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「秒で眠れる」寝つきが良すぎる人はかえって危険…どんどん健康になる「ベストな入眠時間」の最終結論

プレジデントオンライン / 2023年6月28日 19時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

良い睡眠かどうかを判断する方法はあるか。漢方家の櫻井大典さんは「途中で一度目が覚めてもまたすぐに眠れて、朝はすっきり起きられるなら、特に質の悪い睡眠ではない。一方で、『秒で眠れる』という人は要注意だ」という――。

※本稿は、櫻井大典『病気にならない食う寝る養生 予約の取れない漢方家が教える』(学研プラス)の一部を再編集したものです。

■“何時間寝た”かよりも“何時に寝たか”が大切

いつも遅くまで起きているみなさん、健康になりたかったら、そして病気になりたくなかったら、今日は昨日より10分でも早く寝ましょう。

睡眠は“何時間寝た”かよりも“何時に寝たか”が大切です。

アメリカの大学で行われた研究では、“毎日6時間の睡眠が2週間続くと、ふた晩徹夜したのと同じ脳の状態になる”という結果も出ています。

しかもそれが、深夜1時や2時になってようやく眠りについた6時間なら、理想の睡眠とはほど遠いです。睡眠中は、体の修復や、脳では記憶の整理整頓が行われており、またメンタルの安定のために欠かせない時間でもあります。

睡眠不足の状態が続けば、めまい、頭痛、胃腸の不調、吹き出物などの身体的な症状や、イライラ、ケアレスミスの頻発、人間関係の不調和など、さまざまな問題を引き起こします。

理想は、23時から3時の間にぐっすりと眠っていることです。とはいえ、仮にそんなことをお伝えしても「23時に寝るなんて、絶対に無理!」と完全に拒否されてしまえば、そこで終わってしまいます。また、私自身、23時に完全に寝ついていることは多くありません。

どんなことならできるか、自分も含めて多くの人が実践しやすい養生は何か。考えた結果、導き出したのが、“10分でも早く寝よう”なのです。

“今日は昨日より10分早く寝る”を週の半分でも実践すれば、それまでより早い時間に寝る割合が増えたことになる。体が10分早いリズムを覚えれば、次第に、以前より少しだけ早く眠くなるといった変化が起こります。

ですから今日は、いつもより、昨日より、10分でも早く寝てみましょう。私もいつも、「とにかく10分でも早く寝ることが大事だぞ、俺」と自分に言い聞かせています。

■23時から3時に寝ていることが元気の秘訣

ひと昔前に、“22時から2時の間は成長ホルモンがたくさん出る睡眠のゴールデンタイム”という考え方が話題になりましたね。でも、実はこれは誤解で、現在定説になっているのは、“成長ホルモンは、寝ついてから約1~2時間後の間に最も多く分泌される”というものです。

では、先ほど私が理想だとお伝えした23時から3時に寝ているとなぜよいのでしょうか。それには中医学の気と血(けつ)の概念が関連しています。

私たちが日中に元気に活動できるのは、気というものが体の表面を巡り、体を外敵から守るとともに、体を温めてくれるからです。夜になって私たちが眠りにつくと、気は体内を巡り、臓腑の調整や修復を行います。

ですから、睡眠を十分にとらないと、体力を回復できないばかりか、臓腑の働きも悪くなってしまうのです。

疲れた主婦はソファで寝ている
写真=iStock.com/tdub303
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tdub303

さらに、睡眠に大きく影響するのが血です。“肝(かん)”という臓腑は血を蓄え、体の各部に必要な量の血を送っているのですが、感情、想像、夢想、思考、評価、意志などといった比較的高度な精神活動も担っています。

ですから、血が不足すると肝が十分に働けなくなり、そうした精神活動がうまく行えず、メンタルが不安定になります。メンタルが不安定なせいで眠れないというのは多くの方に経験があると思いますが、血はそれだけ睡眠と密接に関係するのです。

肝が活発に働くのは午前1時から3時です。その時間にきちんと眠っていれば、肝に血が集まるので精神が安定しますが、午前1時を過ぎても眠らず活動していると、肝に血が集まらないので精神が不安定になってしまいます。

また、その前の23時から1時は、肝を補佐して働く“胆(たん)”という臓腑が活発に働く時間で、23時以降に活動することも精神を興奮させ、眠りを妨げます。

つまり、夜更かしを続けていると、いざ寝ても眠りが浅くなってしまうし、そのせいでメンタルもさらに不安定になっていく……という悪循環が起こります。

だからこそ、何時に寝ているかが、よい睡眠のために重要なのです。ぐっすりと眠り、体と心を元気に保つためにも、できるだけ早く寝てください。

■横になって10~20分で眠るのが理想的、バタンキューは要注意

改めて、よい眠りとはどんなものでしょう。眠りに関しては、漢方相談者さんのお話を聞いていても、いろいろと誤解されている場合が多くあります。

例えば、「秒で眠れます」と自信満々におっしゃる方がいますが、これが快眠とイコールかというと、必ずしもそうではありません。

“バタンキュー”と、横になったとたん気絶するように眠ってしまい、その前の記憶がほとんどないようなら、それは疲れすぎ。心身に大きな負担がかかっているので、スケジュールの見直しが必要です。

逆に、「途中で一度目が覚めてしまうから、睡眠の質が悪いのかも」と心配する方もいらっしゃいますが、途中で目が覚めてもまたすぐに眠れて、朝はすっきり起きられるなら、特に質の悪い睡眠ではありません。

普段、私が相談者さんに話を聞く時、睡眠に関して確認している内容をもとに、よい睡眠・悪い睡眠のチェックリストを作りました。あなたの睡眠はどうか、快眠といえるのか、眠りの質が悪くなっていないか、を確認してみましょう。

【よい睡眠(眠りの質がよい)】
☑横になって10~20分以内に眠れる
(ただし、布団に入ってすぐ気絶するように眠るのではなく、横になり目をつぶって静かにしていたら、いつのまにか眠っているという状態)
☑夜中に何度も目が覚めない
(目が覚めるとしても1回程度で、その後もすぐ眠れる)
☑夢を覚えていない
☑朝すっきり起きられる
【悪い睡眠(眠りの質が悪い)】
☑布団に入って30分以上寝つけない
☑布団に入るとすぐに気絶したように寝落ちする
☑1回でなく、何度も目が覚めて、その後なかなか眠れない
☑よく夢を見る、夢の内容を覚えている、悪夢を見る
☑朝から体がだる重い

■自身の感覚を重視し、改善をはかる必要性

いかがでしたか?

よい睡眠のすべての項目にチェックがつかなくても、ご自身の感覚としてスムーズに寝つけている感覚があればあまり心配はいりません。

櫻井大典『病気にならない食う寝る養生 予約の取れない漢方家が教える』(学研プラス)
櫻井大典『病気にならない食う寝る養生 予約の取れない漢方家が教える』(学研プラス)

反対に、横になって20分以内に眠れている場合でも、ご自身がなかなか眠れないと感じているのであれば、その感覚を重視し、改善をはかる必要があります。

毎日よい睡眠の項目どおりに寝られている、という方ばかりではないので、「悪い睡眠のチェックが多い……」と不安にならないでくださいね。

眠りの質が悪くなっている場合、そこには必ず何かしらの原因があるので、それを解消すれば睡眠の質はおのずとよくなっていきます。

焦らずにゆるい気持ちで“食う寝る養生”を試しながら、解決法を探りましょう。

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櫻井 大典(さくらい・だいすけ)
漢方コンサルタント
国際中医専門員、日本中医薬研究会会員。漢方薬局の三代目として生まれ育つ。カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後はイスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国の首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格を取得。 これまで年間数千件の健康相談を受け、のべ4万件以上の悩みに応えてきた。相談者の話をじっくり聞き、不調の根本的な理由を探し、相談者の体質やライフスタイルに合わせたアドバイスをしている。Twitterで発信されるやさしいメッセージと、簡単で実践しやすい養生法も人気を集め、フォロワー数は16万人を超える。

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(漢方コンサルタント 櫻井 大典)

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