「これを書くと書類選考で即落とされる」転職経験ゼロの人がつい書いてしまうダメな職務経歴書の文言【2023上半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2023年10月6日 13時15分
※本稿は、岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■「職務経歴書」の落とし穴
「ライフワーク」発見の第一歩は、自分の「好き」を探すこと。そして、次にやるべきことは、ご自身の「キャリアポートフォリオ」の制作です。
「好きを仕事に」するためには、その仕事に必要な能力やスキルがあることが前提です。それを示すのが、「キャリアポートフォリオ」、いわゆる「職務経歴書」です。
もし「アルバイト面接で履歴書は書いたことあるけれど、職務経歴書は書いたことがない」のであれば、ぜひこの機会に、「職務経歴書」を書いてみてください。どこかに出す予定など不要です。架空の転職先を想像しながら書いてみてください。
逆にここで、「なんだ、職務経歴書か。当たり前のことを言うな」と思った人のほうが、むしろ要注意かもしれません。例えば、こんな「職務経歴書」を書いて、提出しようとはしていませんか。
もしこれを出すと、書類選考の通過率がガクンと落ちること間違いなしです。「○年次長、○年課長、○年部長」というように、職務経歴書にありとあらゆる肩書を書き連ねている人が時々います。これは、いの一番に企業から敬遠されます。なぜならこのような経歴書は自分以外の「看板」を示しているにすぎず、当の本人の姿は何も語っていないに等しいからです。
■「ミッション」「ストーリー」「アウトプット」を言語化しよう
実際、このタイプの人にこれまで従事してきた詳しい業務内容を尋ねても、あまり明確な返事は返ってきません。「そのプロジェクトであなたはどういう役割を担っていましたか」と聞いても、具体的なエピソードが出てくることは、まずないのです。
では、理想的な「職務経歴書」、「キャリアポートフォリオ」とはどういうものでしょうか。それは関わってきた仕事の「ミッション」や「ストーリー」を語れること、仕事において自分がどんな具体的「アウトプット」をしてきたかを語っているものです。
上司から与えられたタスクやToDoリストをこなしてきただけの人は、この「ストーリー」「ミッション」「アウトプット」を語ることができません。全体像を把握することも想像することもなく、ただ目の前の「作業」をこなしてきただけであることが、「職務経歴書」から透けて見えてくるのです。
![履歴書](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/1200wm/img_b4916cb5735fa8a3ac8979233d5ef139662597.jpg)
■採用担当者は職務経歴書の奥を見抜こうとする
当然のことながら、「会社としての業績」や「部署としての成果」=「その人の価値」ではありません。大勢が仕事に携わる組織での“華々しい成果”を披露されても、その人がどれだけ貢献したかは見えてきません。ややもすると、企業の実績にただ乗りするフリーライダーの可能性だってあるわけです。
「本当にこの人が大きな実績を果たしてきたならば、企業はその人を引き留めるはず。当人にしても、なにも実力を発揮できている会社から転職する必要はないはずだ」。下手をすればそんな勘繰りもされるかもしれません。
そうならないためには、「その組織の、どういう立場で、どんな役割を果たし、それが結果にどう結び付いたか」のストーリーをきちんと言語化する必要があります。
ストーリーは必ずしも華々しい成功エピソードで彩られていなくても構いません。なんだったら「起業して失敗した」「こういう企画を組んだが、意図せぬ結果に終わった」という失敗談であっても、そこに明確な意思と意欲さえあれば、採用者は納得します。大切なのは、その“失敗”から何を学んだか。その学びを次にどう活かしたいのか。その知見はこの企業でどう役立つのか。そうした深いところを、採用者は見極めたいのです。
■肩書を失ったとき、あなたに残る実力はあるか?
フリーランス人材ともなれば、自ら課題を見つけ、解決していく力が求められます(本来は、会社員にも求められるはずの力なんですけどね……)。その組織が何を望んでいるのか、時には言語化できない要望までをも察知して、提案していく機転や想像力が求められているのです。
要するに、「口を開けて餌を待っているヒナ状態の人はいらない」。これが企業にとっての本音であり、目の前の応募者が、「ヒナ」なのか、「独立したフリーランス」なのかを、採用者は見極めようと目を凝らしているのです。
大きな組織では、上司から「これをやってくれ」とToDoリストを渡され、それをこなしているだけでも“仕事”はできるかもしれません。
組織の仕組みがよくつくられていればいるほど、誰もがいっぱしの仕事をできているような錯覚にも陥ります。大企業の看板や肩書さえあれば、「会いたい」と言って断られることもないでしょう。企業名を出すだけで、相手は恭(うやうや)しくあなたをもてなしてくれるかもしれません。
でも、それはあなた個人の実力ではありませんよね。組織の看板や肩書をすべてはぎ取ったのちに、あなたには何が残るでしょうか。
「○○会社の○○部長」の名刺を失ったあなたに会おうとする人はいますか。あなたに仕事を任せようという人は、どれだけいるでしょうか。厳しい言い方になりますが、「企業に頼らず独立独歩で生きていく」とはそういうことです。
![在宅でデスクトップPCで働く日本人男性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/6/1200wm/img_e66d074d56aef7d0a92d2a5a96585f22508429.jpg)
■スキルの可視化が不安を和らげる
もし、ご自分の職務経歴書をしっかり書いたことがないならば、まずご自分のスキルの棚卸しから始めてみてください。
「自分は何ができて、何が好きで、何がまだ不得意なのか」。それを知ることは、実は安心にもつながります。「自分は転職なんてできない」と不安を抱いている間は、見えない幽霊と戦っているようなもの。その不安が可視化されれば、次の対策も立てられます。
まずは「5W1H」を意識して、「いつ・どこで・誰と・どんなプロジェクトを、なぜ、どのように」遂行したのか、書き出してみてください。その過程で、「意外と俺は何もしていなかったな」となるのか、「意外と重要なポジションを担っていたのではないか」と気づくか、それはドキドキする時間でもありますね。
もしかすると、「自分はスキルがない……」ことに気づくのが怖いという人もいるかもしれません。でも、ここで自分と向き合う時間をつくることが、重要なスタート地点になります。
もし今何もないように感じたとしても、しっかりした企業に何年も勤めていれば、何かしらは役立つスキルを持っているはずです。周囲の人に客観的な意見ももらいながら、ぜひ挑戦してみてください。
■30代のうちに一度、社外に飛び出そう
ここで年代別の働き方アドバイスを、僭越ながら、させていただければと思います。「人生100年時代」、20代にはどのような働き方がベストか、30代は、40代では、50代以降は、どうなのか。
まず20代は、いったん企業に所属することをお勧めします。「フリーランス化」の魅力をこれまで述べてきた私ですが、新社会人としての第一歩目からフリーランスは、さすがにハードルが高いです。よほど実力があったり、知名度があったり、天才的な技術があったりと、傑出した能力があれば別ですが、最初は企業という絶好の学びの場を大いに活用することをお勧めします。
![オフィスで働くビジネスパーソン](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/1200wm/img_ef523c223bd9305b0f22e9cdd74be93f733142.jpg)
特に本書で扱う「B to B」を対象にしたフリーランス人材の場合、専門分野の知見はもちろんですが、組織内での働き方、企業文化の理解も欠かせません。
20代は「企業の採用意欲が一番大きい」貴重な時期です。この年代ならではの若さの特権を大いに活用して、ビジネススキルの基礎を身に付けてください。「仕事」のイロハが身に付いたら、得意領域を伸ばし、将来のフリーランス化も視野に入れながら、ビジネスパーソンとしての「人生100年時代」を思い描いてください。
30代では、独立に向けての最初の一歩を踏み出すことを推奨します。ボランティア、プロボノ、副業、転職、フリーランスなど、いろいろな選択肢があります。この年代で一度は慣れ親しんだ組織を飛び出し、外の世界を見ておくことが、20年後、30年後に大いに生きてきます。
逆に言うと、30代で挑戦を一度もしていないと、40代以降、さらに腰が重くなることを覚えておいてください。仮にここで転職や独立にチャレンジして、失敗したとしても大丈夫です。まだまだ転職市場はウェルカム状態ですし、古巣の会社に戻る選択肢だってあるでしょう。
■50代以降は「フリーランス化」の覚悟を
40代では、いよいよ「キャリアポートフォリオ」を整理してください。
![岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/c/1200wm/img_fc57e50fdce275c1ef844be20667fa36335642.jpg)
自分は何ができて、何ができないのか。40代といえば組織の中でもミドル層。出世街道の最後のチャンスです。家庭を持っていれば、仕事と家庭の両立も悩ましい時期かもしれません。実際に転職や独立をするかはさておき、「いつでもこの企業を離れることができる」準備をすることは、意外と心に平安をもたらすものです。
50代以降は、本格的に将来の「フリーランス化」への覚悟を持ったほうがいいでしょう。遠からず企業からは正社員とは異なる雇用形態を打診されるかもしれません。……というと、悲愴な感じになるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。50~60代は、20代と比べたら体力も柔軟性も失われつつあるでしょうが、20代にはない経験値、交友関係、交渉術、根回し術、飲みニケーションも含めた人間味溢れるビジネススキルを持っています。
その年代でプロのフリーランスとして活躍している人は、もはや経営者のごとく振る舞っています。高所からの視点、大局観からのアドバイス。トップ・オブ・ザ・トップのビジネスパーソンは、他の経営者トップの相談相手としても大いに期待され、実力を発揮している人も多くいます。
経営者とは孤独なものです。自社の社員には漏らせない愚痴や、悩み、相談事を、外部のプロ人材に持ちかけることもあります。若者には分からない悩みも受け入れられる包容力が、シニア世代においては評価されることもあります。
どうぞ来るべき定年退職後の第二の人生に、壮年期ほど苛烈でなくても、自分なりのペースでやりがいや生きがいを感じられる仕事を探し出してください。
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みらいワークス代表取締役社長
1976年生まれ。神奈川県出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)株式会社に入社。金融、通信業界などのプロジェクトに参画した後、ベンチャー企業の経営企画部門へ転職。海外・日本47都道府県などの旅を通じて「日本を元気にしたい」という想いを強め、2007年に起業、2012年に株式会社みらいワークスを設立。働き方改革やフリーランス需要の拡大とともに急成長し、2017年に東証マザーズへの上場を果たす。現在は、独立プロフェッショナルのためのビジネスマッチングサービス『フリーコンサルタント.jp』、転職支援サービス『プロフェッショナルキャリア』、都市部人材と地方企業をマッチングする副業プラットフォーム『Skill Shift』、地方創生に関する転職マッチング・プラットフォーム『Glocal Mission Jobs』などを運営するほか、45歳以降のセカンドキャリア構築を支援する『HRソリューション』、企業・自治体のオープンイノベーションを支援する『イノベーション・サポート』といったソリューションを展開するなど、事業を通じて「『人生100年時代』を生き抜く為の社会インフラ創造」「東京一極集中の是正」「人材流動性の向上」といった社会課題の解決に取り組む。
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(みらいワークス代表取締役社長 岡本 祥治)
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