これができないと孤独な人生が待ち受ける…タダで幸せと健康が手に入るのに多くの人が実践できないこと
プレジデントオンライン / 2023年8月2日 7時15分
※本稿は、鹿島しのぶ『小さな感謝 人生を好転させる一番簡単な方法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■人に感謝できないと、どんどん孤立してマイナスのサイクルに陥る
感謝とは、ひとことでいえば、「ありがたい」と思う気持ちのこと。そんな気持ちを持ち、お互いに示し合っているのは、地球上に生きている数多くの生き物のなかで、一部の霊長類を除けば人間だけとされています。
人は、まわりの人と支え合い、助け合っているからこそ生きていられる存在です。人間が長い時間をかけて進化してくるなかで、「感謝」という気持ちを持つようになったのも、そんな人間の、社会を基盤とした生き方がきっかけだったのかもしれません。
ところが、人は忙しく日常生活を送っているうちに、ついついそのことを忘れてしまいがちになってきました。
かつての日本社会では、地域に住む人々に仕事を手伝ってもらったり、子どもの世話をしてもらったり、あるいはモノをやりとりしたときには、「ありがとう」と感謝の気持ちを口にしていたものです。多くの人がお互いに顔を知っており、密なコミュニケーションが成立しているなかでは、それが当然のことでした。
ところが都市化が進むにつれ、とくに人口が集中している都会などでは、なかなか他者との関わりを持つことが難しくなってきました。その結果として、感謝の言葉を口にする機会も激減してしまっているように思います。
人に感謝できない人は、他罰的になります。何かあるたびに、「私が失敗したのはあの人のせい」「ああいう人たちがいるからダメなんだ」「私は何も悪くない。まわりが悪いのよ」などとコミュニティの和をかき乱します。
でも、そんなことを繰り返していると、そのうち、「あの人はわがままだ」「あの人は自己中心的ね」と見られるようになり、徐々に関わるのも面倒だと敬遠されるようになり、最後は居場所を失ってしまうのです。
「べつにいい。私は私で勝手に生きるから」と虚勢を張ってもダメ。人は他者との関係を断ち切って生きていけるはずがありませんから、人生が好転するどころか、どんどん孤立してマイナスのサイクルに陥っていくばかりです。
■感謝は、上手に生きるための“スキル”
逆に、感謝の心を持ち、そしてそれをきちんと周囲の人に伝えられる人は、どうでしょうか。
誰かに、何かお世話になったとき、相手の人に「ありがとう」という言葉を伝えれば、清々しい気持ちになります。
いわれた相手だって、感謝の言葉をいわれたらうれしく思います。そして、感謝してくれた人のために、もっと何かしてあげたいと思います。
こうして、感謝し、感謝されることで、両者の関係がより近づき、より安定したものとなり、いい人間関係が結ばれ、幸せのサイクルを生み出すことにつながります。
そういう意味では、「感謝は、上手に生きるためのスキルだ」と私は思っています。
何か素敵なプレゼントをもらったり、美味しい食事をごちそうになったりしたときは、誰でも「ありがとうございます」と感謝するでしょう。
でも、ちょっとしたこと、小さなことへの感謝は忘れがち。
あなたは、どうでしょうか。
つい「小さな感謝」を忘れていませんか?
アイルランド生まれの教育学者、マーガレット・カズンズは、こんな言葉を残しています。
「感謝は一日を豊かにし、人生を変えることさえあります。必要なのは、それを言葉にしようとするあなたの意欲だけです」と。
■心も体も人間関係も変わる…感謝の驚くべき効果
カリフォルニア大学のロバート・エモンズ教授は、長年にわたって、「感謝の気持ち」が心理的幸福、身体的健康、そして他者との関係に与える影響を研究してきた人物です。
教授は、その結果として、次のような効果があったとしています。
【心理的効果】
・ポジティブな感情が高まり、肯定力が増す
・より注意深くなり、いきいきとしてくる
・より楽しさやうれしさを感じるようになる
・楽天的になり、幸福感が高まる
【身体的効果】
・免疫力のアップ
・痛みの軽減
・血圧の低下
・より運動し、健康管理に努めるようになる
・よく眠り、目覚めがよくなる
【社会的効果】
・より親切になり、他者を助け、慈悲深くなる
・より他者の過ちに寛大になる
・より外交的になる
・孤立感や孤独感が軽減される
■他者が感じる自己の持つ価値に気づける
こんなにもすごい効果がなぜ表れるのでしょうか。エモンズ教授は、その理由について、次のように語っています。
理由①感謝することで“いま”得られる喜びが最大化されるから
人は、新しい洋服や新しい車、以前よりも高い収入を手に入れてもすぐに慣れてしまうように、喜びやうれしさなどのポジティブな感情も、あっという間に消え去り、ときにはまるで何も起こらなかったかのように“これまでの自分”に戻ってしまう。しかし、感謝の気持ちを持ち、それを表現し、確認することで喜びが継続し、増大する。
理由②感謝が、有害でネガティブな感情を排除するから
ネガティブな、嫉妬、恨み、後悔などは人の幸福感を損なう。しかし、感謝の気持ちはそうしたネガティブな感情とは対極にあり、感謝の気持ちに意識を集中することでそれらを排除することができる。
理由③感謝する人はストレスに強いから
きちんと感謝できる人は、トラウマ・逆境・苦しみからの回復が、感謝できない人より早い。感謝の気持ちが、ものごとに対するとらえ方にプラスの影響を与え、ストレスや不安から身を守るように働くからである。
理由④感謝する人は自尊心が高いから
感謝するということは、これまでの自分に貢献してくれた人々や、いまの自分を支えてくれている人の存在に気づくこと。またその結果、他者が感じる自己の持つ価値に気づくことができ、自分自身に対する見方をいい方向へ変えることが可能となり、自分自身の自尊心を高める効果もある。そして感謝の気持ちを相手に伝えることで、これらの効果をより高めることができる。
いかがでしょうか。感謝することは、まさに、いいことずくめなのです。
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プロ司会者、作家
白百合女子大学文学部英語英文学科卒業後、会社員を経てプロの司会者として活動を開始。(株)総合会話術仟言流の代表を務め、ブライダルプランナーの役割も兼ね備えたプロ司会者の育成にも力を注いでいる。また、2017年まで駿台トラベル&ホテル専門学校ブライダル学科長を務め、ブライダル関連、接遇会話、ビジネスマナーの授業を担当した。『「また会いたい」と思われる人』『「品がいい」と言われる人』『99%人に好かれる「礼儀正しい人」』(以上、三笠書房)など著書多数。
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(プロ司会者、作家 鹿島 しのぶ)
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