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質問「なぜロシアは戦争を始めた?」「なぜモノの値段は上がる?」…ムムッと詰まった人が子供と読むべき13冊

プレジデントオンライン / 2023年7月7日 11時15分

NHKネットワーク報道部『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン なんで、せんそうおわらないの?』(青志社)

ロシアによるウクライナ侵攻、米中関係などの国際問題、物価上昇、憲法改正……。日々さまざまなニュースに接しているが、その核心を理解していないことも多い。国際地政学研究所上席研究員の奥山真司さんと、浦和大学社会学部准教授の林大介さんが小学生向けに挙げた13冊の社会事象の解説本は大人でも勉強になる内容になっている――。

※本稿は、『プレジデントFamily2023夏号』の一部を再編集したものです。

■国際情勢

NHKの解説委員が子供の素朴な疑問に答える

『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン なんで、せんそうおわらないの?』NHKネットワーク報道部:編 青志社

約1000人の小学生から集めた、ウクライナとロシアのニュースに関する疑問に、ロシアに駐在経験があったり紛争地帯を取材してきたりした経験豊かなNHKの解説委員が答える。

「『なぜ戦争をしているのか?』『ロシアは日本を攻めてくることはあるのか?』といった疑問に写真やイラストを交え、やさしく回答しています。戦争が遠い国の話ではなく、実際に身近なところで起きていることを実感します」(林さん、以下敬称略)

家族で冷戦時代のドイツの話をしよう

遠藤達哉『SPY×FAMILY』(集英社)
遠藤達哉『SPY×FAMILY』(集英社)

『SPY×FAMILY』遠藤達哉 集英社

アニメ化もされた、少年ジャンプ+で連載中の大人気漫画。スパイの男、殺し屋の女、超能力を持つ少女が疑似家族となり、日々のトラブルを乗り越えていくコメディー。

「舞台はオスタニア(東国)という架空の世界の話ですが、この国は冷戦時代の東ドイツをモデルにしているといわれています。子供たちは冷戦時代を知らないと思うので、親が実際にあった話をモデルにしていることを話してやるといいでしょう。モデルとなった時代はソ連とアメリカが対立する時代ですが、現代では中国とアメリカの対立が起きていて、漫画のようなスパイ活動が行われている可能性もあるわけです。この作品を題材に、今の世界情勢を話題にすると世界に目を向けるきっかけになります」(奥山さん、以下敬称略)

■地政学

シーパワー、ランドパワーって知っていますか?

奥山真司『サクッとわかる ビジネス教養地政学』(新星出版社)
奥山真司『サクッとわかる ビジネス教養地政学』(新星出版社)

『サクッとわかる ビジネス教養地政学』奥山真司:監修 新星出版社

奥山さんが監修し、1テーマを1つの見開きで解説した、国際問題のポイントがわかる地政学の本。

「地政学とは、地理的な特徴に注目した軍事戦略や外交を考えるものの見方。若手のビジネスパーソン向けに書いた本ですが、イラストや図をたくさん使い説明しているので、小学校高学年の子供にもおすすめです」(奥山)

なぜ紛争が起こるのか、ストーリー仕立てで解説

田中孝幸『13歳からの地政学』(東洋経済新報社)
田中孝幸『13歳からの地政学』(東洋経済新報社)

『13歳からの地政学』田中孝幸 東洋経済新報社

海外での取材経験豊富な現役の新聞記者が書いた、国際政治の本。

「ジャーナリストの観点から見た国際政治のリアルな話を知ることができます。大人が読んでも勉強になる内容ですが、本書は中高生のきょうだいが、ある不思議な店の店主と出会い、民族紛争や国際問題について7日間のレッスンを受ける構成になっており、子供でも読みやすく作られています」(奥山)

■憲法改正

日本国憲法って何が書いてある?

南野森『10歳から読める・わかるいちばんやさしい 日本国憲法』(東京書店)
南野森『10歳から読める・わかるいちばんやさしい 日本国憲法』(東京書店)

『10歳から読める・わかるいちばんやさしい 日本国憲法』南野森:監修 東京書店

日本国憲法を前文から振り仮名をつけて子供でも理解できるように口語訳し、解説した本。

「憲法は政府や公務員といった権力を持っている人が守らないといけないルールであることが、わかりやすく書いてあります。近年、憲法改正が話題ですが、将来、国民投票が行われることになるなら、いま小学生の子たちも投票に参加する可能性があります。憲法改正について賛成や反対の立場をとる前に、まずは日本国憲法にはどのようなことが書いてあるのか知っておいてほしいですね」(林)

■経済

お金の上手な使い方、へたな使い方がわかる

村上世彰『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)
村上世彰『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)

『いま君に伝えたいお金の話』村上世彰 幻冬舎

日本を代表する投資家の村上氏が子供向けに書いた本。お金は「人を幸せにする道具」だとして、その使い方や増やし方などをアドバイスしてくれる。

「物の値段が上がるのはどうしてなのかといった身近なことから、100万円の寄付を、1人から集めるのと200人から集めるのとではどういった違いがあるかなど、社会におけるお金の意味を知るのにいい本です。お金の話は生々しいと思うかもしれませんが、生きるうえで大切なこと。親が読んだうえで、子供に伝えたい部分を伝えるという読み方をしてもいいかもしれません」(林)

大人の必須知識を子供のうちから知っておこう

両@リベ大学長『本当の自由を手に入れるお金の大学』(朝日新聞出版)
両@リベ大学長『本当の自由を手に入れるお金の大学』(朝日新聞出版)

『本当の自由を手に入れるお金の大学』両@リベ大学長 朝日新聞出版

チャンネル登録者数230万人を超える人気ユーチューバーであり、IT経営者で投資家の両氏が書いた個人のお金に関する指南書。通信費、家の買い方、転職、副業、投資といったテーマを実践的にアドバイス。

「学校教育の中ではあまり扱われませんが、金融関係はニュースでも多く扱われる社会において大事なテーマの一つ。大人向けに現時点で役立つことが書かれている実践書なので、子供には難しい用語も多いかもしれませんが、図を使いわかりやすく書いており、現在のお金の仕組みを知るのに適しています。親子で読んだり、子供は気になったところだけを読んだりしてもいいでしょう」(奥山)

■法律

自分を守る法律を知っておこう

山崎聡一郎『こども六法』(弘文堂)
山崎聡一郎『こども六法』(弘文堂)

『こども六法』山崎聡一郎:著 伊藤ハムスター:イラスト 弘文堂

「いたずらは重い犯罪になる」「こどもにはやりなおすチャンスが与えられる」など、六法(日本国憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法)のうち商法を除き、少年法、いじめ防止対策推進法を加えて、子供に関係が深い法律についてイラストを交え解説した本。

「何をしたら法律違反かを丁寧に説明しています。逆にとらえれば、自分の生活を守るためのルールが書かれていて、法律を身近に感じるきっかけになります」(林)

■社会保障

修学支援金、給付金……心強い国の制度がある!

横山北斗『15歳からの社会保障人生のピンチに備えて知っておこう!』(日本評論社)
横山北斗『15歳からの社会保障人生のピンチに備えて知っておこう!』(日本評論社)

『15歳からの社会保障人生のピンチに備えて知っておこう!』横山北斗 日本評論社

突然の事故で障害を負ったり、生活費のことで困ったり……こうした場面で助けになるのが社会保障制度。10代の若者がトラブルに直面した際に役立つ社会保障制度を紹介した本。

「アルバイトができなくなり家賃が払えなくなった大学生の事例など、ストーリー仕立てで紹介しています。日本の社会保障は申請主義なので、申請すれば助けてもらえます。いつどんな困りごとがあるかわからないので、いざというとき活用できるように知っておいてほしいです」(林)

■選挙

民主主義の基本、選挙の投票を体験できる絵本

アンドレ・ホドリゲス、ラリッサ・ヒベイロ『どうぶつせんきょ』(ほるぷ出版)
アンドレ・ホドリゲス、ラリッサ・ヒベイロ『どうぶつせんきょ』(ほるぷ出版)

『どうぶつせんきょ』アンドレ・ホドリゲス、ラリッサ・ヒベイロ 木下眞穂:訳 ほるぷ出版

森のリーダーを決める選挙で、ライオン、サル、ヘビ、ナマケモノが立候補して、それぞれポスターを作ったりして選挙活動をする。その結果選ばれたのは……? ブラジルで出版された絵本の翻訳版。

「実際の選挙を動物の世界に置き換えている本で、低学年から読めます。自分だったらどの候補者に投票するか考えながら読んで、そこで考えたことを親子で話し合ってほしいです。家族でも違う意見があることを知ることもいい経験になります」(林)

■権利

いじめ、差別、虐待……子供が持っている世界標準の権利とは?

甲斐田万智子『きみがきみらしく生きるための子どもの権利』(KADOKAWA)
甲斐田万智子『きみがきみらしく生きるための子どもの権利』(KADOKAWA)

『きみがきみらしく生きるための子どもの権利』甲斐田万智子:監修 林ユミ:絵 KADOKAWA

2023年4月にこども家庭庁が発足し、こども基本法が施行されることもあり、注目されている子供の権利。子供ならだれもが持っている権利として、国連が作った「子どもの権利条約」の主な条項を解説している。

「子供の権利について、世界ではどのように考えられているのかわかりやすく書いてあります。海外の貧しい国の子供だけの話ではなくて、虐待や貧困、いじめや障害のある場合など日本の子にも守られるべき子供の権利があることを知ってほしいです」(林)

■フェイクニュース

ニセの情報に振り回されない、振り回さないために

下村健一『10代からの情報キャッチボール入門』(岩波書店)
下村健一『10代からの情報キャッチボール入門』(岩波書店)

『10代からの情報キャッチボール入門』下村健一 岩波書店

元TBSの報道局アナウンサーやフリーキャスターとして活躍した筆者が子供向けに書いたメディアリテラシーの本。フェイクニュースなど、正しくない情報を見極める方法が書いてある。

「この本の一節が小学校5年生の国語の教科書にも掲載されていて、息子が音読の宿題をしていたときにこの本に出合いました。本の中には、一面的な物の見方をしていることを実感する思考実験なども紹介されており、少し難易度は高いですが小学校高学年なら読めます。情報をそのままうのみにしないこと、また自分が情報を発信する側になったときに相手に正しく届いているかを考えることが大事だと感じるでしょう」(林)

■ブラック校則

どうしたら人を巻き込めるか? 戦略の指南書

鎌田華乃子『ヨノナカを変える5つのステップ マンガでわかるコミュニティ・オーガナイジング』(大月書店)
鎌田華乃子『ヨノナカを変える5つのステップ マンガでわかるコミュニティ・オーガナイジング』(大月書店)

『ヨノナカを変える5つのステップ マンガでわかるコミュニティ・オーガナイジング』鎌田華乃子:著 沢音千尋:漫画 大月書店

中2の女の子が仲間と校則を変えていくストーリーで、おかしいと思う規則や社会を変えるための手法「コミュニティ・オーガナイジング」を漫画で教えてくれる。

「もともとは大人向けに出版されていた本を子供用に漫画化した本。5つのステップでわかりやすく構成してあります。理不尽と思ったことがあったときの声のあげ方や、どこに働きかけたらいいのかがわかり、社会を変えていく力が子供にもあると知ることができる本です」(林)

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教える人
奥山 真司さん
国際地政学研究所上席研究員。青山学院大学などで講師を務める。専門は地政学、戦略研究。英国レディング大学大学院戦略学科で修士号・博士号取得。2児の父。
林 大介さん
浦和大学社会学部准教授。研究テーマは子どもの社会参画論や主権者教育など。著書に『「18歳選挙権」で社会はどう変わるか』などがある。3児の父。

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(プレジデントFamily)

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