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転職エージェントから門前払いされた子持ち40歳女性が11年ぶりに正社員の職を得、部門長に登り詰めるまで

プレジデントオンライン / 2023年7月7日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

子持ち40歳からでも管理職を目指すことはできるのでしょうか。上場企業で管理職を18年継続しているいくみ@女性管理職&ブロガーさんは40歳で11年ぶりに正社員として就職、42歳で管理職になって以来、とんとん拍子で昇進。『女性管理職が悩んだ時に読む本』からそのキャリアの軌跡を紹介します――。

※本稿は、いくみ@女性管理職&ブロガー『女性管理職が悩んだ時に読む本』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。

■40歳で職探し

「どうせ仕事をするならば極めたい」「人と人を繋ぐコーディネーターの仕事が好きで、さらに上を目指していきたい」という思いが沸々と湧き上がってきました。次の仕事のアテなどありませんでしたが、思い切って退職。その頃から転職活動サポートの主流となりつつあった「転職エージェント」にいくつか登録をして正社員復帰への職探しをスタートしました。私は40歳、息子は9歳の時です。あるエージェントからはあからさまに「いくみさんにはご紹介できる案件がありません」とほぼ門前払い。子育て中40歳の転職活動とは厳しいものだと痛感させられました。ただ、結婚直前から英語の勉強をしていて息子が1歳の時受検したTOEICで750点を獲得していた私。別のエージェントに英文職歴書を提出していたら、担当のコンサルタントさんが興味を持ってくれて、なおかつ、私が直前まで経験していた「人材派遣コーディネーター」を活かせそうな求人がある……とアドバイスをもらったのです。その「求人」こそ、私が現在勤務している企業が出していたもの。

■11年ぶりの正社員復帰

当時の上司となる部長が面接してくれて、程なく内定を得た時は心底嬉しかった。29歳で最初の会社を退職した時から11年振りに正社員に復帰ができて、今度は嬉し涙が込み上げてきました。新たな勤務先は派遣会社ではありませんでしたが、たまたま派遣事業を新たに展開しようとしている部署に配属となりました。転職活動の時にエージェントが興味をもってくれた英語スキルを直接活かせる業務ではありませんでしたが、何かしら身に着けておくとそのことで注目してもらえるものだと実感。今では我が勤務先においてもグローバルのクライアントが増えつつあり、意外にもかつて学んでいた英語が役立っています。

■業績が伸び、42歳で管理職に

さて、久しぶりの正社員、しかも新たな職場にチャレンジすることはドキドキも多かったですが、前職から元々その分野が好きだったこともあって楽しくて仕方ありません。新規立ち上げ部署だったので、メンバー一丸となって作り上げながら業務に精励する日々です。しかも、さほど残業をせずに業務をこなせたことも助かりました。息子は学童保育に通い、学童が終わった後は、都内の勤務先から私が帰宅するまでの2時間ほどはいわゆる「鍵っ子」状態でしたが、当時、小学校から徒歩30秒の団地に住んでいて、ご近所さんもいろいろと助けてくれる環境に恵まれたのが幸いでした。そうして無我夢中でやってきて、ありがたいことに部署の業績もドンドン伸びて、部長から「いくみさん。管理職やってください」と言われた時には天にも昇る心地。入社3年目、42歳の時です。その部長は現在は転職されて残念ながら連絡を取ることも叶いませんが、採用面接の時から本当にお世話になりました。

上向きのグラフが黒板に溺れる
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■周りから疎まれても気にしない

ただ、周りの同僚からは「いくみさんが管理職だってさー! へぇーー」みたいに疎まれたりして。おそらく同僚たちからしたら、「いくみさんだけずるい」「自分も同じように頑張ってきたのに……」という思いがあったのでしょう。言われた時にはつい「すみません」と謝ったりしましたが(笑)、心の中ではさほど気にしていませんでした。ちょっとおこがましい言い方だったら申し訳ないのですが、人には1人ずつにそれぞれ与えられた使命がある。そんな想いを抱いていたからです。我が事業部はその後も順調に躍進を遂げましたが、部長が突然退職。気づくと「部長の椅子」が空いています。会社の人事ってこうした「繰り上げ当選」的なことも多くて、次点的なポジションにいた私が部長を拝命するに至ったのです。管理職となって6年後のことです。

■管理職11年で100名超の部下を持つまでに

さらにその5年後(管理職就任11年目)部門責任者がやはり異動することとなり、改めて社長に呼ばれました。「いくみさん。本部長よろしく」100名超の部下さんたちが活躍している事業部。その頂点に立つのだと思うと、やりがいはもちろんのこと、改めて気の引き締まる思いでいっぱいでした。前職から引き続き「人材ビジネス」に従事してきましたが、これからもずっと続けていこう。この事業を統括できることに心底感謝しました。

多くのビジネスの人々の抽象的なイメージ
写真=iStock.com/NanoStockk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NanoStockk

■順調な中で訪れた試練

いくみ@女性管理職&ブロガー『女性管理職が悩んだ時に読む本』(講談社現代新書)
いくみ@女性管理職&ブロガー『女性管理職が悩んだ時に読む本』(日本能率協会マネジメントセンター)

しかし。仕事の神様というのは、いつでも試練を与えてくる。本部長となって2年。相変わらず業績も順調でさらに飛躍していこうと気合を入れ直していた時に、社長が変わり、新社長から言われたことが「この事業をクローズすることにしました。部下さんたちは○○に異動してもらいます。いくみさんの次の業務は○○で頑張ってください」耳を疑いました。突きつけられた事実はもちろん翻すこともできません。断腸の思いで私を慕ってくれた部下さんたちとお別れしなければならない時は、辛すぎて立ち直れそうにありませんでした。またしても悔し涙が溢れてくる。でもなんとかするしかない。実を言うとその後も幾つかの部署を異動して何度か同様の経験をしてしまったのですが、会社員たるもの、異動はつきものですから仕方ありません。40歳で正社員に復帰して20年。この本を書いている2022年に満60歳となり、我が勤務先の就業規則に従って正社員定年となりましたが、再雇用で現在も勤務中です。待遇は契約社員に変化したものの、職位は引き続き管理職。いつまでこの状況を続けられるかは、我が勤務先と私との合意次第ですが、女性管理職18年にとどまらず、20年、25年、やり切れるところまで頑張ろうと思っています。

■私は企業人という立場がしっくりくる

「人生100年時代」と言われるようになってきて久しい昨今。会社員定年後は起業する知り合いもしばしば見かけるようになりましたが、私には企業人という立場がなぜかしっくりくる。言い換えると会社員が好きなのです。何よりも我が勤務先が目指している理念やビジョンに共感できることが多いのが、ここまで続けてきてこれからも続けていこうとする原動力になっています。そして、同じように会社員をやっている女性たちの応援をしたいと心から思うのです。

(いくみ@女性管理職&ブロガー)

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