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年収600万円でも買える…マンションのプロが挙げる「都心から離れているが資産価値が落ちにくい駅の名前」

プレジデントオンライン / 2023年9月21日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

マンションが高い。年収600万円の会社員が首都圏でマンションを買おうとしたら、何かを妥協しなければならないのが現実だ。スタイルアクト代表の沖有人さんは「マンション購入で最も妥協してはいけないのは立地だ。都心から離れても資産価値が落ちにくい駅はある」という――。

■都区部の中古物件を検討することになる

今からマンションを買う場合、押さえておくべきことが2つある。1つは自分が買える物件価格を知ることだ。もう1つは今後の相場がどうなるかだ。

自分が買える物件価格は住宅ローンがいくらまで借りられるかで決まる。その借入限度額は世帯年収でほぼ決まる。現状なら、年収の8~10倍となる。年収600万円なら、4800万~6000万円となる。新築の3LDKが66m2程、20坪となるので、坪単価は240万~300万円となる。都区部の新築の平均値が坪400万円なので、都区部では買える新築物件はほぼ無いに等しい。このため、おのずと中古を検討することになる。

また、今後の相場も押さえておく必要がある。マンション価格は金融緩和とともに上昇してきた。その相関関係は非常に強い。日銀の金融緩和は当面続きそうなため、価格は今後も上がる公算が大きい。買った価格よりも売る際の価格が高いのならば、賃貸でなく、購入した方がいいに決まっている。このため、自分の年収で買える物件を探すことになる。

■最も妥協してはいけないのは立地

マンションの資産価値は、立地でほぼ決まる。立地とは、最寄り駅と駅からの徒歩分数だ。これを妥協すると資産の下落幅が大きくなるので、購入推奨しにくくなる。最も妥協してはいけないのは立地である。

立地がいい物件はおのずと価格が高くなる。買えなくては意味がないので、買える価格まで落とす必要がある。その際の最も端的な方法は、面積を小さくすることだ。とはいえ、それには限度がある。建物の床面積は40m2以上でないと住宅ローン控除を受けられない。これに満たないと自宅用ではなく投資用となり、中古価格がドンと落ちる。この際、注意すべきはここでの床面積が「登記簿面積」であることで、広告に載っている専有面積と異なる。前者が壁の内側の面積で、後者は壁の厚みの中心線(壁芯)の面積で、後者の方がいくぶん大きい。登記簿面積が40m2以上なら、専有面積は43m2のものでも確認が必要になる。取引の際に仲介会社に確認を求めよう。

■「新耐震基準」の物件になっているか

次に妥協すべきは築年数となる。絶対に守らなければならないのは、新耐震基準の物件であることだ。1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認において適用されていた基準が「旧耐震基準」と呼ばれ、翌日の1981年(昭和56年)6月1日から適用されている基準が「新耐震基準」となる。日本では大きな地震の度に、建築基準法の耐震基準が変えられる。大きな地震の際にその耐震基準で建物の損傷度合が大きく異なるからだ。住宅ローンを出す銀行としては建物が住めなくなるような物件には融資しても、担保設定した不動産の価値が毀損(きそん)してしまっては回収できなくなるリスクが跳ね上がる。そのため、原則として新耐震は融資基準の絶対条件の1つになっている。

このため、マンションの建築確認申請が受理された日をチェックする必要がある。売主側に建築確認の通知書を発行してもらい、確認することになる。旧耐震であっても「耐震基準適合証明書」が取得できれば、フラット35であれば住宅ローンが借りられるが、金利が高い分、安くしか売れないし、買い手が少なくなる分、売却しにくいので現実的な選択肢とは言えない。

アパートの建築模型を持つ人
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■オフィスに鉄道1本で行ける駅の資産性が高い

築年のひとつの目安として、2001年以降を推奨しているが、それ以前でも新耐震以降であれば購入に問題はない。ここで、よく質問されるのが、築20年の物件を購入して、10年住んで、築30年になっても売れるのか? というものだ。これは売れるので、心配する必要はない。既に取引された平均築年数は20年を超えており、今後はストックの経年に伴い、遠くない将来に取引の平均築年数は30年になることが予想される。

もう1つの価格を下げる方法は、土地の所有権を捨てて、借地権の物件にすることだ。山手線の内側くらいの借地権にしておかないと、資産価値の落ち方が大きいので、もう少し予算がある人は検討に値するだろう。

マンションは立地で資産性が決まると書いたが、その立地とはオフィスからの時間距離と心得よう。オフィスの床面積の50%は都心3区(千代田区・中央区・港区)にあり、これに新宿区と渋谷区を加えた都心5区で3分の2を占める。この5区に勤めている人がホワイトカラーの3分の2を占めるということだ。単身や2人世帯の共働きが増える中で、通勤時間は短いエリアが人気となっている。郊外の庭付き一戸建てを求める人は以前より少なくなり、都心アクセスの良いマンションニーズは強くなった。端的に言うと、オフィスに鉄道1本で行ける駅の資産性が高い。湾岸エリアや城東エリアの日比谷線・銀座線・半蔵門線・つくばエクスプレス・京急線などで、山手線で言う品川~秋葉原間に鉄道1本で来られれば合格点となる。

■有名公立小学校の学区内に住むという手

都心から離れても資産価値が落ちにくい駅がある。越谷レイクタウン駅、新船橋駅、幕張豊砂駅などが該当するが、その共通する特徴が分かるだろうか。駅前に大きな商業施設があることだ。駅の力は集客力で決まる。顧客を呼び込むことができる駅周辺の土地価格が高く維持されやすく、閑散とした駅は下がりやすいのは容易に想像がつくだろう。

もう1つの方法は、有名公立小学校の学校区内に住むことだ。さいたま市浦和区の常盤小のように、進学で有名な公立小学校の学区域内は常にニーズがあるので、資産価値が落ちにくい。

ランドセルを背負った子供たち
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

同様にファミリー世帯を流入させている例で流山市がある。流山おおたかの森駅と南流山駅に設置された送迎保育ステーションは、朝に預けると保育園まで送ってくれ、夕方は再び送迎ステーションまで返してくれる。親は毎日駅での行き帰りに子どもを預け、引き取ることが通勤の一環でスムーズに行うことができる。流山市は2021年に待機児童ゼロを達成している。同様のサービスを他の行政もやるようになっているが、一部の保育園に限定されたり、そこに入ることが難しかったりで安心して引っ越しができるには至っていないので注意が必要だ。

マンション価格が上昇中の現在、賃貸暮らしでは単純に損するだけだ。しかし、購入して資産価値が落ちたら、引っ越せなくなってしまう。資産性の理解は転ばぬ先の杖として活用してもらいたい。

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沖 有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意としている。設立当初から運営している分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)の会員数は、現在29万人を超える。中でも、自宅投資の基礎などを沖自ら解説している「沖レク動画」は人気コンテンツとなっている。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

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(スタイルアクト代表 沖 有人)

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