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焼肉は夜食べてはいけない…食べる量は減らさず時間帯を整えるだけで約10日で2kg減る人が増えている

プレジデントオンライン / 2023年7月19日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Flo

健康意識が高い人に最近注目されているのが「時間栄養学」だ。「何をどれだけ食べるか」という従来の栄養学に対し、「いつ食べるのがいいか」という時間的な視点を重視するもので、同じエネルギー量でも食べる時間を整えるだけでダイエットに成功するケースも多い。ジャーナリストの浅井秀樹さんが3人の専門家を取材した――。

■体重計に乗れば、約10日ですっきり2kg減

健康意識の高まりで食事に気をつかう人が増えているが、時間帯を意識した食生活の重要性はまだ広く知られていない。

発足10年の日本時間栄養学会は、「何をどれだけ食べるといいか」という従来の栄養学に対し、「いつ食べるのがいいか」という時間的な視点を重視する。専門家に話を聞いた。

「きちんとリズムを整える朝食をとることと、夕食は糖質を少なめにと指導しています」

こう話すのは、管理栄養士の古谷彰子・愛国学園短期大学准教授。古谷さんの指導を受けた人たちは、摂取するエネルギー量が同じでも、食べる時間を整えた食生活をするだけで、約10日で2kg近くやせる人が少なくないという。

古谷さんの指導を受けた女性Aさん(30代)は、産後になかなかやせられなかったが、10日間の実践で体重が1.7kg減って53.8kgになった。これまでは朝食を抜く日もあったが、朝と昼の時間帯に炭水化物をしっかりととり、夕食は鍋物を多くして、野菜を積極的にとるようにした。

たとえば、ある日の朝食はサーモンソテー、ベーコンのスクランブルエッグ、白米、納豆、ヨーグルト、コーヒー。Aさんは朝食のポイントとして、魚を中心にバランスを考え、ボリュームをもたせたという。

女性Bさん(代)も古谷さんに指導を受け、食事の時間を注意することで体重が3週間で1.5kg減って56.5kgになった。食べる量は以前と変化はなかった。

Bさんは仕事が不規則で、夕食が夜10時を過ぎることもあり、ファストフードが好きなこともあって、体重が20代に3~4kgも増えていた。そこで仕事を夜7時には切り上げ、11時に就寝すると、翌朝6時頃に起床できるように。そうすることで体重減だけでなく、体のむくみがとれて、肌荒れも改善したという。

ある日の朝食を聞くと、時短を意識して、もち麦ご飯にじゃこと大根おろしをかけて食べたという。とろろ昆布の味噌汁とアボカドも添えた。また、ある日の夕食は、腹持ちのいいチキン・ガーリックステーキと、いんげんの塩こしょう炒め。血糖値を下げないように、低脂肪でボリュームをもたせることを心がけた。

■朝食抜き&朝食はテキトーはNG…タンパク質摂取を

一般的に、朝の起床後は時間に追われ、朝食を簡単に済ませる一方で、労働や学業後の夕食に時間をかけ、しっかり、たっぷり食べる人が少なくない。しかし、時間栄養学の教える理想の食事はその逆だ。

人には体内時計があり、朝食は前日の夕食からの絶食を破るもので、体内時計をリセットする役割があるという。朝食に「バランスのいい食事をとってほしい」と話す古谷さんは、炭水化物を必ずとり、たんぱく質をしっかりとることが大切という。これらは脂質とともに、三大栄養素とされる。

炭水化物は米やパン、いも類などに多くあり、体内に吸収されてエネルギー源になる糖質が含まれている。たんぱく質は、肉や魚、卵や乳類、豆類に多くあり、体のなかでアミノ酸に分解されて吸収後、必要なたんぱく質に再合成される。

朝食をきちんと食べる子どもの学業成績がいいというデータが昔からあり、朝食の重要性はわかっていたと指摘するのは日本時間栄養学会副会長の大池秀明・農研機構上席研究員。ただ、その理由が長らく、わかっていなかったという。

大池さんによると、朝食の役割は、人が昼にかけて活動していくエネルギー源となる。一方、夜は人が活動のパフォーマンスを下げていくので、エネルギー消費が抑えられていき、脂肪が体に蓄えられていく。

朝食では、とりわけ「たんぱく質がかなり大事になる」(大池さん)。カロリーを確保するだけなら、炭水化物や脂質からもとれるが、体温を上げるのに必要なのは、たんぱく質になる。また体内時計は、たんぱく質と炭水化物で朝を認識するため、炭水化物も大切になるとも。大池さんは、朝食で「たんぱく質を多めにとってもらうことが健康にいい」とアドバイスする。

フライパンには2つの卵で目玉焼き
写真=iStock.com/denizya
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/denizya

一方、朝食を抜く人は筋肉量が少なくなりがちになる。前日の夕食からの絶食時間が長くなると、筋肉がどんどん分解され、やせてしまうという。これは好ましくないやせ方になる。筋肉は脂肪を燃やす働きがあるため、朝食抜きは肥満など生活習慣病のきっかけにもなりうる。

特に高齢者の場合は、筋肉量と朝食にとるたんぱく質の割合が比例しているとも。大池さんは「筋肉の観点から、夕食よりも朝食で、たんぱく質を多くとるのがいい」と話す。

たんぱく質が豊富な朝食となると、肉や魚などだが、朝から焼き肉などは食欲の問題もあるほか、料理するのに時間がかかり、早起きしないと難しいだろう。大池さんは、加工商品のハムやかまぼこ、卵などの上手な活用を勧める。

■朝食抜き習慣の人がするといいリハビリ食

同じく日本時間栄養学会副会長の永井成美・兵庫県立大学教授も「朝食は午後からの活力にも重要」と強調する。人が排出する二酸化炭素などから測定した「体熱産生の1日のリズム」のグラフを見ると、朝食を食べて体熱を産生し、午後を元気に過ごし、活動することができる。逆に、朝食を抜くと、この体熱産生が低調になってしまい、活動のパフォーマンスが悪いまま、1日が終わってしまう。

永井さんによると、朝食を抜く日が続くと消化器の予知活動が弱まり、空腹も感じにくくなって欠食が習慣化してしまう。こうした朝の食欲不振や胃の動きを改善するには2、3週間くらいかかるが、最初は水分からでいいので毎朝、口にすることが大事になるという。

永井さんは、朝食にスープやみそ汁を飲んでみて、少しずつ食べてみるようにとアドバイスする。いきなり固形物を食べるのは抵抗があっても、水や汁物から口に入れていき、食事につなげていくリハビリだ。

■夕食は食べる時間帯を早くするのがポイント

朝食の重要性はわかったが、夕食はどうすればいいのだろうか。「夕食は食べ過ぎないほうがいい」と前出の古谷さんは話し、食べる時間帯を早めにすることを勧める。脂質は分解されにくく、たとえば焼き肉を夕食にとると、昼食よりも胃もたれしやすいのはこのためだ。天ぷらやポテトチップスなどの油ものは昼ごろまでにとるのがいいとも。

さらに古谷さんは、夜に炭水化物をとるなら穀類よりも、いも類を勧める。穀類などに含まれる地上でんぷんは粒子が小さく、血糖値がすぐ上がるのに対し、いも類などに含まれる地下でんぷんは粒子が大きく、血糖値がゆっくり上がるため。血糖値の急上昇、急下降は、動脈硬化のリスクが高まるとされる。また、遅い時間の夕食は血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇しやすいことがわかっている。

夕食では「たとえば、さつまいもの味噌汁で炭水化物をとることができる。そうすれば、ご飯はいらない」(古谷さん)

前出・大池さんも「夕食は食べる量より、食べる時間帯が問題。遅いほどメタボになるリスクが高くなる」と話す。特に、脂質は分解に時間がかかり、余った脂質は中性脂肪として体内に蓄えられ、多くとり過ぎると肥満になる。

肥満は万病のもととされる。前日の夕食から、翌日の朝食まで、12時間くらいの絶食時間をつくるのがいいという。夕食が高脂肪、高たんぱく質のものになると悪影響が出やすく、「食べるなら早い時間に」とアドバイスする。

たとえば、焼き肉を夕食に食べたいのであれば、早めの時間帯に食べ始めて、早めに切り上げるのがいい。そうすることで「悪影響はかなり小さくなる」(大池さん)。

焼肉
写真=iStock.com/JackJack1965
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JackJack1965

■夕食が遅くなる人は夕方にちょい食べで「分食」

仕事などで人それぞれの事情があり、夕食が遅くなる人はいる。そんな人は、どんな食事ならいいのだろうか。

前出・永井さんは消化のいいものにするようアドバイスする。たとえば、主食は、おかゆ、麺類、雑炊などにして、おかずは、鍋物・煮物など温かい料理が良く、肉は脂身の少ないものを選ぶといい。豆腐や魚もおすすめだ。鍋物の具材やサラダでしっかりと野菜やきのこ類を食べ、野菜が少ないときは果物をそえるといいとも。

夕食が遅くなる場合、永井さんは「分食」もいいと勧める。たとえば、夕方5時くらいにいったん食べておき、その後の夕食を軽めにする方法だ。後の方を軽めにするのがポイント。永井さんは、それぞれの人のライフスタイルに合わせ、個々人に合う時間栄養学を提唱している。

遅い時間帯の夕食時に避けたいのが、カフェインが多く含まれるコーヒーなどのほか、消化に時間のかかる天ぷらやポテトチップスといった揚げ物、さらに交感神経を興奮させてしまうキムチなどの辛いものや炭酸飲料などだ。これらは、覚醒作用が強く働いてしまい、安眠の妨げになりがちになる。

エビの天ぷら
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

以上、朝食と夕食を中心にした話だが、昼食に関してはどうか。

■平日も休日も同じ規則正しい時間帯に食事をとること

ビジネスパーソンなどは外食で済ますケースが多く、野菜などに含まれるカリウムが不足しがちになる。古谷さんは、サラダをとる工夫をしてほしいとアドバイスする。カリウムは、細胞外液のナトリウムと作用して細胞の浸透圧を維持し、水分を保持する役割があるとされる。

古谷さんは「習慣は1週間で変えられます」とも話し、1週間続けられると、その後も続けてみようとなるという。

時間栄養学からは、朝型の生活が理想となり、仕事や学業の生産性も高くなるとされる。しかし、人によっては残業など仕事の都合もあり、誰もが実践できるわけでない。朝型の生活を強要すると、どこかにひずみが出てくることもある。

「次善の策として、規則正しく生活するのは誰にもメリットがある」(大池さん)。食事は毎日、規則正しく同じ時間帯にとることが大切になる。

ありがちなのが、平日は勤勉にばりばりと働き、食事を規則正しくとっていても、週末は休日モードで、昼まで寝ているという生活パターンになる人だ。これは良くないという。平日も休日も同じく、規則正しい時間帯に食事をとることが大切。そういう人は、仕事や学業の「パフォーマンスが高い」(大池さん)。

時間栄養学から、さまざまなことがわかってきている。時間帯を意識した食生活を心がけ、健康で元気に過ごしたい。

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浅井 秀樹(あさい・ひでき)
フリーライター
金融・経済系の国内出版社や海外通信社などの報道現場で数十年にわたり取材・執筆。数年所属した『週刊朝日』が2023年5月末で休刊し、フリーとなる。金融・経済のほか、政治や社会・福祉などの分野でニュースや社会的課題、新潮流などを紹介する記事を手がける。

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(フリーライター 浅井 秀樹)

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