食費に月10万円、化粧品に5万円…単身の年金生活者の生活費が信じられないほど爆上がりするカラクリ
プレジデントオンライン / 2023年9月21日 11時15分
※本稿は、横山光昭『お金を貯められる人のすごい習慣』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
■心配性の人は「いざ!」というときを想定しすぎ
貯められない人はけっこう心配性な方が多いです。「あれがないと心配」「いつ使うかわからないけれど、そのときにないと困る」と考え、いつ来るかわからないその日に備えて、十分すぎるほどものを買い込むなどして準備をするのです。
新型コロナウイルスが大流行し、外出を控えるよう言われていたとき、Mさんの家では食費や消耗品代が一気に跳ね上がりました。少しでも外出しなくて済むように、「備蓄」と称して保存食や冷凍食品、それからティッシュペーパーやトイレットペーパー、マスク、洗剤などの日用品を買い貯めていたのです。しまいには、冷凍食品が家の冷蔵庫に収まり切らなくて、新しい冷蔵庫を買い足すまでになったのです。「○○がない!」という焦りをできるだけ解消したい。不便な思いをしないための先回りでしょう。このようによくも悪くも心配性な面が強いように思います。
さらに、この買いだめが習慣化してしまい、外出がかなり自由にできるようになった今でも買い貯めは続いているといいます。これではお金は出ていくばかりですね。また、買いすぎると在庫を把握できないため、過去に買ったものを忘れている可能性も高いです。収納庫をちょっとのぞいたら、同じものがいくつも出てきたという話もよく聞きます。それらを早く減らしたくて、規定量以上に使うということも。もったいないですよね。
■ティッシュがなければ、○○で代用⁉
ものに関しては、「これがないとダメ」ではなく、「なかったら別のもので代用すればいい」くらいの気持ちを持てるほうがいいでしょう。
Nさんは、ティッシュペーパーを切らしてしまったとき、実家のお母さんにこう言われたそうです。「ティッシュがなかったら、新聞紙でも、いらないハンカチや洋服でも代用できるから大丈夫!」。それを聞いたNさんは、「そこまでは強くなれないけれど、そのくらいの気持ちでいたらなんとかなるもんだな」と感じ、ティッシュペーパーがなくて騒いでいた自分が小さく思えたといいます。
そこまではやらなくていいと思いますが、ティッシュペーパーがなかったら、たとえばトイレットペーパーを使うとか、家に余っているポケットティッシュを探してみるなどすればしのげるでしょう。さほど不快感も覚えないでしょうし、意外となんとかなるものです。
足りなくなったときに都度買うと、定価で買う羽目になったり、コンビニを利用したりするので高くつくのでは? と思うかもしれません。ですが、使わずにダメにしてしまったり、買いすぎて在庫があるのを忘れてしまうより、確実に使い切るほうが結果的に安くつきます。
■貯められる人は旅行の荷物が少ない
お金を貯められる人は、「なくてもなんとかなる」と思っているところがあるので、旅行の荷物が小さいです。必要最低限しか持ち歩かないからです。たとえば、コンタクトレンズやメガネ、洋服などは、持って行かないと替えが効きません。でも、パジャマはホテルや旅館のものを着ればいいし、歯ブラシ、ドライヤーなどは備品を利用すればOK。化粧品は小さく詰め替えていくか、以前もらった試供品を利用する、という人もいます。それに、もし足りなかったら現地で調達すればいいという考えです。
一方心配性な人は、自分がいつも使っているものを持って行かないと安心しないところがあります。ですから、ドライヤーやパジャマはもちろんのこと、枕などを持って行く人もいます。具合が悪くなったとき用の常備薬も一式。洋服も宿泊日数のほかに「汚れたとき用」「出かけるとき用」「寒くなったら」「雨が降ったら」など、さまざまなシチュエーションを想定して何着もプラスで用意します。その結果、1、2泊なのに引っ越しでもするかのような大荷物になっている場合もあります。
旅に想定外のハプニングはつきものです。起こっていないことを心配しても仕方ないところがあるので、心配しすぎず、「何か事が起こったら考えればいい」くらいに大きく構えておきましょう。家の備蓄も同じです。最低限の用意は必要ですが、それ以上は「なんとかなる」「なんとかする」という気持ちでいましょう。
■さびしさが支出を加速
人はさびしさからついお金を使ってしまうことも多いようです。
老後を待ち受ける3Kのひとつに「孤独」があります。それを埋めるのがお金の力なのかもしれません。
■「誰かとつながっていたい」が支出につながり…
Bさんは、夫を亡くしてひとり暮らし。お嬢さんも結婚して、今は車で1時間ほど離れたところに住んでいます。ひとり暮らしになったので食費は減るかと思いきや、むしろ増える一方で、月に10万円近くかかっています。
聞けば、娘や友人に「おいしい○○があるから取りに来ない?」と、どうやら食べ物を誘う口実にしているようなのです。ほかには、「食事をごちそうするから会いましょう」と言って、食事をおごる機会も増えたようです。
食費だけでなく、被服費も増加しました。でも、別に洋服が欲しいから買っているというわけではなさそうです。「店員さんと話したいから」「常連さん扱いしてもらえるのがうれしいから」というのが理由です。話し相手が欲しいためにお金を使っているのです。
それによって、毎月年金ではとてもやりくりできないため、夫が遺してくれた貯金は日に日に目減りし続け、しまいには銀行貸し付けや生命保険の契約者貸し付けなども行うまでになったのです。
寂しさをお金で埋めようとして、その結果、生活に支障が出てしまうのはよくないですよね。そうならないためにも、今のうちからお金がかかりすぎないひとり時間の楽しみ方をつくっておくとか、なにか趣味を見つけておくことなど、さびしさを覚えないような時間の使い方を見つけることも大事かもしれません。趣味がきっかけで新たな友達もできるかもしれません。
■化粧品にお金をかけがちな人は…自己破産⁉
「肌に直接つけるものだから」と化粧品にお金をかける方は多いようです。年齢を重ねるごとに肌の衰えが気になり、「少しでもいいものを使いたい」「若さをキープしたい」と考える女性もいらっしゃるでしょう。ふと見かけたテレビCMや新聞広告が気になって、「ちょっと高いけれど、もしかしたら今のものより効くかも……?」と試してみることもあるかもしれません。
また、「敏感肌だから」と、ワンランク上の化粧品を使っている方もいらっしゃいます。もちろん、自分のお肌や体に気を配るのはいいことだと思います。ですが、自分の収入との「割合」を考えてほしいのです。
化粧品にお金をかけがちなFさんは収入21万円ほどです。「お金が貯まらないんです」と言って、家計相談に来られました。支出の内訳を見せてもらったら、化粧品代が毎月5万円かかっていました。収入の4分の1を占めています。
ほかに食費や光熱費、住居費などもかかりますから、いつも家計は火の車。もちろん貯金などとてもできない状態でした。家計の見直しをすることにしました。収入に対する化粧品代の割合が突出していましたから、「少し減らすことはできませんか?」とたずねましたが、Fさんはどうしても譲ることができませんでした。
化粧品代だけが原因というわけではありませんが、Fさんは数年後に再び相談にきた時には借金を抱え最後には自己破産する羽目に陥ってしまったのです。
■優先順位を間違えると…
人それぞれ価値観が違いますから、人によってお金をかけたい部分や大事なものは異なるのは当然です。おそらくFさんは自分の肌に合った化粧品を見つけたから「もうこれしかない!」と思い、フルラインナップでそれを使用していたのでしょう。ですが、そのために生活が立ち行かなくなってしまってはどうしようもないですよね。その前に「優先順位」を考え、妥協点を見つけることが必要です。この場合で言えば、毎月生活できることが第一条件ではないでしょうか。
まずは収入に対して、生活に必要な金額を先に取っておく。化粧品代は残った分から予算を決めて、その中から選ぶという方法を取るといいですね。また、化粧品をフルラインナップで使うのではなく、「これはなくても大丈夫かな?」「これは別のもので代用してみよう」と再検討できるといいと思います。「ゼロか100か?」ではなく、「少しだけ」「一部だけ」という考え方や代わりを探すという柔軟さも取り入れてほしいと思います。
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家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万6000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は90万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は171冊、累計380万部となる。
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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)
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