まるで夢のような本当の話…誰でも年利15~30%を稼ぎ出せる「老後資金づくり」に最強の金融商品
プレジデントオンライン / 2023年8月1日 10時15分
※本稿は、午堂登紀雄『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■老後対策にお勧めしたい「iDeCo」
65歳を迎えて「NINJA」になる人が急増するといわれています。
ここでいうNINJAとは「忍者」のことではなく、「No Income,No Job Or Asset」、つまり収入も仕事も資産もないことを意味します。
年金支給開始年齢も70歳への引き上げ説が出ているなど、無策のままで老後に突入すると、かなりしんどい状況になりかねません。
その対策の中で有効な方法のひとつが日本版401kともいわれる「確定拠出年金」です。
「確定拠出年金」は「DC(=DefineDContribution Pension plan)」という略称で呼ばれています。本稿でも以下DCとします。
次に、DCには「個人型確定拠出年金=個人型DC」と、「企業型確定拠出年金=企業型DC」の2種類があります。
「iDeCo(イデコ)」という呼称を耳にする機会が増えましたが、これは2016年秋、厚生労働省が公募して決めた個人型DCの愛称です(individual-type Defined Contribution pension planだそうです)。
「企業型DC」は制度の導入を決めるのが「企業」ですので、ここでは主に個人が自由に加入できる個人型DC、つまりiDeCoを念頭に解説します。
■景気や能力とは関係なくメリットを享受できる
DCは、会社員も自営業者も経営者も、加入条件を満たすあらゆる働き方をする人が等しくトクをする制度です(非課税世帯を除く)。
DCは、収入の低い人でも年利15%、平均的な年収500万円~800万円の人なら年利20%、年収1000万円を超えるような人なら年利33%もの高利回り商品となり得ます(独身者の場合。家族構成や所得によって異なります)。
ゼロ金利時代の現在、資産運用で年利10%という数字を上げ続けるのは至難の業ですが、それがDCを活用すれば、本人の努力や才能とはまったく関係なく、15%や30%といった年利を稼げるのです。
でも、本当にそんな夢のような話があるのでしょうか。
実は――この利回りは、「減税効果」によるものです。
DCの掛け金は“全額所得控除される”ため、所得税と住民税が安くなります(会社員の場合は年末調整による所得税の還付、住民税減税による毎月の手取り額アップとなります)。
「増やす」というより「(税金という)支出を減らす」ことで、実質的な経済的メリットを得られるわけです。
この減税効果は加入期間中ずっと続きますから、今30歳の人であれば、DCの年金を受け取れる60歳まで30年間もこの恩恵を得られます。
これは景気に左右されることもありませんから、株価や為替とはほぼ無関係に、長期間メリットを享受できる制度なのです。
■運用益は非課税で手数料も安い
さらに、加入期間中に得られた運用益(金融商品の売却益、分配金、利息など)も全額非課税で、投資信託にかかる手数料も一般の証券口座で買うよりもずっと安い。
60歳を迎えてDCの年金を受け取るときは、一括で受け取る「一時金方式」か、毎年少しずつ受け取る「年金方式」、あるいはその併用から選べますが、一時金方式なら「退職所得控除」、年金方式なら「公的年金等控除」の適用を受けることができます。
これは、民間の保険の満期返戻金が一時所得や雑所得扱いとなり、総合課税となるのと比べても非常に優遇されています。このように目を皿のようにして「DCをやらない理由」を探しても、私には見つからないのです。
何と言ってもこれを、国家が「合法的な制度」として用意しているわけですから、フル活用しない手はないと思います。
■保険の節税機能を活用して年利10%
ほかにも減税効果で利益が得られるものがあります。
生命保険・個人年金・介護医療保険に加入することで、所得控除が受けられ、その分だけ税金が安くなるという制度があるのはご存知の人も多いと思います。
節税の仕組みはDCと同様ですが、DCと異なる点もいくつかあります。
たとえば、掛け金全額の控除は認められず、上限が決まっています。また、運用は保険会社任せで、自分で運用方法を選ぶことはできません。しかしDCを利用したのち、まだ余裕がある人は、ぜひ保険料控除も活用したいものです。これも国が制度として用意した、合法的かつ有利な方法だからです。
保険料控除は、次の3種類があります。
・介護医療保険料控除……医療保険、がん保険、介護保険など
・個人年金保険料控除……個人年金保険など
「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」のそれぞれについて所得税・住民税ごとに、次のとおり所得控除額を計算します(平成24年1月1日以後に締結した保険契約について適用され、平成23年12月以前の契約は旧制度の申告となり、計算が異なります)。
新制度で説明すると、一般生命保険料控除(所得税4万円・住民税2万8000円)+介護医療保険料控除(所得税4万・住民税2万8000円)+個人年金保険料控除(所得税4万・住民税2万8000円)で、所得税で最大12万円、住民税で最大7万円(住民税は3種類合わせても上限7万円)の所得控除が受けられます。
年収500万円~600万円で、家庭がある一般的な会社員の場合、所得税率はおおよそ10%、住民税は一律10%なので、節税できる(サラリーマンの場合は還付される)金額は、
住民税:7万円×10%=7000円
所得税1万2000円+住民税7000円=1万9000円
となり、最大で1万9000円の節約を受けられる計算になります(税率は他の収入や家族構成によっても変わりますので、あくまで例)。
■掛け捨てではなく貯蓄型がおすすめ
これらを掛け捨てではなく、満期返戻金がある貯蓄型のタイプで、返戻率(払い込んだ保険料に対し、満期で戻ってくる金額)が高い保険に加入します。
たとえば私が加入している生命保険は、60歳まで払い込み65歳で受給すれば、返戻率が105%を超えます。個人年金は60歳以降の受給で110%を超えます。
年間8万円以上保険に入っても税制上はメリットがありませんので、年間の保険料支払額が各々8万円を超えるギリギリの金額で加入すれば(月々7000円弱)、少ない出費で最大の控除を受けることができます。
■支払い方法でさらに得をしよう
さらに、これらの保険料はクレジットカードで支払うことができ、カードのポイントもつきますから、1%ポイント還元のカードなら利回りはプラス1%アップ。
こうして、最大控除の最小金額で加入すれば、年利10%近い利回り商品となり、これが保険料を払い込んでいる期間ずっと続きます。定期積立などをするよりも断然有利となるのがおわかりいただけると思います。
なお前述したDCそのものにも生命保険機能があり、加入者が障害状態になれば「障害給付金」が、死亡すれば「死亡一時金」が支払われます。
そこで、あくまで私が考える優先順位ですが、まずDCで保険に加入し、家計の余裕があればプラス個人年金、まだ余裕があれば生命保険(子どもがいれば学資保険もOK)、か医療・介護保険、の順です。
医療保険の多くは掛け捨てなので、がん家系などでなければ、前二者だけでもよいと思います。
もちろん、いずれも所得控除が受けられる範囲の最小金額であることが前提です。
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米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。
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(米国公認会計士 午堂 登紀雄)
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