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「働かないおじさんがいて困る」という人こそ生産性がゼロ…「やる気のない人」に対し本当に取るべき態度

プレジデントオンライン / 2023年8月22日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BitsAndSplits

チームに「働かないおじさん」がいたらどうすればいいのか。戦略コンサルタントの山本大平さんは「『働かないおじさん』という言葉を使う人も生産性を生んでいない。自分自身も将来そうなるかもしれない、と考えれば、対応策はみえてくるはずだ」という――。

※本稿は、山本大平『その仕事、生産性ゼロです』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■なぜ「やる気」を失ってしまったのか

Q チームに「働かないおじさん」がいたらどうする?

新しく立ち上がったプロジェクトのメンバーに「働かないおじさん」がいて、対応に困っています。聞けば、若い頃はかなりのやり手だったとか。それもあるのか、何かにつけて「こんなやり方ではダメだ」的な決めつけが多く、そう言われると無視するわけにもいかず。同じチームの一員としてどう接していけばいいのでしょうか。

A 現状を受け入れ、フォローしつつ、やってもらえることを敬意を持って探そう

手取り足取り箸の上げ下げまで教える必要があるような若手社員が配属されてきた、という話であるなら、鍛えれば伸びる余地があるし、うまくいくと大化けする可能性もあるので、積極的に関わることをお勧めするところですが、このケースは悩みますね。

今はチームのなかで困った存在になってしまっているかもしれないけれども、あなたの知らない時代に、会社に貢献されていたのですよね。ただ何かのきっかけがあってやる気がなくなった、そう捉えることもできます。会社員って本当にいろいろありますから。

■活力のある人材だけでやっていくしかない

とはいえ、プロジェクトを一緒に回していかなくてはならないメンバーとしては、働かないおじさん(やる気がなくなった中堅社員)の処遇は差し迫った現実的な問題でもありますよね。

では一体どうすればいいのか。

まずメンバーそれぞれが、活力のある人材だけでやっていくしかないという現状を受け入れること。

こうなったからには、メンバーが互いにフォローする必要があることを確認し合いましょう。逆にやる気のないおじさんの存在のおかげで他のメンバーが「なんとかしなきゃ」と結束するムードづくりをしてはいかがでしょうか。その上で、そのやる気のない社員にもやってもらえる仕事を探し出し、敬意を持って割り当てます。

その人には意思決定を預けたり、大事な会議に出てもらうのは無理かもしれない。でも、例えばご意見番としてプロジェクトの要所要所で会社の過去情報を教えてもらうなど、その人ならではの情報を得ることはできるのではないでしょうか。

働かないおじさん、と言っているあなたも、もしかしたら将来そうなる可能性はあります。何かしらのきっかけとともに。

【生産性ゼロポイント】
働かないおじさん、という言葉を使う人も生産性を生まないことを知ろう

■真剣に仕事に向き合わない部下や後輩

Q 仕事を振った部下がイマイチ働かない。どうすれば?

部下や後輩に仕事を割り振ると、すぐに「もうできません」と言ってきたり、どう手を抜くかを最初から考えたりする傾向にあります。彼ら彼女らが真剣に仕事に向き合うためには、どうしたらいいのでしょうか。

A 「その仕事、他の人に回しますよ」と、いつでも代わりがいることを伝えましょう

最近こういう話はよく聞きますね。ここはムチの出番です。

恐らく誰にとっても嫌なのは、自分の役割がなくなり、自分がやるはずだったことを他の人が担当すること。だから、それをはっきり伝えるのがいい。

「この仕事は急ぎだから○日までに仕上げてくださいね。できない場合は、あなたに代わって○○さんにやってもらうつもりだから、できるかどうかのめどを△日までに示してください」。さらに、「期待しているから、よろしくね」と付け加えておけば、まず、やらない人はいないのでは、と思います。期限までに必死になって仕上げてくるでしょう。

オフィス
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

■誰からも頼られなくなるのが一番怖い

もしもやらなければ、仕事が他の人に回り、自分が信用を失うわけです。組織のなかで働く人間であれば、それだけは避けたいと思うのではないでしょうか。

それでも意に介さず、他の人に回されてもかまわないということであれば、その人からどんどん仕事を剝がしていきましょう。人間って誰からも頼られなくなるのが一番怖い。それは、会社のなかでの自分の存在意義の危機を示しますから、自分の仕事がどんどん手から離れていく状況になったら、さすがに何もしないではいられないでしょう。

頑張った人にはアメをあげるという戦略もありますが、報酬による刺激の効果はどんどん弱くなっていくので、お勧めできません。やはり「いつでも代わりはいるんだよ」というムチでモチベーションを上げるのがいいのではないでしょうか。

【生産性ゼロポイント】
やる気のない人にこそ「ムチ」でモチベーションアップを

■ノーリスクで同僚と心の距離を縮める方法

Q 職場の人とフランクに話せる関係になりたい。どうすれば?

職場の人たちと、あまりかしこまらずにフランクに会話ができる関係になりたいのですが、そのきっかけがなかなかつかめません。テレワークの日も多いし、出社してもそれぞれがパソコンに向かっていて忙しそうなので、話しかけることに気後れしてしまいます。どうしたら心の距離を縮め、気軽に話せる関係になれるのでしょうか。

A 食事会はリスクのない社交場、欠席する理由がありません

そんなときこそ食事会を活用しましょう。

最近の、特に若手のビジネスパーソンのみなさんのなかには、「ランチの誘いや飲み会なんて面倒臭いから行かない」と、はなから否定してしまう人が案外いるけれど、それは大いなる機会損失。

そもそも社内の飲み会に積極的に行きたい人なんているわけない、とまでは言わないですが、ほとんどいないかもしれません。にもかかわらず、先輩世代は声が掛かればむげには断らない人が多いように思います。これはいったいなぜなのか。

居酒屋で乾杯をする仕事仲間
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

■食事のお誘いはむげに断らないほうがいい

それは、食事の場がリスクのない社交場だということを経験上よく知っているからです。お互いのことを理解し、みんなと仲良くなれるまたとないチャンス。飲み会では、数千円の対価を払って数時間その場に身を置き、お酒やソフトドリンクを飲みながら一緒に過ごす。人間関係のエンゲージメントを深めるチャンスです。

ただその場に顔を出すだけで、以降は心理的安全性が担保されやすく、人間関係がうんとラクになるはずです。もちろんどうしても嫌なら行かなくてもよいと思いますが、その会社内で誰とでもフランクに話せる関係性になりたいなら行くべきです。実際に海外では、休日に、社内の人とのホームパーティーが盛んです。

だから、食事のお誘いがあればむげに断らない方がいいでしょう。食事会後は周囲のまなざしがやわらかくなるので、職場での会話も弾み、あなたの理解者が増えて、ダメ出しされることも減り、提案だって通りやすくなるかもしれない。コミュニケーションのコストがぐんと下がりますね。

ただし、職場の人とのコミュニケーション活性化のために夜の二次会まで行く必要はありません。一次会で十分目的は果たせます。要はバランスです。

【生産性ゼロポイント】
社内で食事会に誘われても「私は行かない!」というその頑固心がムダ!

■「ストレートなもの言い」を成功させる方法

Q 上司にズバリ、ものを言えません。どうすればいいでしょうか?

先輩社員のなかに、必要とあらば誰に対してもストレートに進言できるすごい人がいます。忖度(そんたく)なしで斬り込んで本質を突き、後腐れを残さない。相手がキレッキレのエリート上司であろうと、いるだけで周囲を萎縮させる怖い役員であろうと関係ナシです。でも、悪い印象も残らない。なぜそんなことができるのか、不思議です。私はそんなことはできないのですが、どうすればいいのでしょうか。

A ストレートなもの言いを支える「説明力」「人間関係構築力」「アンテナ力」

人間関係を破綻させることなく、上司にズバリものが言える先輩が身近にいるとは、ラッキーですね! その先輩のどこがすごいのか、分析してみましょう。

まず、「進言すべきは今だ」というポイントを見極める判断力や即実行に移す瞬発力、そしてそれを支える話術、これらを備えていてこそストレートなもの言いは可能になります。

でもそれだけでは、進言はできたとしても、そこまでで終わってしまう。進言の結果として組織を動かすには、周囲を「なるほどその通りだ」と腹落ちさせる「説明力」や、直球を核心に投げ込んでも後腐れを残さない「人間関係構築力」などが欠かせません。図表1をご覧ください。実は「ストレートなもの言い」を成功させるには、図に示したような4層のコミュニケーション能力が求められます。

【図表1】ストレートなもの言いを可能にするために必要な「コミュニケーションピラミッド」
出典=『その仕事、生産性ゼロです』

■言論活動のベースになっている「教養」

ストレートな物言いを直下で支えるのが、「説明力」、つまり要約力です。ファシリテーターを務めるときや状況報告書を書くときに、欠かせない力です。

その下が「人間関係構築力」です。挨拶や雑談、トイレですれ違ったときに交わす「お疲れ様です」というやり取りなどの日常的なコミュニケーション、自分とは異なる価値観の存在を認めつつ自分の価値観を柔軟にアップデートし続けること、あるいは、上司の朝令暮改な言動をも許容できる曖昧への耐性とでもいうべきもの……これらが人間関係を構築する力となって、「説明力」を下支えするのです。

そして、これらすべての土台となるのが一番下の「アンテナ力」です。意外とできていない人も多いのではないでしょうか。歴史、地理、政治、経済、国際情勢、文化へのアンテナ……教養という言葉で言い換えてもいいかもしれません。日本はどうなる? 社会はどう動く? この会社は? あの人の将来は? ……世の中にアンテナを立て、状況を正しく察知する力、これが議論、言論活動のすべてのベースになっていることをお忘れなく。

ご質問に戻りますね。上司にズバリもの申すあなたの尊敬するすごい先輩が持っているのは、「魔法の杖」ではなく、深い教養と人間関係を構築する力、そして、それらをベースにした説明力、なのです。

【生産性ゼロポイント】
教養をないがしろにする人には生産性の高い議論はできない

■相手に断られない「頼み方のコツ」

Q 仕事をお願いしたら断られた。どうすればいい?

仕事をお願いするとき、相手に断られないような頼み方のコツってないのでしょうか。部下に仕事を割り振るにしても外注先に依頼するにしても、その仕事をいい感じにまとめるために適材適所を考え、この人に頼むしかないという勢いでお願いしているのですが、断られてしまいました。上手に頼むにはどうしたらいいですか?

A 大事なことほど、どうでもいいフリをして頼みます

頼み事は、どんなことであっても、相手に負荷をかけることですよね。だから、頼み事をするときはなるべく深刻にならないことが最大のポイントだと思っています。

頼むほうと頼まれるほうのどちらもハッピーになるように、できるだけ明るい雰囲気をつくり、大事なことほどどうでもいいふりをして頼む。コツと言えばこのあたりでしょうか。

■なるべく深刻にならないことがポイント

私が深刻さを緩和するためにやっていることは

① 他の話のついでに頼む

どうしても相手に引き受けてほしい重要な案件Cがあったとしたら、それと一緒に簡単に引き受けてもらえそうな軽量級の案件Aと案件Bも抱き合わせで交渉に当たります。

「Aをお願いします」「YES」「Bもお願いできませんか」「YES」

これに続いて、「C」を「あともう一つこういう話もあるのですがいいですか」というノリで頼むと「YES」と言ってくれる確率が高くなります(「C」を単独で頼むよりも)。

逆に「A」も「B」も「NO」と言われた際には「C」はその場で話さず別の機会をうかがうようにします。

② 相手がかしこまらない場所で頼む

会議室で向かい合って話すと、どうしてもかしこまった雰囲気がでてしまうので、弊社でもコンサルフィーを決めるとき(デリケートな決めごと)は会食をしながらにすることが多いですね。大きい金額の契約を取ってくるときほど、深刻になりがちな個室は避け、ガヤガヤとにぎやかな雰囲気の場所で話すようにしています。

■頼むも引き受けるも最後は心意気

③ 最後の5分を使ってついでに頼む

1時間の商談をするとしたら、本命は最後残り5分になるまで相手に示しません。55分は相手の様子を見て、「重たいな」と感じたらその場では話さない。いけると思ったら、「ちょっと時間がないんですけれど、これどうですかね」とチラ見せ。「いいですねー」と興味を示されたら、「じゃ今度提案していいですか」とすかさず話を進めます。

山本大平『その仕事、生産性ゼロです』(日経BP)
山本大平『その仕事、生産性ゼロです』(日経BP)

このようなテクニックがあるにはあるのですが、頼みごとは“心意気”というのが実は私の本音。熱量を感じたら仮に金額が安くても私はすべての仕事を引き受けますから。逆も然りで条件がよくても熱量を感じない仕事は受けません。

仕事を頼むときは、「もう頼まないといけないから頼んでいる」わけですよね。仕事の依頼にはそういう側面がある。

貸し借りではないけれど、頼み込まれて「まあええわ、やったるわ」みたいなノリでコトが決まり、無理言って引き受けてもらえた側は「何かあったら言ってください、うちもやれることやりますから」と、本気で言うでしょう。その後この関係性のなかで何か頼まれたら、多少無理しても引き受けますよね。

心を込めてお願いするというのはどんな頼みごとであっても必要なことだと思っています。

【生産性ゼロポイント】
テクニックはあるが、頼むも引き受けるも最後は心意気。心の込もらない依頼は生産性ゼロ

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山本 大平(やまもと・だいへい)
経営コンサルタント、F6 Design代表取締役
2004年京都大学大学院修了後トヨタ自動車に入社。エンジニアとして新型車の開発業務に携わる。トヨタグループのデータサイエンスの大会で優勝経験を持つ。その後TBSへ転職。日曜劇場、SASUKEなど、注力番組のプロモーション及びマーケティング戦略に従事。アクセンチュアにて経営コンサルタントの経験を経て、マーケティング総合支援会社F6 Design創業。ChatGPTを含めたAIの利活用や経営に資するマーケティング戦略のプロ。アコーディア・ゴルフ執行役員CMO、DMM.make AKIBA戦略顧問、SCENTMATIC戦略顧問/CMOなど、大手からベンチャーまで数多くの企業の要職を歴任/兼任中。『トヨタの会議は30分』は初著書ながら10万部を突破。

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(経営コンサルタント、F6 Design代表取締役 山本 大平)

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