これを言えないと大損してしまう…仕事の評価が爆上がりする「上司への軽やかな声かけフレーズ」
プレジデントオンライン / 2023年9月14日 6時15分
※本稿は、田中耕比古『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■手戻り、修正を減らす最良の方法
仕事の効率や生産性の最大の敵は、「手戻り」です。どれだけ先手を打って仕事を進めても、どれだけ作業のスピードが速くても「やり直し」が発生してしまうと、仕事は前に進んでいきません。
ですから、仕事に取り掛かる前に、手戻り、修正を減らすための手を打つべきなのです。
たとえば、これまで取り組んだことのない種類の仕事やプロジェクトを担当する場合には、まず、「この進め方で問題ないか」を上司や先輩、その分野の経験がある人、クライアント等に確認することから始めましょう。
上司や先輩は多くの経験を積んでいます。そのため豊富な知識があり、考え方の引き出しも多く持っています。彼ら彼女らと話すことは、あなたひとりでは気づけなかった視点を得ることにつながります。
一番いいのは、仕事を依頼してきた人と直接話すことです。相手が何を求めていて、この仕事をどのように進めてほしいのかについて、依頼者の頭の中にあるイメージを聞くことができれば、間違いようがありません。
その人と話すことが難しい場合、あるいは、忙しくてなかなかつかまえられないというような場合には、経験豊富な上司や先輩に相談しましょう。
それも難しい場合は、同僚に相談しましょう。場合によっては後輩に相談してもよいと思います。ただし、自分よりも経験が浅い人からは有益なアドバイスが出てくる可能性が低いので、できるだけ経験豊富な人を選ぶほうがいいでしょう。
■「前提」と「期待するアクション」を伝える
また、相談するにあたっては、「話の前提」と「期待しているアクション」を明確に伝えましょう。
たとえば、お客様向けの提案について誰かに相談する場合には、次のような具合で話します。
「来週後半に、顧客の○○さんにアポイントを入れているのですが、そのために、どのような準備をするべきか考えています。
私としては、まず、業界やお客様の状況を調べた上で、それを踏まえて解決すべき課題と、それに合わせた提案内容を考えてみたいと思っています。
調査については、インターネットくらいしか思いつかないので、何かよい調査方法などがあれば、ぜひご意見をいただきたいです。
そのほかにも、もっと違う考え方が必要なところがないかなどについても、アドバイスをいただけるととてもありがたいです」
あるいは、上司や先輩から依頼を受けていて、その依頼主本人に相談する場合には、
「昨日、ご依頼を受けた件ですが、自分なりに進め方を考えてみました。作業の目的と、どういう手順で進めていくかについて整理してみましたので、私の理解の足りない部分や、間違っている部分がないかを確認させてください」
という感じでしょう。
どちらにも共通しているのは「自分なりに考えてみた」ということと、「それをチェックして、意見がほしい」ということです。
■相談は「15分程度もらえませんか」と軽いトーンで
このときに、報連相(ホウレンソウ)で言うところの、「報告」の話だと誤解されてしまうと、話がややこしくなります。あくまでも「相談」という形を取りましょう。
報連相、すなわち、報告・連絡・相談は、それぞれ位置づけがまったく異なります。
「報告」は、非常にオフィシャルなものです。部下から上司、後輩から先輩に情報を伝え、なんらかの判断や意思決定、あるいは報告内容に対する評価をしてもらうための場です。
一方、アドバイスがほしいときには、「相談」します。不確定なこと、少し不安に感じていること、自信がないことなどについて、相手から助言を引き出し、少しでも改善の糸口を掴もうとするのが、相談です。
今回行おうとしている、進め方の確認は「相談」という位置づけです。従って、あくまでもカジュアルに持ちかけるのが理想です。
たとえば、会議室を押さえたりすると、オフィシャル感が増します。休憩室や執務スペース、場合によっては近所のカフェなど、肩肘張らない場所を選ぶほうがよいでしょう。
もちろん秘匿性の高い内容の場合などは、相談の場合にも社内の音漏れしない会議室が好ましいのは言うまでもありません。
また、相談の場合は打ち合わせの長さも、あまり長くないほうがよいです。「1時間ください」などというと、公式な打ち合わせだと思われてしまいかねません。
「○○の件についてご相談したいので、15分程度お時間もらえませんか?」
というように、軽いトーンで、短い時間で話を聞いてもらうとよいでしょう。
■相談で求めるは「ダメ出し」ではなく「アドバイス」
相談は、相手を自分のフィールドに引き込むことができる魔法の言葉です。
あなたを頼りにしている、私を助けてほしい、という意味が込められていますので、相談を受ける側は悪い気はしません。むしろ、「頼られている」「自分の能力に期待されている」と感じます。
そのため、当初は15分だったはずが、話が盛り上がって30分かかってしまったとしても、多くの人は、おそらく許してくれます。
次の予定が入っているなど、延長できない場合でも「これは、もう一回話したほうがよさそうだね」と、別の機会を用意してくれたりするでしょう。
また、あくまでも「相談」と位置づけることにより、「あなたのアドバイスを受けて、いろいろ修正する段階である」ということを印象づけることができます。
もちろん、ここに至るまでに、しっかりと考え、自分なりの答えを見出しているはずです。しかし、それを、まるで決定事項であるかのように伝えてしまうと、相手は身構えます。
そして、「間違っている」「わかっていない」「ぜんぜんダメだ」という強い反応が返ってくるリスクが高まります。
求めているのは、アドバイスであって、ダメ出しではありません。
「相談」という、非公式なコミュニケーションのなかで、仕事の目的、仕事の道筋について、アドバイスをもらい、より「正しそうな」「確からしい」目的、道筋を見つけ出すように心掛けましょう。
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ギックス取締役、共同創業者
1977年生まれ。2000年、関西学院大学総合政策学部卒業。商社系SI企業に入社。2004年、アクセンチュア株式会社戦略グループ入社。幅広い領域での戦略コンサルティングプロジェクトに参画。2011年、日本IBM株式会社入社。ビッグデータのビジネス活用を推進。2012年、株式会社ギックス設立。取締役に就任。2022年3月、東証マザーズ(現グロース)に新規上場。著書に『一番伝わる説明の順番』、『仕事の「質」と「スピード」が上がる仕事の順番』など。
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(ギックス取締役、共同創業者 田中 耕比古)
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