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これができれば物事がうまく進む…元トヨタマンが「5回のなぜ」をアレンジして到達した"最強の問題解決法"

プレジデントオンライン / 2023年8月25日 19時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ismagilov

自分で問題解決できる人はどのようにしているか。プロコーチの林英利さんは「問題の本質を見極めるには、『理想と現実のギャップ』を見つけ出すことだ。トヨタ式の『5回のなぜ』を繰り返して問題部分を追求することは、自分自身を極限まで追い込んでしまう行為なため、そうではなく『理想』のほうにフォーカスした『なぜ』の問いをつくるといい」という――。

※本稿は、林英利『一瞬で自分を変えるセルフコーチング 最高の「気づき」を得る、自問自答の技術』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■問題の「発見」からすべてがはじまる

「問題を解決したい」

そう考えたとき、問題そのものが何か明確になっている場合と、そうでない場合とがあるのではないでしょうか。

ようするに、どうにもうまくいかないけれど、その原因が明確にわかっているときと、そうでないときがあると思うのです。

また、問題がありすぎてどこから手をつけていいのかわからなかったり、自分の力では解決しようがない問題に困っていたりする場合もあるでしょう。

つまり、問題を解決するには、

「問題は何か?」

を、まず知る必要があります。

では、「問題」はどこに潜んでいるのでしょうか。

■問題解決力の基本となる「3つの力」

もし、「こういう状態でありたい」という理想があるのに、現状がそれとかけ離れているのであれば、両者を比べたとき、

「ギャップがある部分に問題がある」

と考えられます。

たとえば、いつもは10分で終わる仕事に20分かかっているなら、そこには何か問題が隠れていると考えられるわけです。

自分の体調が悪いから、などとわかっている場合もあるでしょう。逆に、仕事の遅れから、「今日はやけに電話対応をさせられている」と気づくかもしれません。つまり、電話対応してくれる人が他にいないことが問題です。

オフィスのデスクで電話対応する男性
写真=iStock.com/Dean Mitchell
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Dean Mitchell

こうして理想と現実のギャップを見つけたら、次にするのは、

「どうやって、このギャップを埋めるか」

について検討することです。

他の人に電話を取ってもらうように声をかけるとか、電話が鳴っても無視して対応しないとか、いくつか手段を思いついたら、

「どの方法を選択するのか」
「どういう手順でやるのか」
「実際にどうやって実行していくのか」

を決めて、組み立てていくことになります。

つまり、「問題解決力」は、

①問題の本質を見極める力
②解決までのアクションプランを立てる力
③プランを実行する力

という3つの力で成り立っていることになるのです。

ここでは「①問題の本質を見極める力」「②解決までのアクションプランを立てる力」についてお話ししたいと思います。

■「何が違う」のか、「どこが違う」のかを探る

たとえば、自社から発売した商品が売れなかったとき、その問題点を探るためにはどういった質問を投げかければいいのでしょうか。

ポイントは、「理想と現実のギャップ」を見つけ出すこと。

「売れている商品と、売れていない商品の違いはなんだろう?」

と問いかけてみるといいかもしれませんね。ようするに、

「この現実が、理想と違っているのはどの部分だろう?」

ということを探すのです。

この質問を、仕事や作業に合わせてうまくアレンジしてみてください。

いつもやっている作業なのに、今日はやけに時間がかかっていると感じたなら、

「今日の作業で、いつもと違うのはどの部分だろう?」

と、振り返ってみたらいいと思います。

これまでにも経験してきたよくある案件だと思っていたのに、取引先とのやりとりがどうにもうまくいかないときは、

「この案件が、想定していたものと異なる部分はどこだろう?」

と、検討してみてください。

ギャップのある部分に、問題が隠れている可能性があります。

■「なぜ?」を5回繰り返す

かつてトヨタに勤めていた頃、私は問題解決手法のフレームワークを叩き込まれ、実行するための訓練を受けました。

さすが「トヨタ式カイゼン」で生産性を上げてきた企業といえますが、なかでも特に真因――「これを潰せばよくなる」という諸悪の根源を発見する力が一番大切である、と教わったことを覚えています。

不良品が発生したら、なぜそうなったのか、考えられる要因を一つひとつ挙げていきます。

さらにそれぞれを深掘りして、「それはなぜ起きたのか?」と、「なぜ?」を5回繰り返すのです。

もうこれ以上は手をつけられないというところまで掘り下げるのが、トヨタ式の思考のフレームワークであり、たしかに問題解決に役立ちました。

ただ、トヨタの場合は品質についての問題解決だからこそ、問題にフォーカスした「なぜ?」の繰り返しが有効に働いたのです。

もしセルフコーチングにこの手法をそのまま取り入れてしまうと、

「なぜ、うまくできなかったのか?」
「なぜ、ちゃんと準備をしておかなかったのか?」

……なぜ、なぜ、なぜと、自分自身を極限まで追い込むことになります。悪い部分にばかりフォーカスしてしまうと、人は萎縮していくものです。

仕事で疲れているようすの女性
写真=iStock.com/lechatnoir
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/lechatnoir

ですからセルフコーチングでは、「問題」ではなく「理想」のほうにフォーカスを合わせることが大切です。

どうすれば理想に近づけるだろうか、という視点から問題点を見つけ出します。

「なぜ、この人は成果を上げられるのだろう?」
(→自分がなかなか成果を上げられないとき)

「なぜ、この人はプレゼンがうまくいくのだろう?」
(→自分のプレゼンがうまくいかないとき)

「なぜ、他社のこの商品はリピーターが多いのだろう?」
(→自社の商品はリピーターが少ないとき)

このように、理想に注目しつつ、現実とのギャップを探りながら、「どうすれば、このギャップを埋められるだろう」と考えていくのが、セルフコーチングにおける問題解決のプロセスなのです。

■「他には?」――シンプルだけど重要なこの質問

問題が何かわかったところで自問自答すべきは、シンプルに1つ。

「どうすれば問題を解決できる?」

こういうとき、たいていの人は、過去に起きた似通った問題を思い出し、その対応策を当てはめられないか、もしくはうまく応用できないだろうか、と考えます。

昔取った杵柄で解決できたら、助かりますよね。

ただ、ここでなんらかの解決策のメドが立ったとしても、すぐには飛びつかないようにしましょう。ひと息ついて、

「他に方法は?」

と、重ねて問いかけてください。

もう1つ別案が出たとしても、同じように、「他には?」「他には?」を3、4回繰り返して、3つ、4つの別案を引き出すようにしてほしいのです。

コーチングではこれを「水平質問」といいますが、どうしても別案が浮かばないときは、身近にいる尊敬する人を思い浮かべて、

「部長なら、どのように解決するだろう?」

と考えてみるのもいい方法です。

同様に、

「同僚なら、どんな解決策を提案するだろう?」
「先輩なら、どんな手順で対応していくだろう?」

と、いろいろな人の視点を借りてみると、新しいやり方を思いつくことがあります。その他にも、

「解決の手順を3ステップに分けるとしたら?」
「想定より半分の時間で解決まで導くためには?」
「手助けを求めるとしたら、誰がふさわしい?」

といった視点で考えてみると、気づくことがあるかもしれません。

案を出すときには、その効果や有効性などをそれぞれ評価することはありません。たくさん出そろった解決策の中から、一番いい効果が望めそうなものを選べばいいからです。

■できる人は、「解決策」をいくつも準備する

ここで複数の解決策を出しておく理由は、最初からベストの解決策だけを探し出そうとしてしまうと、なかなか見つからないことが多いからです。

「本当にこれでいいのだろうか?」

と、迷ってしまいます。

でも、複数の選択肢をそろえて並べてみると、

「他の案と比べると、やっぱりこの案が一番いいな」

と、案外あっさり決断できるのです。

たくさんの解決策を用意するのに時間はかかっても、その中から選んで具体化させていく流れがとてもスムーズにいきます。

林英利『一瞬で自分を変えるセルフコーチング 最高の「気づき」を得る、自問自答の技術』(三笠書房)
林英利『一瞬で自分を変えるセルフコーチング 最高の「気づき」を得る、自問自答の技術』(三笠書房)

できるリーダーなどはこのあたりをよく心得ています。

ですから、根気よく、「他には?」を繰り返すことを習慣づけてほしいと思います。

問題解決の流れは、堅実に対処するほど「問題を見つけ、対処する」というプロセスをたどるはずです。

そこにプラスして「他には?」といくつもの選択肢を見つけ出すのが、セルフコーチングの特徴です。

単純ですが効果があります。ぜひ実践してみてください。

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林 英利(はやし・ひでとし)
プロコーチ
Biz Mentor代表メンター・エグゼクティブコーチ。銀座コーチングスクール顧問。1972年、東京生まれ。大和ハウス工業、トヨタ自動車などを経て、2010年にプロコーチ、研修講師として独立。大手企業の経営者や管理職などを対象に、コーチングサポートやリーダーシップ研修を提供。2015年、年間3000名が受講する、銀座コーチングスクールの代表に就任し、コーチング講座の開発のほか、プロコーチや講師の育成に尽力。2019年に「“一緒に働きたい”と言われるリーダーづくり」をミッションに掲げ、一般社団法人日本リレーショナルリーダーシップ協会(JRLA)を設立。現在は、厳選されたビジネスメンター(Biz Mentor)と共に、管理職・ビジネスリーダー向けのメンタリングやコーチングサポートを提供するほか、1on1の定着支援プログラム「1on1実践トレーニング」を、組織改革を目指す企業などに提供している。

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(プロコーチ 林 英利)

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