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「センス」は生まれ持った才能ではない…センスのいい人が日常生活の中で実践している2つの習慣

プレジデントオンライン / 2023年10月23日 15時15分

出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

センスのいい人はどこが違うのか。SNS総フォロワー数47万人超のデザインメディア・デザイン研究所の書籍『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)より、一部をお届けしよう――。

■センスを身につけるための2つの能力

街中にある看板や企業のポスター、道路の標識、電車内の広告、商品パッケージ、WEBサイト……私たちの身の回りには、ありとあらゆるところに数えきれないほどのデザインが溢れています。普通の人にとっては「オシャレだなぁ」とただ眺めるだけでスルーしてしまうもの、あるいは「煩わしい」と感じるものかもしれません。

一方で、プロのデザイナーにとってはデザインセンスを養う教材のひとつとなっています。日常生活で目にするデザインには、ひとつひとつに制作者の意図やこだわり、伝えたいメッセージが込められているからです。

デザインを意識的に「見る力」、そのデザインが施された意味を想像・考察して「言語化する力」を身につけることでセンスが磨かれ、実践の場で活かせるようになります。

■「赤色」に着目したときに見える世界

それでは一度、この記事を読んでいる画面から目を離して辺りを見渡してみてください。

次に、あなたの周りにある「赤色」を見つけてみてください。

最初にキョロキョロと眺めたときと、赤色に着目したときに見える世界は違ったのではないでしょうか。このように「見る力」とは、意識して風景を観察し、隠れているデザインを見つける能力を指します。

もうひとつの「言語化する力」は、デザインの制作意図やアイデアを想像し、アウトプットする能力を指します。

この力はデザインの世界だけでなく、どの業界においてもプロが実践に活かすために鍛えているものです。デザイナーであれば「この色をこの場所に使っている意味は?」、料理人であれば「この料理をこのお皿に乗せている意味は?」、音楽家であれば「曲のこの部分にこの音を入れた意味は?」と、思考を巡らせています。

日常に存在するデザインを教材と捉え、「見る力」と「言語化する力」で読み解いていけば、短期間でデザインセンスを高めることができるでしょう。

■「見る力」と「言語化する力」の鍛え方

「見る力」と「言語化する力」はどのようにして養えるのでしょうか。

「見る力」はデザインの細部に着目し、「何がどのようになっているのか」を考えることで鍛えられます。文章の一部が他の文字と違う色に変わっている、写真の服の色と図形の色が同じ、ロゴと文字が中央揃えになっている、背景がグラデーションになっている……など、小さな範囲でできるだけ多くの要素を発見してみましょう。

デザイン全体を見るのではなく、次の5つのカテゴリごとにグループ分けして観察すると、具体的な要素を発見しやすくなります。

・文字:フォントの種類、色、大きさ、太さ、文字間、行間、ふりがななど
・図形:形、色、大きさ、太さ、塗り、線、写真の切り抜きなど
・色:色数、組み合わせ方、色ごとの割合、色相・明度・彩度など
・背景:要素との重ね方、使用する素材、切り抜き方、余白・枠、質感(テクスチャ)、模様、グラデーション、装飾など
・レイアウト(配置):要素の位置、揃え方、余白、対称性、範囲の割合など
デザイン全体を見るのではなく、カテゴリごとにグループ分けして観察する
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

■1つの要素に対して「なぜ?」を複数考える

例えば、次の画像を「文字」というカテゴリに絞ってグループ(かたまり)をひとつずつ捉えてみると、7つの要素を見つけられるはずです。これを、すべてのカテゴリで行ってみましょう。

「文字」というカテゴリに絞ってグループをひとつずつ捉えてみる
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

複雑な要素を見つけた場合は、具体的にどのような状態になっているのか注意深く観察してください。例えば、文字の上に文字が重なっているデザインひとつとっても、図形を使って重ねる、上の文字の透明度を上げる、下の文字を線だけにするなど、さまざまな手法があります。

続いてもうひとつの「言語化する力」は、上記で見つけた要素に対して「なぜそのように作られているのか」を考え、制作意図を深掘りすることで鍛えられます。

「なぜそのように作られているのか」を考える
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

例えば、上記のWEBサイトを観察して見つけた「背景に半透明のコインのイラストが散らしてある」という要素に対しては、次のような制作意図を予測することができます。

・写真ではなくイラスト→ポップな印象にするため
・向きを変えて散らす→賑やかさを演出するため
・半透明→ごちゃごちゃさせすぎないため

このように、1つの要素に対してなぜ? を複数考えると、より多くの情報を読み取れます。

■制作意図は6パターンに分類できる

よくある制作意図は主に6パターンに分類され、これらの定型パターンを知っておくことで予測を立てやすくなります。

・メリハリを生むため:文字の一部のみ色やサイズを変えるなど
・統一感を生むため:同じ要素を繰り返す、揃えるなど
・コンセプトを表現するため:メッセージと一致した配色にするなど
・可読性を上げるため:文字の後ろに帯を入れる、余白を広くとるなど
・分かりやすくするため:ボタンの部分にアクセントカラーを使うなど
・リッチなイメージを演出するため:背景にイラストの装飾を加えるなど

もちろん、上記に該当しない制作意図も存在します。

デザインの掲載場所・目的・ターゲットを考える、文字情報や運営会社の公式サイトからコンセプトを読み取る、要素単体ではなく複数の要素を比較して要素同士の関係性を見出す、などあらゆる視点から考察してみてください。

「もしそのデザインテクニックを使わなかったら?」と仮定して比較してみる
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』
デザイン研究所『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)
デザイン研究所『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)

また、「もしそのデザインテクニックを使わなかったら?」と仮定して比較してみると言語化しやすくなるはずです。

上記のポスターに使われている文字が明朝体ではなくゴシック体だったら? と想像してみましょう。「少しチープな印象になるかも」と感じたら、「フォーマルな印象にしたいから明朝体を使っているのだな」と予想できます。

導き出したデザインの意図や根拠は必ずしも正解でなくても構いません。「見る力」と「言語化する力」は、デザインの中に隠れている要素を見つけ、予測する過程で育まれます。

■デザイナーだけに見えている世界

「見る力」と「言語化する力」を手に入れると、何気ない景色もデザインに溢れた刺激的な世界に変化します。

例えば電車に揺られているときも、意識的に観察してみると、「統一感を出すために写真と図形の色を揃えているのかな」「文字に光彩をつけると実線よりポップになりすぎず可読性が上がるかも」など、さまざまな情報を読み取れるはずです。

初心者とプロの目の違い
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

身の回りのデザインを観察するうえで、歴史や雑学、マーケティングや企画といった一見デザインに関係のなさそうな知識が役立つ場合もあります。「見る力」と「言語化する力」を身につけると同時に、幅広い知識をインプットし、デザインに結びつけることが大切です。

これまではただ眺めるだけだった景色をトレーニングの場として活用することで、デザインの知識を効率的に身につけられます。プロの見方・考え方を真似して、デザインセンスを磨きましょう。

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デザイン研究所(でざいんけんきゅうじょ)
グラフィック・Webデザイナー
デザイナーからノンデザイナーまでに、役立つデザインポイントをわかりやすく解説するメディア。SNS は総フォロワー数47万人以上を誇り、デザインジャンルでは日本最大級。また、3連休で終わる最速のデザインレッスン「ノンデザッ!」なども主宰している。

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(グラフィック・Webデザイナー デザイン研究所 編集協力=榎谷ゆきの)

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