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どれだけ口下手な人でもスラスラと話し出す…「プロの聞き手」が使っている"3種類の合いの手"とは

プレジデントオンライン / 2023年8月16日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/South_agency

会話を盛り上げるにはどうすればいいのか。構成作家の永田篤さんは「相手のしゃべるモチベーションを上げるためには合いの手をうまく使うことが大切だ。『それで?』の一言でも、大きな効果を発揮することがある」という――。

※本稿は、永田篤『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■合いの手をうまく使えば会話の方向を左右できる

ラジオにおける合いの手とは、けっして会話の主導権は取らないものの、会話の方向を左右させるものです。

基本的に、トークは話す人・聞く人の2人でするものだと思っています。しかし、ラジオの場合、1人しゃべりというジャンルが存在します。2人でのトークは誰しも経験あると思いますが、1人しゃべりはラジオをやるまで、基本的に未経験で苦手だと思います。1人しゃべりのときに話しやすくサポートし、そしてリスナーさんにとっても分かりやすく聴き心地のいいものにするのが、合いの手の存在だと思っています。

そんな、意外と大事な合いの手の中で、僕が特に使っているものをいくつかご紹介します。

■集中して聞くべきところかどうか、話の冒頭で判断する

(1)聞いていることを示す

「うんうん」「ほぉ」などは聞いていることを示して、「次は?」の意味を含んでいます。パーソナリティは、リスナーさんの顔を直接見ながらトークできないことが多いです。そんな中でも「自分の話を聞いている人がいる」と安心して話し続けてもらえるように、と思って、これらの合いの手を入れています。

(2)トークの補足をする

疑問形の合いの手では、思ったことを短く口に出します。聴いている人の大多数が疑問に思うことは、その場で質問したほうが聴きやすいラジオになると思いますから、トークの補足という感じでしょうか。

疑問形の合いの手を入れるためには、パーソナリティのトークを一言一句注意深く聞いて、内容もちゃんと理解しないといけません。

みなさんも、学校やお仕事などで、人の話を聞かないといけないことがあると思います。短い時間なら、全集中して話を聞きましょう。しかし、仕事で説明やプレゼンを受けるとき、校長先生の朝のあいさつなど、とても長い話の場合、疲れないように、自分の中でほどよく聞くことを休むのも手だと思っています。ここは聞くべきところ、聞かなくてもいいところというのを話の冒頭で判断できると、より楽ができると思います。集中して話を聞くのにはめちゃくちゃ精神力・体力が必要です。いい感じに自分を休ませることも人生には必要ですよ。

【図表1】合いの手の効果と例
『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)より

■「それで?」「なんで?」「へぇ~」で相手は話しやすくなる

(3)感情を代弁する

パーソナリティのボケに対して、僕が少しツッコミ気味に「なんでやねん」と口にすることもありました。ツッコミ的なワードは、聴いているリスナーさんが思うであろう感情の代弁でもあります。絶対にみんなこう思うだろうなと思ったことは、短い言葉で口にするようにしています。その場でリアクションできるのは自分だけですので、重要な役割だと思っています。

合いの手が重要なのは、ラジオ以外のシチュエーションでも同じです。おしゃべりが苦手な方との会話では、積極的に合いの手を入れてあげましょう。聞いている人の合いの手ひとつでしゃべりやすくなるはずです。ちゃんと聞いてくれていると感じるだけで話すモチベーションが上がるでしょうし、続きの話を早く知りたいときは「それで?」、疑問に思ったときは「なんで?」、感心したときは「へぇ~」など、少しの合いの手を入れるだけで、話を展開しやすくなるのではないでしょうか。

聞き上手はモテるってよくいいますよね? 合いの手上手はモテる、これからそうなっていけばうれしいです。現状モテない僕が言っても説得力がないですが。

■しゃべりすぎてはいけない場面もある

しかし、僕のお仕事に限っての話ですが、合いの手の入れすぎには気をつけています。このあたりは感覚になってきますね。

リスナーさんは確実にパーソナリティの話を聴きたいわけで、僕のしゃべりを聴きたいわけじゃないですから。まれに「構成作家さんももっと話してほしいです!」などのメールやツイートも見かけます。心の中でうれしいなと思いつつも、この意見はほんの一部、しゃべるべきではないと思っています。

そもそも、関係が深くなってくると、過剰に構成作家に話を振るパーソナリティさんがいらっしゃいます。そこで作家がしゃべりだしてしまったら、どんどん作家の言葉数が増えていくと想定しています。あくまで作家はしゃべらない人、というスタンスは変えてはいけないと思っています。自分の発言がウケたときはうれしいですし、「ガイさん」「(番組名) 永田」「(番組名) 作家」などでツイッターにてエゴサーチもしますが、自分は黒子、自分は黒子と何度も復唱して、たとえ発言がウケたとしても自分の手柄にせず、黒子精神を忘れないように心にとめています。

■一番よくしゃべるのは誰か? 3人で話すときのポイント

ラジオにおいて、3人でのトークをする場合、また状況が変わってきます。

3人でのトークは、1人がしゃべって、2人がバランスよく聞き役になれればいいですが、「しゃべり役」「聞き役」「黙って聞く人」に分かれがちです。リスナーさんは、バランスよくみんなの話を聴きたいと思いますから、僕は構成作家として、黙って聞き続けているメンバーがいないように、あえて一番しゃべってない人にカンペを出して、質問をさせて、会話に入らせたりします。

僕はタレントさんのラジオ番組を始めるとき、事前にできるだけ情報を収集します。グループで活動している人のラジオは、ランダムに選ばれたメンバーが何人かの組み合わせで担当するというスタイルが多いです。そうなると、それぞれ関係性は違うので、大げさかもしれませんが、毎回新しい番組をやっているようなものなんです。

・AさんとBさんの関係は?
・BさんはCさんのことをどう思っている?
・CさんとAさんはどちらがよくしゃべる?

まずは、このようにお互いの関係を理解しておくことが大事です。中でも一番重要なのは、誰がよくしゃべる人か、ということです。これはラジオ以外のお仕事でも分かっておくといい情報だと思います。自分がCさんだとして、Aさんはよくしゃべるけど、Bさんは口数少ないな、ということが分かれば、当日できるだけBさんに話を振ってみよう、などと対策を打つことができるからです。

ミーティングをする3人
写真=iStock.com/Rossella De Berti
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rossella De Berti

■本番前の雑談から現在の関係性を推察する

ラジオに参加するメンバーが決まった段階から、僕はネットや過去の雑誌情報などをチェックします。

たとえば、ある番組が始まる前には、知り合いの雑誌編集者の方にごちそうして、下積み時代のお話や、雑誌を読んだだけでは分からない情報も詳しく聞かせてもらいました。誰と誰が特に仲がいいとか、こんな話題が盛り上がるとか、さらに、このコンビが熱い! このコンビはひそかに熱い! あまり普段からまないこのコンビが来たら激アツ! などなどの情報は、その後の番組構成でも役立っているのでは……と思います。

とはいえ、人の関係性はずっと同じではなくどんどん変わっていくもの。収録前の雑談やからみを見て、最新の関係性を想像し、自分の中の情報を更新していきます。

■パーソナリティが出演するテレビ番組をチェックして情報収集

パーソナリティの方が出演されるテレビ番組は積極的にチェックしています。バラエティならラジオでのトークネタになる可能性が高いですし、ドラマでもリスナーのみなさんから感想メールをいただきますので、メールを選ぶ僕が観ているかどうかで選び方も変わってくると思いますから。これも一種の情報収集ですかね?

でも、ラジオでご一緒している方のラブシーンはいまだに緊張してしまいます。ドラマを観ていて思わず、「わぁ!」とか「おいおいおい!」とか、声が出てしまうこともあったりなかったりです。

芸人さんでよくある話なのですが、裏ではほとんどしゃべらないコンビの方もいます。しゃべらない詳しい理由は分かりませんが、打ち合わせ段階で仲が悪そうに感じたら、自分ががんばってしゃべって場を温めようとします。まあ、だいたい芸人さんは収録を回し始めたら何もなかったかのように饒舌におしゃべりするんですけどね。プロやなあって感じます。

■あえて自分が黙ることで2人の様子を見る

ラジオ以外でも、自分を含めた3人で話すことがあれば、一瞬黙ってみて、2人のやりとりで関係性を推測します。

永田篤『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)
永田篤『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)

もしお1人が電話やお手洗いなどで席を外したりして、もう1人の方と話すタイミングがあったら、僕は席を外した方について質問するかもです。ふざけていい空気なら「お2人はつきあっていらっしゃるんですか?」とか聞いてしまうかもしれません。

仕事での会話なら、誰がこの話の決定権を持っているのかを知ることが大切です。分かりやすく「プロデューサー」と決まっていればいいですが、実際は他の方が強い発言力を持っている場合もあります。何かを決定するとき、その方が「これいいですね」的な言葉を発したら決定の方向に進むような方です。業界にはそんな方が存在しがちです。

会話の中でその力を持っている方の存在に早めに気づけば、お仕事でも有利に話を進めることができるのではないでしょうか。初めて参加する打ち合わせ・会議は入ってくる情報量が多くて、ただでさえ緊張するのに気が抜けません。事前に準備しておいて、当日の負担を減らして臨みましょう。

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永田 篤(ながた・あつし)
構成作家
三重県出身。東京都在住。小学6年生頃からラジオを聴き始める。大学では放送研究会に所属。構成作家として、「国分太一 Radio Box」、「KちゃんNEWS」、「Kis-My-Ft2 キスマイRadio」、「Snow Manの素のまんま」、「らじらー!サンデー」、過去に、オテンキのりと乃木坂46田村真佑の「レコメン!」、「大竹まこと ゴールデンラジオ!」などの人気番組を担当。

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(構成作家 永田 篤)

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