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国語、数学、理科、社会、英語…5教科のうちハーバード院→グーグルの投資家が教える「やらなくていい3科目」

プレジデントオンライン / 2023年10月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

いまの子供たちはどんな科目の勉強に力を入れるべきなのか。ベンチャー投資家の山本康正さんは、「絶対に勉強しておかなければならない科目は数学(算数)と英語、一方、国語、理科、社会は『やらなくていい』とこっそり伝えておきたい」という――。

※本稿は、山本康正『きみたちは宇宙でなにをする? 2050年に活躍するために知っておきたい38の話』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■「全教科をまんべんなく勉強しよう」と先生は言うけれど

国語、数学、理科、社会、英語。学校によって違いはあるが、たいていの高校受験はこの主要5科目だ。中学受験になると、英語を除いた4科目が多いかな。私立だと国語・算数のみの2科目入試のところもあるよね。

学校の先生はきっと「全教科をまんべんなく勉強しよう」と教えるだろう。正論だ。けれどもこれから先、時代がどっちの方向へ進んでいくかを予想すると、絶対に勉強しておかなければならない科目は数学(算数)と英語、この2科目だけでいい。むしろ、この2科目の勉強は絶対にサボっちゃだめだ。食らいついていこう。

英語が必要な理由は簡単に想像できるだろう。いろんな国の人たちとコミュニケーションが取れるようになるから? そう、まずはそのとおり。

どれだけ翻訳アプリの精度が上がっても、人間同士はダイレクトに言葉を交わしあったほうが楽しいし、話が早いし、得るものが多い。あいだにワンクッションあるのとないのでは、単純に心の距離感も変わってくるよね。

もうひとつ、それ以上に大きいのは、インターネット上における情報量の差だ。英語の情報は、日本語の情報に比べると圧倒的に量が多い。ネット上で使われている言語の割合を比べると、トップは英語で全体の63.4%を占めている。これに対して日本語の情報量は、なんとわずか1.9%なんだ(いずれもW3Techsによる2021年11月の調査)。

■英語の情報量は日本語の約33倍

普段から日本語で検索し、日本語が飛び交う動画をみていると、情報が溢れかえっているように思うけれども、実は英語の情報量は日本語の約33倍もある。

情報の母数が増えると、そのぶんだけ必要な情報、良質な情報、最新情報に出会える可能性も高まる。視野だってぐんと広がる。「日本はこうだけど、インドだとこうなんだな」と比較できるようになれば、グローバルな視点が養われるからだ。英語を理解できるようになるということは、世界中の人々が発信している膨大な情報の恩恵を受けられるのと同じことなんだ。

本棚に並ぶ無数の本
写真=iStock.com/Alfons Morales
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alfons Morales

逆に考えると、日本語圏内だけにとどまっていては、これらのメリットは受けられない。翻訳機能はまだまだ完璧じゃないし、訳し間違いも多いからだ。日本はもう鎖国の時代には二度と戻らないし、戻れない。どんな進路に進むにしろ、英語だけは今から全力で学んでほしい。

■この世界は数学でできている

もうひとつ、英語と同じくらい大事になってくるのは数学だ。

僕はこの世界は数学でできていると思うんだ。きみたちがこれから高校生になると、物理というものを学ぶだろう。物理は簡単にいうと、物が落ちるときの速度や音が響くしくみなど、物事の法則を学ぶものなんだ。この物理でも、数式がよく出てくるから、数学がわかっているだけでスイスイ解けるだろう。すべての科学の基礎といってもいいぐらい、とても重要な学問なんだ。

数学では、問いを解くよね。そのときにきみたちに考えてほしいのは、そもそも問い自体が正しいのかということ。もっと根本的な問いを設定したほうが、ほかの問題もまとめて解けるかもしれないこともあるんだ。

学校では、解き方も解答用紙に書くことがあると思う。でも解き方はとても多いんだ。先生から教わる解き方よりも、もっと面白い解き方はなんだろうと考えるだけでも、きみはどんどん成長できる。

また数学は「AはBだから、Cになり、Dを導き出される」といった論理を積み重ねていかなければ答えは出せないよね。このプロセス(流れ)を体験することは、脳にとってすごくいい筋トレになるんだ。論理的な思考力を鍛えるほどに、さまざまな問題を解決する力も高まるからだ。そして、数学で鍛えられる問題解決能力は、人生を切り開くスキルとしても応用できる。

■データサイエンティストは引っ張りだこに

もうひとつ、数学を学ぶ今の時代だからこそのメリットがある。

データサイエンスという言葉を聞いたことはあるかな? データをサイエンス(科学)する、つまり集めた数字を読み解いて、新しいことを発見したり共通点をみつけたりする仕事、それがデータサイエンスだ。

方程式が書き込まれた黒板
写真=iStock.com/virtualphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/virtualphoto

そして、読み解くための道具として必要になるのが、数学の基礎なんだ。今、日本の大学ではデータサイエンス学部がバンバン新設されている。これからニーズが高まる分野であることがすでに予想されているからだ。「今、将来性のある分野をひとつ選ぶなら?」と聞かれたら、僕は人工知能やデータサイエンスと即答する。

膨大なデータが溢れかえっている現代において、データの取集・分析・活用ができるデータサイエンティストや最先端の人工知能のエンジニアは、今後あらゆる業界で引っ張りだこになるだろう。

きみたちがこれから数学で習うベクトルや行列、統計学、プログラミングは、すべてデータサイエンスにつながっているし、あらゆる分野で活用されるということは、数学の基礎がわからないと置いていかれるということでもあるんだ。

苦手であっても、数学はサボらずに基礎を叩き込んでおこう。努力したぶんだけ、将来のきみを必ず助けてくれるはずだ。

■「著者の心理を述べよ」問題のおかしさ

絶対に勉強してほしい英語や数学とは逆に、「これからの時代、その勉強にはそんなに力を入れなくていいよ」「やらなくていい」とこっそり伝えたい科目もある。

まずは、国語だ。小学校で習う読み書きや文法は、もちろん必要だろう。けれども、それだって最低限をおさえておけばいい。きみたちが大人になっている頃には、手書きで仕事をするような機会は今よりもっと激減しているはずだ。日常のやり取りだって、スマホやPCの予測変換機能を使えば問題ない。漢字の「とめ・はね・はらい」を細かくチェックするような指導は、意味がないものになっていくだろう。

そもそも、日本の国語教育は「筆者の心理を述べよ」といった読解力を問うことに極端に偏りすぎている。ある小説や論文のたった一部分だけを切り取って、その範囲内だけで読み取った「筆者の心理」は、果たして本当に正解だろうか? もしかしたら切り取る前の部分に書かれていることを読めば、違う「心理」がみえてくるかもしれないのに。

■「読解」よりもディスカッションの授業を

実は僕の文章が大学の入学試験にでたことがある。「筆者の心理」という問題で、用意されていた解答に違和感を覚えたんだ。切り取った部分から読み取ればたしかに回答としては合っていたんだけど、僕自身が本当に伝えたいことは切り取る前の部分に書かれていることだったんだ。

だから切り取られた部分だけで読み取るのは難しいと思うんだ。

個人的には文章から他者の気持ちやシチュエーションを読み取ろうとする「読解」よりも、国語教育にディベートやディスカッション(話し合いの場)をもっと取り入れたほうがいいと思っている。海外に出ると、「なにも意見がない、おとなしい人間」は、そこに存在していないものとしてみなされてしまうからだ。

国語の勉強はすべて無意味だ、といいたいわけじゃない。古文や漢文といった古典(古い時代に書かれた文学作品)を通じて、数百年、数千年前に生きた人々の心や思考にふれる喜びもあるだろう。本来は芸術に近いものなんだけれど、好きだったり楽しかったりするのであれば、どんどん勉強してほしい。受験に必要な科目であるならばなおさらだ。そこは割り切って学ぶ胆力(精神力)もぜひ育ててほしい。

■「暗記」の価値はますます下がっていく

理科と社会についてもふれておこう。共通しているのは、「暗記」の価値が今後はますます下がっていく点だ。

山本康正『きみたちは宇宙でなにをする?  2050年に活躍するために知っておきたい38の話』(飛鳥新社)
山本康正『きみたちは宇宙でなにをする?  2050年に活躍するために知っておきたい38の話』(飛鳥新社)

この植物の仲間は? 革命の年号はどっちが正解か? そういったことは、検索すれば数秒でわかるだろう。かつては理科も社会も、知識をどれだけ多くインプットできるか、暗記できているかが重要だったが、そこはもうがんばりどころじゃない。

それよりも大事になるのは、「原理」と「流れ」をざっくりとつかみとる力だろう。理科であれば、たとえば自然法則の原理。電気や光の現象は、どんな原理で成り立っているのか。物体の運動やエネルギーはどう導き出せるのか。そうした「原理」をしっかりおさえておけばいい。

社会であれば「流れ」だ。明治維新はどこの藩が江戸幕府を倒す中心となり、彼らがどのように明治政府の立役者になっていったのか。なにかを変えようとする力は、江戸という中心地ではなく、なぜ多くの場合、地方からなのか。

同じ千年前の世界でも、地域によって文明の発達度に大きな差が生まれたのはなぜか。当たり前のように水道からきれいな水が出てくる国と、そうでない国の違いはどのような背景から生まれたのか。

そんな風に現在と過去をつなげることで、歴史の力学(基本的なしくみ)がみえてくるはずだ。流れがみえれば、今をみる目の解像度もぐっと上がってくる。

■暗記教科はChatGPTでの「壁打ち」が有効

暗記をがんばる暇があったら、むしろ生成AIでどんどん壁打ちをしよう。生成系AIは、まるで人と話しているかのように自然な対話ができるAIのことだ。ChatGPTやBing、Bardなどが話題になっているから、すでに試している人も多いかもしれないね。

「○○という小説の感想を800字で書いて」と指示を出せば、数十秒ですぐに感想文をつくってくれる。東京都教育委員会は都立高校に「夏休みの宿題でAIの回答をコピーして提出しないように」と注意を促したほどだから、レベルもそれなりに高い。

もちろんAIの回答を丸写しするのはNGだが、AIを道具としてうまく活用できるようになれば、出てきた回答をベースによりよいアイデアを生み出したり、膨らませたりすることもできるだろう。生成AIは一振りで世界が変わる魔法の杖ではないが、何度も質問を変え、言葉を投げて指示を出していけば、いろんな意見や可能性がみえてくる。あと数年も経てば、検索の代わりにAIに聞く未来がやってくるだろう。10代のうちから慣れ親しんでおき、上手に使いこなせるようになっておこう。

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山本 康正(やまもと・やすまさ)
ベンチャー企業投資家
東京大学で修士号取得後、三菱東京UFJ銀行米州本部にて勤務。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得し、グーグルに入社。新技術を活用したビジネスモデル変革等のDXを支援。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム「US-Japan Leadership program」フェロー。京都大学大学院特任准教授も務める。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社)、『ビジネス新・教養講座 テクノロジーの教科書』(日経文庫)、『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)、『世界を変える5つのテクノロジー SDGs ESGの最前線』(祥伝社)など。

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(ベンチャー企業投資家 山本 康正)

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