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「和食は健康的」は勘違いだった…アルツハイマー病と糖尿病を引き寄せてしまう"和定食"の魔力【2023上半期BEST5】

プレジデントオンライン / 2023年8月8日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

2023年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活部門の第3位は――。(初公開日:2023年6月27日)
病気を遠ざけるためには食事内容をどのように改善すればいいのか。糖尿病専門医の牧田善二さんは「健康的に見えて実は糖尿病やアルツハイマー病を量産してしまうのが和食。それ以外にも隠れ糖質を含むメニューは多いので注意が必要だ」という――。

※本稿は、牧田善二『糖尿病専門医だから知っている アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■健康的に見えて実はアルツハイマー病を量産する食事

アルツハイマー病を予防したいと考えたときに、最も重要なのが「食事」です。アルツハイマー病に限らずどんな病気でも、食事内容を改善することでかなり予防効果が期待できます。

私がこう述べると、「自分は健康的な食事を心掛けているから大丈夫」と胸を張る人が一定数います。彼らに詳しく話を聞いてみると、その多くが「和食だから健康的」と考えていることがわかります。

しかし、それは大間違いなのです。

もちろん、和食にも素晴らしい要素はあります。たとえば、納豆や豆腐のような大豆製品、魚、海藻、キノコ、野菜類をたっぷり使ったおかずは健康的です。

ただ、定食であるなら、そこに、味噌汁とご飯が付きますね。味噌は優れた発酵食品ですが、塩分が高く血圧を上げます。

そして、何よりいけないのがご飯です。炊きたての白米は本当に美味しいですが、インスリン抵抗性を起こす大きな原因となります。つまり、ご飯の多食は、アルツハイマー病も糖尿病も引き寄せてしまうのです。

その理由を説明しましょう。

ご飯やパン、麺類などの炭水化物は「多糖類」といって、ブドウ糖が連なったつくりをしています。甘い砂糖は「二糖類」で、2つのブドウ糖からなっています。

多糖類も二糖類も、口から食べて消化する過程で、全部1つ1つのブドウ糖に分解されます。要するに、ご飯を食べるのと砂糖をなめるのは、結果的に同じ行為というわけです。

もちろん、白米に限らず玄米も、うどんもそばもラーメンも、全粒粉を使ったパンやパスタも、全部、糖質の塊です。それらを食べれば、分解されたブドウ糖が小腸から血液中に吸収されます。すると、インスリンが分泌され、まずはブドウ糖をグリコーゲンに換えて肝臓や筋肉に貯蔵します。ただ、その容量が少ないために、余ったブドウ糖は中性脂肪に換えられ脂肪細胞に貯蔵されて太ります。

いずれにしても、こうした作業をするためには、インスリンがたくさん必要で、それを繰り返しているうちに、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性に陥ります。ということは、「糖質が多い食事=太りやすい食事=インスリン抵抗性を起こす食事=糖尿病になりやすい食事=アルツハイマー病になりやすい食事」なのだとわかるでしょう。

和食は総じて炭水化物(糖質)が多く、おすすめできません。

■カロリー制限不要、必要なのは糖質制限

さまざまな研究から、アジア人は欧米人と比べて糖尿病に罹りやすいことがわかっています。その理由が、白米の摂取量にあることもわかっています。

2013年にハーバード公衆衛生大学院のチームが、日本、アメリカ、オーストラリア、中国の4カ国で行なわれた、計35万2384名分の研究報告を分析した結果を発表しています。

それによると、1日当たりの白米摂取量が茶碗1杯増えるごとに、糖尿病のリスクが11%上昇することが明らかになったのです。実際に、世界中で糖尿病は増えているものの、その増加率は中国や日本など白米を多食するアジア地域において顕著です。

こうしたことからも、糖尿病対策として重要なのは炭水化物摂取量を減らすことなのは間違いありません。

ところが、いまだにカロリー制限をもとにした食事指導を行なっている医療機関がほとどです。しかし、血糖値をコントロールするために、カロリーなんて気にする必要はありません。同じことが、アルツハイマー病予防にも言えます。

インスリン抵抗性を起こしてアルツハイマー病に近付くのを避けたいなら、日頃から気にしなければならないのはカロリーのことではなく、糖質摂取量についてです。

卵かけごはん
写真=iStock.com/studiocasper
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/studiocasper

■炭水化物の摂取がアルツハイマー病の進行を早める

ここで、「食品成分表」から3つの食材のカロリーをピックアップしてみましょう。

ご飯150グラム(ご飯茶碗1杯)は約240キロカロリーです。
牛ヒレ肉150グラム(ステーキ1枚)は約335キロカロリーです。
オリーブオイル36グラム(大さじ3杯)は約333キロカロリーです。

カロリー制限が必要だと主張する人たちの理論に従えば、肉や油を摂取するより白米のほうが安全ということになります。しかし、実際には、血糖値を上げるのは肉でも油でもなく、白米だけです。

消化の過程で、炭水化物がブドウ糖に分解されることはすでに述べてきました。同様に、肉などのタンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とモノグリセリドに分解されます。アミノ酸も脂肪酸もそれぞれ大事なはたらきをしますが、血糖値を上げることにはまったく関与しません。

血糖値を上げなければ、インスリン抵抗性は起きません。インスリン抵抗性が起きなければ、アルツハイマー病を遠ざけられます。

このように、中年と言われる年代になったら、むしろタンパク質や脂質を積極的に摂り、ご飯やパン、麺類などの炭水化物の摂取量を減らしていくことが健康の秘訣(ひけつ)です。

■隠れ糖質にはご用心

糖質制限の重要性を理解してくれたあなたが、好きなラーメンを我慢したり、ご飯の大盛りをやめたとしても、ほかのところで知らず知らずのうちに糖質を摂ってしまっていたら努力も台無しです。

牧田善二『アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)
牧田善二『糖尿病専門医だから知っている アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)

実は、意外な食品に「隠れ糖質」が潜(ひそ)んでいます。

たとえば、カレーやシチューのルウなどには、かなりの小麦粉が使われています。シューマイやギョウザは皮が曲者です。野菜は総じておすすめですが、ジャガイモやカボチャは糖質が多いので摂りすぎには気を付けたほうが良いでしょう。健康に良いはずのヨーグルトも、加糖タイプは思っている以上に多くの砂糖が入っています。プレーンタイプに替えましょう。

図表1に代表的な食品の「隠れ糖質度」を示しておきましたから、それを参考に、糖質の少ない食事を心がけてください。

【図表】代表的な食品の「隠れ糖質度」
出典=『糖尿病専門医だから知っている アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)

その上で、「今日から一切口にしない」と決めてほしいのが、液体の糖質です。コーラなどの清涼飲料水、缶コーヒー、エナジードリンク……、こうしたものには、恐ろしいほどの糖質が含まれています。

缶コーヒーでOKなのはブラックタイプだけ。微糖を謳(うた)っている商品も、実は糖質の塊です。エナジードリンクを飲むと元気になったと感じるのは、カフェインの力はもとより、含まれている糖質によって一時的に血糖値が上がっているからです。本質的には、元気になっているどころか、不健康に向かっています。

こうしたことを理解した上で、コンビニで飲み物を買うときには、迷うことなくミネラルウォーターか糖分の入っていないお茶の棚を目指しましょう。糖質摂取量を減らす小さな習慣の積み重ねが、あなたをアルツハイマー病から遠ざけてくれます。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。 2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。 著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。

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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

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