『TOEIC L&Rテスト ゼロからしっかりスコアアップできる本』(いずれもかんき出版)などがある。

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(大学・企業研修講師、書籍編集者 濱崎 潤之輔)

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