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「集中力が高くてまじめ」だと低気圧が危ない…自律神経の名医が教える「突然ガクッと体調を崩す人」の特徴

プレジデントオンライン / 2023年10月4日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PixelsEffect

風邪も引いていないのに、どこか体調がすぐれない。その不調は「低気圧」が原因かもしれない。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「交感神経と副交感神経のどちらかに偏っている状態だと、天気によって体調が左右されやすい。まずは自分の自律神経の総合力を知ることが大切だ」という――。

※本稿は、小林弘幸、小越久美『天気に負けないカラダ大全』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■バランスは「1:1」~「1:1.5」がベスト

自律神経には交感神経と副交感神経があります。どちらかが優位に働いている間、もう一方はお休みするというような関係ではなく、常に両方が働いていて、その時間帯や環境、目の前の出来事によってその出力が増えたり減ったりを繰り返しているというイメージです。

交感神経と副交感神経の理想のバランスは「1:1」~「1:1.5」。副交感神経は年齢とともにその働きが弱まっていきますが、理想だけをいえば両方同じくらいか副交感神経がやや優位に働くくらいの状態が不調を寄せつけないベストバランスです。

さらに理想を追い求めると、ただバランスが取れているだけではなく、どちらもが高いレベルで働き、交感神経と副交感神経の活動量を足した「トータルパワー(総合力)」の高い状態がベスト。

元気がいっぱい詰まったビーカーの低い位置で両者が働いていても、つかみ取れる元気の量は少ないですよね。

ところが、高い位置で自律神経が働いていれば、元気の量は十分なうえに元気のストックもたくさんあります。

■どれだけ楽しくてもストレスとは背中合わせ

ただし、このトータルパワーを常に高い位置で働かせ続けるのは簡単ではありません。

自律神経のトータルパワーを車のガソリンにたとえると、トータルパワーが高いとき、交感神経と副交感神経、それぞれのガソリンは満タンです。

走り出しも快適なら、ガタガタ道に足元を取られることなくガンガン進んでいけます。

しかし、ここが自律神経のおもしろいところで、どれだけ快適な道中であっても、運転に集中しているときは緊張もしているし、疲れもストレスも溜まります。

つまり、何日も前から楽しみにしているような予定や好きなことに没頭している時間であったとしても、常にストレスは背中合わせ。

そして、夢中になっているときはこのストレスの存在に気づきにくく、心から楽しいと思っていたとしても、小さな隙間からガソリンがチョロチョロと漏れ出してしまっていることがよくあります。

すると、気づかぬうちにトータルパワーが下がってしまい、「ここ最近、好きなことしかしていないはずなのに、なんだか調子が上がらない」といったモヤモヤ不調を抱えることになったりします。

さらに、それが運悪く季節の変わり目に重なった場合には、頭痛、歯痛、便秘・下痢など、人それぞれ持っているウィークポイントに不調が現れやすくなることが予想されます。

低気圧不調を遠ざけて、毎日を元気に過ごすためにも、まずは、「自律神経のバランス診断」に取り組んで、自分のトータルパワーがどれくらいなのかを知ることから始めましょう。

■夜、しっかり眠れていますか?

自律神経がどんな状況にあるのか確認することが大切です。

10個の質問に対して、4つの解答の中からもっとも当てはまるもの1つにチェックを入れてみましょう。

Q1 眠りについて
□横になったら、だいたいすぐに眠れる(AB)
□夜にしっかり眠っても、昼間はぼんやりと眠い(A)
□なかなか寝つけない(B)
□寝つきが悪く、寝ても途中で目が覚める(-AB)

Q2 仕事や勉強、家事などについて
□やりがいを感じ、それを結果に結びつけられると感じている(AB)
□おっくうになって眠くなったり、なかなかやる気が起きない(A)
□できなかったときのことを考えると不安なので、集中して取り組む(B)
□やれないことに対して不安を覚えるが、体がついていかない(-AB)

Q3 食欲について
□時間がくるとお腹が減り、おいしく食べられる(AB)
□すぐにお腹が減って、お腹が鳴る(A)
□仕事などに集中しているとお腹がすかない(B)
□食べたくない、もしくはお腹がすいていないのに、食べることをやめられない(-AB)

■集中できない、何をするにもおっくうに感じる…

Q4 食後の状態について
□胃もたれなどほとんどしない(AB)
□食べてもすぐにお腹が減る(A)
□食後よく胃もたれする(B)
□食事の前後に胃が痛くなることが多い(-AB)

Q5 何か解決しなければいけないことがあるとき
□すぐにどうすればいいのか考えがまとまり、行動できる(AB)
□いつの間にかほかのことを考えてしまうなど、考えがまとまらない(A)
□息を詰めて考えこんだり、考えすぎて不安になる(B)
□考えようとしても集中できず、やる気も起こらない(-AB)

Q6 日頃の疲労度について
□それなりに疲れるが、眠ればリセットできる(AB)
□すぐに眠くなり眠れるが、昼間もややだるい(A)
□疲れは抜けにくいが、仕事になるとがんばれる(B)
□何をするにもおっくうなほど、常に疲れを感じる(-AB)

Q7 メンタルについて
□仕事中は気が張っているが、家に帰れば切り替えられる(AB)
□特にストレスは感じず、ぼーっとしていることが多い(A)
□1日を通して心がほぐれない(B)
□強い不安感や恐怖感があったり、逆に考えるのが嫌で眠りたくなる(-AB)

■1年で体重が±5kg増減した人は注意

Q8 手足の冷えについて
□年間を通して特に冷えを感じない(AB)
□冷えは感じず、常にぽかぽかして眠くなることが多い(A)
□湯上がりでも少したつと手足が冷えてしまう(B)
□眠れないほど手足が冷たく、顔色も悪い(-AB)

Q9 体重増加について
□長い間、体重は大きく変動していない(AB)
□ついつい食べすぎて太りやすい(A)
□ストレスがあると体重が増えやすい(B)
□1年で体重が5kg以上増減した(-AB)

Q10 今の自分について
□活気に満ちあふれ、心身ともに幸せだと感じている(AB)
□大きなトラブルもなく、どちらかといえば幸せなほうだと思う(A)
□日々、刺激を受けることで、充実していると感じる(B)
□漠然と不安を感じる、憂うつ感が抜けない(-AB)

チェックがついたAとBは、1つ1点として計算します。ABは両方1点ずつ加算、-ABは両方1点ずつ減点してください。Aは副交感神経、Bは交感神経が働いている状態を表しています。

ジャンクフードを食べながら仕事をする人
写真=iStock.com/Yuliya Apanasenka
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yuliya Apanasenka

■ストレスタイプは低気圧不調が起きやすい

AとBともに8点以上総合力ばっちりタイプ
Aが7点以下、Bが8点以上ストレスタイプ
Aが8点以上、Bが7点以下おっとりタイプ
AとBともに7点以下ぐったりお疲れタイプ

総合力ばっちりタイプ
・両方が高いレベルで機能
交感神経と副交感神経の働きがよく、理想的な状態。血流もよく健康。多少の気温・気圧の変化では不調は起こりにくい。

おっとりタイプ
・副交感神経が強く働く
血液を押し出す力が弱く、血流や代謝が悪くなりがち。リラックスしすぎてぼんやりしている時間が長く、なかなかやる気が起こらない。

ストレスタイプ
・交感神経が強く働く
行動的だけど、イライラしがち。血管が収縮して血流が悪く、全身の細胞に栄養が行き届かず太りやすい。低気圧による頭痛、肩こりが悩み。

ぐったりお疲れタイプ
・両方のレベルが低い
常に疲れを感じていたり、眠りの質が悪かったり、便秘がちだったり。さまざまな不調を抱え、気温・気圧の変化にもめっぽう弱い。

■交感神経⇔副交感神経をうまく切り替える

あなたの自律神経の総合力は、どのタイプでしたか?

「総合力ばっちりタイプ」以外は、自律神経のバランスが乱れているため、天気の影響を受けやすい状態です。

現代人は、交感神経が強く働く「ストレスタイプ」が圧倒的に多く、特に女性は40代以降から副交感神経の働きが落ちてくるため、このタイプに当てはまる人が多く見られます。

また、コロナ禍などで活動量が減ったことの影響もあり、交感神経と副交感神経の両方の働きが落ちている「ぐったりタイプ」も増加傾向にあります。

診断結果は今の自分を表すものではありますが、その結果にがっかりしなくても大丈夫。

何もしなければ自律神経はそのままですが、呼吸や動作などを意識的に変えていくことで自律神経の働きをよくして、トータルパワーを上げていくことは誰にでもできます!

気軽な気持ちでまずは、診断に取り組んでみましょう。

自律神経は24時間働き続けているため、自分自身で常に変化するガソリン量を把握することができません。その時々でこまめにリセットする習慣づけがとっても大切。

例えば就寝中は、副交感神経ががんばる時間帯。目覚めたら、活動モードの交感神経にバトンタッチしたいのですが、この切り替えがうまくいかない人が多いのです。

朝、自律神経の切り替えがうまくいかないと、一日中、調子が出ないで終わる確率が高いことが研究でわかっています。交感神経をONにする朝の行動は、かなり大事です。

■朝、シャキッと起きる「寝たままストレッチ」

①頭の上で手をクロスさせる
ベッドや布団で寝たまま行います。まず仰向けになり、頭の上で手をクロスさせ、手のひらを合わせます。

②息を吸いながら、伸びる
合わせた手のひらを肩甲骨からググッと引き上げるイメージで、息を吸いながら体を気持ちよく伸ばします。

朝、シャキッと起きる「寝たままストレッチ」
出典=『天気に負けないカラダ大全』

朝の目覚めは快適ですか? 目覚まし時計のスヌーズ機能で、寝ているのか起きているのか宙ぶらりんな状態のまま、朝の10分20分をムダに過ごしてはいませんか?

その10分20分を朝のゆとりに回せれば、1日を気持ちよくスタートできます。そのためにも「寝起きストレッチ」。体の細胞を目覚めさせ、気持ちが前向きになり、布団から出るのがラクになりますよ。

・お水を1杯、一気に飲み干す

布団から出たら、まっすぐキッチンへ。軽く口をゆすいで口腔(こうくう)内の雑菌をクリアにしてから、コップ1杯の水をゴクゴクと一気に飲み干します。水の温度はお好みでOKです。

胃に溜まった水が重みになって、胃の下にある腸にドボンと刺激を与えます。それが腸に朝を知らせるスイッチになり、腸も目覚めて活動を開始します!

■やっぱり朝食は大切

・朝ごはんをちゃんと食べる

朝食は1日の食事の中で、いちばんボリュームがあってもいいくらいです。朝食をとる習慣のない人は、ヨーグルトだけやバナナだけでもいいので、食べることから始めましょう。

食べることで体内時計が正常になり、眠っていた交感神経も動き出します。血流もよくなって、体の調子が整うので、日中のパフォーマンス力もアップします。

学校や会社など、昼間は集中したり緊張したり、ストレスのかかる環境に身を置く人が多いでしょう。ノートをとったりパソコンに向かうとき、猫背になると呼吸が浅くなります。集中、緊張、浅い呼吸、これらはすべて交感神経をさらに働かせる要因に。交感神経はちょっとしたことでも過剰に働くものだから、日中は体をリラックスさせるアプローチが必要になります。

・30分~1時間に1回は体を動かす

仕事で集中が続いたり、時間に追われるストレスにさらされ続けると、交感神経のメーターが振り切れてしまいます。すると、ちょっとしたことにもイライラするなど心の余裕が失われ、それがときには、対人関係のトラブルにまで発展することも。交感神経の暴走を食い止めるために、短い休憩をとりましょう。

スマホのタイマー機能などを活用し、できれば30分、長くても1時間に1回は、プチ・ブレイクタイムをとるようにしましょう。席から立って少し歩く、座ったまま体を伸ばす、それだけでかまいません。

オフィスの椅子に座って伸びをする人
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

■体をブラブラ、ゆらゆらさせるだけでも効果的

・ブラブラエクササイズ~腕を大きく前後に気持ちよくスイング
ブラブラエクササイズ
出典=『天気に負けないカラダ大全』

①腕の力を抜いて、足を肩幅に開いてまっすぐに立つ。
②体幹(体の中心)がブレないように意識しながら、胴体を右、左と前後させ、その動きに引っ張られるように腕を前後にスイングさせる。

※振り子の要領で、腕は自然に動くのに任せます。

・ふくらはぎマッサージ~リンパと血液の流れを促してすっきり
ふくらはぎマッサージ
出典=『天気に負けないカラダ大全』

足首から膝に向けて、指先を添える程度のやさしい力でマッサージ。リンパや血液の流れがよくなるイメージを持ちながら行う。

※血流悪化予防に、デスクワークなど座っている時間が長い人に特におすすめ。

・指先ひっぱりストレッチ~地味な動きながら上半身への効果大!
指先ひっぱりストレッチ
出典=『天気に負けないカラダ大全』

伸ばした腕の指先をつかみ、肩が気持ちよく伸びているのを感じるくらいの力で引っ張る。左右交互に行う。

※とても簡単に、周囲を気にせず行えるストレッチながら、腕、背中、わき腹と広範囲にアプローチできます。

・手首揺らし手首ゆらゆらで副交感神経アップ

①ピンポン玉をやさしく包みこむイメージで、手を軽く握る。

②反対の手を手首に添えてサポートし、手首を内→外→内→外とゆらゆら揺らす。

※時間の目安は、左右30秒ずつくらい。わずか1分ででき、効果の高いエクササイズです。

■空を見上げると、自然と深い呼吸ができる

・上体伸ばし肩周辺の緊張を一気に緩めてラクに

①両手を上に伸ばし、手首を交差させてロック。
②息を吸って4つ数えながら、肩甲骨から伸び上がる。
③息を吐き、一気に脱力。

※普通に伸びをするよりも全身に酸素が行きわたり、リフレッシュ効果が高いです。

・こまめに水を飲む

交感神経が高まりがちな日中は、血流が悪くなりやすいです。手軽に副交感神経を働かせる方法が水を飲むことです。とても簡単です。少量でいいので、水をこまめに摂取することは便秘の予防やむくみ防止にもなります。

また、仕事で緊張してしまっているときも交感神経が優位になり、軽い脱水状態になることで、血流が悪化しがちです。緊張を落ち着かせたいときにも、水を飲みましょう。

小林弘幸、小越久美『天気に負けないカラダ大全』(サンマーク出版)
小林弘幸、小越久美『天気に負けないカラダ大全』(サンマーク出版)
・空を見上げる下より上を、天井より空を見る

上空を見上げるリラックス効果に加え、上を見ると自然と深い呼吸になります。空が見えればいちばんですが、見えない場所でも効果はあります。考えごとをしているとき、エレベーターでの移動中、ひとりの時間にふと見上げるクセをつけましょう。

・鏡でにっこりつくり笑いでもリラックスできる

心と体はつながっているというのは本当で、口角をキュッと上げて笑顔をつくるだけで、副交感神経を刺激することができます。鏡を見たら、にっこり。

眉間にしわを寄せるより、口角キュッで仕事の能率もアップしますよ。

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小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても有名。近著に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)『眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話』(日本文芸社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。

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小越 久美(おこし・くみ)
気象予報士、健康気象アドバイザー
1978年、岐阜県下呂市生まれ。筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学分野)卒業。2004年から2013年まで日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。その傍ら、民間の気象予報会社(株)ライフビジネスウェザーに所属し、健康気象アドバイザー・データ解析士の資格を取得。スーパーマーケットの売上予測の開発にも携わる。現在は(一財)日本気象協会に所属し、気象データとAIを活用した商品の需要予測事業に携わり、アパレルや飲料メーカーなどへのコンサルティングを行う。著書『かき氷前線予報します お天気お姉さんのマーケティング』(経済法令研究会)。

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(順天堂大学医学部教授 小林 弘幸、気象予報士、健康気象アドバイザー 小越 久美)

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