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起床4時間後に眠気があったら要注意…「本当に睡眠は足りているか」を見極める2つのチェックポイント

プレジデントオンライン / 2023年7月31日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jirapong Manustrong

睡眠不足を解消するにはどうすればいいか。作業療法士の菅原洋平さんは「夕食後の居眠りは睡眠の質を低下させるから、絶対にやってはいけない。睡眠の質とは別に、起床4時間後に、あくびをしていたり、だるい、集中できない、ということがあったら、睡眠の量が足りていない。睡眠時間を増やしていくことで自然に適切な量で安定するから、数分でも早寝をするといい」という――。

※本稿は、菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

■夕食後のウトウト眠りは絶対避けるべき理由

眠っていない時間が長ければ長いほど、その後の睡眠の質が向上するという仕組みがあり、これは睡眠圧(Sleep Pressure)と呼ばれています。

これは過去に、徹夜で遊んだ後、翌日もそのまま仕事に行ったとき、その晩にすごく眠くなってぐっすり眠れた、ということで経験した人も多いのではないでしょうか。

ここで、質問です。

夕食後にテレビの前のソファでリラックスしているときに、ウトウト居眠りをしてしまうことがありませんか?

この居眠りはなんとしても避けたいです。

このウトウトによって、睡眠圧が失われて睡眠の質が低下します。すると、朝になっても疲れがとれずに、帰宅後にウトウトしてしまう、という悪循環が発生します。

睡眠の質を最低限確保するには、睡眠前に起きている時間が7時間は必要です。0時に就寝するスケジュールだとすると、少なくとも17時以降は眠らずに過ごすことができれば、睡眠の質は確保できます。

就寝前のウトウトを簡単に避けられる方法があります。それは、普段ウトウトしている場所に座らないことです。振り返ってみると、就寝前にウトウトしてしまう場合は、テレビの前のソファなど、同じ場所で居眠りしているはずです。

海馬と扁桃体の仕組みにより、「そこに座れば眠る」ということを脳が学習していきます。この学習によって、たいして疲れていない日まで居眠りしてしまい、睡眠の質を無駄に低下させているのです。

そこで、休日やそれほど疲れていない日は、あえてその場所とは別の場所で過ごしてみましょう。居眠りせずに済みますので、充分な睡眠圧をもってベッドでどーんと眠れれば、悪循環を断ち切ることができます。

■眠れたかどうかより、その日やりたいことができたか

睡眠圧の仕組みがわかると、不眠症への対策も取りやすくなります。

例えば、夜になっても眠くならない日に無理やり就寝すると、ベッドは眠れない場所だと学習されて眠れないことが慢性化します。

眠らずにベッドに入っていることが不眠の要因なのですが、そうはいっても、「なんとしてでも眠りたい」「もしベッドを出たらそのまま朝まで眠れないかもしれない」という不安からなかなかベッドを出られないこともあります。

ベッドで寝ている人
写真=iStock.com/Maria Dorota
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Maria Dorota

これを睡眠圧の仕組みから捉え直してみます。眠くないならベッドに入らない。それで朝まで眠れなかったら、それは睡眠圧が高まっているということです。

そのまま日中も頑張って眠らずに夜まで過ごせば、ものすごく高まった睡眠圧によって起きていることに耐えられなくなりぐっすり眠ってしまいます。

このように、睡眠圧の仕組みがわかると、その日に何としても眠らなければならないという囚われから離れることができます。

その日眠れたかどうか、ではなく、その日やりたいことがやりたいようにできているかに注目しましょう。やりたいことができていれば、何も毎日必ず眠らなければならないわけではありません。「明日には眠れるだろう」と考えられるようになれば、気分がラクになって眠る前の心拍数も下がりやすくなります。

睡眠圧の仕組みは、不規則な勤務や交代制の勤務でも睡眠を確保するために重要な役割を担います。

■睡眠の質の良さを見極める起床後の確認事項

睡眠圧の話は、先にお伝えした計画仮眠の話と矛盾するのではないか? と思われた人もいるかもしれません。結局、仮眠はしたほうがいいの? しないほうがいいの? と混乱してしまわないように、仮眠を使うかどうかの判断基準を知っておきましょう。

普段の朝の寝起きを振り返ってみてください。寝起きがある程度スッキリして、眠る前に比べて起きた後のほうが、頭や体がスッキリしているという場合は、睡眠の質が良いというサインです。この場合は、計画仮眠を用いても、夜の睡眠の質には影響がありません。

普段の朝の寝起きが悪い、と感じる人は、睡眠の質を改善することが先決です。計画仮眠よりも先に、睡眠圧を使って夜の睡眠の質を高めてみましょう。

睡眠圧を使えば、睡眠の質が改善します。質の問題が解決したら、睡眠量の問題も解消していきましょう。慢性的な睡眠量の不足は「睡眠負債」という用語で、一般的に知られるようになりました。

■すんなり眠れるならば、睡眠量を増やすチャンス

あなたは、自分が睡眠不足だと思いますか?

自分が睡眠不足かをチェックできるポイントが、2つあります。

①就寝して、あっという間に眠れる

通常、脳は目を閉じてから眠りに入るまでに10分程度かかります。もやもやとまどろむような時間があり、徐々に意識を失って睡眠に入っていくのです。

「枕に頭がついたら一瞬で眠っている」というのは、慢性的に睡眠が不足しているサインです。数分でも早寝をしてみて、累積睡眠量を増やしましょう。

②起床4時間後に眠気がある

起床4時間後は、1日を通して最も脳波活動が活発で、最も頭が働く時間帯です。その時間帯に、あくびをしていたり、だるい、集中できない、ということがあったら、睡眠不足だと認識しましょう。

睡眠時間を増やしていくと、自然に適切な量で安定します。

「睡眠不足ではない」と言っている人たちを好きなだけ眠らせた実験では、10時間以上の睡眠をとりました。睡眠時間は日を追うごとに短くなっていき、実験9日目で8時間強の睡眠になって、それ以降はほぼ同じ時間数眠るようになりました。

すんなり眠れるならば、睡眠量を増やすチャンスです。数分でも早寝をして、起床4時間後のハイパフォーマンスをつくりましょう。

■「休日に寝だめは体に良いか」の最終結論

「私は休日、予定がない日は1日中眠っている」という人もいます。眠り過ぎてしまう場合にも、対策を立てておきましょう。

最初に疑うのは、夜の睡眠の質が悪いことです。

深い睡眠をつくる脳波であるデルタ波が、全体の睡眠の20%程度出現すると、睡眠時間は無駄に伸びることがなく適切なタイミングで起きるようになります(ただ例外として、12時間以上の睡眠をとっていると再びデルタ波が出現することがあります。この現象のメカニズムはいまだに明らかになっていません)。

そこで、本書の第3章の朝と夜の明暗を強調したり、第5章の起床11時間後の深部体温を高めて、深い睡眠をつくることが最初にやるべきことです。

次にやるべきことは、「絶対に眠らない時間帯」をつくることです。「1日中眠っている」という人でも、大抵の場合は、19時から0時までは起きています。

この5時間で睡眠圧を溜めているわけですが、最低7時間は起きていないと深い睡眠が得られないので、「絶対に眠らない時間帯」を伸ばします。

「ずっと眠っている」とは言っても、大抵は3時間毎に目覚めては眠るということを繰り返しています。例えば、平日は7時に起きている場合、休日には10時、13時、16時、19時には目覚めていることが多いです。

ここで質問です。もし、休日に寝だめをしてもまだ眠かったら、もっと眠らないといけない、と思いますか? 「はい」と答える人は、この機会に認識を変えてみましょう。その追加した睡眠は余分な睡眠であり、あえて眠らないほうが夜の睡眠の質が上がります。

睡眠は、追加したらその分だけ元気になるはずです。

先ほどの例の場合、16時に目覚めたときよりも、19時に目覚めたときのほうが元気になったという感じがないならば、この3時間の睡眠は余分だと考えて眠らないようにします。16時から0時は絶対に眠らない時間帯にするのです。

すると、総睡眠時間を減らしたにも関わらず、弊害はなく、むしろ調子が良いということに気づくと思います。そうしたら、次は13時と16時の目覚めを比べて、元気になっているわけでもなかったら、13時以降は眠らないようにします。

この手順で「絶対に眠らない時間帯」を増やしていくと、夜間の睡眠の質が上がって睡眠は適切な量になっていきます。

■睡眠コアタイムを5時間確保する

同じように、どんなスケジュールでも「絶対に眠っている時間帯」のことを、睡眠コアタイムと呼びます。コアタイムが長いほど、睡眠――覚醒リズムは安定し、たとえ乱されても、すぐにリズムが戻るようになります。

図表1を見てください。これは、土日が休みの企業で働く人のある1週間の睡眠の記録です。眠っていた時間を塗りつぶしてあります。

【図表1】睡眠――覚醒リズムとコアタイム
出典=『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』

この記録のうち、最も遅く眠ったのが朝の4時で、最も早く起きたのが朝の6時30分です。ということは、睡眠コアタイムは2時間半しかありません。

菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)
菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)

睡眠コアタイムが短くなると、眠らないはずの時間帯に眠ったり、眠るはずの時間帯に起きていることが生じます。すると、睡眠と覚醒の落差はあいまいになります。起きているときはいつもボーっとしてしまい、眠っているときはぐっすり深く眠らなくなってしまうのです。

睡眠コアタイムからはみ出した時間帯に寝だめをしても、睡眠不足による昼間の眠気の解消にはならない、ということを覚えておきましょう。

もし、あっという間に寝つけるのであれば、週末に昼頃まで眠って睡眠時間をかせぐのではなく、夜中の3時に就寝してみれば、同じ時間数眠りつつ、コアタイムは1時間増やすことができます。

臨床的に、目指すコアタイムの長さは5時間です。コアタイムを5時間つくることができれば、ひとまず睡眠は安定します。

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菅原 洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士
ユークロニア代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。

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(作業療法士 菅原 洋平)

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