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軍人が「せねばならぬ!」と言うのに等しい…日本人が習う"must"の使い方がネイティブに笑われるワケ

プレジデントオンライン / 2023年7月30日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

日本人が学校で習ってきた英語は、ネイティブには通じないことが多い。語学YouTuberのがっちゃん氏は「単語一つでも日本人が意味を誤解しているものはある。たとえば『must』は『~しなくてはならない』という意味だと思われているが、日常会話の中での使われ方はまったく違う」という――。

※本稿は、ごく普通の外国人・がっちゃん『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■“You must be tired!”をどう訳せばいいのか

日本人の中には、英語の「must」を「~しなくてはならない」という意味だけで使う傾向が非常に多いです。あなたももしかしたら、「must」の意味を誤解しているかもしれませんね。

例えば、次の会話を考えてみましょう。

A:「疲れた~! 今5時間も走ってきたんだ!」
B:「You must be tired!」

『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)より
『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)より

この英文を「あなたは疲れなければならない!」と訳す方がいるかもしれませんが、これは不自然な訳になります。

■日本人の多くが「must」をあまりに大雑把に捉えている

実際の意味としては、Bの発言は「おそらくあなたは疲れているでしょう」という意味です。

同様に、以下の例文も考えてみましょう。

You must study hard.(あなたは一生懸命勉強しなくてはならない。)
You must eat vegetables.(あなたは野菜を食べなくてはならない。)

学校でmustは「○○すべき、○○しなければならない」と訳すと習ったかもしれません。今回は、多くの人がmustの意味をあまりにも大雑把に捉えていることについて、誤解を解いていきたいと思います。この記事を読んでいただくことで、あなたの英語の知識がさらに深まり、英語におけるハードルが少し下がることを期待しています。

■「○○すべき」の英語表現の中で最も日常的に使われていない

「○○すべき」と日本語で訳されている英語表現としてhave to/be supposed to/should/must/had betterなどが挙げられます。

ここで驚くべき事実をお伝えすると、「○○すべき」という意味の中で最も使われていないのがmustなのです。mustは普段の口語で使うには抵抗のある表現だと思ってください。

ニュアンスをお伝えすると「それを怠った場合には……たいそうな目に遭うぞよ!」という感じです。

もっと大げさに言えば「違法」感も漂っています。まるで法や絶対的なルールであるかのように従うべきだというニュアンスが潜んでいるのです。そのため、日常生活のなかではmustを「○○すべき」という意味で気軽に使うのは避けたほうがいいでしょう。

日本語の言い回しで表すなら「○○すべし」が近いでしょうか。

日常会話で「○○すべし!」や「ならぬ!」なんて……なかなか使いませんよね。

「シートベルトを締めるべし」「タバコは吸うべからず」といったように、何かを厳しく決めたり、禁止したりするような「書き言葉」としては割と見かけます。

しかし口語でmustと言い放てば、まるで教官や軍人みたいな言葉遣いだと思われてしまうでしょう。

■実は「must」にはふたつの意味がある

英語に興味のある方は、口語でmustを使う英語スピーカーを少なからず見かけているのではないでしょうか。会話の中でよく耳にする単語なのに「最も使われない」と言われても腑に落ちないですよね。

ではどういうことなのか?

口語で使われているmustは……“皆さんがよく知っている”mustではありません!

「○○しなければならない」

これが皆さんのよく知っているmustだと思います。

ズバリ、そっちではないほうの、他の意味で「must」が使われています!

「同音異義!? 意味が2つあったの!? いやー!」

同音意義というワードに拒否感MAXになってしまった皆さん、お待ちください。

「同じ単語に意味が2つ以上」と言われた途端「暗記させられるのか……」と不安な気持ちになるかもしれませんが、心配には及びません。

これは、イメージ化で、一発解決できます! ご安心ください。

■「間違いなく◯◯だろう」強い推測として多用される

『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)より
『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)より

mustのイメージは1本の道です! 真っ直ぐ、その道の上だけを進むイメージ。

このイメージから2つの意味「義務」「確信(推測)」を思い浮かべてください。

(1)「義務」

他には道がないかのようなイメージ。道は1本しかない、だから「せねばならない」んです! 必ず守らなければならない法やルールと結びつくようなニュアンスは、脇見の許されぬ「1本の道」というイメージから発せられています。

(2)「確信(推測)」

これがmustのもう1つの意味です! 道が1つしかないからこそ、確信(推測)なんです。

You must be tired!

冒頭のフレーズは「あなたは疲れなくてならない」のではなく、あなたは「間違いなく」疲れているだろうね! という確信の気持ちであり「強めの推測」を表現しています。

You must be hungry.

こちらもそうです。「お腹がすかなければならない」のではなく「きっと間違いなくお腹がすいているのだろう」という推測の意味。

皆さんが普段、英会話の中で耳にしてきたmustは「すべき」よりも断然、「推測」「確信」の意味で使われているmustだったんです!

■初対面のシーンで使われる「must」はどんな意味か

海外ドラマなどでは「初対面の場面」などでもmustをよく耳にします。

Hi.You must be Mr.Ueda.

思考が上田へとまっしぐらで、それ以外に進むこができない「1本の道」というイメージで考えてみてください。「あなたは上田ではなくてはならない」と命令しているのではなく「やあ。あなたは上田さんですね。」と強く推測する英文です。

mustには「義務」と「推測」の別々の意味がある! と個別に覚えるのではなく、結局は「1本の道」というイメージとして一括りにしてしまうことで、より楽に一刀両断できるでしょう。

■「◯◯すべき」と言いたいときは「have to」でいい

結論から単刀直入に言いましょう。

ごく普通の外国人・がっちゃん『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)
ごく普通の外国人・がっちゃん『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)

日常会話としてよく使われているのは、have toです。

have toという表現を見て、別に意味はわからなくとも、真っ先に目に入ってくるのは「have」という英単語でしょう。どう見てもhaveの存在感は異常で、もはやhaveしか目に入らないと思います。

そんなhaveの意味は、「持つ」ですよね? もっと厳密には、「所有する」ですよね。その感覚でいいのです。

have to=「○○すべき」といちいち暗記する必要はありません。「have=持つ」という認識をしていれば問題ありません。「○○すべき」と考える必要なしに、「『to ○○』を持っている」と考えれば良いのです!

「to不定詞」といった用語で考える必要もなく、要は「to ○○」という義務を「持っている(have)」ということです。だからこそ、have toの意味が「○○すべき」となるのです。

もう少し直訳的な和訳をするならば、「○○する義務がある」とするのがより正確かもしれません。

■「must」は「相手に強制的に押し付ける義務」のニュアンス

「えっ、ちょっと待って! 義務と言えば、mustじゃないの?」

はい、いい質問ですね。

mustは強い義務と見なすのが一般的ですが、ちょっと細かく語源的に解釈すると、元々mustというのは万人が当然と見なす「義務」というよりは「相手に向かって強制的に押し付けるような義務」といったニュアンスがあります。

have toのニュアンスは……イメージ化したほうがよりわかりやすいと思うので、次に描いてみました。

『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)より
『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)より

have toは、誰がこの位置に座っても、同じ義務が課せられるイメージ。

私でなくても、あなたでも、彼でも、猫でも、誰がこの位置に座っても同じことを命じられるような「義務」です。

よって、誰が見ても妥当性のある義務であり、個人による強制的な主張じゃないからこそ「must」よりもずっと気軽に使えるのかもしれません。

■「口語ならhave to、書き言葉はmust」で覚える

要は、mustは「強~い義務」もしくは「強制的な義務」。一方のhave toは「誰が見ても妥当な義務」。ですが正直、どっちのほうの程度が強いとか弱いとかいちいち考えるのも面倒じゃないですか!

なので私は、単純にこう考えます。

「口語ではhave to! 書き言葉ではmust!」

これが一番簡単だと思います。

実際、そうですよね。話し言葉で「must(すべき)」を使う人もあまり見なければ、逆に公式な文面などで「have to」を見かけることも、あまりないのですから。

mustとhave toの違いを理解していただけましたか? これまでずっと「must」のほうが身近な気がしていたのに、一気にhave toへの親近感を覚えるようになったのではないでしょうか。

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ごく普通の外国人 がっちゃん(ごくふつうのがいこくじん・がっちゃん)
英語を日本人に教えているごく普通の韓国人
英単語の画期的な習得方法の特許と英語の発音矯正に関する国際特許をそれぞれ取得し、自身で直接描いた6000個のイラストを用いて作った英単語アプリ「Gボカ」はリリース当時iOSストア有料カテゴリー1位を記録した。YouTubeのチャンネル登録者数は50万人を超えており、幅広く人気がある。

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(英語を日本人に教えているごく普通の韓国人 ごく普通の外国人 がっちゃん)

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