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偏差値35からMARCHすべてに合格…「大学受験は無理」と言われていた女子高生が使った「入試のウラ技」

プレジデントオンライン / 2023年9月5日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

高校3年生の時、河上さん(仮名)の偏差値は35だった。希望する大学への進学は絶望視されていたが、受験戦略を見直したことで、出願したすべての難関私大に合格した。どんな戦略を立てたのか。現役東大生の西岡壱誠さんが企画した選抜入試専門塾クラウドセンバツによる著書『選抜入試の教科書』(星海社新書)より紹介する――。

■出願した難関私大すべてに合格

ここからは、実際に選抜入試に挑戦した受験生がどのような受験戦略を取り、合格を勝ち取っていったのかをお届けします。

選抜入試の受験を決めるまでの悩み、実際の試験対策、大変だったことや効果的だったこと、実際に受験しての反省まで、選抜入試の一部始終を3名の合格者にインタビューしました。

偏差値35からの逆転合格、ユニークな点がない中で戦略的に行動しての合格、一般入試と選抜入試の対策を両立させての合格など、選抜入試の合格者は本当に個性的です。みなさんも選抜入試を考える上で、合格者の生の声を参考にしてください。

まずは地元の群馬県から総合型選抜で大学受験をした、河上さんにお話を聞いてみました。彼女は高校3年生のときの偏差値が35、評定平均も2.5とかなり厳しい状況でした。しかし、そこから彼女はMARCHを目指し始めます。先生からも親からも「無理だ」と言われる中で、彼女が立てた完璧な受験戦略は、なんと出願したすべての難関私立大学に合格できたほど成功しました。

■普通の高校生とはちょっと違う

ただでさえ成績が逆風な中で、出願したすべての大学に合格とは、なかなかできることではありません。それでは、河上さんは、一体どのような高校生活を送っていたのでしょうか?

「私はもともと、いわゆる普通の高校生とはちょっと違う生徒でした。パナソニックのスピーチコンテストでファイナリストになったり、学生団体を立ち上げて難民支援活動を行ったりと、多分野にわたって活動していたんです。テレビや新聞の取材を受けることも多かったのですが、先生からは低評価でした。学校の勉強も全然頑張っていませんでした。でも、あるとき、AO入試という道があることを知ったんです。学校の成績が悪い私でも、面接やライティングならできる! と思いました」

テレビや新聞の取材を受けるほどの活動をされていた一方で、いまいち学校の勉強には身が入らなかったという河上さん。そのせいか、成績が低迷気味だったといいます。しかしながら、その活動は本物でした。ここから彼女はAO入試という選択肢と出会い、大学受験を本格的に志すようになります。

■半年以上かけて臨む1次試験

「合格までには1次試験と2次試験の2つに合格しないといけません。1次試験は書類で見られます。志望理由書といって、これまでやってきたことや、将来やりたいと思っていることを書いていくんです。これが大学4年間の学習計画にもなりますから、半年以上かけて書くことも珍しくはありません。

『○○教授のどの授業を受けたいです』というように、かなり解像度が高いことを言うために、大学自体の研究も必要ですし、自分がやってきた活動についての客観的な研究も必要になります。

1次試験の合格率は大学にもよりますが結構低めでした。人気なところだと7倍から8倍くらいある場合もあります」

1次試験の志望理由書で困ってしまう人もかなりいるようだ、と河上さんは言います。高校生の段階から自分がやりたいこと、やってきた実績を1000文字以上で書き連ねることは相当な負担になるからです。しかし、河上さんはこの段階は苦ではなかったといいます。

■面接で聞かれること

「私は、1次試験はそこまで苦ではありませんでした。他の人よりもだいぶ楽な思いをしていたと思います。というのも、みんなが書類作りで困る理由は、ぜんぶ実績不足にあるからです。何もやっていない子だと、1000文字も書くことがありませんし、そもそも書くことが苦手という人も少なくありません。ですが、私の場合は高校時代に積み重ねた実績がありました。それに、書くこと自体も嫌いではなかったんです」

課外活動でもやりたいことをやっていたので楽しかったと語る河上さん。親や先生からは心配されたものの、「自分なら大丈夫」という自信で頑張り切ったといいます。それでは2次試験はどのような様子だったのでしょうか。

「2次試験は大学によりますが、大体は面接と小論文があります。これに合格すると大学に行けるという試験なのですが、倍率は高くありません。面接では志望理由書の深掘りをされますが、大体は志望理由書に書いてあることを聞かれますから、これをしっかり復習していれば大丈夫だと思います。

小論文は現代文の読解に近いのですが、文章内にある情報だけではなく、自分で勉強してきた知識も要求されますから、しっかり勉強してこないと解けないようになっています。面接は私の場合は、話すことが得意だったので、まったく不安はありませんでした(笑)」

■評定平均が2.5しかなくても合格

多くの受験生が落とされる狭き門である1次試験とは対照的に、2次試験は受けることさえできれば多くの人が合格できるようです。もちろん落ちる可能性はゼロではなかったものの、やはりここでも「自分なら大丈夫だ」という自信のもとで乗り切ったんだとか。

しかし、落ちてしまったらどうなるのか、という心配はなかったのでしょうか?

「もちろん、落ちたらどうしようという不安はありました。私は高3のときに偏差値35しかありませんでしたし、評定平均だってとても低かった。私の学校から推薦で合格した先輩たちは、みんな評定平均4.5くらいあったんですが、私はその半分くらいしかありませんでした。ですから、前例もなく不安だったのは確かです。周りからもまったく期待されていませんでしたし。

ですが、期待されていないというのは悪いことばかりではありません。逆に、期待されていなかったからこそプレッシャーがなく受験できたという利点もありました。私の場合、『受かるでしょ』って思われてる方が重荷に感じていたと思います」

誰にも期待されていなかったからこそ、逆にノープレッシャーで受験に臨むことができたという河上さん。不安もあったようですが、もともと自信家な性格が幸いして、うまく受験戦争を勝ち抜くことができたようでした。では、河上さんはどのような受験生活を送っていたのでしょうか?

■試験で一番つらかったこと

「私の父母は、私の成績が悪いことを知っていたので、受験をほぼ諦めていました。先生からも志望校のレベルを下げた方がいいって言われていましたし……。それに友達もAO推薦で受ける人が多かったので、ライバル関係にありました。ですから、応援してくれるような人はあまりいませんでしたね。私が『受かるかも!』という段階まで来たら応援してくれたんですが(笑)」

面接を受ける女子高校生
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

成績がもともと悪かったことから、多くの信任を受けられなかったという河上さん。合格が目前になってから応援が得られるようになったというエピソードは、周囲の現金さ加減に少しクスっと笑えますね。しかし、一筋縄ではいかないのが受験戦争。つらかった思い出はないのでしょうか。

「一番つらかったのは、最初に受験した大学の試験でした。いまでもしっかり覚えているのですが、教授の虫の居所が悪かったのか、圧迫面接を受けてしまって……『なんでうちに来たの? 他のところでもよかったんじゃないの?』って意地悪なことをたくさん聞かれて、すごくへこみました。次の日が本命の受験だったのですが、その日は泊まっていたホテルで大号泣してしまいました……」

■「なぜこの大学なのか」をはっきりさせる

圧迫面接は大人でもつらいものです。それを当時高校生だった河上さんが、立場が上の大人と話す緊張する場で受けたと考えると、そのプレッシャーは察するに余りあるものがあります。こればかりは運が悪かったと嘆くしかないですが、一方で無事、本命の大学に合格できた彼女の幸運は大変喜ばしいものだったのでしょう。

それでは、河上さんのおすすめの受験対策法はあるのでしょうか?

「とにかく、試験に向けて自分の主張に一貫性を持たせることにつきます。課外活動にしろなんにしろ、自分の中でテーマを1つに絞って、一貫させることが大事です。面接でも、志望理由書に書いたことに一貫性を持った答えを返せるかという部分が見られていると私は考えています。もちろん、志望理由は暗記すべきでしょう。

また、志望大学の教授が出している論文をたくさん読んだり、大学が出している入門書を読んでみたりすることも重要です。自分がどのような研究がしたいのか、その根拠となるからです。それと、当然といえば当然ですが、面接は教授と対面形式で行われます。ですから、その場で緊張しないように人前で話す練習をすることも重要です」

■選抜試験は就活と同じ

第3章でもお話しした、「主張に一貫性を持たせる」ということですね。実はこれ、就活でもよく用いられるアドバイスです。大学受験とはいえ、人と人とのマッチングという面では変わりませんから、選抜入試はある意味では就活のように考えた方が、成功率が高くなるのかもしれません。

クラウドセンバツ、西岡壱誠『選抜入試の教科書』(星海社新書)
クラウドセンバツ、西岡壱誠『選抜入試の教科書』(星海社新書)

さらに、河上さんは自分の意見の書き方については必ず誰かに見てもらうべきだ、とも仰っています。塾などに通って、自分の意見が伝わりやすいライティングの方法を教わって、独りよがりな記述方法から抜け出さなくてはならない、といいます。

意外なところでは、時事ネタに詳しくなっておくことも重要なのだそうです。意外と多いケースが面接のアイスブレークとして教授から時事ネタの会話を振られるパターン。これに対応できるように、日常からある程度ニュースや新聞に触れておくことが大事なのだそうです。

最後に、河上さんに受験生へ向けてのアドバイスを伺いました。「とにかく、自分を信じ続けてください。学校側が出してくるのはあくまで予測にすぎません。絶対的なデータではないのです。いろいろな外野の意見はあるかもしれませんが、最終的に受験するのは自分自身です。選抜入試では自分の意見が問われますから、徹底的に自分の意見を持ち続けることが重要です」

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クラウドセンバツ(クラウドセンバツ)
AO・推薦・総合型選抜入試を専門としたオンライン塾

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
東京大学経済学部4年 カルぺ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35の無名校から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中、独自のスマホ勉強術を駆使して東大合格を果たす。自身のノウハウを全国の高校生に教える傍ら、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行う「ドラゴン桜2 東大生チーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーも務める。『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)、『東大思考』『東大読書』など著書多数。

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(クラウドセンバツ、東京大学経済学部4年 カルぺ・ディエム代表 西岡 壱誠)

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