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これなら小学生でも「投資」がわかる…税理士が提唱する「24時間を4色の円グラフにする」という説明方法

プレジデントオンライン / 2023年7月26日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/simon2579

子供に「投資って何?」に聞かれたとき、どう答えるのが正解なのか。新刊『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』(KADOKAWA刊、監修:大河内薫、ポノス株式会社)の内容を、一部再編集してお届けしよう――。

■教育科目に「お金」がない

そもそも、なぜ子どもにマネーリテラシーを持たせなければならないのでしょう? 厳しい言い方をすれば、今の大人たちが「投資とは何か」「円高・円安とはどういうことか」など、お金にまつわる基本的な概念を理解していないがゆえに、日本社会全体が苦しんでいるからです。

僕は30歳を超えてもお金のことを何も知りませんでした。税理士になってからも、お金のことがよくわかっていない人をたくさん見てきました。どうしてみんなこんなにもマネーリテラシーが低いんだろうと考えて、それは教育に「お金」の科目がないからだと思い至りました。

日本語を毎日使うから国語を勉強する。

数字を毎日使うから算数を勉強する。

それなのに、毎日使うお金のことを学ぶ機会はありません。

賃金は伸びず、銀行にお金を預けていてもお金が増えないどころか、各種手数料でむしろマイナスになってしまう時代、貯金だけで大切なお金を守り切ることは不可能です。こんな時代だから、お金のことをちゃんと勉強しておかなければなりません。

大人ももちろんそうですが、これから社会に出る子どもたちには特に、マネーリテラシーを身につけてもらいたい。そのためには、お金の話に拒否反応を起こさないよう、子どものうちから何となくでも触れていくことが大事です。

たとえば「投資」なら、用語そのものを説明できるようになるというよりは、ざっくりとしたイメージをつかみ、「自分にも無縁のものではない」という意識を持ってもらうことを目指してほしいと思います。

■「お気に入りのペンケース」だって立派な投資

では、投資とは何なのか。いざ説明しようとすると戸惑ってしまう方もいらっしゃるかと思うのですが、子どもたちに向けて投資を簡単に説明するならば、「お金を支払ったことにより、未来で得をすること」です。

投資というとまずは株を連想する人が多いと思いますが、投資の対象は必ずしも株のような金融商品だけではありません。少し極端な例ですが、子どもの場合でたとえていうと「お気に入りのペンケース」だって立派な投資になりえます。それを買ったことにより勉強に向かう気持ちが高まって、結果的に勉強時間が増える子もいるでしょう。

「そうは言っても、うちの子、本当に理解できるかな……」と思われた方、心配いりません。実は、投資の概念を子どもに一発で理解してもらう簡単な方法があるのです。

■「お金」を「時間」に置き換えて考える

その方法とは「1日の時間の使い方を『投資』『消費』『浪費』『寄付』に分類する」というものです。

「今、お金の話をしてなかったっけ?」と思われた皆さん、はい、お金の話です。この「『お金』を『時間』に置き換えて考える」というのが、このワークのポイントなのです。

お金を使う経験が少ない小学生でも、時間は毎日自然と使っていますよね。そして、その使い道に「投資」や「消費」や「浪費」があるのはお金と同じ。ですから、まずは時間に置き換えて考えることで、投資の概念が子どもにも身近になるのです。

■1日24時間の行動を円グラフで書き出してみる

やり方は以下の通りです。

① 円グラフを使って、1日24時間の行動を書き出す
② 以下のルールに従って、円グラフを色分けする
・食事や睡眠、友だちと遊ぶなど、生活に必須の時間 →
・勉強、習い事、読書など、頭や心の栄養になる時間 →
・ヒマだから動画を見るなど、ダラダラ過ごしている時間 →
・お手伝いなど、ほかの人のために使う時間 →

まずは図表1のように、お子さんの普段の1日24時間の行動を円グラフで表してみましょう。

【図表】1日24時間の行動を円グラフで表してみよう
「お金」を「時間」に置き換えて考えると、子どもでも投資の概念が理解しやすくなる(出典=『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』)

グラフができたら、4つの色を使って塗り分けます。友だちと遊ぶことは小学生の日常のひとコマなので青にしますが、勉強もせず遊んでばかりなら紫にもなりますし、ダンスが大好きな子がダンスの大会の動画を見てカッコいいダンスの研究をするなら、その時間は赤にもなり得るでしょう。

こうして24時間を色分けし終えたら、この色分けの意味について説明します。

 消費:生活に絶対に必要な時間。つまり、削れないもの
 投資:未来の自分にいいことがあるように使う時間
 浪費:特に目的もなく、何となく過ごす時間。または、ストレス発散など。
 寄付:誰かほかの人のために使う時間

そして、この「消費」「投資」「浪費」「寄付」は時間だけでなく、お金についてもそのまま当てはまることを話します。たとえば晩ごはんのカレーライスの材料費は「消費」、通っているスイミングスクールの月謝は「投資」、スーパーで必要以上に買い過ぎてしまったお菓子代なら「浪費」です。

■「投資」するのはお金だけではない

このように、未来の自分にいいことがあるように使うお金を「投資」と呼ぶわけですが、実はそれだけではなく、子どもたちには、時間やエネルギーも「投資」できるということを知ってほしいと思います。

自分の持っている時間やエネルギーを、今目の前にある楽しみや満足のために使っておしまいにするのではなく、未来の自分のために使うのも「投資」なのです。

こう聞くと難しそうに思えてしまうかもしれませんが、先ほどのワークの通り、小学生でも時間の投資は生活の中で誰もが自然に行っています。将来お医者さんになるために、今は算数の勉強を頑張るというのも立派な投資ですし、いかにもお勉強的なことでなくても、近所の公園で虫をつかまえて観察するなど、自分の大好きなことに夢中になる時間も投資だと言うことができます。

これらに共通するのは、すぐに何らかの効果が表れるわけではないけれど、最終的により大きな「いいこと」を期待できるという点です。続けていくうちにできることが増えたり、目標を達成できたり、心身によい影響があったりするわけです。

お子さんには「お金も時間も、なるべく『投資』に使えるとかっこいいよね」などと声かけしていただくとよいのではないかと思います。未来のためにお金や時間を使う感覚をつかんでもらえるといいですね。

■小学生でもできる「100円投資」

発展として、実践で投資を理解する方法もあります。

「えっ、小学生で投資?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実はほとんどの証券会社では、保護者と一緒に手続きをすることで、子どもでも未成年口座を作って株の取引をすることができます。

『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』(KADOKAWA刊、監修:大河内薫、ポノス株式会社)
『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』(KADOKAWA刊、監修:大河内薫、ポノス株式会社)

株といっても大金が必要になるものばかりではなく、1株100円以下で買えるものもあり、証券会社によっては1株ずつ買うことも可能です。投資信託にも100円から購入できるものがあります。

投資信託はご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、子どもに説明するなら「証券会社がいろいろな株をつめあわせて作った、株のバラエティーパックのようなもの」と言えばわかりやすいでしょうか。ひとつの会社の株を買うのではなく、いろいろな株をまとめて買うことができるので、どれかひとつの株が値下がりしてもほかでカバーできる可能性が高いことがメリットです。

まずは投資の練習として、おこづかいで数百円分の投資信託を買ってみるのもおすすめです。

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大河内 薫(おおこうち・かおる)
税理士
芸術学部卒という税理士として異色の経歴を持ち、芸能・芸術・クリエイターに特化した税理士事務所を経営。また、税理士として日本最大級のYouTubeチャンネルを運営し、登録者は33万人超(2023年7月現在)。音声メディアや各種SNSでお金の知識を発信。現在はオンラインコミュニティ「マネリテDAO」を活動の中心に据えて、お金の教育を義務教育に導入すべく活動中。小学校から大学まで、生徒・学生へ直接お金の授業を行っている。著書に『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(サンクチュアリ出版)、『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』(サンクチュアリ出版)、監修に『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』など。

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(税理士 大河内 薫 構成=城戸千奈津)

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