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仕事がイヤで「転職サイトに登録」はバカの所業…イスラーム学者「次を決めずとりあえず仕事を辞めていい」

プレジデントオンライン / 2023年9月17日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NanoStockk

今の仕事を辞めたいとき、どうすればいいか。イスラーム学者の中田考さんは「仕事が嫌でやめたいと思うと、自己啓発本を手に取ったり、転職サイトに登録するが、その時点で転職しても失敗はみえている。日本はどこにでも食べ物が転がっている。本当に仕事が嫌でたまらないなら、とりあえずやめればいい」という――。

※本稿は、中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■日本人なら仕事をやめよう

「したくもない仕事を続けるのはなぜか?」と聞かれると、大抵の人は「食べていくため必要だから」と答えるでしょう。食べていくために必要だから、毎日朝早くに起きて、満員電車に揺られて職場に向かう。

でも今の日本では仕事がないくらいじゃなかなか死にません。コーランには「思いもよらなかったところから神様が食べ物を恵んでくださる」と書いてあります。

日本はどこにでも食べ物が転がっています。魚を獲ったりネズミを捕まえて生肉にかぶりついたり、野草を齧ったりしなければならないわけではありません。

調理済みの御馳走がコンビニに並んでいて好きなだけ食べ放題です。食べ終わったら留置場、刑務所に入れてもらえ雨露しのぐ場所と栄養管理の行き届いた食事がただで与えられます。これを繰り返せば一生生活は安泰です。

本当に食べるものがないところでは、食べ物を盗めば住民たちに取り押さえられリンチに遭って殴り殺されます。働かずに他人の食べ物を奪う盗人を生かしておいては、食べ物を盗まれた人間の方が飢えて死ぬからです。仕事をしなければ食べていけない、というのはそういうことです。

日本は今、坂道を転がり落ちるように貧しくなっていますが、昔の蓄えがあるので、道に餓死者が転がっているといった事態にまではなっていません。生活保護もあるので、泥棒をする必要すらありません。仕事をやめたからといって生きていけないというわけではまったくありません。

だから本当に仕事が嫌でたまらなくてやめたいならやめてみましょう。刑務所に入ったり、生活保護を受けたりする方が、仕事や人間関係のストレスより大きい、というなら、そのストレスはその程度のものだということです。どちらでも好きな方を選べばいいのです。

■悩んで自己啓発セミナーにお金を払うバカ

仕事が嫌でやめたいと思うと、今なら大抵の人は自己啓発セミナーや、転職サイトとかに登録したりするのだと思います。そうすると、だいたい以下のようなことを言われるでしょう。

「仕事をやめることは、大きな決断です。この決断が生活や人間関係、そして自分自身にどのような影響を与えるかを慎重に考えることが重要です。しかし、仕事をやめることによって得られる機会や新しい人生の可能性について考えることも大切です」

とか、

「仕事をやめようという決断は、慎重に考えられた上での選択であれば、人生に新たな可能性や豊かさをもたらすことができます。自分の価値観や目標を見つめ直し、新しい人生の道を模索する勇気を持ち、その後の生活設計や人間関係、自己成長のための計画を立てることで、仕事をやめた後も充実した人生を送ることができるでしょう」

とかです。

全部、ああも言えればこうも言える、というなんとでも言える無駄話です。だいたい、こんなことで悩んだり、自己啓発本などを手に取っている時点で、転職しても失敗は目に見えています。

テキストで勉強する女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

そもそも現代の資本主義社会で、自己実現だとか自分らしい生き方、とかを求めて転職したい、とか言っている連中は九分九厘、楽して金を稼ぎたい、というだけの身の程知らずです。

資本主義社会で楽に儲かる仕事というのは十中八九、自分よりバカな人間を耳障りの良い言葉で騙して気持ちよくさせて金を巻き上げる仕事です。

■たぶん失敗して後で何度も何度も後悔することになる

そして仕事がうまくいかなくて悩んで自己啓発本などを手に取っている人間は、他人を騙す側ではなく、詐欺師に騙されて金を巻き上げられる側の人間です。

転職してもスキルもない新しい職場で同僚には負け取引相手からもカモにされ、無駄に歳だけとって自分の市場価値を下げ、前より条件の悪い職場にまた転職する、という転落の道が目に見えるようです。

こんな本を読んでいるような人には転職などせず、今まで通り会社の奴隷として、生かさず殺さずでこき使われて生きる方がまだマシだ、としか言いようがありませんが、それでも聞く耳持たず、どうしてもやりたいことがあるので転職したい、と言うなら、蓄えや退職金、副業や新たな仕事の見込みなどその後の生活設計や収入の確保など一切考えず、一度きりの人生、好きなようにすればよいのです。

たぶん失敗して後で何度も何度も後悔することになると思いますが、最初に書いた通り、日本ではいくら失敗しても死ぬわけではありませんから。

■バカが自分の頭で考えたって何一つ良いことなどない

よく「自分の頭で考えよう」と言われます。答えを誰かに聞かず、まずは自分の頭で考えようとか言いますよね。でもバカが自分の頭で考えたって何一つ良いことなどないんです。

だったら引きこもってゲームをしている方がいいです。社会に迷惑をかけることもないし、何より楽しい。中毒性もありますから、ゲームをしていればかなりの時間を潰せます。人生なんて死ぬまでの暇つぶしですから、その時その時を楽しく過ごせればそれでいいんです。

本当は「薬をやろう」と言ってもいいんですが、それはややまずいので、薬に代えてゲームとか中毒性のあるものをやるのがいい。酔生夢死という言葉があります。

「何もせずに、むなしく一生を過ごすこと。生きている意味を自覚することなく、ぼんやりと無自覚に一生を送ること」という意味です。

取り立てて何か特別な才能を持ち合わせているのではない凡人には、誰でも遊べるようにできているゲームの中毒になって時を忘れて遊んでいるうちに熱中症とかになっていつの間にか死んでいる、という酔生夢死の死に様が一番良いと思います。

■仕事のためにゲームの時間を削るバカ

ゲームは、現代社会において多くの人々が楽しむ娯楽の1つで、様々なジャンルやプラットフォームが存在し、子供から大人まで幅広い年齢層が楽しんでいるのは確かです。

近年ではeスポーツが注目され、プロゲーマーや大会も増え、競技としての地位を築きつつあり、教育や医療の現場でも、ゲームを活用した取り組みが行われていて、ゲームの可能性が広がっています。

ゲームをする男性
写真=iStock.com/JGalione
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JGalione

オンラインゲームや協力プレイを行うことで、他のプレイヤーと共に目標を達成する喜びや、助け合うことの大切さを学ぶとか、パズルゲームや謎解きゲームをプレイすることで、論理的思考力や問題解決能力が鍛えられ、言語学習に役立つゲームや歴史を学べるゲームで知識を楽しみながら身につけることができる、などとゲームの効用を並べたてつつ、過度なゲームプレイは、睡眠不足や運動不足、目の疲れをはじめとする身体的な問題や、家族や友人との関係悪化、学業や仕事への悪影響があり、適切なバランスを保ちながらゲームを楽しむことが重要、などと注意をしてみせるのが最近の流行りです。

でも根本的に間違っています。そもそも資本主義社会で疎外された、金に使われる人生なんて、どうでもよい。どうせ死ぬまでの束の間を生きるため、食べるためだけのやっつけ仕事でいいのです。

大切なのはゲームが楽しいことであって、その時間のために仕事をしているのです。仕事のためにゲームの時間を削るなど本末転倒です。

■東大卒が三日三晩ゲームをやり続けた結果

知人で東大の理工学部を出て就職したけれどゲームをする時間が取れないのでやめて、ニートになり、栄養ドリンクだけ飲んで三日三晩ゲームをやり続けた結果、光が見えて意識を失って倒れた人がいます。その人は幸か不幸か生還し、今もそういう生き方を続けていますが、そのまま光に包まれて死んでいればそれが最高の生き方/死に方です。

第1回でも述べた通り、遊びは真剣に遊んでこそ無心に楽しめるのであり、それを極めるとこの世の彼方から光が射し込むこともあります。

中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)
中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)

昔、「愛の戦士レインボーマン」(1972〜1973年)というテレビの特撮番組で「インドの山奥で修行して提婆達多の魂宿し」という歌がありましたが、現代はパキスタンの山奥でイスラーム教徒の導師の下でゲーマーたちが苛酷な修行をする時代です。

詳しくは《パキスタンで発見した格ゲー鉄拳の「虎の穴」宗教指導者の姿も!》のキャプション付きの導師の写真入りの記事(乗京真知「格ゲー業界騒然!パキスタン人が異様に強い理由、現地で確かめてみた」「withnews」2019年4月17日付)をお読みください。

現代社会の修行の道はコンピューターゲームなのかもしれません。

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中田 考(なかた・こう)
イスラーム学者、イブン・ハルドゥーン大学客員教授
1960年生まれ。イブン・ハルドゥーン大学客員教授。83年イスラーム入信。ムスリム名ハサン。東京大学文学部宗教学宗教史学科(イスラーム学専攻)卒業。カイロ大学博士(哲学)。クルアーン釈義免状取得、ハナフィー派法学修学免状取得。在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、同志社大学神学部教授などを歴任。著書に『みんなちがって、みんなダメ 身の程を知る劇薬人生論』(ベストセラーズ)、『宗教地政学から読み解くロシア原論』(イースト・プレス)、『13歳からの世界征服』『70歳からの世界征服』(共に百万年書房)などがある。

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(イスラーム学者、イブン・ハルドゥーン大学客員教授 中田 考)

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