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日本のワンオペ育児は外国では「7人分」の仕事量…毎日育児や家事でクタクタになる根本原因

プレジデントオンライン / 2023年10月21日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

家事や育児はどうすればラクになるか。長女を小中高と公立・塾ナシでハーバード大学に進学させたディリーゴ英語教室代表の廣津留真理さんは「多くの親は『○○しないといけない』という思い込みに縛られて、家事や育児が大変になっている。もっと自分本位の考え方を持って、手を抜けるところは手を抜いていくべきだ」という――。

※本稿は、廣津留真理『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■日本人は「昭和の習慣」に縛られている

突然ですが、皆さんはこれまで、「子どもをいい学校に通わせるために塾に通わせなければいけない」とか、「お弁当に冷凍食品を入れてはいけない」とか、あるいは「老後のためにお金を貯めないといけない」とか、「○○してはいけない」などと考えたことはありませんか? 特に子どものためになると、途端にこの考え方になる方をよく見かけます。

「○○しないといけない」という考えは日々の暮らしの中でときおり浮かんでくるかもしれませんが、そもそもそれって本当にしないといけないことなのでしょうか?

日本は昭和の時代にできた習慣を大事にしすぎるきらいがあると、私はつねづね思っています。

例えば、「お盆や正月は帰省しないといけない」。

よくニュースなどで新幹線の混雑状況や道路の渋滞情報などとともに孫がお祖父さんやお祖母さんに会いに行くシーンが流れますが、なにもそんなに混んでいるときに帰らなくてもいいじゃないですか。空いている時期に帰省したりお墓参りをするなど方法はいくらでもあるはずです。

もちろん、お盆や正月しか長期休暇が取れないという理由もあると思います。でも、そもそも「自分が好きなタイミングで長期休暇が取れない」という考え方自体が、私には不思議でしょうがありません。

■つらいのは「思い込み」のせいかも

「○○しないといけない」というのは、言ってみれば謎の思い込みで、自分自身に制限をかけている状態です。そして、そうした思い込みが根付いていると、何かの行動を起こすとき、知らず知らずのうちに「どうせできない」と否定的な考えに陥り、結局、何もできなくなってしまいます。

でも、もし「謎の思い込み」=「マインドブロック」を外すことができたら、もっと考え方が自由になり、日々がラクに楽しくなると思いませんか。

子育てをはじめ、よく私が聞く悩みの中には、こうしたマインドブロックにとらわれているからこそ抱くものが多いように感じます。実は抱えている悩みや問題は些細なことで、マインドブロックを外すだけで解決できるものも少なくないのです。

何にも縛られずに自由に生きる。

きっと、その方が精神的にも健やかな毎日が送れるにちがいありません。

ぜひ皆さんも、これを機に一つ一つ外していきましょう。

■「思い込み」は他人軸によって生まれる

多くの人がマインドブロックに縛られている理由。

その一つに、自分軸ではなく他人軸で生きているということが挙げられます。

常に誰かの目を気にしている――。

自分で考えるのではなく、頭の中に誰かがいて、何をするにもその人に遠慮している状態です。

例えば、母親が「お弁当に冷凍食品を入れてはいけない」という考え方に至るには、どこかでそのお弁当を見られて「家事を手抜きしていると思われたら恥ずかしい」という気持ちがきっと頭のどこかにあると思います。

そもそも、家事をすべて一人で完璧にこなすなんて到底無理な話です。手が抜けるところがあれば絶対に抜いた方がいいし、家事を外注(家事の代行サービスやハウスクリーニングなど)したって誰かに文句を言われる筋合いはありません。

調理済みのチャーハンと冷凍されたパックのチャーハン
写真=iStock.com/Oliver Wu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Oliver Wu

■日本人のワンオペ育児は外国の「7人分」に匹敵

以前、イギリスで近代の建築物を見たことがあります。

それは3階建ての建物で、地下に食糧庫、1階に居間、2階に奥様の部屋、3階にご主人の部屋という作りになっていました。

そして、ここが重要な部分ですが、食事係や清掃係など、召使いを7人も抱えて生活していたそうです。家事をはじめ日々の生活を維持するのに7人もの召使いが必要だったのです。

ご主人のお客様が来ても、当然奥様は料理をせず、食事を終えたら自分の部屋に戻ってしまう。

もちろん、これは昔の話なので極端な例ですが、もしかしたら、家事を完璧にこなさなければいけないと考える人の中には、「7人の召使いで回している家事を一人ですべて行わなければならない」と思っている人もいるのではないでしょうか。

自分でスーパーに買い物に行き、ご飯を作って食べさせて、子どもを寝かしつける。その間に部屋の掃除をして洗濯もして……。しかも、頭の中の誰かが見ているから、一切手抜きができない――。

7人の仕事量を一人でするわけですから、そんな生活を続けていたら、きっと肉体的にも精神的にも体を壊してしまいます。

まずは頭の中にいる誰かに消えてもらいましょう。

そして、手が抜けるところは抜く努力をしていきましょう。

キッチンを清掃するプロの清掃員
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Liudmila Chernetska

■他人軸で生きると不都合を人のせいにしてしまう

他人軸で生きていることのデメリットは、人の目を気にしすぎることだけではありません。

自分に不都合なことが起こると、すぐに誰かのせいにしてしまうことが挙げられます。

自分がこのような人間になったのは親のせい。

子どもが勉強しないのは学校のせい。

お金が全然貯まらないのは社会が悪いせい。

自分で変えられる部分があるにもかかわらず、何でもかんでも誰かのせいにして、自分を守ってしまうのです。

■日本人に希薄な「シティズンシップ」

最近、市民として社会に参加し、その役割を果たすための「シティズンシップ教育」という言葉をよく耳にします。

耳慣れない言葉かもしれませんが、シティズンシップとは次のように定義されています。

「ある共同体の完全な成員である人々に与えられた地位身分である。この地位身分を持っているすべての人々は、その権利に付与された権利と義務において平等である」

日本人には、このシティズンシップの意識が希薄のような気がしています。自分が社会を構成する一員であるにもかかわらず、自分とは関係のないところで社会のルールが決められ、それに文句をぶつけることなく従ってしまう。

■主体的に生きると常識やルールを疑うことができる

ここで大事なのは、権利だけでなく義務もあるということです。

権利には、自由権や平等権、財産権などがあり、選挙権や被選挙権、教育を受ける権利や最低限の生活を保障される権利もあります。

ただ、その権利を主張するなら、当然、社会を構成する一員としての義務も果たさないといけません。社会をよりよくするために積極的に社会と関わる。そして、自分が社会を作っている一人だと自覚し、行動しなければならないのです。

日本人にはお上の文化があり、お上=統治者・国が国民を守ってくれる代わりに、お上の言うことは飲み屋で不平を言うくらいにしておいて何でも従うのが常識なので、いきなり考え方を変えるのは難しいかもしれません。けれど、そのような意識を持つことで、主体性が生まれ、他人軸の生き方から脱却できるのではないかと思っています。

廣津留真理『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』(KADOKAWA)
廣津留真理『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』(KADOKAWA)

親のせいと思っていることも、結局は自分が親の言うことに従うと決めたからだし、学校のせいというのも、その学校に行くことを決めたのは自分。シティズンシップの意識が希薄で、自分が社会に参画しているという自覚がないと、社会が決めたルールや常識が絶対と思ってしまうようになります。

だから、「親の言うことは聞かないといけない」とか、「学校に行くのはルールだから」と思い込み、本当は自分の意思で決められることに気づかないのです。

一方で、自分が社会を作るメンバーであると自覚していれば、ルールや常識を疑うことができるのではないでしょうか。

そして、それが他人軸の生き方からの脱却につながり、ひいてはマインドブロックの解除にも役立つと思うのです。

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廣津留 真理(ひろつる・まり)
ディリーゴ英語教室代表
一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事。英語教育者。早稲田大学卒業。一人娘のすみれさんは、大分の公立高校から塾なし留学経験なしでハーバード大学に現役合格&首席卒業。娘への家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した独自の「ひろつるメソッド」を確立。「羽鳥慎一モーニングショー」「徹子の部屋」(テレビ朝日系)、「セブンルール」(カンテレ・フジテレビ系)などメディア出演多数。著書に、『ハーバード生たちに学んだ 「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』英語経験ゼロの子も1冊で長文読解までできるようになるドリル『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』(講談社)、『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』(KADOKAWA)などがある。

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(ディリーゴ英語教室代表 廣津留 真理)

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