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水回りのトラブルは焦ったら負ける…「トイレ修理390円~」の広告に飛びついた40代女性が請求された衝撃の金額

プレジデントオンライン / 2023年8月26日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

水回りのトラブルが起きたときにはどうすればいいのか。ライターの高橋ホイコさんは「『水回り修理950円~』と掲げている業者が、実際には数十万円の料金を請求するようなケースがあり、国民生活センターは注意を呼びかけている。大切なのは、まず落ち着くことだ」という――。

■「水回り修理 950円~」などの格安広告には飛びつかない方がいい

蛇口からの水漏れや、トイレの詰まりなど、水回りのトラブルが起きたときどうしたらよいのでしょうか。インターネットを使って修理業者を探す人も多いでしょう。郵便ポストに入っていたマグネット式の広告のことを思い出す人もいるかもしれません。

この業者選びは、慎重にならなくてはいけません。特に注意が必要なのは「水回り修理 950円~」といった相場よりかなり安い広告です。国民生活センターは、必ずしもその値段でできるとは限らず、数十万円の料金を請求されるケースがあると注意を呼びかけています。

全国の消費生活センターには、「トイレ修理 390円~」と書いてあったのに55万円を請求されたとの相談も寄せられています。国民生活センターが公表している相談事例から、どんな事例があるのか読みときつつ、いい業者と出会うための対策を考えていきましょう。

※消費生活センターは、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルの相談を受け付ける都道府県・市区町村の機関。国民生活センターは、これらの機関に寄せられた苦情相談情報を収集し、情報提供を行っています。

■「トイレ修理 390円~」のはずが請求額55万円に

最初に紹介するのは、40歳代の女性からの相談です。夜に自宅マンションのトイレが詰まってしまった女性は、インターネットを検索し「料金390円~」とうたう事業者を見つけ、電話で修理を依頼しました。

男性2人の作業員が家に来て、高圧ポンプで10分程作業しましたが、詰まりは解消しません。作業員は「便器を外して排水管を確認する。3万円かかる」「長年の汚れが蓄積して詰まった。こんなにひどいのは初めてだ。通貫作業が必要で20万円前後かかる」などと言い、金額はどんどんふくれあがっていきました。

女性は、他の部屋の住民に迷惑をかけてはいけないと思い了承してしまいます。すべての作業は30分程度で完了し、詰まりは解消しました。ですが、最終的に契約金額はおよそ55万円にもなってしまいました。

作業員に「現金で支払えば50万円に値引く」と言われ、少しでも安くなればという思いからATMで引き出しその場で支払いました。よく考えてみるとあまりに高額で納得できず、消費生活センターに相談しました。

■電話で金額を確認したのに、高額な請求を受けることに

安価な広告をうのみにしない方がいいことは、よくわかっていただけたかと思います。では、依頼する前に電話でしっかりと値段を確認すればトラブルは防げたのでしょうか。50歳代の女性からの相談を紹介します。

女性は、トイレの給水ホースから水が漏れているのに気づきました。インターネットで修理業者を探し、「950円~」との広告を出していた事業者に電話します。修理代が高額にならないか確認したところ「3万円を超えることはない」と言われたので、自宅に来てもらうことにしました。

スマートフォンを使用する女性の手元
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/west

作業員2人が来訪し、状況をみてもらったところ「給水管にひどいさびがついている。このままにすると数百万円の修理が必要になり大変なことになる。修理代はさび落としに10万円、部品交換に5万円」と言われました。

高額だとは思いましたが、不安になったのでその場で契約しました。作業時間は10分程度で、作業料15万円はクレジットカードで支払いました。

作業員が帰ったあと状況を確認すると、床が水浸しになっていて水漏れは直っていませんでした。電話で苦情を言うと「作業は適切だった。これ以上の修理は便器交換しかない」と新しい便器を購入するようすすめられました。これ以上支払いたくないと消費生活センターに相談がありました。

■「見積もり」に来ただけのはずが…

電話口で金額を確認していても、高額な請求をされるケースは悲しいですがあることです。それでは、見積もりのためだけに来てもらえばいいのでしょうか。70歳代の女性からの相談を紹介します。

蛇口から水漏れがしていました。女性は郵便ポストに入っていた「見積もり・出張無料」のチラシを思い出します。この事業者に電話し、見積もりを依頼しました。

事業者は来訪すると「見積もりを出すため」と言って蛇口を取り外しました。その後、「蛇口がさびて給水配管の中の状態もよくない。給水設備全体の交換が必要だ」と言って50万円の見積書を出してきました。

女性が「高額な工事なのですぐには返事できない」と言うと、今日中に返事をするよう言い残して、蛇口を取り外したまま水漏れ修理もせずに帰ってしまいました。

しばらくして、事業者から電話があったので「工事はやらない」と伝えたところ、「断るなら蛇口取り外し料金約2万円を支払ってほしい」と言われてしまいました。この請求に納得がいかず、女性は消費生活センターに相談しました。

■簡易トイレを常備、止水栓の場所を知っておく

このような相談事例をみていると、落とし穴だらけで絶望してしまうかもしれません。ですが大丈夫です。とにかく大事なことは“あわてない”ことです。特に休日や夜間などの場合、すぐに対処しなければと焦ってしまいますが、ひとまず落ち着きましょう。インターネットで情報収集するにしても、焦っているか落ち着いているかで結果が違うものです。

国民生活センターでは、事前に準備をしておくことが大事だとアドバイスしていますが、今、まさにトラブルの渦中にいる人にも役立つアイデアでしょう。トイレのトラブルであれば、防災用の簡易トイレを備えておけば一安心です。水漏れであれば、止水栓の場所と締め方を確認できれば、ゆっくり対処できるでしょう。このようにして、まずは時間を稼ぎます。

自宅で非常用バッグを準備する女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

■おかしいなと感じたら「きっぱりと断る」

とはいえ、いわゆる“悪徳事業者”が出している広告は巧妙であるため、運悪くハズレに当たってしまうこともあるでしょう。そんなときに大事なのは「きっぱりと断る」勇気です。

「このまま放置したら大変なことになる」と不安をあおられ、契約をせかされるかもしれません。けれども、当初想定していた料金とかけ離れた作業を提案されるなど、少しでも違和感を持ったときは作業を断るようにしましょう。

また、「広告と請求額があまりにも違う」「修理箇所が直っていない」など納得できない場合には、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いは断りましょう。もし事業者の態度などに身の危険を感じることがあれば、警察に連絡するのも一法です。

見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合、広告等の表示額と実際の請求額が大きく異なる場合などは、特定商取引法の訪問販売によるクーリング・オフ等が適用できる可能性があります。

事業者とトラブルになった場合は受け取った書面や契約の経緯等を整理して、地域の消費生活センターに相談してみましょう。

■「信頼できる業者」を日頃から探しておく

国民生活センターでは、修理業者について、日ごろから、信頼できる業者を探すなど情報収集をしておくようアドバイスしています。

地元の工務店などのほか、自身が契約している火災保険を使って修理が可能な場合もありますし、賃貸住宅の場合には付帯サービスとして、住まいのトラブルをサポートしてくれるサービス等に加入している場合もあります。筆者の経験では、蛇口メーカーが修理対応をしていることもありました。

事業者と出会う手段は、インターネットやチラシだけでなくいろいろなルートがあります。誠実な対応をしている事業者は必ずありますので、落ち着いて探してください。

※参考資料
国民生活センター「水回り修理『950円~』のはずが…数十万円の高額請求に! 水回り修理、解錠、害虫駆除などの緊急対応で事業者とトラブルにならないためには?」(2021年10月7日公表)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20211007_2.html
国民生活センター「水漏れ修理、解錠など『暮らしのレスキューサービス』でのトラブルにご注意」(2018年12月20日公表、2019年1月10日更新)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20181220_1.html

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高橋 ホイコ(たかはし・ほいこ)
ライター
元国民生活センター職員。在職中は商品テスト、相談情報データベース(PIO-NET)、ホームページを通じた広報活動の業務に従事。現在はフリーライターとしてウェブメディアを中心に活動中。

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(ライター 高橋 ホイコ)

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