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最近はやりの「国際系中高一貫」に放り込めばわが子の人生は安泰か…続々誕生「国際系」15校の実力診断

プレジデントオンライン / 2023年7月5日 11時15分

『プレジデントFamily 中学受験大百科 2023年完全保存版』

学校名に「国際」とつく私立中学が増えている。国際と聞くと、「英語力」「海外で活躍できるコミュニケーション力」が身に付くイメージがあるが、実態はどうか。グローバル教育を強みとするニューウエーブ校15校について、学校事情に詳しいプロ3人に話を聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamily 中学受験大百科 2023年完全保存版』の一部を再編集したものです。

■Q 国際系中学が増えているのはなぜ?

【後藤和浩さん】(声の教育社 常務取締役、以下:後藤)人気なのは間違いないと思います。受験対策用の過去問題集も、国際系中学のものを求める母数があきらかに増えてきました。海外大学に進学してほしい、将来海外で働いてほしいなど、中学の時点で明確な将来像がなくても、「使える英語」は国内の難関大学の受験でも有利に働きます。

【北一成さん】(首都圏模試センター 取締役教育研究所長、以下:北)今は、楽天やパナソニックなど、英語力がないと管理職になれなかったり、公用語が英語だったりする日系企業もあり、受験校を選ぶ保護者の基準が変化してきているのを感じます。大学入試が変わるぞ、これからは英語4技能が問われるぞといわれだしたのが、2015年ごろから。そこで情報をキャッチした保護者が子供を英語塾に通わせるようになりました。

【矢野耕平さん】(スタジオキャンパス 代表、以下:矢野)少子化ですし、海外に目を向けなきゃいけないという危機感を、今は少なからず誰しも持っていると思うんですよね。ウクライナ侵攻など世界情勢も揺れていて、いろいろと不透明なことの多い今、英語をはじめとする、国際社会に適用する能力を育ててくれそうな「新しい学校」への期待は高まっていると思います。

■Q 国際系中学に入れば、英語力は本当に伸びるの?

【北】そもそも明治初期に、フェリス女学院などのミッションスクールが来日したのが私立中学のルーツのひとつ。今も日本の私立の約30%がミッションスクールで、もともと英語とキリスト教、民主主義を伝える教育だったわけです。どこの私立も、英語の授業数など明らかに多いですし、そういう意味では、私立はどこも英語教育に力を入れているといえますね。

【後藤】広尾学園や三田国際学園をはじめ、共学化した私立が新しい教育を取り入れ、人気を得ている流れもありますね。どの学校のサイトを見ても、そのほとんどで“グローバル”がうたわれているので、受験校を選ぶにあたりきちんと情報収集する必要はあるでしょうね。

【矢野】私立は帰国生入試も多く、周囲にネイティブ並みの友達がいるという環境は、子供の英語力に大きな刺激を与えると思います。

■Q 学校選びのコツは?

【矢野】①親御さんが6年後わが子にどうなっていてほしいのか、②その学校は6年間を通して子供をどう育てていこうとしているのか、そこがマッチングしているかの確認が一番大事かと思います。例えば、英語力を底上げしたいのか、海外大学に進学したいのか。それだけでも学校選びや進路選択は大きく変わるでしょう。

【北】見比べるなら、カリキュラムや大学進学実績などよりも、どういう環境でわが子が学ぶことになるのかを確かめたほうがいいと思います。帰国生が多い、英語の取り出し授業がある、アクティブラーニングを実際に取り入れている、良い教師がいるなど。例えば、かえつ有明は、ネイティブの先生の評判が良いことで人気を集めました。

『プレジデントFamily2023夏号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2023夏号』(プレジデント社)

【後藤】説明会などに行って、先生に質問するのはマストかと思います。例えばわが子が中学入学前に英検準2級を持っている場合、この先の6年間でそれをちゃんと活かせる環境があるのかなど。また小学校で英語の授業が始まったことで、かえって以前よりも英語嫌いの子供が増えているという話も聞きます。英語が嫌いでも大丈夫なのか。大丈夫と言われたら、なぜ大丈夫なのか、理由をなるべく具体的に聞けると安心かと思います。入学時からある程度の英語力を必須とするようなインターナショナルコースを除いて、基本的に英語初心者で大丈夫なはずです。

【北】例えばIB(国際バカロレア)プログラムを導入する開智日本橋学園は、「英語ができる子も歓迎ですが、英語がゼロスタートの子でも大丈夫です!」と説明会ではっきり言っています。ニューウエーブ校ではありませんが、伝統校の八雲学園なども、ゼロスタートで生徒全体の英語力を底上げしてくれる学校です。男子校・巣鴨もかつての硬教育、努力型教育の伝統は残しつつ、ここ数年で急速にグローバル教育に注力しています。

【後藤】入学時の偏差値によらず、ハマった子は中高の6年間でどんどん伸びていくのが英語の魅力であり可能性ですよね。

■【中学受験のプロ3人「国際系中学」15校の実力診断】

※以下の情報は取材当時(2023年2月)のものです。

北一成さん 首都圏模試センター 取締役教育研究所長
後藤和浩さん 声の教育社 常務取締役
矢野耕平さん スタジオキャンパス 代表

A 授業・カリキュラム
B 進学実績
C 今後への期待度

■●広尾学園小石川 文京区

北 A★★ B―― C★★
2021年に共学化と中学募集を再開したばかりだが、広尾学園と同じ教育コンセプトとカリキュラムで人気を集め、予想以上の難易度に。

後藤 A★★★ B―― C★★★
広尾学園のカリキュラムを導入していて、教員の交流もあるので、1期生から海外大学進学実績はかなりの数を上げそう。

矢野 A★★★ B―― C★★★
開校して間もない学校だが、インターナショナルコースの在籍者割合は本家の広尾学園を超えており、数年後には広尾学園以上の海外大学進学者を輩出するのではないかという声も。

■●三田国際学園 世田谷区

北 A★★★ B★★ C★★★
中学入試レベルが高い。とくに帰国生入試では英検準1級レベルでも不合格者が出ていると聞く。海外留学・ターム留学希望者は毎学年100人を超えるそう。海外大学合格者数が今後伸びる期待大。

後藤 A★★ B★★★ C★★
すべてのクラスが「インターナショナルコース」のなかにあり、帰国生に限らず、全校生徒の海外進学を視野に入れている。

矢野 A★★ B★★ C★★★
帰国生が多く在籍する中学からのインターナショナルクラスのレベルは相当高い。グループワーク形式の授業でプレゼンテーション能力を鍛える。海外研修も充実。

■●東京都市大学等々力 世田谷区

北 A★★ B★★ C★★
比較的オーソドックスなカリキュラムながらも、年々評価を高めている。系列校である東京都市大学付属(男子校)も帰国生入試のレベルを年々高めており、等々力も伸びる期待大。

後藤 A★★ B★★ C★★★
音読重視の英語教育で、「週100回・年間3500回の音読」が目標。海外大学進学だけでなく、国内難関大学進学者数も着実に増やしている。

矢野 A★ B★★ C★★
近年、国立・早慶・MARCHといった難関大学への進学者が激増している。国際関係の国内大学には強いが、海外大学進学者はごく少数。理系教育に定評がある。

■●開智日本橋学園 中央区

北 A★★ B★★ C★★★
21世紀型教育を掲げる私立中高の代表的存在。IB(国際バカロレア)プログラム認定校。今後はこのIBコースと共通のカリキュラムを一般クラスでも行っていくという。

後藤 A★★ B★★ C★★
教員の30%がネイティブ・バイリンガル。「英語で学ぶ」環境が整っているといえる。入学時から英語で学習できる生徒のためのグローバル・リーディングコース(GLC)も設定されている。

矢野 A★★ B★ C★★
GLCとデュアルランゲージコースは国内のみならず海外大学をも視野に入れた教育を行っている。2022年度の海外大学への延べ合格者数は17人。これから増えてくる可能性がある。

■●かえつ有明 江東区

北 A★★★ B★★ C★★★
在籍する帰国生比率が4人に1人と首都圏でも屈指の高さ。共感的コミュニケーション・非暴力コミュニケーション・マインドフルネスも大切にしている。IBプログラムの哲学授業などもユニーク。

後藤 A★★ B★★ C★★
中学のクラスは帰国生と一般生の混合で、英語のクラスが3〜4つに分かれている。普通クラスのほか、英語上位クラスを英検2級と準1級で分けているのは珍しい。

矢野 A★★ B★ C★★
帰国生と机を並べて学習する環境があり、海外研修制度も充実。海外大学進学率は全体の5%と少数。これからどのように推移するか注目。

■●宝仙学園共学部理数インター 中野区

北 A★★ B★★ C★★
自他ともに認める「日本一多様な中学入試を導入している」ユニークな学校。中学入試に初めてプレゼンテーション型入試を導入した先駆的存在。国際化教育というよりも、「自主性教育」というべきか?

後藤 A★★ B★ C★★
中3で全員参加でシンガポール・マレーシアへ。思考力・表現力を培う教科「理数インター」で自分の将来を考え、選択肢として海外大学進学が出てくることも。難関大学進学者数も着実に増やしている。

矢野 A★★ B★ C★★
日本人教員とネイティブ教員がタッグを組んで英語4技能を丁寧に伸ばす教育には定評がある。ティームティーチングやプレゼンテーションの機会も多く設けている。

■●目白研心 新宿区

北 A★★ B★ C★★
女子校だった目白学園の時代から「英語の目白」という評価を受けてきたが、共学化してからはよりグローバル教育にシフト。中学入試でも、インタビュー型の英語入試のレベルは高い。

後藤 A★★ B★ C★★
中3のコース分けで、スーパーイングリッシュコースを選択できるのが特徴で、中1・2で英語を学ぶモチベーションとなる。高校進学の際に、あらためて志望に合わせた選択ができるのが魅力的。

矢野 A★★ B★ C★★
スーパーイングリッシュコースでは英語4技能を磨くプログラムを用意。海外大学への進学者はまだ少数ながら少しずつ増えている。

■●文化学園大学杉並 杉並区

北 A★★★ B★★ C★★★
日本で初めて「ダブルディプロマ(DD)」プログラムを導入。中学でもプレDD的な教育が受けられる。校内にはカナダからの校長・教員が常駐。英語の授業時間数はおそらく国内最多。

後藤 A★★★ B★★ C★★★
ここで培う「使える英語力」は国内難関大学にも有利に働くため、海外大学以外でも実績を伸ばしてくるかもしれない。

矢野 A★ B★ C★★
ダブルディプロマコースはネイティブ教員が丁寧に英語を指導し、日本とカナダ両方の高卒資格を取得できるのが特徴。海外大学への進学者は徐々に増加。

■●千代田国際 千代田区

北 A★★ B C★★
高校では、IBコースを含む5つのコースを持つ。大阪府立箕面高校で民間校長として海外大学合格者30人という成果を出した日野田直彦先生を校長に迎え、さらに飛躍を図っている。

後藤 A★ B C★★
日野田先生が校長に就任されて、「一緒に世界を救う『勇者』を探しております」とおっしゃっているので、どんな新しい教育をされるか楽しみ。期待度は高く、カリキュラムはこれからさらに強化されそう。

矢野 A★★ B C★★
英語4技能を鍛え、国際社会で通用する語学力育成に力を入れている。まだ少数ではあるが、海外大学への進学者も増えている。

■●武蔵野大学 西東京市

北 A★ B C★★
上記の千代田国際の系列。日野田直彦先生のノウハウやグローバル教育のプログラムをここでも導入した。今後ますます成果を伸ばす期待大。

後藤 A★★ B C★★
英語に限らず教科の枠を超えた活動が多く、そこで培った力は、課外活動の内容も評価の対象となる大学入試の学校推薦型選抜や総合型選抜へ良い影響を与えそう。

矢野 A★★ B C★★
中1から日本人教員とネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業を実施。PBLインターナショナルコースは国際系学部や海外大学を目指すためのプログラムが充実。少数ながら海外大学進学者も毎年輩出している。

■●ドルトン東京学園 調布市

北 A★★★ B C★★★
ニューヨークで生まれたドルトンプランの教育を行う日本初の中高一貫校。自由と自主を大切にする教育姿勢や、最先端の校舎をはじめとしたユニークな教育環境が人気。首都圏私学の注目校のひとつ。

後藤 A★★★ B C★★★
ドルトンプランのもと、学内施設も生徒の興味・関心を引き出すように設計されている。普段の授業からネイティブの先生が溶け込んでいる。入学後、英語は習熟度別に分けられる。

矢野 A★★ B C★★★
少人数体制の授業できめ細かく指導する。外国人教員と日本人教員によるティームティーチングにより高度な英語運用能力の育成を目指す。今後卒業生がどうなるかに注目。

■●サレジアン国際学園 北区

北 A★★ B C★★
伝統あるカトリック系女子校であった星美学園が共学化して校名変更。これまでの少人数で面倒見の良い教育から、一転して先鋭的な21世紀型教育を目指す期待校。

後藤 A★★ B C★★
インターナショナルクラスには英語で他教科を学ぶADVANCED GROUPがある。ケンブリッジ国際認定校でもあり、高度なプログラムで学ぶことができる。

矢野 A★★ B C★★
2022年度より共学化した。インターナショナルクラスでは国語以外の主要教科の授業をオールイングリッシュで行うプログラムを用意している。

■●芝国際 港区

北 A★★ B C★★★
2023年度から共学化、校名変更。まだ新たな教育プログラムの全体像は見えないが、期待値と話題性で注目されている学校。

後藤 A★★ B C★★★
新規校ながら、国際教育に長けた人材がつくりあげたカリキュラムで期待度は非常に高い。同じ校舎内にある、日本唯一のサイエンスインターナショナルスクールと提携も。

矢野 A★ B C★
2023年度はじめての入試では不手際が多く、今後の運営がどうなるか未知数である。

■●サレジアン国際学園世田谷 世田谷区

北 A★ B C★★
サレジアン国際学園と同じ経営母体の同系列校。世界の国々で教育活動に取り組むカトリック系の学校だけに、もともと国際性豊か。

後藤 A★★ B C★★
兄弟校とほぼ同じカリキュラムだが、インターナショナルクラスにはキャリア教育と連動したSAP(サレジアン・アカデミック・プログラム)があり、様々なテーマでプレゼンやディスカッションを行う。

矢野 A★★ B C★★★
アドバンストでは英数理社をオールイングリッシュで学ぶ環境を用意。海外研修も積極的に行っていく予定だそう。

■●羽田国際 大田区

矢野 A★ B C★★
2024年度より共学化、校名変更される学校であり、まだ中身が見えないのが正直なところ。臨海部の教育熱心な家庭に注目される存在となるか。

(プレジデントFamily編集部 文・構成=本誌編集部)

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