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頭のいい子は「夏休みの過ごし方」が違う…東大生が「勉強計画はコンビニのチェーン展開と同じ」と説くワケ

プレジデントオンライン / 2023年8月4日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Spauln

夏休みの学習計画はどう立てればいいのか。マンガ『ドラゴン桜』では、スケジュールを立てる時に陥りがちな「固定観念」を紹介している。現役東大生ライターの布施川天馬さんが解説する――。

■40日という膨大な時間が「自分次第」となる夏休み

ついに夏休みの季節がやってきましたね。みなさんは学生時代、どのように夏休みを過ごしていたでしょうか。

毎日遊び歩いていたという人も、逆に勉強漬けの毎日だったという人もいるでしょう。僕のように、部活漬けの日々を送っていたという人も多いかと思います。どのような過ごし方をしても楽しく過ごすことができるのが夏休みの魅力的なところですよね。

とはいえ、それで学習がおろそかになってはいけません。約40日間という膨大な時間をどう使うのか、すべてが自分次第であるからこそ、夏を効率的に使ったものは圧倒的な成長を遂げることができます。これは勉強のみならず、部活動や習い事など、あらゆることに当てはまる真理です。

■「夏を制する」計画の立て方

特に受験勉強という面で考えれば、夏休みを無駄にすることはできません。昔から有名な格言として「夏を制する者は受験を制する」というものがあります。これは、「夏という期間をコントロールして過ごすことができれば、受験勉強全体をコントロールすることができる」という意味の言葉。受験勉強という側面から見てみれば、夏休みを無駄にすることは、すなわち不合格を意味するのです。

とはいえ、「うまく使え」と言われても、どう使えばいいのかまでは、なかなか学校でも説明してくれません。いったいどうすれば、夏を制することができるのでしょうか。

それは、落ちこぼれたちが人生逆転をかけ、一念発起して東大を目指すマンガ『ドラゴン桜』でも説明されています。東大受験の立役者である桜木は、生徒たちに対して「夏休みはスケジュールを組んではいけない」と話すのです。

マンガ『ドラゴン桜』
©︎三田紀房/コルク
マンガ『ドラゴン桜』
©︎三田紀房/コルク
マンガ『ドラゴン桜』
©︎三田紀房/コルク

■人の計画には必ず「願望」が入る

実は、夏を過ごす上で絶対にやってはいけないことがあります。それは「9時~11時は数学」「11時~11時半は休憩」「11時半~13時半は英語」のように、夏休みの間過ごすスケジュールをあらかじめカツカツに決めてしまうこと。時間割を決めるようにスケジューリングしてはいけないのです。

なぜならば、人は計画を立てると「願望」が先行してしまうから。「これくらいの勉強はしておきたい」「この程度の量はこなせるだろう」「こんなに勉強すれば十分だろう」という願望や妄想を基にしてスケジュールを組んでしまうのです。

願望が先行したスケジュールをこなすことは、ほぼ不可能です。それは、私たちが人間である以上、仕方のないこと。調子のいい日もあれば、悪い日もあるでしょうし、突発的に家族が病気にかかって看病しなくてはいけなくなることもあるでしょう。もしくは、いきなり友人に遊びに誘われるかもしれません。

■計画通りにいかないとモチベーションも下がる

願望に基づいて立てられたスケジュールは、そういった日々のアクシデントを完全に無視して存在しています。すべての計画が「万全な自分」を基準として作られているので、少しでも不調になったり、アクシデントに見舞われたりすると、たちまち崩壊してしまうのです。

願望から成り立つスケジュールの恐ろしいところは、それが実際は実行不可能なものだったとしても、一見しただけではそうと見抜けないこと。たいていの場合では計画倒れを引き起こしますが、そうなっても「計画が悪かったんだ」ではなく「自分が頑張っていないからだ」と自分を責めてしまいます。そうなっては、次なる計画を立てるモチベーションが湧くはずもありません。

それでは、いったいどのようにして夏を過ごせばいいのでしょうか。

マンガ『ドラゴン桜』
©︎三田紀房/コルク
マンガ『ドラゴン桜』
©︎三田紀房/コルク

■時間割ではなく1日のノルマを設定する

夏を制するための過ごし方のヒントは、桜木いわく「コンビニのチェーン展開の方法」に隠されているといいます。

コンビニは、全国すべての店舗の出店戦略を最初から決めているわけではありません。まずはある戦略を基に一つの店舗を出店し、それが成功した時のみ、それをモデルケースとして2店舗目、3店舗目――と出店を広げていくわけです。

これは、すべて同一の戦略によっていきなり多店舗出店に手を出してしまうと、失敗した時のリスクが途方もなく大きいため。小さなことからコツコツと積み重ねていくことこそが、一つの成功を招くわけです。

同じように、夏を過ごす上でも「一つの成功例を拡大していく」という考え方は非常に有用です。例えば、ノルマ制を導入するなどが挙げられます。夏休みの1日にやるべきノルマを逆算し、1日にこなすべき仕事を決めてしまうのです。

そうして設定したノルマをクリアすることができれば、その日の残りは自由に過ごしてよい、というルールを決める。すると、やるべきことをこなしながら、無理のない範囲で頑張ることが可能になるのですね。

この戦略は、僕も現役の受験生の時に使っていました。当時の僕は、先々のスケジュールを決めることが大変苦手で、1カ月先どころか、1週間先の自分が何をしているかも分からないままで勉強していました。

その代わり、見失わないように決めていたことが2点ありました。一つは「入試本番の日にできるようになっているべき内容」で、もう一つは「その日その日にやるべき内容」です。

■「試験日」という納期までに勉強を終える

受験勉強とは、やみくもにやって合格するモノではありません。大学が出題する範囲の内容をしっかり学習して、出題された問題に正しく答えることができれば、合格するというものです。仕事と同じく、「入試本番日」という納期が設定されており、それまでに必要な内容を頭に入れることができていればオッケー、というものなのです。これは大学受験に限らず、すべての試験について言えることです。

ですから、受験勉強をする上では「どの内容をいつまでにこなすのか」が欠かせません。たとえ勉強していたとしても、それが受験本番で一切出題されない内容だったら、それは全くの無駄になってしまうからです。

そのため、僕は東京大学の2次試験で出題されないであろう数学Iの「データの整理」や英語の「難読単語・イディオム」は一切勉強したことがありませんでした。これは、どうせ出題されないことならば勉強する時間が無駄だと判断したためです。

志望校を研究して導き出した「勉強すべき内容」を、受験本番までに日割りして、やるべき仕事量を導き出す。受験勉強の必勝法はここにあります。ですから、僕は1週間ごとの計画を立てることはしていませんでしたが、受験本番までの日数カウントと、そこまでに終わらせるべき内容を日割りしたものだけは常に把握していました。

■ノルマが終わったら何時であろうと勉強を終えて遊んでいい

僕がやっていたことは、次の通りです。

まず学校に向かう電車の中で「今日は、『数学の過去問を3年分』と『世界史の論述問題を2年分』、あと英語の要約問題を5題解こう」というようにノルマを設定します。そして、やるべき勉強を終わらせたら、何時であろうとすぐに家に帰って遊ぶ。あまりにも早く終わるようなら、次の日以降のノルマ設定の際に参考にしてもいいでしょう。逆に、設定したノルマが終わらなければ、自分の遂行能力を見直して、次の日以降のノルマを立てるときの参考にする。

このノルマは「入試本番の日に自分ができるようにならなければならないこと」と「今の自分の能力」を比較して、足りないと思われる部分を炙り出し、それらを参考にして立てていきます。自分の能力は、模試と普段から頼んでいた添削の結果で把握していました。

模試は、判定を見るのみならず、各科目の、各出題分野の正答率を確認してこそ、初めて役に立ちます。それぞれの分野で、自分がどれだけ得点できているのか、「得意」「苦手」のような印象論に頼らず、客観的な視点から明らかにしてくれるのです。

■「成功した1日」を翌日、翌々日に広げていく

受験生時代の僕の場合だと「いまの数学の過去問の完答率は4割程度だから、本番までに7~8割まで上げたい。そのためには、苦手なベクトル分野の正答率をもっと上げなくてはいけない。ベクトル分野で得点するためには、もっと基本的なところから、具体的には青チャートのレベル5クラスの問題からベクトルの問題を復習していかなくてはいけない。だから、青チャートのレベル5のベクトルの問題をすべて復習しよう」というようにしていました。目標からさかのぼるようにして、どんどん逆算していくのです。すると、目標を1日あたりのノルマまで分割することができます。

毎日のノルマ制という仕組みは、ここでも役に立ちます。先ほども言ったように、ノルマとして設定した「やるべきこと」をこなしさえすれば、後は遊んでも構わないという仕組みは、メリハリをつける上で有用だからです。多少遊ぶことによって、日々の生活の中でストレスを解消することができますし、危機感を持ちながら毎日机に向かうことができるようになります。

だからこそ、夏休みのような長い期間を相手にする際には、最初からすべての計画を立てるのではなく、1日ごとのミニマムな成功パターンを全体に広げていくという方法を取ったほうが良いのです。

■「完全無欠な計画」を立ててはいけない

計画を立てるときに、ついつい自分の願望を先行させた「完全無欠な計画」を立ててはいないでしょうか。そうした計画は、しばしば自分の計画遂行を手助けするどころか、逆に邪魔してくる存在になりえます。

1カ月、2カ月という長い期間の中で納期を守ることを要求されているのであれば、やるべきことから逆算した目標を日割りして、1日ごとのノルマを立てて、それを地道にこなしていくという方法が、より適しています。

ムリに計画にこだわらず、1日ごとの柔軟なプログラムを組む方が、場合によっては仕事が進むかもしれません。長期的に勉強をする際には、ぜひ参考にしてみてください。

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布施川 天馬(ふせがわ・てんま)
現役東大生ライター
世帯年収300万円台の家庭に生まれ、金銭的余裕がない中で東京大学文科三類に合格した経験を書いた『東大式節約勉強法 世帯年収300万円台で東大に合格できた理由』の著者。他にも『人生を切りひらく 最高の自宅勉強法』(主婦と生活社)、『東大大全』(幻冬舎)、『東大×マンガ』(内外出版社)、『東大式時間術』(扶桑社)などがある。

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(現役東大生ライター 布施川 天馬)

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