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「体重を落とす=やせる」はウソである…食事制限しても「ぽっこりお腹」がへこまないワケ

プレジデントオンライン / 2023年8月1日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tatiana

「ぽっこりお腹」をへこませるにはどうすればいいのか。ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さんは「背中の筋肉がこり固まっているのが原因かもしれない。食事制限や運動を始める前に背中をゆるめ、姿勢を見直すことを意識してほしい」という――。

※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■ダイエットしてもやせない理由は「背中」にある

突然ですが、下記のような悩みを抱えていませんか? もし、こんなコンプレックスを抱えて「だからダイエットをしなきゃ!」と思い込んでいるようなら、運動や食事制限を始める前に、この記事を読んで頂きたいと思います。

・小顔に見せたい
・お腹をひっこめたい
・二の腕を細くしたい
・太ももをスリムにしたい
・お尻を小さくしたい
・首を細く見せたい

こんな悩みを抱えている人の多くは、背中が固くなってしまっています。「背中が固くなっている」と言っても、すぐにはイメージしづらいかもしれません。具体的には「体の後ろ側の筋肉=背中の筋肉」が、こり固まっている状態を指します。

多くの人は、日常生活で「体の前側」の筋肉ばかりを使っています。ものを掴む、パソコンやスマホの操作をする、料理をする、歩く……普段の生活では、残念ながら「体の後ろ側」の筋肉はほとんど動かせていないのです。動かせていないと、筋肉は固くなります。

日ごろは意識しない背中の筋肉ですが、人間の体の構造上、とても重要です。「広背筋(こうはいきん)」と呼ばれる背中の大きな筋肉の一つは、肩甲骨(けんこうこつ)や上腕、骨盤などに付着しています。この広背筋が固くなると、背中の周囲の筋肉が不自然に引っ張られます。

■体重を落としてもスリムな体型にはなれないワケ

実は、背中が固くなって筋肉が張ることと、全身が太って見えることは大きく関係しているのです。

「猫背」を例に、説明しましょう。図表1のように、猫背は背中が丸まり、肩が内側に入ってしまっている状態です。猫背は、筋肉が固くなることで引き起こされています。大胸筋(だいきょうきん)という胸の筋肉が固くなって縮まると、腕の骨が内側に引っ張られます。腕は内側にねじれるので、巻き肩になります。

【図表1】猫背の状態と巻き肩
出典=『背中をゆるめると健康になる』

固くなった胸や腕の筋肉は、背中の筋肉を前に引っ張ります。すると、背中の筋肉はどんどん前に引っ張られながら固くなっていきます。筋肉が固くなると、周囲の骨が筋肉に引っ張られてしまいます。骨は本来の位置に戻れなくなります。これが、猫背の状態です。

猫背や巻き肩は、背中の筋肉が前に集まってしまった状態です。腕は内側にねじれて、肩が内側に巻き込まれ、背中の筋肉は前の方にひっぱられています。首から肩、背中にかけて筋肉が前へ前へと引っ張られて、突っ張っているような状態です。

この状態になると、内臓が上から下に押されてるので、自動的にお腹がぽっこりと突き出ます。さらに、頭の位置が前にズレるので、それだけで顔がひとまわり大きく見えます。腕や背中の筋肉が引っぱられて前に集まってくるので、二の腕は太くなり、首回りももたついて見えます。

この状態になってしまったら、どんなに食事制限をして体重を落としたとしても、目指しているようなスリムな姿になることはできません。

■猫背の改善が近道である

スリムになりたければ、この猫背を改善するのが近道なのです。ただし、「丸まった猫背を逆方向に伸ばそう!」と、力づくで肩甲骨をグーっと寄せて、胸を張るようなストレッチをしても、残念ながら猫背は治りません。

筋肉が固まった状態でどんなにストレッチをして筋肉を寄せても、骨が正しいポジションに戻ってくれることはないのです。筋肉が固くなることで、関節の可動域が狭くなっているからです。

巻き肩や猫背を改善するには、胸や背中の筋肉をゆるめることが必要です。筋肉をゆるめることで、肩甲骨の可動域が広がって肩が開くようになります。がんばってハードなストレッチをするよりも、背中をゆるめることに意識を向ければ、結果的に可動域も広がっていきます。

猫背を例に上半身が太って見えてしまう理由を説明しましたが、お尻や太ももなどの下半身も同様です。

背中の筋肉が固くなると、連動してお尻や太ももの筋肉も前に前にと引っ張られます。筋肉に不自然な張りがなければ、お尻の中心に筋肉が集まって寄っている状態が自然なのです。この状態だと、ヒップは自然とキュッと締まった状態です。

■背中が固まると、腹、尻、太ももがたるんで見える…

ところが前に引っ張られてしまうと、筋肉はつぶれて広がります。お尻は大きく、たるんで見えてしまいます。太ももも、筋肉が前の方に集まってしまうことで、太くなってしまうのです。

このように、背中が固くなることで体型が崩れて見えてしまうのです。だからこそ、背中をゆるめて筋肉の張りをとることができれば、それだけでスリムに見せることは可能になるのです。

ソファに座り肩を押さえている女性
写真=iStock.com/Jajah-sireenut
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jajah-sireenut

背中がゆるんで骨が正しいポジションに戻ると、見た目がガラリと変わります。特別な食事制限をしなくても、ハードなトレーニングをしなくても、背中をゆるめるだけで人はやせることができます。

ここで言う「やせる」というのは、単純に「体重が減る」ということではありません。洋服がサイズダウンする、お腹が引っ込む、スタイルが良くなるなど、「見た目が変わる」ことを指します。

■重心を上げるだけでいい

もし、「体重が増えていないのにお腹が出てきた」「二の腕がたるんできた」などの悩みを抱えていたら、体の重心をチェックしてみてください。ほとんどの人は、筋肉が固くなると同時に、体の重心が下がっているからです。

人はただでさえ重力の影響を受け、常に上から押されています。さらに背中の筋肉が固くなると、縮まったまま伸ばせなくなるので、重力に負けて体の重心は下がっていきます。

重心が下がると、肋骨(ろっこつ)と骨盤の間のすきまが狭くなります。行き場を失ったお腹のお肉は前に出るしかなくなり、内臓も押しつぶされて前に出ます。だから体重が増えたわけではないのに、お腹がぽっこり出てしまうのです。

逆に、重心を上げて肋骨と骨盤の間を広げると、体重を減らさなくても、自然に腹筋が使えて骨盤が立ちやすくなり、お腹はへこみます。

「重心を上げる」と言っても、がんばって上に引っ張り上げる必要はありません。やはり、背中の筋肉をゆるめて、骨や内臓を本来のポジションに戻すように意識を向けることが大切なのです。老化や肥満のせいだとあきらめないでください。ただ正しい位置に戻るだけで、二の腕や太ももは細くなり、お尻は小さくなります。

■洋服のサイズダウンもできる

私のウォーキングスタジオの生徒さんでも、3カ月でパンツがワンサイズダウンした方がたくさんいます。

やせてパンツがブカブカになった女性
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

例えば53歳の女性M・Yさん。お腹がぽっこりで、下半身にコンプレックスを抱えていらっしゃいました。ダイエットや運動をするのではなく、すきま時間に背中をゆるめるケアを取り入れてもらいました。すると、まず息がたくさん吸えるようになったと驚いていました(背中の筋肉がゆるむと、自然と深い呼吸ができるようになります)。

そして、重心が自然に上がってバストアップしたほか、ずっと悩んでいたぽっこりお腹が解消し、外側に広がっていた太ももやお尻もスッキリしたのです。スーツが2サイズダウンしたそうです。

繰り返しますが、背中が固くなると、上半身も下半身も筋肉が内側に巻き込まれて、「前に前に」引っ張られるようになり、筋肉が前に広がって全身が太って見えてしまいます。ダイエットに励む前に、このことを忘れないで頂きたいと思います。背中をゆるめることがスリムに見える近道なのです。

■背中がゆるむと、骨が正しい場所に戻ってくれる

ウォーキングスタジオを主宰し、これまで6000人以上の生徒さんに直接指導してきた中で、「体の緊張をほぐして、背中の筋肉をゆるめること」の大切さを実感しました。背中がゆるむと、骨は本来の正しいポジションに戻ってくれます。

すると、それまで動かせていなかった筋肉が動かせるようになります。自然と呼吸は深く安定し、血液やリンパの流れも改善し、さらに背中がゆるんでいくという良いスパイラルが生まれます。

私自身も、かつてはさまざまなハードな運動やトレーニングを取り入れても、ぽっこりお腹だけはなかなか改善せず、悩んでいました。でも、自分の背中の筋肉を動かし、ゆるめることに意識を向けていったら、あんなに悩んでいたお腹も、すぐにスッキリとしたのです。大きな手ごたえを得ることができました。

■腕を小さくグルグル回すだけで広背筋はゆるむ

それでは、さっそく背中をゆるめていきましょう。

犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)
犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)

デスク作業やスマホ操作などの合間に、10秒だけ、背中をゆるめることを考えてください。この10秒が、とても効果的なのです。固くなった背中をゆるめるには、激しく大きな動作ではなく、小刻みで小さな動作が必要です。

筋肉は、「ゆらす」、「細かく動かす」、「緊張させて解放させる」などの動作でゆるめることができます。例えば、イスに座ったとき、フニャ~ッと背中を丸めます。これだけでも「緊張させて解放させる」という動作になります。

長時間同じ姿勢でいたり、動かさない状態が続いたりすると筋肉は固くなります。だからこそ、日常のすきまに、10秒だけゆるめることを習慣にしていただきたいと思います。

広背筋をゆるめる「腕グルグルほぐし」です。腕をだらんと下ろした状態で回すだけです(図表2)。デスクワークの合間に10秒行うだけで、背中の大きな筋肉の緊張を取ることができます。

【図表2】広背筋をゆるめる 小さく腕グルグル
出典=『背中をゆるめると健康になる』

【1】右腕を曲げて、手のひらを上にする。
【2】そのままの状態で腕をまっすぐに下ろし、肩を上げて落とす。何度か肩を上げて落とす。
【3】手のひらを少しだけ後ろにずらす。
【4】外回しに小さくグルグルと円を3回描く。

左腕も同じように行います。力を抜いて、肩から腕がぶら~んとぶら下がったような状態で行うと良いでしょう。背中がふわっとゆるむ感覚を得ることができます。慣れてきたら両腕を同時に行っても大丈夫です。

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犬飼 奈穂(いぬがい・なほ)
ウォーキングコンサルタント
歩き方コーチ。「ORO(オーロ)ウォーキングスタジオ」代表。「オーラをまとう歩き方レッスン」主宰。愛媛県松山市出身。「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、これまでに述べ6000人以上に指導し、肩こり・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、体が抱える数々の悩みを改善してきた。開催する講座やセミナーは1000回を超える。

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(ウォーキングコンサルタント 犬飼 奈穂)

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