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9歳までにほぼ決まってしまう…受験家庭5000組を見た教育のプロが考える「頭のいい子」の育て方

プレジデントオンライン / 2023年8月7日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

わが子を「頭のいい子」にするには、どうすればいいのか。教育家の小川大介さんは「これまでに5000組を超える家庭と学習の進め方についての面談を重ねた経験からは、子どもの能力を伸ばすために重要なのは『9歳前後までの育ち方』だと感じる」という――。

※本稿は、小川大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■子の幸せを願う行動が裏目に出てしまう

子どもの幸せを願わない親はいません。

自分の持つ能力を最大限に生かして、社会で活躍してほしい。健康で、思いやりのある人間に育ち、たくさんの友だちに囲まれて、豊かな人生を送ってもらいたい。

どんな親も、子どもの未来が明るく、笑顔に満ちたものであってほしいと願います。

ただ、子どもの幸せを想うあまり、子どもに「将来の幸せに直接つながりそうなもの」を与えすぎ、詰め込みすぎている親御さんが多いのもまた、事実です。その結果、時間にも心にも余裕がなくなり、親からも子どもからも、いつの間にか「笑顔」が消えてしまっています。

子どもの幸せを願うための行動が、知らず知らずのうちに、親自身や子どもを苦しめているのです。

■「お子さんが熱中している遊びは何ですか」

私は2000年に中学受験を専門とする個別指導塾を設立し、長く代表を務めてきたのですが、学習の進め方について親御さんと面談をすると、次のような質問を非常によくいただきます。

「子どもには何をさせればいいのでしょうか?」
「子どもにはどんな教材を買ってあげればいいのでしょうか?」
「子どもにはどんな体験をさせてあげればいいのでしょうか?」

わが子には幸せになってほしい。遠回りをさせたくない。自分が有益な情報を知らないことで子どもに損をさせたくない――。

メディアに子育て情報があふれる昨今、わが子を思う親としての切実さが、このような質問になって表れているのでしょう。

これらの質問に答えるべく、私はどんなお子さんなのかをもっと詳しく知るために、親御さんにこんな質問で返します。

「最近のお子さんの口ぐせは何ですか?」
「朝起きてから最初に、どんな行動をとっていますか?」
「どんな遊びに熱中していますか?」

■子どものことを考えているはずなのに…

すると、親御さんの動きがピタッと止まります。

「口ぐせ……どんなことを言っていたかなぁ……」
「朝起きてから……私はそのとき、家のことをしているからなぁ……」
「遊び……いろいろやってるけど、どれが一番好きなのかなぁ……」

子どもの相談に来ているのに、意外と子どものことを知らない自分に気づくのです。

子どものためにこんなにも頑張っているのに、今、目の前にいる子どもの口ぐせや好みがわからない。決して、子どものことを考えていないわけではないのに……。

そんなとき、私はこう声をかけます。

「大丈夫。これからはお子さんを温かく見守っていきましょう。何を与えてあげればいいかは、お子さんをしっかり観察していれば見えてきますから」

■中学受験直前で伸び悩んでしまう子の共通点

これまでに5000組を超えるご家庭と学習の進め方についての面談を重ねてきましたが、面談ではお子さんの「現在の様子」だけでなく、「これまでどのように育ってきたか」にまで話が及ぶことも少なくありません。

たくさんのご家庭の話を伺って気づいたのは、いわゆる「教育によさそうなもの」をたくさん与えられ、手取り足取り面倒を見てもらってきたお子さんは中学受験直前の小6になって伸び悩んでしまうことが多い一方で、親に見守られて「虫とり」や「お絵かき」など好きなことにとことん熱中した経験のあるお子さんは、最後の最後で踏ん張りをきかせてぐんぐん成績を伸ばしていくという事実です。

私は2017年から、俳優・タレントの養成を行うテアトルアカデミーさんとともに、「Kids Perform Challenge」という子育てプロジェクトを開始したのですが、特別講座やセミナーを行うたびに、似たような状況を見聞きします。

■9歳までの育ち方で能力がほぼ決まってしまう

子役の世界では、親が「ああしなさい、こうしなさい」と熱心に指導するご家庭のお子さんは、幼いうちはオーディションに合格しやすい傾向にあります。

けれども不思議なことに、9歳前後になると、ピタリと結果が出なくなってしまうのです。

代わりにめきめきと頭角を現すのは、本人のペースで自由にさせてもらってきた子。

最初は結果が出なくても、ある程度大きくなって自分を表現することが求められる年齢になると、がぜん能力を発揮し始めます。自分で考えて行動するくせがついているので、監督の「ちょっとこういうことやってみて」という要求にも、とっさに対応することができるのです。

これらの経験から私が確信するのは、子どもの能力を伸ばすために重要なのは「9歳前後までの育ち方」であるということです。

この時期の子どもに必要なのは、特別な教育ではありません。ありのままの子どもを「認め」、「見守り」、「待つ」ことです。この記事ではこのような子育てを総称して、「見守る子育て」と呼びます。

アジアの母が彼女の息子を助けて身に着けている青いヘルメット楽しむ時間一緒に公園で
写真=iStock.com/anurakpong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/anurakpong

■見つけた「好き」を認め、見守る

子どもが持てる力を発揮して幸せな人生を歩むためのカギは、この「見守る子育て」の中にあります。

親が「子どもの将来の幸せに直接つながりそうなもの」を過剰に与え、詰め込むのではなく、子ども自身が見つけた「好き」を認めて、見守るのです。

自らの好奇心を親に認められ、見守られて育った子は、「自分が興味を持ったことはいっぱい勉強していいんだ」と考えるようになるからです。

すると、学校の勉強だけではなく、人生全般において前向きで意欲的になります。

自分で人生を選び取り、自らの足で立っているという自信がありますから、たとえ躓くことがあったとしても、その経験を糧にして次にまた頑張っていく力が育ちます。

■「否定しない」「与えすぎない」「あせらない」

私自身、2006年に子どもを授かり、父親として子どもと一緒に育つ中で、「親は子どものことをもっと信じていい」という、かねてから抱いていた信念はやはり間違っていなかったと実感しています。子どもの「好き」を見守っていれば、子どもは自ら学び成長します。

小川大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)
小川大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)

実際、中学受験に子どもが楽しみながら取り組めているご家庭の親御さんの中に、子どもを追いたてて勉強させているような方はほとんどいません。

それは、その子たちが「できる子」だからではありません。「与える子育て」を「見守る子育て」に変えるだけで、どんな子どもも、自ら学び、自ら成長する子に変わるのです。

頭のいい子の親には、「子どもを否定しない」「子どもに与えすぎない」「子どものことであせらない」という3つの特徴があります。親がそういう態度だと、子どもは安心して、自分が興味を持ったことにどんどん取り組むようになります。すると、日々の体験を通して「なんでだろう?」と疑問を持ち、「こういうことかな?」と自分なりに考え、「調べてみよう」と行動するようになっていきます。この積み重ねが「頭のいい子」を作っていくのです。

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小川 大介(おがわ・だいすけ)
教育家・見守る子育て研究所所長
京都大学法学部を卒業後、中学受験個別塾を創設。コーチングと学習タイプ分析を融合した独自ノウハウで受験学習、幼児からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。執筆、講演、教育系企業への助言など幅広く活躍中。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。著書に、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』・『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』・『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)、『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)など多数。 中学受験情報局「かしこい塾の使い方」

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(教育家・見守る子育て研究所所長 小川 大介)

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