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「飲み会の後に締めのラーメン」で脳の血管はゴミだらけ…脳をどんどん老化させる4つの悪習慣

プレジデントオンライン / 2023年8月4日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/captainsecret

脳の老化を防ぐことはできるのか。認知症予防医の広川慶裕さんは「喫煙は、血流に悪い影響があるだけでなく、脳の認知機能を司る大脳皮質を薄くしてしまうので、いますぐやめるべきだ。糖質やアルコールも脳の機能を低下させるリスクがあるため、取り過ぎには注意してほしい。」という――。

※本稿は、広川慶裕『脳のスペックを最大化する食事』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の一部を再編集したものです。

■実年齢は40代なのに「脳年齢は80代」

脳の老化はとうぜん、加齢によって進行します。60歳以降になると、どうしても加齢によって脳細胞が萎縮していきます。本書では、この脳の萎縮のスピードを遅くし、萎縮そのものを予防する方法をお伝えしたいと考えています。

まず、脳の萎縮を遅くする方法があるわけですから、その逆に、脳の萎縮を早めてしまうこともあるということはイメージできるかと思います。実際、若い人でも生活習慣によっては脳の老化が進んでしまうことがあります。私がクリニックで診察した患者さんのなかに、若年性認知症の人がいました。実年齢は40代でしたが、脳の萎縮が進んでおり、MRIで検査してみると、80代並みの状態になっていました。

脳の老化を進行させてしまうメカニズムを見てみると、主な要因は決まっています。実際に患者さんを診察していても、ある要因が共通点として見られるのです。脳が老化するメカニズムを知ることは、脳のパフォーマンスを高めるために必須の条件です。

さて、脳の老化を早める要因は4つあります。1つずつ解説していきましょう。

■お酒、ラーメン、スイーツは糖質たっぷり

【脳が老化する要因①】糖質を過剰に摂取している

糖質の過剰な摂取は、脳を老化させる原因となります。糖質は細胞が活動するエネルギー源になりますが、これも取りすぎはよくありません。暴飲暴食をしてしまうときは、たいてい糖質が多いものを食べています。

ちょっと思い出してみてください。お酒はその多くに糖質が含まれています。さらにお酒を飲んだ後の締めのラーメン。麺には糖質がたっぷり含まれています。お酒を飲まない人でも、甘党であれば甘いお菓子を食べていたりしますよね。もちろん、スイーツだって糖質たっぷりです。ついつい食べすぎたり飲みすぎたりする「魅力的な食べ物」の多くに、糖質がふんだんに含まれています。

糖質の取りすぎには、脳の認知能力を低めるリスクがあります。糖尿病になると、脳梗塞など脳のトラブルのリスクが高まるという話を聞いたことはないでしょうか? 糖質の取りすぎは、動脈硬化など血管の老化を進め、認知機能の低下をもたらします。しかもやっかいなことに、糖質の取りすぎが、さらなる高血糖状態のスパイラルを引き起こします。

■「糖質不足」と勘違いし、さらに糖質が欲しくなる

具体的にはどのようにして悪循環が起こるのでしょうか。

まず、糖質を取ると血糖値が上がります。それに対して、カラダはインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。インスリンは血糖を調節する働きを持つホルモン。血糖を細胞に吸収させて、血液中の糖を減らす働きをします。血糖値は高すぎても低すぎても健康に良くありません。そのため、血糖値が高まるとそれを下げて一定に保とうとする機能が人間には備わっているのです。ここまでは正常なカラダの反応であり、問題はありません。

しかし、インスリンがせっかく血糖値を下げてくれたのに、ストレスから暴飲暴食をしたりして、さらに糖質を取り続けてしまう人も多いのではないでしょうか。慢性的に糖質を取り続けると、血糖値の上昇を抑えてくれるはずのインスリンの作用が鈍くなる「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態になってしまいます。

細胞の中には、「インスリンレセプター」と呼ばれるタンパク質群があります。インスリンレセプターには、インスリンと結合して糖を細胞に吸収するという働きがあります。しかし、血中の糖が増えすぎると、細胞はインスリンレセプターの数を減らします。これは、糖が細胞に入りすぎるのを防ぐためです。その結果、細胞中の糖が少なくなります。

すると、実際以上に細胞内に糖質、すなわちエネルギーが足りていない飢餓状態だと脳が勘違いしてしまいます。その結果、「もっと糖質を食べないと」という命令が脳から下され、さらに糖質を取りすぎることに……。まさに悪循環です。

結果として、脳の血管に不要なゴミが溜まり、さらに脳内の動脈硬化が起こり、脳の老化がますます進んでしまうというわけです。

■活性酵素の存在自体は悪いものではないが…

【脳が老化する要因②】体内の活性酸素が多すぎる

活性酸素は、細胞内でエネルギーを産生する役割を持つミトコンドリアの働きを阻害します。ミトコンドリアは脳細胞をはじめ全身の細胞中に存在する小器官で、「TCAサイクル」というエネルギーを産生する経路を通って、摂取した栄養をエネルギーに変えてくれます。

この一連の流れが、いわゆる「代謝」と呼ばれるものです。そして、ミトコンドリアが代謝を行っていく過程で、エネルギーと一緒に活性酸素が発生します。

活性酸素には、体外からの細菌などを無毒化するという有用な働きもあります。つまり、活性酸素の存在自体が悪いものというわけではありません。

■有酸素運動をすると活性酵素が大量発生

しかし、活性酸素が体内に多くありすぎると、ミトコンドリアの機能を阻害する働きをしてしまいます。この活性酸素によって脳細胞や体内の細胞が傷つけられる過程を「酸化」といいます。細胞が酸化することをたとえて言うなら、鉄にサビがつくようなもの、とイメージしていただくといいかもしれません。

エネルギーを生むミトコンドリアには、活性酸素の悪影響を受けやすい、酸化されやすいなどの弱点があります。また、ミトコンドリアの機能は40歳ぐらいから徐々に低下し、80歳になると40歳時の60%ぐらいの働きしかできなくなってしまいます。

活性酸素の影響を受けたり機能が低下したりすると、ミトコンドリアは代謝をスムーズに行えなくなるため、体内で作られるエネルギーが減少することになります。

このミトコンドリアでのエネルギー不足が、脳の機能低下を引き起こしてしまうのです。

また活性酸素は、ハードなマラソンなど負荷の高い有酸素運動でも大量に発生します。有酸素運動とは、酸素などをエネルギーにして継続的に筋肉を使う運動のこと。ということは、脳機能を保つためにも、あまり激しい長距離走を行うことはおすすめできません。

ジムでランニング
写真=iStock.com/nd3000
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nd3000

■緑黄色野菜はたくさん食べたほうがいい

同じ有酸素運動でも、ウォーキングや縄跳びなど、ハードすぎない内容の運動であれば、活性酸素の心配は不要です。また筋トレは有酸素運動ではなく無酸素運動ですが、ある程度の活性酸素が生まれます。

体内の酸化には、運動のほかに食べ物も関係してきます。食べるものに気をつけて「抗酸化物質」を摂取していれば、細胞の酸化を防ぐことができます。

食物に含まれる抗酸化物質のことを「スカベンジャー」と呼びます。スカベンジャーは活性酸素の攻撃から身を守ったり、活性酸素で傷つけられた細胞を修復したりします。

みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが、ビタミンCやポリフェノールなどが代表的なスカベンジャーです。スカベンジャーは緑黄色野菜に比較的多く含まれていますが、私は現代人にとって必要な量は食事から取るだけでは足りないと考えています。もちろん糖質中心の食生活を送っているなど、摂取している栄養に偏りがあるとスカベンジャーをほとんど摂取できず、細胞は活性酸素の攻撃を受け続け、脳の老化の原因となってしまいます。

■睡眠不足で脳の老化が進むメカニズム

【脳が老化する要因③】睡眠が不足している

睡眠不足ももちろん、老化を進める原因となります。睡眠が足りていないと、脳内ホルモンの分泌のバランスが崩れるだけでなく、睡眠中に脳内から排出されるアミロイドβ(ベータ)と呼ばれる老廃物が排出できないまま蓄積してしまうからです。

脳内には、リンパ系に似た働きをする「グリンパティックシステム」という循環システムがあります。脳で重要な役割を果たす「グリア細胞」が睡眠中に少し縮み、その隙間を使ってアミロイドβのような老廃物を排出することが研究によってわかっています。

睡眠不足は、このグリンパティックシステムの働きを不十分にしてしまうのです。アミロイドβは、いわば神経細胞の周囲に溜まったゴミ。この物質の蓄積は、アルツハイマー型認知症の発症と密接なかかわりがあるとされています。

■認知能力を下げるタバコはいますぐやめるべき

【脳が老化する要因④】喫煙・飲酒が習慣化している

喫煙も血流や大脳皮質に悪影響を与えます。まずタバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素によって血管が収縮し、血流が悪化します。

さらに一酸化炭素は血液の粘度を高めるため、動脈硬化の原因となります。加えて、喫煙は血流に悪い影響があるだけでなく、脳の認知機能を司る大脳皮質を薄くしてしまうこともわかっています。大脳皮質がダメージを受ければ、とうぜん認知能力も下がります。喫煙が習慣になっている人は、いますぐやめるべきです。認知能力が下がってしまうと、どうなるか――それはここでは説明しないでおきましょう。

また喫煙だけでなく、アルコールの飲みすぎも脳を萎縮させ、その機能を低下させる原因です。アルコールの大量飲酒と認知症の関連を示すような論文も多数発表されています。とくに高齢になると、加齢により脳はアルコールの影響を受けやすくなると言われています。

アルコールは、睡眠にも悪影響があります。

広川慶裕『脳のスペックを最大化する食事』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
広川慶裕『脳のスペックを最大化する食事』(ハーパーコリンズ・ジャパン)

そもそも睡眠は、浅い睡眠レベルの「レム睡眠」と深い睡眠レベルの「ノンレム睡眠」に分けられます。私たちはノンレム睡眠の間に脳を休息させているのですが、適量以上にアルコールを飲んでしまうと眠りが浅くなり、脳の疲労回復に悪影響を及ぼします。読者のみなさんのなかにも、居酒屋をハシゴするなどしてお酒をたくさん飲んだ夜に、どうにも寝つきが悪く、何度も深夜に目が覚めてしまった経験をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん適量を守れば、アルコールはストレス解消の効果があり、メンタルのリフレッシュにも役立ちます。お酒の摂取量の目安は、アルコールにして20グラム、ビールなら500ミリリットル、ワインならグラス2杯、日本酒なら1合程度までとするべきでしょう。

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広川 慶裕(ひろかわ・よしひろ)
精神科医、認知症予防医
京都大学医学部卒業。認知症やうつ病、統合失調症などの精神疾患治療に携わる。メンタル産業医としても活躍中。認知症予防専門クリニック・ひろかわクリニック、品川駅前MCI相談室院長。著書に『もの忘れ・認知症が心配になったら読む本』『運転の認知機能を鍛える本』(池田書店)、『図解でよくわかる 今すぐできる認トレで認知症は予防できる!』(河出書房新社)『「認トレ®」で防ぐ認知症 完全4週間メソッド』(時事通信社)『脳が若返るまいにちの習慣』(サンマーク出版)など多数。

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(精神科医、認知症予防医 広川 慶裕)

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