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「60代でもセックスができる人」はどこが違うのか…女性医師が教える「肉体の若さ」ではない必須条件

プレジデントオンライン / 2023年7月17日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mykeyruna

何歳になっても性行為を楽しめる人と、まったく縁がない人はどこが違うのか。富永ペインクリニック院長の富永喜代さんは「熟年の恋愛は男らしさや経済力よりも、度量の広さで決まる。自分の度量を推し量るには、同年代の異性と15分間楽しく雑談できるかやってみるといい」という――。

※本稿は、富永喜代『女医が導く 60歳からのセックス』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

■なぜ「イタい中高年」になってしまうのか?

人生最高のセックスは、経験を重ねて深みを増した男女が、互いに思いやり、慈しみ合うことで訪れます。若い頃の性欲や勢いに任せたセックスと同じやり方では、到底たどりつけません。

ちなみに、性欲や勢い任せのセックスを中高年でも実践しようとすると、体力やコミュニケーションに無理が出てきて、多くの場合、「イタい中高年」になってしまいます。何事も年齢相応のやり方があり、それが自然の摂理でもあります。

ですから、熟年は年齢にふさわしい「熟年の愛の作法」を学ばなければなりません。50~60代は最高のセックスにもってこいの時期ですが、セックスが異性との深い人間関係の上に成り立つものである以上、失敗してしまうリスクも大きいのです。

ここから少し、社会性が欠けてしまった中高年の象徴的な事例をお話しします。社会性が欠ければ、セックスする相手など望むべくもありません。まずは、私の知り合いの女性医師の話です。

■「ベビーカーなんて邪魔だな」に返した一言

まだ幼い我が子をベビーカーに乗せて、都心のデパートへ買い物に出かけた彼女は、1階から上層階まで移動するためにエレベーターを利用しました。休日の昼下がりということもあり、エレベーター内はほぼ満員状態だったそうです。彼女もぐっすり寝ている我が子を起こさないように、周囲に配慮しながら、やっとの思いでベビーカーを押し、エレベーターに乗り込みました。

やがて途中の階で、ひとりの中年男性が乗り込んできました。その男性は、彼女とベビーカーを一瞥すると、すぐさま舌打ちし、「まったくベビーカーなんて邪魔だな。場所を取りやがって」と吐き捨てるように言い放ったといいます。

彼女は一瞬、頭が真っ白になったそうですが、そこはあらゆる医療現場をくぐり抜けてきた百戦錬磨の女性医師。その男性に向かって「これは“ベビー”カーなんです。小さい赤ちゃんが乗ってるんですよ、狭いならあなたが降りなさいよ!」とまなじりを決して反撃したのです。すると男性はたじろぎ、すぐさまエレベーターを降りていったとのこと。

■脚を組んでいる女性の脚を新聞紙で叩き始め…

昨今、「キレる中高年」「暴走する中高年」という言葉をメディアでも盛んに目にします。この話もその典型例といえるでしょう。しっかり者の知人は、理不尽な発言をされてもすぐさま言い返しましたが、少し気が弱い女性だったらどうでしょう。黙って下を向いてしまったり、自分からエレベーターを降りてしまうことも容易に想像できます。

小さな赤ちゃんは周囲から庇護(ひご)されるべき存在ですし、男性も年長者らしく、幼子を連れた母親を気遣うそぶりを見せるのが、年長者として求められる振る舞いです。

しかし、自分の意に沿わない事態(この場合は、乗ろうとしたエレベーターがほぼ満員だったこと)が起こると、男性は自分よりも年下で、ましてや子どもを連れた母親を罵倒(ばとう)するという正反対の行動に出ました。

また、女性医師の話とは別に、こんな動画が私のSNSに流れてきました。その動画の中では、電車内で脚を組んでいる若い女性の脚を、突然、年配の男性が手に持っていた新聞紙で叩き始めていました。たしかに狭い電車内で脚を組むのは迷惑ですが、見知らぬ相手を突然叩くという行為は、ちょっと考えられません。

■「おやじギャグ」は脳の認知機能が衰えている証拠

なぜ、その男性は口頭で注意するでもなく、いきなり叩くという暴挙に出てしまったのでしょう。このように感情的な言動に歯止めがかからないのは、加齢によって脳のブレーキ役となる前頭葉の働きが弱くなっている、つまり、脳の認知機能が衰えていることが一因と考えられます。

身近なところでは、いわゆる「おやじギャグ」も象徴的な例です。

おやじギャグは、中高年男性が口にする、時代や場の空気を読まない冗談やダジャレです。ときに、笑えないセクハラまがいのものも見受けられます。たとえば、髪や服装のイメージチェンジをした女性に「○○ちゃん、彼氏でもできた?」と言ったり、女性の腰つきを見て「丈夫な子どもが産めそうだね」と口にしたり、カラオケの歌声を聴いて「夜もいい声を出しそうだね」などと冗談のつもりで言う人も、驚くべきことに存在しています。

こうした冗談は若い頃はあまり耳にしませんが、中高年になるとおやじギャグを無意識に口にするようになってしまう。これも前頭葉の機能低下が原因のひとつと考えられます。

■距離感を見誤り、異性から縁遠くなってしまう

前頭葉は感情のコントロールを担う部分ですが、20代で発達のピークを迎え、年齢を重ねるとともに縮んでいきます。若い頃は「あ、これは今、言ったらまずいな」「これを言ったら、相手にどう思われるのだろうか?」などと、口にする前に自分でブレーキをかけられますが、前頭葉の衰えとともに、それが我慢できなくなるのです。つまり、思い浮かんだことを、そのまま口にしてしまうようになる。しかも、そのことに当人は気づけない。

先に例示した「○○ちゃん、彼氏でもできた?」という冗談は、気になる異性にちょっかいを出したくなる子ども同然です。こうしたちょっかいも大人になると、「彼女がイメチェンした理由は気になるけど、むやみに詮索(せんさく)するのも野暮だし」と考えるようになり、「いいですね、似合ってます」といったふうに褒めるようになります。

こうして互いの距離感をたしかめ合いながら、人は徐々に信頼関係を築いていくのですが、前頭葉の機能が低下すると、まるで赤ちゃん返りしたように、思ったことをそのまま口にするようになります。その結果、大して親密でない相手に距離感を見誤った冗談を投げかけ、どんどん異性から縁遠くなってしまうのです。

女性部下と話す男性上司
写真=iStock.com/TAGSTOCK1
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TAGSTOCK1

■「セックスに旺盛な人、無縁な人」の違いとは

ここまで中高年男性の言動についてさまざまなダメ出しをしてきましたが、セックスに旺盛な人とまったく縁のない人という「中高年の性の二極化」が起こっているのは、こうした「熟年の愛の作法」を知っているか知らないかが背景にあると考えています。

私は常日頃から物事をはっきり言うタイプですが、このような話をすると、「先生、そのくらいで勘弁しといてくださいよ~。男は繊細なんだから!」「男って、傷つきやすいんです」と、冗談交じりにたしなめられることもあります。

もちろん勘違いやすれ違いがあるのは、男性も女性もお互いさま。なにも男性が一方的に悪いわけではありません。

しかし、この「男は繊細だから」という言葉が実はクセモノで、口にするほどセックスから縁遠くなります。

今の中高年男性が子どもだった頃は、「男の子だから」「長男だから」という理由で、おかずが一品多かったり、お風呂に入る順番が先だった……など、日常生活のなかでなにかと男児が優遇されることが多かった時代です。

そんな小さな日常生活の積み重ねによって、次第に「男は立ててもらうべき」という意識が内面に培(つちか)われていきます。令和となった今もなお、この「男は立ててもらうべき」といった考えを持つ人は少なくありません。

■同世代の異性と15分間、楽しく雑談できますか?

女性がなにか意見をしようものなら「わきまえていない」と感じる人もおり、数年前にも大物政治家が「女性が意見をするから会議が長くなる」との旨の発言をして問題になりました。繊細なのは男性も女性も同じなのに、「男は繊細だから」という理由で相手の意見を封じてしまうのは、「黙って男を立てなさい」と言っているようなものです。これでは、男女の愛あるコミュニケーションが成り立ちません。

本当に大人の恋ができる人は、「あの人は繊細な人だから」と女性に言われることはあっても、自分から「オレは繊細だから」などとは決して言わないでしょう。誰しも繊細さや孤独、寂しさを抱えています。だからこそ、『賢者の贈り物』の寓話(ぐうわ)のように互いに思いやり、そんな二人が肌を重ねるからこそ、最高のセックスになるのです。

いきなり質問ですが、あなたは同世代の異性と15分間、楽しく雑談できますか?

そして今、性的な関わりを持っていない異性の友人が何人いるでしょうか?

中高年になると、家庭があったり、時間的余裕がなかったりで、異性の友人は意外と少なくなるものです。

特に女性は、年齢とともに“手強く”なっていきます。男性の仕事の愚痴やおやじギャグにも、若い女性ならば「すごいですね~」「知らなかった!」などと気をつかってくれるかもしれませんが、年齢を重ねた女性はクールに受け流してしまいます。

■異性の友人の数は、自分の度量を推し量るバロメーター

出産や子育て、なかには離婚や死別など、人生の修羅場をかいくぐってきた彼女たちにとって、「それはちょっと違うんじゃない?」と男性に反論することは、さほど難しくありません。

仕事や家事、育児、介護と、ただでさえ忙しい日常の中で、自分の貴重な時間を割いてまで愚痴や過去の武勇伝ばかり聞かされたら、誰しもうんざりしてしまいます。対話ができない相手とは、「茶飲み友達にすらなりたくない」。これは男女問わず、そうでしょう。逆に、熟年になっても「聞く耳」を持ち、対話ができる異性は貴重です。そうした人の周りには自然と人が集まり、異性とも良好な人間関係が築かれていきます。

富永喜代『女医が導く60歳からのセックス』(扶桑社新書)
富永喜代『女医が導く60歳からのセックス』(扶桑社新書)

つまり、中高年になっても、肉体関係や経済的なサポート抜きにあなたに会いたいと思う同世代の異性がいるということは、あなたにそれだけの人間的な魅力がある証拠。同世代の異性の友人は、自分の度量の広さを推し量るバロメーターともいえます。

もしかしたら、5年、10年と友人関係を続けるなかで、恋愛、セックスへと発展するタイミングがあるかもしれません。そんな夜は、途轍(とてつ)もなく燃え上がることは想像に難くありません。

逆に、手軽にセックスできる相手ばかりを探して、同世代の異性の友人が一人もいない、経済的なサポートや職場の上下関係ありきの付き合いしかない……そんな人は、まずは一人でもいいので、なんでも言い合える同世代の異性の友人をつくるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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富永 喜代(とみなが・きよ)
富永ペインクリニック院長
医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。全国から患者が集まり、のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。YouTube「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室」は開設1年で総再生回数3200万回再生、チャンネル登録者数17万人、TikTokフォロワー5.5万人。Facebook は年間1300万人にリーチする。著書に『女医が導く60歳からのセックス』(扶桑社新書)がある。

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(富永ペインクリニック院長 富永 喜代)

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