育児の外注費「寝かしつけ・おむつ交換・授乳」1時間2500円~は妥当か…18時~21時に"注文"が殺到するワケ
プレジデントオンライン / 2023年7月2日 11時15分
※本稿は、『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科2023』の一部を再編集したものです。
■上手な家事と育児アウトソーシング術とは
子育て家庭が積極的に家事や育児を外注し始めたのは、ここ5、6年のこと。子育てと仕事の両立や夫婦関係に悩むママパパに向けて私が行っている研修や講演も、以前は家族でどうにかしようとか、パパをどう巻き込むかといった内容がメインでした。
最近は、共働きがデフォルトになり、女性もキャリアアップを目指す人が多くなり、家事や育児を外注する家庭が増えてきていたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大で働き方が大きく変わったことがハードルをかなり下げたように思います。在宅が続いて、1日3食を作るのが辛くなり、お昼くらいは宅食にしちゃおうか、と。
とはいえ、本来、自分がすべきことを、お金を払って人に頼むことに対して、罪悪感を持っている人はまだまだ多く、また他人を家に入れることに抵抗のある人も少なくありません。でも片働きが主流だった親世代と今とでは社会的背景が全く違います。自分たちだけでなんとかしようとして疲弊するよりは、上手に活用して負担を減らすことをお勧めします。
私がいつもお伝えしているのは、家族の周りにある「ひと」「もの」「こと」と連携した「チームわが家」をつくろうということ。「ひと」は祖父母、ママ友やパパ友、職場の上司や同僚、保育所や学校の先生などを、「もの」は時短家電やアプリ、中食などを、そして「こと」はベビーシッターや家事代行、宅食などの行政&民間サービスを指します。
産後すぐは保健師やヘルパーが訪問してくれる行政サービスを利用する人も多いですが、本格的に家事代行を使うのは復職後。買い物の時間を削減するために、宅配やネットスーパーを使うことが多いですね。家族の人数×5日分の夕食の材料をレシピ付きで宅配してくれるサービスもあり、献立を考える手間も省けると好評のようです。
買い物代行は、他人が家に入ることはないので、家事代行の最初の一歩としてお薦めです。
掃除代行を、週に1回程度頼む家庭も多いです。たとえば週末に子どもとゆっくり過ごしている間に来てもらって、気になる箇所の掃除をしてもらう。留守中に入られるのが嫌な人には、お薦めの方法です。特に水回りは、家の中でも独立しているので、リビングを見られたくないという人にもいいですね。
■夕方6時から夜9時までに家事・育児代行を頼む人
育児代行では、ベビーシッター&病児保育サービスも心強いサポーターとなっています。ベビーシッターは会社によって特徴がありますし、同じ会社でもシッターによってさまざまな個性や特技があります。相性や好みを確認するために、複数回利用して決めるとよいでしょう。
![ベビーシッターと子どもと母親](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/e/1200wm/img_8e8f8d5171e43e50c2f6cef8d2503551404297.jpg)
ただし、これには時間と手間がかかるので、復職前に試し、ある程度、慣れた状態にしておくことが大切。試すときは、家族がいるときに来てもらい、子どもと遊ぶ様子を見るとよいでしょう。病児保育はシッターがつかまらないことが多いですが、毎月の登録料などを支払えば100%対応してくれるところもあります。
最近よく聞くのが、夕方6時から夜9時までの「育児のゴールデンタイム」に、ベビーシッターか家事代行、いずれかを利用するパターン。買い物から料理、食事、入浴、寝かしつけまでを行うこの時間帯はとても大変です。複数の家族の手があるのが一番ですが、難しい場合は、この時間帯にサポートを頼み負担を減らすと格段に楽になるようです。
こうした外注を始めると、予約や注文をしたりシッターを探したりなど「新家事労働」といわれる新たな家事タスクが発生することも知っておきましょう。ネットスーパーは便利ですが、何がいくつ必要か、発注するのもけっこう面倒。
シッター探しは、急に必要になることも多く、しかも、時間に余裕がないときに行うケースがほとんどです。そこで、夫婦で買い物リストやシッター候補などを共有しておいて、電車の中やちょっとした空き時間に発注しておく、という家庭も増えています。
当然、外注すると費用がかかりますが、いったい予算はどれぐらいが妥当なのでしょうか。家計の状況によりますので、各家庭で負担感に応じて、これぐらいは使おうと金額を決めてしまうことをお勧めします。
まずは夫婦で、わが家の働き方や暮らし方を考えて整理・共有しておきましょう。赤ちゃんも含めた家族みんなが笑顔でいることを一番に考えたうえで、必要だと判断したら経費としてとらえましょう。これからキャリアを積み重ねるなら、この数年間にかかる外注代は投資だと考えている人も多いようです。外注することでスキルアップや情報収集に時間を回せ、それが将来の収入増につながることもあるのです。夫婦で納得できる予算を決めてしまえば、外注することへの罪悪感も軽減されます。
また、何を外注するか決めるときは、特に家事については自分や家族が「得意か苦手か」「したいかしたくないか」といった基準をはっきりさせておくことも重要です。
「頼る」ことは心理的ハードルが高いものですが、まず自分たちが頼っても大丈夫そうなものから始めましょう。一つずつ試して自分たちに合う塩梅(あんばい)を継続的に見つけていく。そして腹落ちする言い訳を明確にしておけば「チームわが家」は盤石です!
■主な民間の代行サービスと費用単価
[家事代行]
●買い物
日用品や食品、家具や家電、定期便やスポット便など 手数料3000円程度~+交通費や送料
●掃除
トイレ、お風呂、洗面所、リビングの掃除機がけ、窓ふきなど 1時間3000円程度~
●ハウスクリーニング
レンジフード、エアコンなど 1カ所1万円程度~
![エアコンクリーニング](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/a/1200wm/img_2a2eed572d6afb7b88432a2e80bbb697379253.jpg)
●宅食
お弁当を届けてくれる 1食800円程度~
食材+レシピを定期的に届けてくれる 3人分×1週間分7000円程度~
●料理
食材の買い物、調理、作り置き、片付けなど 3人分×5日分の夕食で1万円程度+交通費(食材費別)
[育児代行]
●ベビーシッター
寝かしつけ、おむつ交換、授乳、離乳食など 1時間2500円程度~
●送迎サービス
保育園の送り迎えなど 1回3000円程度~
●病児保育
自宅でのケア、食事の世話など 1時間3000円程度~
●地域の保育園の一時預かり 各自治体に問い合わせ
wonderLife代表、ファザーリング・ジャパン理事
復職・両立支援セミナー講師として、育児と仕事の両立や夫婦関係に悩むママパパをサポート。
(プレジデントFamily編集部 構成・文=池田純子)
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