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「最近、どこに行きましたか?」と聞いてはいけない…プロの聞き手が使う「盛り上がる雑談」の絶対ルール

プレジデントオンライン / 2023年8月18日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/jacoblund

雑談を盛り上げるにはどうすればいいのか。構成作家の永田篤さんは「『最近、どこに行きましたか?』と聞かないほうがいい。そう聞くと『どこにも行ってない』と返したくなる。『最近、どこか行ってきたんじゃないですか?』とYES前提で聞けば、会話につながりやすい」という――。

※本稿は、永田篤『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「最近何かありました?」が最強の質問である理由

ラジオの定番コーナー・フリートークは、何もなしの状態からは始められません。

普段もっとも使いがちなつくり方は、構成作家からの「最近何かありました?」という質問を打ち合わせでパーソナリティに投げかけるのが基本でしょうか。

あるラジオでは、打ち合わせで、パーソナリティさんの「今日フリートーク何話そうか?」をきっかけに、たとえば次のような感じに僕が立て続けに質問をして、最近の記憶を探っています。

「最近、どこか行ってきたんじゃないですか?」
「すごい人に会ったんじゃないですか?」
「すごいもの買ったんじゃないですか?」
「おいしいもの食べたんじゃないですか?」
「何か気づいたことがあったんじゃないですか?」

そうすると、だいたい、「そういえばこの前……」という風に、お話しできそうなことが見つかります。YES前提で質問する形なので、このほうが記憶を掘り起こせるのではと思っています。「行きましたか?」だとすぐに「行ってない」と返したくなりますので。

■“ラジオの帝王”伊集院光のフリートークは何がすごいか

そこからは、基本的にパーソナリティさんの記憶からフリートークを構成していき、たまに分からない部分や疑問・質問があった場合、構成作家が質問して、フリートークをつくり上げていきます。この作業ができるかどうかは、ほとんどパーソナリティさんの才能によります。まったくのウソ話、つくり話をすることは僕の知る限りではありません。話を盛ることはあるかもしれませんが、それはパーソナリティさんの頭の中のことなので、構成作家には分かりません。

過去に、「自分のおばあちゃんが気合を入れるときオロナミンCを飲む」というエピソードを話すときに、フリートークが終わった後、「実は自分のおばあちゃんじゃなく、嫁さんのおばあちゃんの話なんですけどね」と告白されたことがありますが、まあ、大きく考えたら間違いでもないので、かわいいもんです。

ラジオ界の帝王・伊集院光さんが行われている、深夜ラジオのオープニングで、「最近気づいたこと!」から一言報告して、その後のフリートークにつなげる、という手法は、ものすごくよくできているなと思います。気づいたことがタイトルのような意味合いを持ち、フリートークの中のどこかで、なぜそう気づいたのか回収される。これから始まる伊集院さんのフリートークへの期待感も高まりますし、素晴らしい構成だと思います!

僕が中学生の頃からずっと深夜ラジオを続けている伊集院さんは今も変わらず尊敬の存在です。今もお会いしたら緊張すると思います。

■話のネタに、朝からパチンコに行くもトークはNG

ほとんどないですが、まれにパーソナリティさんが話そうとしていることが放送に適さない場合があります。放送コードに抵触しそうな話であったり、その方が抱えているスポンサーさんとの兼ね合いであったり。

昔、一緒にラジオをやっていたある芸人さんがパチスロの台になるということで、その芸人さんと仲が良かった僕は、導入初日に朝一でホールの行列に並んで、一緒に打ったことがあります。もちろん、ラジオのフリートークで話すことを見越して打ちに行ったのですが、この話を放送で話そうとしたら、マネージャーさんからNGが出まして。なんでも、ひとつのスポンサーさんをサービスすると、他のスポンサーさんに申し訳ないから、という理由でした。

■何を話せばいいか分からないときは「最近どう?」でいい

そういう考え方もあるかぁと驚きましたが、自分が出ている台を打ちに行ったという部分を隠した場合、「ただ仲良し友達とパチスロに行った」というだけの日常トークになってしまうので、泣く泣くその朝一パチスロネタをフリートークで話すのはあきらめました。その日は2人とも勝ったので良かったですが、もし負けていたらもっと愚痴を言っていたと思います(笑)。

話がそれましたね。

みなさんも、会ったばかりだと、仲のいい人とでも何を話せばいいのか戸惑うことはありませんか? トークの入り口は「最近何かあった?」が基本です。「最近どう?」「いい感じ?」などなど、お友達との会話でも質問してあげましょう。僕がしている質問も、よろしかったら参考にしてみてください。

ただし、後輩に対して「最近何か面白いことあった?」と聞いてしまうと、無茶ぶりする悪い先輩になってしまうので、あくまで優しく自然に、ハードルを上げずに質問してあげてください。くれぐれも、高圧的に接してはダメですよ!

おしゃべりをする人たち
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

■相手の好きなものの話をしてウォーミングアップ

オタクのみなさんが好きなものの話をするとしゃべりが止まらなくなるように、好きなものの話をするのは基本的に楽しくて、口が回ります。ラジオ番組の収録前は、パーソナリティさんとその人の好きなものの話をして、場を温めています。ウォーミングアップには最適ですね。

ここでは、3つに分けて、話題づくりのヒントをお話ししたいと思います。

(1)相手の好きなものを知っているとき

定番の入り方は「最近○○やってる?」というセリフからの趣味トークです。「最近『Dead by Daylight』やってる?」「モンスター狩ってる?」「今週のワンピース、ヤバくない?」など、相手の好きなものを知っていると話が早いです。逆に「『FF16』やってます?」などとパーソナリティさんから質問されることもあります。

こんな関係になれると、一瞬で盛り上がりをつくれますね。

パーソナリティによっては、ほんのりとした下ネタも盛り上がるので、そんな話をすることもあります。しかし、下ネタは好き嫌いがあるので、最初に下ネタが出たときのリアクションでよしあしを見ます。本気で大笑いしているかどうか、みたいな感じでしょうか。とあるラジオでは、収録直前のマイクテストで、毎回、放送では言えないような下ネタを言います。いきなり予想外の下ネタを言うとだいたいウケます。

■スマホの裏に貼ったステッカーが会話の糸口になる

(2)相手の好きなものを知らないとき

タレントさんでしたら、ネットなどで事前にリサーチしたり、SNSをチェックしたりして好きなものの情報を探します。

・ 最近しているゲーム
・ お気に入りのアニメ
・ ハマっているVTuber
・ ハマっているもの
・ 食べておいしかったもの

このようなポジティブな話をトークの入り口にして、テンションを上げてもらえたら楽しい放送に近づきます!

好きなものの情報を見つけたら、その好きなもの自体についても調べて話のネタを考えています。そんなことを続けていたら、自然と自分もいろんなことに詳しくなっていくので、勉強になります。楽しいです。

一般の方の情報をネットで得ることは難しいかもしれませんが、みなさんも、知り合いと会う前には相手のSNSをチェックしてみるのはどうでしょうか。そして、相手の好きなものを見つけられたときには、無理のない範囲で、相手の好きなことについて調べてみるのもおススメですよ。

実際に接するときにも、小物とか、トークの端々に好きなもののヒントはあったりするものです。たとえば、これらは、すぐにチェックできて分かりやすいですよね。

・スマホの裏に何のステッカーを貼っているか?
・どんなキーホルダーをつけているか?

ちなみに僕がスマホに貼っているのは「くずパチ」(YouTubeで配信中のパチンコパチスロ実戦バラエティ)のステッカーです。スマホの裏、気にして見てみましょう。

■本番で使うことがなくても事前に情報を仕入れておく

(3)特に好きなものの情報がないとき
永田篤『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)
永田篤『一番「伝わる」会話のコツ だから僕は、しゃべらない』(KADOKAWA)

どうにも好きなものの情報を見つけられない場合には、その方の活動について調べて、相手に感想などを伝えています。たとえばアイドルの方だったら、僕は、新曲を聞いた感想を伝えたり、MVを観た感想を伝えたりしています。「チェックしてくれたんですか! ありがとうございます!」「私のために時間を使ってくれてうれしいです!」など、感激してくれる方もいらっしゃいます。

これはあくまでタレントさん相手のお仕事のお話です。一般の方なら、不自然に相手のことに詳しかったりすると気持ち悪がられる可能性もあるので(特に異性の間では)、ほどほどに。相手の反応を見ながら、接していきましょう。

とはいえ、ゲストさんとの打ち合わせでも、用意していた好きなものの話や楽曲の感想など、言わないことも多いです。備えあれば憂いなしです。準備した知識・経験が全部無駄になるわけではないので、それでいいんですよ。

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永田 篤(ながた・あつし)
構成作家
三重県出身。東京都在住。小学6年生頃からラジオを聴き始める。大学では放送研究会に所属。構成作家として、「国分太一 Radio Box」、「KちゃんNEWS」、「Kis-My-Ft2 キスマイRadio」、「Snow Manの素のまんま」、「らじらー!サンデー」、過去に、オテンキのりと乃木坂46田村真佑の「レコメン!」、「大竹まこと ゴールデンラジオ!」などの人気番組を担当。

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(構成作家 永田 篤)

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