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これで人間関係の悩みが9割消える…「受け入れる」でも「拒絶する」でもない苦手な人に接する第三の方法

プレジデントオンライン / 2023年8月25日 19時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/jzabloski

人間関係の悩みはどうすれば解消できるか。プロコーチの林英利さんは「相性が合わない相手は『受け入れる』のではなく、“トリセツ”をつくって『受け止める』ことだ。適度に距離を保ちつつ、うまく取り扱う方法を探って対処するようにすると、人づきあいはずいぶんとラクになる」という――。

※本稿は、林英利『一瞬で自分を変えるセルフコーチング 最高の「気づき」を得る、自問自答の技術』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■相手を「受け入れる」のではなく「受け止める」

人間関係は特に仕事がからんだ相手となると、相性が合わないとわかっていても、日々向き合わなければならないケースは多々あり、必要以上に神経をすり減らすことになりますよね。

そりの合わない上司。

後ろ向きな発言ばかりしてくる同僚。

無口で何を考えているかつかめない部下。

仕事でなければ関わらなければいい。でも仕事だから関わらざるを得ない――。

それが、つらいところです。

そこで、つらい人間関係をセルフコーチングによってどう解決していくのかという話なわけですが、要となるのは「まずは受け止める」という姿勢です。

意見や価値観の違う人を「受け入れる」のは、大きなストレスになります。だからといって、「イヤです」「あなたが間違っている」と拒絶してしまうと、相手がストレスを感じるでしょう。

こうしたやり方で、人間関係がよくなるとは思えませんよね。

そこで、「受け止める」のです。

「受け止める」とは、「受け入れる」と「拒絶する」のちょうど中間にあるもので、

「自分の意見とは違うけれど、あなたの意見はそうなんですね」

と、考えます。

受け入れなくてもいいのが前提なので自分にもストレスがかからないし、相手も「とりあえずは聞いてくれたな」と思いますからストレスがありません。

これができると、人間関係の悩みもラクになっていくのではと思います。

■人間関係には「コツ」がある

かつて職場の人間関係に悩んでいた私を救ってくれたのが、経営学者の飯田史彦氏の著作『生きがいの創造』(PHP研究所)という1冊の本でした。

この中で飯田氏は、「この世は魂を成長させるための学校」であると述べ、人間がこの世に生まれてくる理由の1つは「人間関係を学ぶため」だと説いています。

また、自分の周囲にいる人は、成長のために自分で雇った俳優のようなものなのだそうです。

もし試練を与えてくる人がいたら、それは自分が生まれる前、その人にその役を依頼したから――いわば自分の成長のための協力者であり、ソウルメイトなのだといいます。

オフィスで一緒に働くビジネスコワーカー
写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/filadendron

この考え方は、私にとって非常に意味のあるものになりました。

たとえ苦手な人であっても、自分のために自分で「試練を与えてほしい」と依頼した結果なのだと思うと、「この人はどういう人なのだろう?」と、自然と関心を寄せることができたのです。

そして関心を持って見てみると、いろいろな点が見えてきます。

見方が180度変わって大好きになれるような劇的なことはありませんが、

「これをやると、この人は怒るんだな」
「こういうと、この人は機嫌がよくなるな」

と、相手とのうまいつきあい方の「コツ」に気づけるようになるのです。

また、相手に関心を向けることで、相手からのトゲトゲしい言動がなくなっていくのを実感しました。

これをふまえた上で、今回は、セルフコーチングによって、人間関係がいまよりずっとラクになる方法をお伝えしていこうと思います。

■あの人、この人の“トリセツ”をつくろう

「この人、苦手だな」
「この上司とは、気が合わないな」

と思った時点から、相手に向ける視線にはネガティブなものが含まれてしまいます。

負の感情を持って見れば、些細な言動にも嫌悪感が生まれてしまいますから、下手に関わり合いになりたくない、と思うでしょう。

これでは関係は悪化する一方ですし、相手に関心を寄せるどころではありません。

だから、

「この人の『トリセツ』には、どんな注意書きが書いてある?」

と考えてみるのはどうでしょう。

実際に、相手の扱い方の注意点をわかりやすく箇条書きにした取扱説明書――“トリセツ”をつくるつもりになって、相手を観察してみるのです。

「この人が、興味を持っていることはなんだろう?」
「この人が、私に期待していることはなんだろう?」
「この人は、どういうときに機嫌がよく(悪く)なるんだろう?」
「この人は、何が好きで、何が嫌いなんだろう?」
「この人が怒ったとき、どうすればうまく対処できるだろう?」
「この人と意見が違うとき、どういえば納得してくれるだろう?」

もしくは、過去にあった出来事を思い返してみるのもいい方法です。

「この人と、比較的うまく会話できたのは、どんなとき?」
「この人が、笑顔だったのはどんなとき?」

といった具合です。

■自分とは真逆のタイプでも不思議とうまくつきあえる

“関心を寄せる”とは、何も「好きになろう」という意味ではありません。

苦手だからといってその人の言動を見て見ぬふりをしていると、何も知ることはできないし、対処法もわかりません。

接触するのが避けられない相手なら、あまりいいやり方ではないように思います。

実際、私も勤めていたときの上司が、自分とはまったくタイプの違う人で、本当に苦労しました。

そこで、その上司の取扱説明書をつくるべく観察し、関心を向けてみると、不思議とうまくつきあえるようになったのです。

お酒の好きな人だったので、ちょっと仕事でもめたとしても、

「今日の夜、一杯どうですか?」

と誘うと「おお、行くか!」と機嫌を直してくれましたし、ビールを飲めば、

「まあ、俺も悪かったよ」

といった一言をくれたものです。

パブでビールを飲みながら話す二人の男性
写真=iStock.com/nd3000
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nd3000

最初はお互いを遠ざけていましたが、私が関心を寄せたことで、上司の態度もいつの間にか険悪なものではなくなっていきました。

もちろん、あなたの苦手な人とも、同じようにうまくいくとは限りません。

ただ、特に仕事の関係者など苦手だからと避けてはいられないのなら、

「この上司は、午後になると機嫌が悪くなるから、重要案件は午前中に持っていく」
「この人は野球好きだから、野球関連の話題を持ちかけて機嫌がよくなってからのほうが、頼みごとを引き受けてもらいやすい」

といった対処法――取り扱いの方法、つまり「コツ」がわかっていると、「ムダなエネルギー」をかけずに済むことも多いのです。

“トリセツ”づくり、やってみると楽しいのでおすすめですよ。

■なにも“仲良し”になる必要はない

人間関係の問題というのは、「仲良くなること」をゴールにしてしまうと、とても難しいものになります。

そうではなく、

「人間関係にまつわるストレスや悩みを限りなく小さくしていく」

ということを目的とする。

そうすれば、あまり苦しまずに済むように思うのです。

すべての人間関係がうまくいく必要などないんじゃないか、と私は思っています。

たとえば、月と地球は、多少近づいたり離れたりしながらちょうどいい距離感を保っています。

ここに別の力が加わって月が一度でも遠く離れてしまうと、もう元の位置に戻ってはきませんし、地球もバランスを崩してしまうといわれています。

宇宙の星々は、適度な距離感を保ちながらバランスを取っているわけです。

人間関係も同じです。ある人ととても近づくこともあれば、距離ができて疎遠になることもありますし、その間、別の人と親しくなることもあります。

それでバランスが取れているなら、たとえ合わない人、苦手な人、離れてしまった人がいても、悲観することはないんじゃないか、と思うのです。

■「これも修行のうち」と考えてみる

ただ、うまくいかない関係にどうしても悩んでしまうときは、

「もし神様が本当にいるとしたら、なぜ自分とこの人を出会わせた?」

と、考えてみるのもいいと思います。

神様を信じる信じないはさておいて、ここでいう「神様」とは、あなたのことを大切に思い、あなたのためになることをしてくれる存在のことです。

「うまくいかない人との出会いにも意味があるのではないか」という視点で考えてみるということです。

「この人との関係を通して、学んだことはなんだろう?」
「この人との出会いに、どんな意味があっただろう?」

という視点から悩ましい人間関係を受け止めてみると、不思議と前向きな意見が出てくることが多いのです。

仏教では、生きることはすべて修行だといわれますが、合わない人との関係もまた修行なのでしょう。

そこに何か成長の糧があるのだと思えると、つらい現実への対処の仕方にも変化が起きるのではないでしょうか。

林英利『一瞬で自分を変えるセルフコーチング 最高の「気づき」を得る、自問自答の技術』(三笠書房)
林英利『一瞬で自分を変えるセルフコーチング 最高の「気づき」を得る、自問自答の技術』(三笠書房)

現状を変えたいと思うのであれば、その具体的な方法を考える必要もあるし、実際に行動を起こす必要もあります。

そのためにも、ここまでお伝えしてきた自問自答によるセルフコーチングが役立つはずです。

うまくいかない人とは適度に距離を保ちつつ、“うまく取り扱う”方法を探って対処するようにすると、人づきあいはずいぶんとラクになるはず。

私がすでに実証済みです。

セルフコーチングを上手に利用しながら、ぜひとも“トリセツ”づくりを楽しんでください。

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林 英利(はやし・ひでとし)
プロコーチ
Biz Mentor代表メンター・エグゼクティブコーチ。銀座コーチングスクール顧問。1972年、東京生まれ。大和ハウス工業、トヨタ自動車などを経て、2010年にプロコーチ、研修講師として独立。大手企業の経営者や管理職などを対象に、コーチングサポートやリーダーシップ研修を提供。2015年、年間3000名が受講する、銀座コーチングスクールの代表に就任し、コーチング講座の開発のほか、プロコーチや講師の育成に尽力。2019年に「“一緒に働きたい”と言われるリーダーづくり」をミッションに掲げ、一般社団法人日本リレーショナルリーダーシップ協会(JRLA)を設立。現在は、厳選されたビジネスメンター(Biz Mentor)と共に、管理職・ビジネスリーダー向けのメンタリングやコーチングサポートを提供するほか、1on1の定着支援プログラム「1on1実践トレーニング」を、組織改革を目指す企業などに提供している。

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(プロコーチ 林 英利)

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