1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

学園祭の「たこ焼き屋出店」のToDoが一瞬で出る…経営コンサルが勧めるChatGPTでビジネスの売上を高める方法

プレジデントオンライン / 2023年7月22日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GI15702993

ChatGPTはビジネスでどこまで活用できるのか。経営コンサルタントの矢内東紀さんは「ChatGPTは市場のトレンドや競合他社の分析のみならず、自動タスク管理の補助までできる。例えば学園祭のたこ焼き出店の計画や振り返りに活用すれば、効果的かつ計画的なビジネス実現に役立つ」という――。

※本稿は、矢内東紀『ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■SWOT分析やカスタマーセグメントの特定もできる

本稿では、ChatGPTをビジネス戦略や意思決定の支援、自動タスク管理に活用する方法をピックアップしました。順に見ていきましょう。

①ビジネス戦略や意思決定の支援

ChatGPTは、ビジネス戦略や意思決定の補助に役立つ情報を提供することができます。以下に、具体例をいくつか示します。

市場分析
ChatGPTは、市場のトレンドや競合他社の分析を行う際に役立ちます。例えば、特定の業界における競合他社の主要な製品やサービス、市場シェア、強みと弱みに関する情報を提供することができます。

SWOT分析のサポート
SWOT分析とは現状の企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を洗い出す分析手法でChatGPTはそのサポートに使えます。これにより、企業は自社のポジションを正確に把握し、適切な戦略を策定することができます。

カスタマーセグメンテーション
顧客のニーズや行動に基づいてカスタマーセグメントを特定する際にも役立ちます。これにより、企業はターゲット市場に合わせた製品やサービスの開発、マーケティング戦略を策定することができます。

製品開発のアイデア
新しい製品やサービスのアイデアを生成するのに役立ちます。これにより、企業は革新的な製品開発を促進し、市場での競争力を向上させることができます。

クリエイティブなマーケティング戦略
ChatGPTを使用して、企業は独自のマーケティング戦略やキャンペーンのアイデアを生成することができます。これにより、ブランドの認知度を高め、顧客獲得やリピートビジネスを促進することができます。

リスク管理
潜在的なリスクや問題を特定し、対処策を提案するのに役立ちます。これにより、企業は事業のリスクを適切に管理し、効果的な意思決定を行うことができます。

コスト削減と効率化の提案
企業のオペレーションやプロセスにおいて、コスト削減や効率化の機会を特定するのに役立ちます。これにより、企業はコストを最適化し、利益率を向上させることができます。

人事戦略と組織構造
適切な人事戦略や組織構造の検討をサポートします。企業は効率的なチーム構成、役割分担、スキルセットの特定、リーダーシップ開発などの分野で適切な意思決定を行うことができます。

業務改善提案
企業の業務プロセスを改善するための提案を生成することができます。これにより、業務効率を向上させ、従業員の生産性を高めることができます。

データ分析とインサイト
企業が収集したデータを分析し、意味のあるインサイト(これまで気づかなかった重要な情報や視点のこと)を提供するのに役立ちます。これにより、企業はデータに基づいた意思決定を行い、事業成長を促進することができます。

■ChatGPTの学習量が十分でない会社や業界は要注意

これらの具体例からわかるように、ChatGPTはビジネス戦略や意思決定の補助に大きな価値を提供します。企業は、ChatGPTを活用することで、効率的で効果的な意思決定を行い、競争力を向上させることができます。

ただし、ChatGPTの学習量が十分でない会社や業界についての個別の分析や戦略立案は、学習量が十分な有名企業などと比較して、回答の精度が落ちることがあります。例えば「○○についてSWOT分析をしてください」という質問を入力した場合、マイクロソフトと実業之日本社では、得られる回答の精度に差があります(最後に実際の回答を載せます)。

それらを解消するためには、プロンプトをより工夫する必要があります。業界や企業に関する情報をできるだけ詳細に入力することで、ChatGPTが適切な回答や提案をしやすくなります。

最終的にはChatGPTの回答はあくまで一つの参考であり、チーム内での話し合いや他の情報源を吟味して判断することが大切です。

■多くの中小出版社に当てはまる納得の回答

質問例1
実業之日本社という日本の中小出版社についてSWOT分析を行ってください。

実業之日本社は、日本の出版社であり、多くの書籍や雑誌を出版していることで知られています。以下に、実業之日本社に関するSWOT分析を行います。

【強み(Strengths)】

1.歴史と経験
実業之日本社は、創業以来100年以上の歴史があり、出版業界での豊富な経験を持っています。

2.多様なジャンル
同社は、文学、歴史、ビジネス、ライフスタイルなど、幅広いジャンルの書籍や雑誌を出版しており、多様な読者層に訴求できる強みがあります。

3.定評のある著者とのコラボレーション
実業之日本社は、著名な作家や専門家とのコラボレーションによって、品質の高いコンテンツを提供しています。

4.地域密着型の出版
地域に根ざした出版物やイベントを展開することで、地域コミュニティとの関係を深めています。

【弱み(Weaknesses)】

1.デジタル戦略の遅れ
電子書籍やオンラインコンテンツへの対応が遅れている可能性があり、市場シェアの獲得が難しくなっているかもしれません。

2.競合他社との差別化
出版業界は競争が激しく、他社との差別化が難しい場面があることが弱みとなる場合があります。

3.経済状況への影響
出版業界は、経済状況や消費者の支出に大きく左右されるため、不況時には業績が低迷するリスクがあります。

【機会(Opportunities)】

1.デジタル市場への参入
電子書籍やオンラインコンテンツの市場は拡大しており、積極的なデジタル戦略によって新たな収益源を開拓できるチャンスがあります。

2.海外市場の開拓
海外の読者に向けた翻訳版やコラボレーションによって、新たな市場を開拓することが可能です。

3.エコフレンドリーな取り組み
環境に配慮した出版物の開発やリサイクル、持続可能な資源の使用など、環境にやさしい取り組みを行うことで、企業イメージの向上や新たな顧客層の獲得が可能です。

4.オンデマンド出版
印刷や在庫コストを削減できるオンデマンド出版に積極的に取り組むことで、効率的な運営が可能になります。

【脅威(Threats)】

1.競合他社との競争
出版業界は競争が激しく、新規参入や他社との競争によるマーケットシェアの低下が懸念されます。

2.電子書籍やオンラインコンテンツの普及
電子書籍やオンラインコンテンツの普及に伴い、紙媒体の需要が減少する可能性があります。

3.著作権侵害
インターネットの普及により、著作権侵害が増加し、収益の減少や企業イメージの悪化が懸念されます。

4.経済状況の変動
経済状況の変動により、消費者の支出が減少し、出版物の売上が低迷するリスクがあります。

以上のSWOT分析を通して、実業之日本社は歴史と経験を活かし、多様なジャンルの出版物を提供していますが、デジタル戦略の遅れや競合他社との差別化が課題となっていることがわかります。機会としては、デジタル市場への参入や海外市場の開拓が挙げられますが、競合他社との競争や電子書籍の普及などの脅威も考慮する必要があります。

以上妥当な回答にはなっていますが、やはり学習量が少ないこと、またその回答の背景にある情報が「出版業界全般」であることが推測され、多くの中小出版社に当てはまる内容の分析結果になっているといえるでしょう。ただし大半が正論であり、頷く業界関係者は多そうではあります。一方、地域密着型の出版社という点は「?」となりました。

iPadと平積みのペーパーバックの本
写真=iStock.com/221A
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/221A

■公開情報が多いと分析も深くなる

質問例2
マイクロソフトについてSWOT分析を行ってください。

マイクロソフトは、世界的なテクノロジー企業であり、オペレーティングシステム、ソフトウェア、クラウドサービスなど幅広い製品・サービスを提供しています。以下に、マイクロソフトに関するSWOT分析を行います。

【強み(Strengths)】

1.ブランド力
マイクロソフトは、世界的に有名なブランドであり、その名前が高い信頼性や品質を保証することが強みです。

2.Windows OSのシェア
Windowsは、世界中で広く使われるオペレーティングシステムであり、高い市場シェアを維持しています。

3.製品・サービスの多様性
オフィスソフトウェア(Microsoft Office)、クラウドサービス(Azure)、ゲーム機(Xbox)など、多様な製品・サービスが展開されています。

4.研究開発への投資
一貫して研究開発に多額の投資を行っており、新技術や製品開発において競争力があります。

【弱み(Weaknesses)】

1.オペレーティングシステムの依存
マイクロソフトの収益は、Windows OSに大きく依存しており、これが収益源の多様化を阻害する要因となっています。

2.モバイル市場での低いシェア
スマートフォンOSの市場では、AndroidやiOSが圧倒的なシェアを持っており、マイクロソフトのシェアが低い状況です。

3.一部製品の市場での失敗
例えば、Windows PhoneやSurface RTなど、一部の製品が市場で成功を収められず、ブランドイメージに影響を与えています。

【機会(Opportunities)】

1.クラウド市場の拡大
クラウドコンピューティング市場は急速に成長しており、Azureを展開することで新たなビジネスチャンスがあります。

2.AIやIoTの開発
人工知能やインターネット・オブ・シングス(IoT)の分野での研究開発が進められており、これらの技術を活用した新製品やサービスが展開できます。

3.強化されたパートナーシップ
他企業との提携や協業を強化することで、新たな市場や技術へのアクセスが可能になります。例えば、LinkedInの買収やSamsungとのパートナーシップなどが挙げられます。

4.エコシステムの構築
デバイス、ソフトウェア、クラウドサービスを一体化したエコシステムを構築し、顧客に対して総合的なソリューションを提供することができます。

【脅威(Threats)】

1.競合他社との競争
Google、Apple、Amazonなど、競合他社との競争が激しく、新たな製品やサービスで優位に立つことが難しい状況があります。

2.テクノロジーの急速な進化
IT業界は急速に進化しており、新技術の開発や適応が遅れると市場シェアの低下や競争力の喪失が懸念されます。

3.規制や法律の変更
個人情報保護法や独占禁止法など、規制や法律の変更がビジネスに影響を与えるリスクがあります。

4.サイバーセキュリティの脅威
サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクが増加しており、これらの問題に対処することが重要となっています。

以上のSWOT分析を通して、マイクロソフトは強力なブランド力や製品・サービスの多様性を持ちながらも、競合他社との競争やテクノロジーの急速な進化に対応することが課題となっています。クラウド市場の拡大やAI・IoT技術を活用した新製品・サービスの開発が機会となりますが、競争や規制の変更などの脅威も考慮する必要があります。

すでにオープンなっている情報をもとにした分析結果になっていますが、公開情報が多い分、実業之日本社の分析と比べれば深いものになっているといえます。本格的な分析を行おうと思えば一般に公開できない機密情報などの入力も想定されますが、それに関しては情報漏洩の懸念などもあるため、利用には慎重になったほうがいいでしょう。

■タスクリストと締め切りを提供し優先順位を決定

②自動タスク管理

ChatGPTを用いた自動タスク管理の補助には、タスクのリスト作成、優先順位の設定、進捗(しんちょく)管理、期限の設定などが含まれます。

タスクリスト作成
ChatGPTを使って、プロジェクトや個人のタスクリストを作成することができます。例えば、「新しいウェブサイト開発プロジェクトのタスクリストを作成してください」と入力すると、ChatGPTはウェブサイト開発に関連するタスクを提案してくれます。

黒板に書かれた作業リスト
写真=iStock.com/marrio31
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/marrio31

優先順位の設定
タスクの優先順位を設定する際にも、ChatGPTが役立ちます。タスクリストと締め切りを提供することで、「これらのタスクの優先順位を設定してください」と入力すると、締め切りや重要度に基づいて優先順位を提案してくれます。

進捗管理
プロジェクトの進捗状況を把握するために、ChatGPTに進捗報告を入力して、「このプロジェクトの進捗状況を分析してください」と尋ねることができます。ChatGPTは進歩の遅れや問題点を特定し、解決策を提案してくれます。

期限の設定
タスクに適切な期限を設定する手助けをします。例えば、「これらのタスクに期限を設定してください」と入力し、タスクの詳細と期待される完了時間を提供すると、各タスクに対して適切な期限を提案してくれます。

タスクの割り当て
チーム内でのタスク割り当てを支援します。例えば、「チームメンバーAはデザイナー、Bはライター、Cはマーケティング担当です。以下のタスクを適切に割り当ててください:1.ロゴデザイン、2.コンテンツ作成、3.マーケティング戦略立案」と入力することで、チームメンバーのスキルセットに基づいてタスクを割り当てる提案を行います。

これらの具体例は、ChatGPTを使ってタスク管理を効果的に補助する方法を示しています。以下は自動タスク管理をさらに具体的かつ効果的に行うための方法です。

期間ごとのタスクスケジュールの作成
ChatGPTは、週や月ごとのタスクスケジュールの作成を支援します。例えば、「今週のタスクスケジュールを作成してください」と入力し、現在のタスクリストや期限を提供することで、その期間内に完了すべきタスクを適切にスケジュールして提案してくれます。

タスクのリマインダーとフォローアップ
タスクのリマインダーやフォローアップを行う助けとなります。定期的にタスクの状況をチェックし、「このタスクは期限が迫っていますが、進捗はどうですか?」などのリマインダーを送ることができます。また、完了したタスクの報告や、次に取り組むべきタスクへの移行をサポートします。

矢内東紀『ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方』(実業之日本社)
矢内東紀『ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方』(実業之日本社)

タスクの見直しと評価
プロジェクトが完了した際に、ChatGPTはタスクの見直しや評価を支援します。プロジェクトの全体的なパフォーマンスや各タスクの達成度を分析し、「プロジェクトの成功要因と改善点を特定してください」と入力することで、有益なフィードバックや改善策を提案してくれます。

これらの具体例を通じて、ChatGPTは自動タスク管理の補助に幅広く活用できます。ただし、AIの提案は参考として利用し、最終的な意思決定は人間が行うことが重要です。適切な使い方を心がけることで、タスク管理の効率化や生産性向上に貢献することができます。

■計画的かつ効果的な「たこ焼き屋出店」の助けにも

質問例
今日は2023年4月4日です。4月15日に学園祭でたこ焼き屋を出店したいと思います。スケジュールをWBS法で教えてください。

学園祭のたこ焼き屋出店に向けてのWBS(Work Breakdown Structure)法によるスケジュールは以下のようになります。

【企画立案(2023年4月4日〜2023年4月6日)】

1.1.出店目的の明確化
1.2.予算決定
1.3.メニュー決定
1.4.販売価格設定

【許可・手続き(2023年4月6日〜2023年4月10日)】

2.1.学園祭実行委員会への出店申請
2.2.出店場所の確定
2.3.衛生管理に関するルール確認

【準備(2023年4月10日〜2023年4月14日)】

3.1.材料調達
3.1.1.たこ焼きの具材調達
3.1.2.調味料・容器等の調達

3.2.機材調達
3.2.1.たこ焼き器の手配
3.2.2.調理器具・食器の手配

3.3.スタッフ調整
3.3.1.メンバーのシフト作成
3.3.2.役割分担の決定

3.4.ブースデザイン・設営
3.4.1.ブースのレイアウト決定
3.4.2.看板・ポスター作成

3.5.練習・リハーサル
3.5.1.たこ焼きの調理練習
3.5.2.スタッフの役割練習

【学園祭当日(2023年4月15日)】

4.1.設営
4.1.1.ブース設営
4.1.2.たこ焼き器設置

4.2.販売
4.2.1.たこ焼き調理
4.2.2.接客・販売

4.3.撤収
4.3.1.機材・道具の片付け
4.3.2.ブース撤収

このスケジュールを参考に、計画的にたこ焼き屋の出店準備を進めてください。各タスクの期間は状況によって変わることがありますので、適宜調整してください。また、万が一のトラブルに備えて、余裕を持ったスケジュール作成を心がけましょう。

【振り返り・評価(2023年4月16日〜2023年4月18日)】

5.1.売上集計
5.1.1.売上の集計・分析
5.1.2.利益・損益の計算

5.2.メンバーのフィードバック収集
5.2.1.個別のフィードバック収集
5.2.2.チーム全体の意見交換

5.3.成功点・課題点の洗い出し
5.3.1.良かった点の把握
5.3.2.改善が必要な点の特定

5.4.次回に活かすためのアクションプラン作成
5.4.1.具体的な改善策の策定
5.4.2.次回のイベントへの持ち越し項目の確認

学園祭が終わった後も、振り返りと評価を行うことで、次回のイベントに活かすことができます。このスケジュールを参考に、計画的かつ効果的なたこ焼き屋出店を目指してください。

----------

矢内 東紀(やうち・はるき)
作家、経営コンサルタント
別称えらいてんちょう。1990年生まれ。慶応大学経済学部卒。現在は作家、経営コンサルタント、ユーチューバー、投資家など幅広い分野で活動中。著書『しょぼい起業で生きていく』(イースト・プレス)がベストセラーに。その他『しょぼ婚のすすめ 恋人と結婚してはいけません!』『ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】』『静止力 地元の名士になりなさい』『「NHKから国民を守る党」の研究』(いずれもKKベストセラーズ)、内田樹との共著『しょぼい生活革命』(晶文社)がある。

----------

(作家、経営コンサルタント 矢内 東紀)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください