就寝1時間前に2個食べるだけで不眠の解消に絶大な効果…熟睡を導く"スーパーで手に入る緑の食材"
プレジデントオンライン / 2023年9月11日 18時15分
※本稿は、キム・ジョーンズ『最新科学が証明した睡眠にいいことベスト211』(文響社)の一部を再編集したものです。
■睡眠に効くスーパーフードの驚くべき効果
普段の食生活が、体重や気分、心臓病や2型糖尿病、さらには癌のリスクまで、さまざまな影響を与えることはよく知られています。
でも、私たちが食べたり飲んだりするものが、眠りを妨げたり促進したりすることは、あまり知られていません。
健康的な睡眠サイクルを維持するには、それを助ける役割を持つ脳の神経伝達物質生成に必要な栄養素を、毎日の食事から摂ることが大事です。
眠りを妨げる特性のある食品もあれば、眠りを誘う特性のある食品もあります。
また、「食べる時間」や「食べる量」が、眠りやすさに影響することもあります。
あなたが口に入れたものは、眠りに役立っているでしょうか?
本稿で紹介する食生活のコツを、ぜひ、快眠のために役立ててみてください。
まず、ビタミンCと食物繊維が豊富なことで知られるキウイフルーツは、睡眠に効くスーパーフードでもあります。台湾の台北医学大学が行った実験で、よく眠れない人に、就寝時刻の1時間前にキウイフルーツを2個、続けて4週間食べてもらったところ、素晴らしい結果が出ました。
被験者は、寝つくまでの時間が短くなり、睡眠時間が長くなり、ぐっすりと眠ることができました。キウイフルーツに葉酸と抗酸化物質の含有量が多いことが、眠りの改善に役立つと考えられています。
葉酸と抗酸化物質の不足は、不眠症を引き起こすと考えられており、葉酸不足はむずむず脚症候群と関連があるとも言われています。
■睡眠の質向上には「コーヒー」より「低カフェイン緑茶」
日中にコーヒーの代わりに飲むものを探している人は、ぜひ緑茶を選びましょう。緑茶には、抗ストレス作用のあるアミノ酸のテアニンが含まれています。
ただし、低カフェインまたはカフェイン抜きの緑茶を選ぶようにしてください。カフェインが抗ストレス効果を抑制してしまいます。
また、日中に摂取するカフェインが多すぎると、夜に目が冴えてしまう可能性があるからです。
日本の複数の研究から、日中に低カフェインの緑茶を飲むと、ストレスが軽減されるだけでなく、睡眠の質が向上することがわかっています。
■マグネシウム不足は不安とストレスに直結
マグネシウムは、体内のGABA(γ-アミノ酪酸)の量を健康的に保つのに重要な役割を持つミネラルです。GABAはリラクセーションを促進する神経伝達物質です。
マグネシウム不足は、不安とストレスにつながります。ある研究から、マグネシウムの摂取量を増やすと寝つきが良くなり、一晩中、心地良く眠りやすくなることがわかりました。
また、マグネシウムは、むずむず脚症候群の症状を緩和するとも考えられています。
マグネシウムが摂取できる食品は、色の濃い葉物野菜、種子やナッツ類、魚、全粒粉のパンや玄米です。
夕食に、ほうれん草とカシューナッツとアーモンドを混ぜた玄米ピラフなんて、いかがでしょうか?
■サーモン、サバ、イワシ…1週間に2回以上は魚を食べる
『Journal of Clinical Sleep Medicine』誌に掲載された研究によると、サーモンなどの脂肪分の多い魚を食べると、睡眠にプラスの影響を与えるそうです。
脂肪分の多い魚には、ビタミンDとオメガ3脂肪酸が多く含まれ、心臓病予防に役立つとも考えられています。
健康指針によると、魚は少なくとも1週間に2回食べるのがいいとされており、そのうち1回はサーモン、サバ、イワシ、マスであることが推奨されています。
脂肪分の多い魚を食べるようにしましょう。いつものチキン(鶏肉)やポーク(豚肉)やビーフ(牛肉)をサーモンに替えたり、サラダに燻製(くんせい)のサバのフレークをかけたりといった工夫をしてみましょう。
■脳にはダウンタイムが必要
指先だけでいつでも簡単に操作できるスマホ、インターネットや携帯電話、24時間オンエアしているテレビのおかげで、私たちはかつてないほどの大量の情報に日々さらされるようになりました。
問題は、増えた情報量に対して、脳が一度に何時間も集中できる構造にはなっていないことです。脳が完全に集中できるのは約90分間です。
脳を休ませ、更新させ、そして回復させるためにも、短い「オフライン」の時間を設ける必要があります。日中にときどき、脳に短い休憩時間を与えるのが理想的と言えます。
約90分ごとに、集中している作業の手を止めてみてはどうでしょうか?
お茶を淹れたり、肩を回してみたり、短い散歩をしてみたり。あるいは、座ったまま数分間(可能であればそれ以上)、空想にふけってみるのもいいですね。
脳にもダウンタイムが必要です。このような休息を脳に与えることで、最近の出来事や受け取ったすべての情報を処理する時間を確保できます。
脳にじゅうぶんな休憩がないと、ベッドに入る頃には頭がへとへとに疲れている上に、処理する情報が多すぎて、すんなり眠ることが難しくなるでしょう。
■ティータイムを利用して脳をリラックスさせる
脳に休憩時間を与えるのを忘れないための、いい方法があります。
お茶やコーヒーを淹れるたびに、脳のスイッチを切るのです。
日本の茶道は、「今この瞬間」に静けさと幸福を見出すという点において、瞑想(めいそう)の一種と言えます。同様の儀式を、自分のお茶のカップで行うことができます。
仕事をしながらあわてて飲むのではなく、一連のプロセスすべてに意識を集中してください。携帯電話やタブレットは、手の届かない所へ置きましょう。
水が沸騰する音、立ち上る湯気、茶葉やコーヒーが蒸される香りに、完全に焦点を合わせてください。出来上がったお茶を置いて座ったら、ゆっくりと味わいながら飲みましょう。
甘い? ほろ苦い? 花の香り? フルーティ? 手に持った温かいカップの感触は?
シンプルな日常の行いに没頭することが1種の瞑想になり、疲れを癒して心を鎮め、リラックスに役立ちます。日中にスローダウンすることを自分に気づかせるのはもちろんのこと、夜になってから眠る準備をするときにも、このお茶の瞑想は効果的です。
■「ていねいに食べる」が睡眠や健康に与える嬉しい効果
「今、ここ」に集中する心の状態を「マインドフルネス」と言います。マインドフルネスでいられるように脳を訓練することは、眠るときに雑念を追い払うのに役立ちます。
マインドフルネスは、1日の間にくり返し実践することで、どんどん上達していきます。習熟度がアップすると、眠るときにも自然にできるようになります。
マインドフルネスを練習するのにおすすめなのは、食事の時間です。最初は難しく感じるかもしれません。というのも、何かをしながら片手間に食事をしたり、ランチタイムに急いで食べ物を詰め込んだり、夜にテレビを見ながら食べたりする人が多いからです。
食事のときにマインドフルネスを実践できたら、慣れてくれば、リラックスできるだけではなく、食べ物をもっと味わえるようにもなるでしょう。
携帯電話を見えない所に片づけて、テレビの電源を切り、静かに座ってください。最初のひと口を食べる前に、料理の皿を眺めます。
色どりの豊かさに注目し、料理の匂いをかいで、これから食べるものの味を予想します。そして、だ液と味覚が刺激される感覚に浸ります。
食事を始めたら、目を閉じてゆっくりと噛み、さまざまな味や食感をしっかりと味わいます。ぴりっとする、甘い、塩辛い、ナッツの味……などなど。ひと口食べたら箸を置いて、時間をかけて徹底的に噛み、口のなかで混ざり合うさまざまな食材を感じます。
このように集中することで、「今、ここ」にしっかりと意識を向け続けることができます。
さらに嬉しい効果が! 意識してていねいに食べると、満腹感を認識しやすくなるため、食べすぎを防ぐこともできます。
■水分不足が熟睡を妨げる
夜中に目が覚める主な原因のひとつが、軽度の脱水です。喉の渇きに気づいたり、水分を求めて身体が動いたりすることがあります。おそらく、それが目覚めた理由だとは気づかない人も多いことでしょう。
英国の「ナチュラル・ハイドレーション・カウンシル」によると、女性は1日に約2リットル、男性は約2.5リットルの水分を必要とします。水を飲む以外にも、キュウリ、スイカ、レタス、セロリ、大根、トマト、ピーマンといった野菜や、ヨーグルトやスープなどから水分を摂取することができます。
1日に2リットルの水を飲むのが辛い人は、ミントやレモンやベリー類を入れて、風味をつけてみましょう。
大きめのウォーターボトルを購入して、200ミリリットル飲むごとに印をつけて時刻を書き込み、定期的に水分補給できていることを確認するのもおすすめの方法です。
■ビタミンD不足は不眠につながる
ビタミンDは健康な骨を維持するのに不可欠な栄養素です。しかし、英国では5人に1人が不足していると推定されています。屋内で過ごす時間が増え、紫外線の悪影響への不安から日光を避ける傾向にある日本人も、ビタミンD不足が指摘されています。
ある研究から、このビタミンD不足が睡眠不足につながることがわかりました。年配の男性を対象とした研究で、ビタミンDが少ない人は寝つきが悪く、中途覚醒があって安眠できないという結果が得られたのです。
学術誌『Nutritional Neuroscience』に掲載された研究では、睡眠障害のある20歳から50歳までの被験者にビタミンDのサプリメントを与えたところ、プラセボを与えられた被験者よりも、睡眠の改善が見られました。
ビタミンDは、日光を浴びることによって皮膚で合成されます。
肌を焼き続けるのはよくないですが、専門家は、1日1回か2回、一度に10分間日焼け止めなしで日光を浴びることを推奨しています。ビタミンD生成に最適な1日の日光照射時間は、住む地域、季節、肌の色によって違うので、国立環境研究所地球環境研究センター(※)に掲載されている観測局ごとの目安を参考にするのもいいでしょう。
食事からもビタミンDは摂れます。しいたけ、しめじなどのきのこ類、鮭やイワシなどの魚、イクラやアン肝、卵黄、牛乳など。食事から摂れないときはサプリメントを利用するのもいいでしょう。
※国立環境研究所 地球環境研究センター「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」
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健康と福祉を専門とするフリーランスのジャーナリスト。「デイリー・ミラー」「サンデー・エクスプレス・マガジン」「ウーマンズ・ウィークリー」「テスコ・マガジン」「ウーマン・アンド・ホーム」など、さまざまな女性誌や新聞に寄稿している。パートナーと2人の息子、愛猫と愛犬(コッカースパニエル)と一緒に、ウェールズの首都カーディフに暮らしている。
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(ジャーナリスト キム・ジョーンズ)
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