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なぜ「月曜日の朝」は会社に行くのがツラいのか…医師が「7割の人に当てはまる」と指摘する"休日の悪習慣"

プレジデントオンライン / 2023年9月11日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AsiaVision

休み明けにやる気が出ないのはなぜか。脳神経内科医の田中伸明さんは「月曜日の朝に会社に行きたくなくなるのは、一人暮らしの若い人に多い。十分なケアが必要なケースもあるが、相談に来る人の7割は『生活パターンの乱れ』に原因がある。週末の夜更かしや寝だめはやめたほうがいい」という――。

※本稿は、田中伸明『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■休みが長かった分、憂うつな気分も増す

週末の休日が終わる頃、ちょうど日曜日の夕方になると、「明日は仕事か……」と憂うつな気分になることがあります。

「サザエさん症候群」「ブルーマンデー症候群」と呼ばれる症状です。

この症状は学術的に裏付けのあるものではありませんが、多くの人が抱えていると見られ、休み明けは朝からやる気がしないと悩む人も少なくありません。

とくにゴールデンウィークやお盆休み、正月休みの後は、休みが長かった分、憂うつな気分も増すため、気持ちを切り替えて仕事に取りかかるのが難しくなります。

連休明けにやる気が出ない人は、次の2タイプのどちらかではないでしょうか。

①連休を楽しく過ごし、充実した時間を送った人
②連休明けにストレスのある用件がある人

①の連休が充実していた人は、休みが楽しかった分、連休明けの日々への期待値が相対的に低くなるためモチベーションは上がりません。

②の連休明けに難しい仕事や人とのつき合いが入っている人は、それを乗り越えられるか不安であり、失敗することを想像してどんどん暗い気持ちになります。

①と②のいずれか、もしくは両方に該当している場合、連休最後の日の夜や休み明けの朝は憂鬱な気持ちに支配されることになります。

■「休みの日」と「働く日」の関係を見直す

では、連休明けをやる気のある状態で迎えるには、どうしたらいいかを考えてみましょう。

例えば、最悪の連休を過ごすというのも1つの解決策になるかもしれません。

「早く会社が始まらないかな」「これなら仕事に行っている方が楽しいな」と思えるひどい休日をあえて演出していくのです。

とはいえ、それではせっかくの休みが台無しになってしまいますから、この方法は現実的ではありませんね。

まじめな提案としては、人生を長い時間軸でとらえて、「休みの日」と「働く日」の関係を見直すことをお勧めします。

どういうことかというと、1日単位で休みの日と働く日を捉えるのではなく、5年とか10年単位で考えてみるのです。

すると人生には懸命に働く繁忙期と、調子が悪くパッとしない閑散期があることに気づきます。

実際私も、30代までは医師としてコンサルタントとして、しゃにむに仕事をしていました。

しかし、その後ベンチャーの起ち上げに参画していた40歳のときに大腸がんになり、強制的に自分の生き方を見つめ直す時間をもつことになりました。

人生には波があることを再認識すると、「休み」も「仕事」もどちらも楽しめるようになります。

働けるときは全力で働き、休めるときは全力で休む──。

そんなふうに、自分と休み、自分と仕事の関係性を見直すと、やる気が大きく上下動することはなくなるはずです。

■原因の多くは、週末に乱れた睡眠サイクル

誰にでも「今日は会社に行きたくない」と思う日があるでしょう。

そんなときはいっそ休んだ方がいいのか、それとも頑張って行ったほうがいいのか? 皆さんはどちらだと思いますか?

脳科学的には、「休んだ方がいいケースが多いが、休まずに行ったほうがいいケースも少なくない」となります。

私のクリニックにも、「会社に行くのがツラい」と相談に来る人が多いですが、ツラいと感じる理由を聞いた上で、休む・休まないを判断し、アドバイスしています。

月曜日の朝になると会社に行きたくなくなる、週明けになると仕事がイヤで会社を辞めたくなる……と訴える患者さんが一定数います。一人暮らしの若い人に多い相談です。

もちろん、深刻な原因があり、十分なケアが必要なケースもありますが、7割の人は生活パターンの乱れに原因があります。

本人は「上司との関係が悪いからだ」「会社との相性が最悪だから……」と不調の原因を挙げてきますが、じっくり話を聞くと、週末に睡眠のサイクルがずれており、それが月曜日の不調の原因となっている場合が多いのです。

目覚まし時計とベッド
写真=iStock.com/carlosgaw
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/carlosgaw

■「時差ボケ」のような状態が月曜の朝をツラくする

実際、金曜や土曜日の夜に夜更かしをして、次の日は昼まで寝ているような生活を送れば睡眠のサイクルは崩れていきます。

そのまま日曜の夜になって「明日は会社だから」と早めに寝ようとしますが、当然眠くならないわけです。

結局、睡眠不足で月曜日の朝を迎えることになり、体はだるくて動かない……。自業自得にもかかわらず、「このダルさの原因はきっとストレスだ」と考えて、仕事や会社での人間関係などに原因を求めるのです。

原因を誤解するのは、寝不足で遅刻をしたり、ミスをすることが多いため、上司からの評価が下がり、その下がった状態をとらえて「自分は上司に嫌われている」と思い込んでいるからでもあります。

こうしたケースは、週末の生活パターンを立て直すだけで解決します。

週末に、あなたが引き起こした“時差ボケ”のような状態が、月曜日の朝をツラくさせているだけ──。

そう説明すると、不満げな表情になる人もいますが、実際に生活サイクルを整えると多くの人はツラさがだいぶ解消されます。

月曜日の朝になると、会社に行きたくないと感じる人は、週末の生活を見直してみることをお勧めします。

見直さないまま会社を休んでしまうと、ずるずると火曜日も水曜日も休み続けることになりかねないので、注意が必要です。

■医師がサラリーマンに休職を勧めるケース

一方、医師として会社を休んだり、休職することを提案するケースもあります。

本人が無理して出社したものの、普段のように働くことができず、頑張っているのに評価が下がってしまう場合です。

ツラさの原因は、対人関係の悪化や仕事の分量の問題、人事異動など環境の変化にあることが多いですが、本人がそれをうまく言葉にできないときは、質問をしながら原因を探っていきます。

そしてひとまず休むことを提案します。休息による心身の回復が必要だからです。

その後休職した場合は、休みながら次のステップを探っていきます。

上司との人間関係が原因なら、部署を変える方向で復職を目指すなど、休みが明けた後のことを見据えて動いていきます。

復職後の対策をしないまま、ただ休み続けるのは避けたほうがいいです。休むことで体がラクになったとしても、休職した原因が解消されていなければまた同じことが繰り返される可能性が高いからです。

■面談の時間を取ってツラさの原因を探っていく

人間とは不思議なもので、会社の椅子に座るまでは「会社がイヤだ」と感じていても、作業が始まると集中できるというケースもあります。

田中伸明『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(クロスメディア・パブリッシング)
田中伸明『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(クロスメディア・パブリッシング)

一見、仕事に意欲的に取り組んでいるように見えるため、上司は部下のメンタル不調に気づくことができません。

もしあなたの部下が「調子が悪い」「会社に行きたくない」などと相談してきてくれたときは、聞き流さず、しっかりと向き合ってほしいと思います。

「2、3日休んで、様子を見て」「もうひと頑張りしたら、繁忙期も過ぎるから」などと適当にアドバイスするのではなく、面談の時間を取って一緒にツラさの原因を探ってあげてください。

「会社に行くのがツラいときは休んでもいい? 休まない方がいい?」という問いに対する正解はなく、1人ひとりのツラさの原因に応じた対応の仕方があるのです。

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田中 伸明(たなか・のぶあき)
脳神経内科医
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、医師会認定産業医、東洋医学会専門医。鹿児島大学医学部卒業後、諏訪中央病院で地域医療に従事。その後、厚生労働省でマネジメントを、マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンで経営を学ぶ。その経験を生かして会津大学理工学部、日本大学工学部、京都産業大学経営学部の教授として大学教育に従事。ビジネスパーソンのメンタル障害を解決することが重要と考え、ベスリクリニックを開設。著書に『マッキンゼー×最新脳科学 究極の集中術』などがある。

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(脳神経内科医 田中 伸明)

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