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無理な運動はしなくてもいい…61歳医師が13キロの減量に成功した"なんちゃって糖質制限"のやり方

プレジデントオンライン / 2023年6月29日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/west

健康的にやせるにはどうすればいいのか。循環器内科医の池谷敏郎さんは「糖質制限ダイエットはやらないほうがいい。私も30代のころに実践してみたが、リバウンドしただけではなく体調不良になってしまった」という――。(第2回)

※本稿は、池谷敏郎『血管の老化は「足」で止められた』(青春新書PLAY BOOKS)の一部を再編集したものです。

■糖質制限ダイエットは諸刃の剣

膝が悪くて歩けなくて、それでいて食べることは大好きなので太ってしまい、ますます膝が悪くなる……という悪循環に入っている人がいます。この悪循環を断ち切る唯一の方法は、やせることです。

「膝が痛いから歩けない」ではなく、「歩ける体をめざす」ことが先決でしょう。「膝が痛くて歩けない」という問題があるのなら、膝まわりの筋肉を鍛えるのと同時に、今までと同じように食べていてはダメなのです。では、どう食べればいいのかということで、私がおすすめしているのが「なんちゃって糖質制限」です。

ご飯、パン、麺類、いも類といった主食と、甘いものやフルーツなどの間食を控えるのが「糖質制限」です。糖質制限をすると、確かにやせられます。太る原因になるものを食べないのですから、体重はスルスル落ちていきます。でも糖質制限は諸刃(もろは)の剣(つるぎ)のようなもので、簡単にやせられる一方でリスクを伴うダイエット法です。何より、リバウンドしやすいのです。

まわりに「糖質制限でやせた」という人はいますか? その人たちは、その後、やせた体型をキープできていますか? おそらくまた戻っていると思います。というのは、私も苦い経験があるのです。

■減量には成功したがすぐにリバウンドしてしまった

うら若き頃の話です。結婚式の少し前に妻の友人に笑顔で「ぽっちゃりしてますね」といわれて、男のプライドがすっかり傷ついた私は、「よし、格好いい新郎になってやる!」と一念発起してダイエットしました。

今から30年も前のことなので、当時は糖質制限という言葉はありませんでしたが、「ご飯やパンが太る原因だろう」と思い、間食はもちろん食べない、主食もどんどん減らす、今でいうところの糖質制限ダイエットを実行したのです。

そうすると、結婚式の頃には見事にやせていました。指輪もサイズが合わなくなって買い替えて、タキシードも2サイズくらい下げたでしょうか。自分史上いちばんやせて、60kg近くまで体重が落ちました。ただ、体重こそ減りましたが、やせて格好よくなれたのかというと、逆でした。

鏡の前に立って「えー」と驚いたことを覚えています。まるで、やせこけたおじいちゃんみたいだったのです。ただ食事を減らすだけでまったく運動もしていませんでしたから、脂肪だけではなく、筋肉もすっかり落ちてしまったのですね。しかも、蕁麻疹(じんましん)が出るなど体調も悪くなって、さんざんでした。そして、当然ですが、すぐにリバウンドしました。それも、もとに戻ったわけではなく、さらにうれしくない体型になったのです。

筋肉と脂肪の両方が落ちたところに、リバウンドして脂肪だけがついたので、さらにぷよぷよ体型に。若いときには安いハムだったのが、リバウンドして脂肪が増えた結果、霜降りの高級ハムに変わってしまったのです。霜降りハム体型のまま、30代半ばには79kgまで増えました。

体重計の前に座り込み顔を覆っている女性
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tero Vesalainen

■リバウンドしにくい「なんちゃって糖質制限」

この頃はクリニックの開業と3人の子育てに夫婦ともども追われていた頃。しかも私は霜降りハム体型だったので、とにかく疲れやすくて、当時は歩こうという気力もありませんでした。現在はというと、体重は66~67kgをキープしています。ピーク時よりも10kg以上減りました。結婚式の頃の60kgよりも6、7kg多いのは、運動をして筋肉がついたからです。

霜降りハム体型で80kg目前までいっていた体重を今の体重まで落としたときに行ったのが、「なんちゃって糖質制限」です。「なんちゃって」なので、糖質を食べないわけではありません。主食も間食もルールさえ守っていただければ食べてOKです。

「1日○g」「1食○g」などと糖質量を縛っても実践できませんから、そんな細かいことはいいません。だからこそ、無理なく続けられるので、リバウンドもしませんし、体調が悪くなることもなければ、筋肉も落ちません。「なんちゃって糖質制限」は自信をもっておすすめできるダイエット法です。

■いま食べている主食の量を半分にするだけでいい

池谷式「なんちゃって糖質制限」ダイエットのポイントはたったの1つです。それは、ご飯やパン、麺類といった糖質を、今食べている量の半分にすること。ただそれだけです。

いつもご飯をおかわりしていた人は、おかわりをやめる。いつもおにぎりを2個食べていた人は、1個にする。いつも牛丼を大盛にしていた人は、並盛にする。いつもご飯は1膳だった人は半膳にする……のですが、これは抵抗があるかもしれませんね。半分しか盛られていないご飯茶碗を見ると、「少なっ!」と、物足りなく感じるのではないでしょうか?

そのときには、ごはん茶碗を小さくするのも1つの案です。器が小さくなれば、中身が少なくなっても見た目には少なさを感じさせません。または、それこそ納豆ご飯の出番です。軽くよそったご飯の上に納豆をトッピングすると、見た目にも満足できて、タンパク質もプラスできます。

私は、ご飯にたっぷりの蒸し大豆やきのこを混ぜて食べる、混ぜご飯スタイルもよくやります。糖質の量を半分に減らせますし、蒸し大豆もきのこも食物繊維が豊富なので満腹感が出るのです。

大豆製品
写真=iStock.com/Diane Labombarbe
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Diane Labombarbe

■やせている人も糖質のとり方には注意が必要

麺類も同じで、例えば家で焼きそばをつくるときには、1人分の麺で、妻と2人分をつくります。その代わり、肉や野菜、きのこをたっぷり使って、具を増やすのです。もやしを使うと見た目が麺に似ているので、麺の少なさも薄れます。

一人暮らしの方は、半分を使って、残りの半分は次回に取っておけばいいですね。あるいは、いちばん手っ取り早いのは、朝食、昼食は普通にご飯を食べて、夕食は抜くなど、「3食のうち1食分、主食を抜く」作戦です。毎回の主食を半分にするよりもわかりやすいので、より続けやすいと思います。

やせている人にも食後高血糖は起こるメタボ体型の人というのは、基本的に糖質を食べすぎています。特に私と同世代の60歳前後の方で体重がオーバーしている方は、タンパク質や脂質をとりすぎなほど食べている人はまずいませんから、問題は糖質です。

一方、やせている人は糖質を気にしなくていいのかといえば、糖質の多い食事は高血糖を招くことを考えると、やっぱり糖質のとり方には注意が必要です。健康診断で測る空腹時血糖値は正常でも、食後だけ血糖値が急上昇している「かくれ高血糖」の人は結構多いのです。そういう人は、食事のたびに血糖値の乱高下を起こしているので、血管のなかではそのたびに活性酸素が大量発生して、傷つけられます。

食後高血糖は、太っていようとやせていようと関係なく起こります。ですから、ダイエットの必要のない人も、糖質のとりすぎはよくありませんし、「そうめんだけ」「素うどんだけ」「菓子パンだけ」といった糖質オンリーの食事は食後高血糖を招いて血管を老けさせるもとです。

■「野菜から食べましょう」は理にかなっている

それともう1つ、血糖値をむやみに上げないためには「食べる順番」が大切です。

池谷敏郎『血管の老化は「足」で止められた』(青春新書PLAY BOOKS)
池谷敏郎『血管の老化は「足」で止められた』(青春新書PLAY BOOKS)

間違っても、ご飯、パンなどの主食から先に食べないこと。食事の最初に糖質を食べてしまうと、血糖値の急上昇を招きます。コツは、食物繊維を多く含んだものから食べること。それが、よくいわれる「野菜から食べましょう」なのです。

食物繊維が豊富な食べ物の代表が、野菜です。食物繊維は、糖質が体内で分解・吸収されるスピードをゆるやかにして、血糖値の急上昇を抑えてくれます。野菜以外では、海藻、きのこ、豆類も食物繊維が豊富です。

私がたまに実践するのは、食事の前に豆乳を飲む「ソイファースト」です。大豆の食物繊維に加えて、「大豆サポニン」という成分が糖の吸収を抑えてくれます。糖質オンリー食を避けること、食べる順番に気をつけることは、ダイエット中か否かにかかわらず、血管を守るためのマナーだと心得ましょう。

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池谷 敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。

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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)

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