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長野県はこれで「長寿日本一」になった…「70代で急に老け込む」を回避するためにやるべき簡単な方法

プレジデントオンライン / 2023年9月3日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

「長寿の秘訣」は何だろうか。医師の和田秀樹さんは「2010年に男女ともに長寿日本一になった長野県は、高齢者就業率が全国トップレベル。体力が続く限り、できる範囲で働くことこそ、老いを遅らせるベストな方法だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)の一部を再編集したものです。

■70代の人が急に老け込むパターン

仕事を退職したら何もせずにのんびり過ごしたい。そう思っている人は多いのではないでしょうか。

しかし、長きにわたり現役で仕事をしていた人が、退職後のプランを立てることなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです。

70代の人が急に老け込むパターンとして、仕事をリタイアした途端、それまでやってきた活動を一気にやめてしまうというケースがあります。

そうすると、まず最初に運動機能が落ちます。

デスクワーク系の仕事であっても、通勤などで意外に身体を使っているものです。しかし、退職して1カ月も何もしなければ、運動機能はかなり落ちてしまいます。

また、脳機能の面でも、働いている間はそれなりに知的活動をしていて、他人とのコミュニケーションもとっています。しかし、退職後に何もしなくなると、そういった脳の活動も減少してしまうので、認知症のリスクが急激に高まることになります。

■新型コロナによる外出自粛で歩行困難・認知症

新型コロナによる外出自粛も、50代~60代なら「ちょっと足腰が弱ったな」程度で済みますが、70代になるとそうはいきません。

70代以降になると、「使わなくなったとき」の衰えかたが、それまでよりも大きいのです。

外出を控え、歩くのをやめると歩行困難になったり、人と喋らないことで認知症につながってしまいます。

■働かなくなると「前頭葉の萎縮」が進む

働かなくなると、特に前頭葉の萎縮が一気に進みます。

前頭葉が老化してしまうと、何事にも意欲がなくなり、活動することがおっくうになり、脳の老化にさらに拍車がかかっていくのです。

人間の脳のチョークローブで指す人間の手
写真=iStock.com/eli_asenova
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/eli_asenova

体力が続く限り、無理のない範囲で働ければベストですが、現実にはそれが難しいケースも多いと思います。

ですが、それでも隠居などを考えず、現役の意識を持ち続け、何でもいいので活動することが何よりも大切です。

そのために、退職や引退の時期を迎えたら、次に何をやるのか、準備しておくことが大切です。

しばらく休んでから次のことを考えようと思っていると、だらだらと何もしなくなってしまう、ということが多いのです。

■前頭葉の老化は40代から始まる

前頭葉の老化は40代から始まっています。

歳をとるほど意欲が低下するのは自然な現象ですが、対処するために前もって退職後の活動プランを決めておくことが重要です。

例えば、商店主をやっている人や、建築士や会計士などの資格を持った人、職人や農業、漁業、林業といった仕事であれば、自分からリタイアするのは得策ではありません。どれも自分から退職すると決めない限り、続けられる仕事です。

体力が続く限り、できる範囲で働くこと。それが老いを遅らせるベストな方法です。

また、退職後に何か新しい仕事を始めるのも良いでしょう。現在は年金額も少なくなってきていますし、経済的な意味でも良いことです。

契約社員やアルバイトなど、どのような形態でもいいので、定年退職後にも働き続けることをおすすめします。

■長野県が長寿であるワケ

仕事を通じて社会と接点を持ち続けることは、若々しくあるための秘訣の一つです。

リタイアせず働き続けることが、老化を遅らせ、いつまでも若々しくいられることは、データでも裏付けられています。

長野県はかつて、全国の都道府県の中でも、平均寿命では下位に位置していました。しかし1990年以降は、男性の平均寿命において全国1位を何度も記録しています。

女性においても2010年に第1位となり、男女ともに平均寿命ナンバーワンになりました。

なぜ長野県は長寿なのか。その一つの理由は、高齢者の就業率にあるのではないかと私は考えています。

長野県の高齢者就業率は近年全国トップレベルにあります。

また長野県では高齢者1人あたりの医療費が、全国最低レベルという調査結果もあります。つまり歳をとっても元気な人が多いのです。

松本城
写真=iStock.com/Tom-Kichi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tom-Kichi

70歳になったら、「退職」「リタイア」は考えず、生涯現役の意識を維持することが若さを保つ秘訣です。

家にこもることなく、可能な限り働くことが、運動機能、脳機能の老化を遅らせ、楽しい老後の期間を延ばしてくれるのだと考えています。

■高齢者は太っているほうが長生き

歳をとってからは「高カロリーな食事のほうが元気に長生きできる」「コレステロール値が高いほうがうつ病になりにくい」ということをあちこちでご説明しています。

しかし、そのような食事を続けていれば、若い頃に比べて少なからず体重も増えます。

特に女性の方は、太っている自分を気にして、ダイエットをしている人も多いのではないでしょうか。

しかし、それは間違いです。

高齢者の場合、多少太っているほうがむしろ長生きできるのです。

■栄養過多より栄養不足のほうが問題

これは統計でも明らかになっていますが、過激なダイエットをする必要は全くありません。

「健康維持のためにダイエットしよう」という考えはナンセンスです。

オーバーウェイト
写真=iStock.com/FredFroese
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FredFroese

最近、東京都医師会も、高齢者はメタボを気にするより、フレイル(虚弱)予防を考えるようにとホームページで呼びかけるようになりました。

高齢者にとって、栄養過多より栄養不足のほうがよほど大きな問題だ、ということです。

世界的な人気を誇るアクションスター、ジャッキー・チェンなどの老化予防の主治医を務めている、アンチエイジング研究の世界的権威であるフランスのクロード・ショーシャ博士も、やせることを第一とはしていません。

博士は、やせることよりも「食べても太らなかった時代の身体」に戻すことを重視しています。

■「やせにくい体質」は老化が進んだ証拠

ショーシャ博士の方法では、「1カ月で10キロ痩せた」といった、よくある広告のようなやせ方は目指しません。

今まで通りに食べながら、体重を維持したり、少しずつ痩せつつ理想的な身体を目指す。それがショーシャ博士の独自メソッドです。

博士はダイエット「だけ」だと人間にとってはマイナスだと考えています。

30代半ばを過ぎると、若い頃と同じように食べていれば体重は増えます。それは、若い頃は健康に活動していた臓器や細胞の機能が低下して、脂肪をため込みやすくなったからです。

やせにくい体質は老化が進んだ証拠なのです。ですから、高齢者はダイエットなどを考えず、多少太ったとしても栄養をとるべきなのです。

■老化予防の大原則

基本的には、ある一定の年齢(私は50歳以上と考えています)になれば、どんな栄養でも極端なとりすぎでなければ、「足りないより余っているくらいのほうがいい」というのが老化予防の大原則だと私は考えます。

脂肪を減らそうとする方も多いのですが、体脂肪を減らしすぎると、体温が下がり免疫機能を落とすことが知られています。

さらに魚の脂由来のDHA、EPA(エイコサペンタエン酸)、オリーブオイルやエゴマ油などのαリノレン酸を含む油をとると、身体の酸化予防や動脈硬化の予防、脳神経細胞の活性化につながります。

タンパク質とコレステロールをセットでとれる肉類のほか、ある程度の炭水化物も必要です。

脳の働きを維持するにはブドウ糖は必須なので、高度な肥満の人を除けば、「体重が減らない量がその人の適量」だと考えてとることをすすめます。

■食べるという行為自体が前頭葉を刺激する

老人ホームの入居者の中には、「食べること」に喜びを感じている人が多いのです。

「食べる楽しみ」は、誰にでもできて、脳を活性化させる効果的な方法です。食べるという行為自体が、前頭葉を刺激する快体験になるのが理想的です。

「いつまでも美しくありたい」という気持ちはよくわかりますが、ダイエットを中心にした我慢型の生活は、食事も簡素になりがちです。

和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)
和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)

しかし、食に興味を失い、食べる楽しさをないがしろにしていると、肉体的にも精神的にも老化を進めてしまいます。

節制と、食事や娯楽をおろそかにすることは、全く異なるものなのです。

病気でない人とは、マイナス要因がない状態で、ゼロの地平にいる状態です。

医者による治療とは、患者のマイナスの部分を埋めてゼロの状態に戻すことです。

一方、若々しいとか幸せとかは、プラス要因に加えて、上のランクにいる状態を意味します。ゼロの地平から上のランクにいくには、今の状態に何かを足す必要があるのです。

そのために「好きなものを食べる」ことが必要なのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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