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年収1200万円、貯金3000万円の40代エリート独身女性が"自称俳優のヒモ男"にお金を使ってしまったワケ

プレジデントオンライン / 2023年9月29日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/franckreporter

誰にでもお金で失敗する可能性はある。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「努力家でお金への意識も高かったある独身女性の場合は、ひとりの男性との出会いによって貯金が激減してしまった。大きな変化が起きたときやメンタルが弱っているときは要注意だ」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

波多野さん(仮名/49歳)のケース

年収 1200万円(退職前)
貯金 3000万円(退職前)
退職金 1000万円

■年収1200万円、貯金額3000万円の40代女性

大きな変化にぶち当たったりメンタルが弱っていたりすると、どんなに自立した人でも判断が鈍ることがあります。今回は、エリート街道を走ってきた独身女性が、コロナ禍などをきっかけに「ヒモ男」に貯金を吸い取られてしまった事例をご紹介します。

古くからのクライアントである波多野愛さん(仮名/49歳)は、私が知る中でも一番の努力家でした。団塊ジュニア世代である彼女は「常に競争にさらされてきた感覚」と話すだけあって、小学生の時のクラス数は10クラス(!)で、熾烈(しれつ)な受験戦争や就職活動を経験してきたそうです。また、3姉弟の長女かつ、両親が幼い時に離婚したこともあり、「私が家庭を守らなくては」という責任感も強い女性です。猛勉強の末にストレートで国立大学に合格し、新卒で大手商社に入社。20年間、脇目も振らずキャリア街道を歩んでいました。

40代前半の時の彼女の年収は1200万円ほど。お金を育てることにも意識的で、株の運用も長く行い、貯金額は3000万円になっていました。

■早期退職して「バーを開業したい」

しゃかりきに働いてきた彼女に転機が訪れたのは、42歳の時。会社の健康診断で初期の乳がんが発覚したのです。がんはごく初期のものだったので大事に至らずに済んだものの、これまでろくに有休もとらず、結婚もせず、仕事一本できた道を考え直すきっかけになったそうで、45歳の節目に早期退職を決意。その際、彼女から「バーを開業したい」と相談を受けました。

彼女の当時の貯金とライフスタイルからしても新しいチャレンジに問題はなさそうでしたので、ファイナンシャルプランナーとしても波多野さんの新たな門出を応援しようと、資金計画も一緒に考えました。

そうして4年前、退職金1000万円をすべて開店資金に注ぎ込み、中央線沿線の飲み屋街にこぢんまりしたバーを開店。もともとお酒が大好きでその界隈に友だちも多かった波多野さんだけに、あっという間に店は人気店に。中央線沿線の特性もあり、サブカル系のお客さんも多く、“知る人ぞ知る”店になりつつありました。

■コロナ禍で弱っているなか、「自称・俳優」と結婚

その頃、彼女の店の常連になっていたのが「自称・俳優」のAさん。誰もが振り返るようなルックスでモデルの仕事もしている、華やかな見た目の人だったそうです。彼は1週間に2回は波多野さんの店を訪れ、忙しい時には率先してカウンターの中に入り、彼女をサポート。常連客が揉めた時に仲介してくれたり、店を楽しい話題で盛り上げてくれたりと、波多野さんは“客”以上の働きをしてくれるAさんを次第に頼りにするようになっていました。

ビール
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

と同時に、自称・俳優のAさんは彼女の彼氏的ポジションをゲット。波多野さんの部屋に転がり込み、これまできちんとお金を払って飲みに来ていた“いいお客さん”から一変、店の酒を勝手に飲んで“オーナー”を気取るようになっていきます。しかも運悪いことに、コロナ禍がはじまり、店もしばらくの間、閉店を余儀なくされ、資金繰りも厳しい状況に。波多野さんはメンタルが弱っていく中、そばにいてくれるAさんを心強く感じ、いきおいで結婚。すると、タガが外れたかのようにAさんは波多野さんにものをせびるようになっていきました。

■ブランド服をねだる、喫茶店は必ずスタバ、発泡酒には手を出さない…

「俳優なんだからユニクロなんて着られない」と、ブランド服を買わせる。喫茶店も必ずスタバを選び、グランデサイズを頼むくせに残して捨てる。買い物を頼めばプライベートブランドのお得な商品ではなく、一番高いメーカー品を買ってくる。発泡酒は絶対に手を出さない……などなど、見事な“ヒモ男”ぶりがあらわになっていきました。

久しぶりに会った彼女は開口一番、「グランデ飲んでんじゃねーよ!」とAさんへの怒りを口にしていましたが、コロナが落ち着くと徐々に彼女も元気を取り戻していき、Aさんへの思いも「催眠術が解けたみたいに」なくなっていったと言います。その頃、彼女の貯金は1500万円まで目減りしていましたが、今後一切関わりたくないということで、彼への「手切れ金」も支払ったそうです(法的に言えば、彼女に支払いの義務はまったくないのですが)。方やAさんも、彼女の思いが離れていっていることを敏感に察知し、別の女性のもとにすぐ引っ越していったそうです。

■一生独身を決めていた人がパートナーの影響でピンチに

……と、経緯の説明が長くなりましたが、一生独身で生きることを決めてお金の計画を立てていたしっかり者の方が、パートナーの存在でピンチに陥ることは少なくありません。似たパターンでよく相談を受けるのが、看護師の方。面倒見のいい方が多いのでしょうか。Aさんのようなヒモ男に捕まり、いつの間にか自分の美容院代を削ってまで相手に尽くしてしまっているようなことが見受けられます。

こういった自分の軸を削るようなお金の使い方を始めた時は要注意。心身も疲弊していることも多いため、一度立ち止まって相手との距離感を考えていただきたいと思います。

■「お財布」と「お会計」でお金リテラシーが見える

また、私個人が実践している、相手のお金のリテラシーについてチェックできる方法を今回、特別にご紹介します。

まずは「お財布」。お金に対していい加減な人は、お財布が汚いことが多いです。お財布の中がレシートでパンパンになっているとか、目当てのクレジットカードがすぐ出せないほど複数枚所持しているといったような、整理整頓ができていないお財布を持っている人は、お金に対して意識が低い傾向が見られます。

財布からお金を払う人の手
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

次は、「お会計」時の振る舞いについて。食事の度に「奢るよ!」と気前のいい人は、交際時にはラッキーと思うかもしれませんが、誰に対しても奢っているかもしれず、見栄っ張りの可能性が。すると、一緒に生活する相手としては苦労させられる危険もあります。一緒にでかけた時、ジュースを駅のホームで買うのか、ちょっと遠いスーパーで買うのかといった消費行動にも、お金に対する意識が見える瞬間です。ただ、「ケチケチせずにお金を使うこと」=「男らしさ」と結びつけて考えているとやっかいです。これは男女問わず言えることですので、意識のアップデートをしたいところです。

今、波多野さんはまた一人暮らしに戻り、バーの売上も回復基調だと言います。今回の学びは、弱った時に大事な判断をしない(大きな買い物、ライフステージに大きな変化を及ぼすものなど)、自分軸を失わせるような相手との付き合いを考える、ということでしょう。これは何もお金の話だけでなく、人生を生きる上で大切なことかもしれませんね。

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高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。

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(Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士 高山 一恵 構成=小泉なつみ)

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