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「センスのいいプレゼン資料」はここが違う…プロのデザイナーが実践するパワポ作成の絶対法則

プレジデントオンライン / 2023年10月24日 10時15分

出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

センスのいいプレゼン資料はどこが違うのか。SNS総フォロワー数47万人超のデザインメディア・デザイン研究所の書籍『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)より一部を紹介しよう――。

■「センスのないの資料」は色数が多すぎる

プレゼン資料には文字・図形・背景などさまざまな箇所に「色」が使われています。初心者がやりがちなデザインといえば、資料内の色数をやたらと増やしてしまうこと。

デザインクオリティの高い資料とは、すなわち見やすく内容が伝わりやすい資料です。意味もなく色を多用すると、読み手は見るべきポイントが分かりません。内容が伝わらない「センスのない資料」が出来上がってしまいます。

子ども向けのデザインなど賑やかな印象を与えたいときにあえて色数を増やす場合もありますが、初心者にとっては難易度が高く、チグハグな印象になる可能性が高いです。

プレゼン資料を作成する際は、「無彩色(白・黒・グレー)+1~2色」の配色をおすすめします。使用する色数を減らすと資料全体に統一感が出て、強調したい箇所に視線を誘導することが可能です。

デザインへの苦手意識が強い方は、まず「無彩色+1色」の配色からスタートしましょう。

1色に絞ることで色選びに悩む時間が減り、資料作りがぐっと楽になります。かつ、資料がダサくなる原因のひとつである有彩色(無彩色を除いたすべての色)の組み合わせが不要になるため、センスのない資料になりにくいです。

使用する1色は会社のロゴマークに使用されている色や、読み手に与えたいイメージに合う色(後述)を選ぶとまとまりが出ます。

■配色は3パターン×3パターンの組み合わせ

慣れてきたら、「無彩色+2色」の配色にチャレンジしてみましょう。

無彩色以外に2つの色を使用する場合は、次の3パターンの組み合わせにするとセンスのいい資料になります。

・対照色……色相環で離れた位置にある色(青色と赤色など)
・類似色……色相環で隣接する色(青色と緑色など)
・補色………色相環で正反対に位置する色(青色とオレンジ色など)

また、2色の割合は次の3パターンにすると美しく仕上がります。

・5:5……対比構造などに使われる。
・7:3……メインカラーを7割、それを補うサブカラーを3割使用してメリハリを出す。
・9:1……メインカラーを9割、アクセントカラーを1割使用して視線誘導や行動催促を行う。

上記の3パターン×3パターンの組み合わせを試し、しっくりくる配色を資料に採用するといいでしょう。

■写真やイラストに使われている色と合っていない

文字・図形・背景に使用している色が、資料内の写真やイラストに使われている色と一致していない。これも、初心者がやってしまいがちな失敗です。

最も簡単な配色方法は、写真やデザインの一部から色を持ってくること。パワーポイントのスポイトツールを使用して色を抽出すると、チグハグな印象にならず統一感を出せます。

写真やデザインの一部から色を持ってくる
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

例えば、左のデザインはモデルの女性が着用しているビキニの色を背景や装飾(キラキラ)に、右のデザインはイラストの一部に使われているオレンジ色を文字の下線や右下の図形に使用しています。

では、次のデザインはどの部分が同じ色同士になっているでしょうか?

イラストと文字の色を合わせる
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

イラストの上着の色(淡い緑色)はサブタイトルの文字色と帯部分の背景色、ズボンの色(紺色)はタイトルで強調したい箇所の文字色、右上に配置されている太陽の色(黄色)は帯の中で強調したい箇所の文字色と同じです。

■印象を変えるために選ぶべき4パターンの色

写真やイラスト自体に使用されている色数が多い場合でも、同じ色をそのまま文字や図形に当てはめることで迷うことなく配色でき、自然とまとまりが出ます。

上記のように抽出した色をそのまま使用してもよいですが、配色に慣れてきた方や写真・イラスト自体の色数が多くない場合は、次の4パターンの色を選んで印象を変えてみましょう。

印象を変えるために選ぶべき4パターンの色
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』
・同系色……抽出した色から明度や彩度を少しずらすと、シンプルなデザインになる。
・類似色……近しい色で配色すると、落ち着いた印象になる。
・対照色……色の差が大きいと、ダイナミックで多彩な印象になる。
・補色………色の差がさらに大きいと、メリハリが出てカジュアルな印象になる。

このように、写真やイラストに含まれている色とスライドデザインの色を一致させると、センスのある資料に仕上がります。

■色が持つ「イメージ」を活用できていない

色には決まった性質や心理効果があり、その色を見た人が抱くイメージもそれぞれ異なります。色選び次第で資料のコンセプトや内容がより伝わりやすくなるものの、初心者は色を上手く活用できていないケースが多いです。

例えば、基本的な色である赤・青・緑には次のような意味があります。

・赤
性質…………進出色、興奮色
心理効果……注目させる、恐怖心を与える など
イメージ……生命力、愛情、情熱、興奮、危険、刺激、怒り、暖かい、賑やか など
・青
性質…………後退色、寒冷色
心理効果……集中力を高める、体感温度を下げる など
イメージ……清潔、信頼、冷静、集中、寂しさ、落ち着き、悲しみ、さわやか など
・緑
性質…………鎮静色、重量色
心理効果……心を落ち着かせる、血圧を下げる作用がある など
イメージ……自然、リラックス、やすらぎ、穏やか、癒やし、健康 など

グレーは優しい印象や落ち着いた印象を与える
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

有彩色だけでなく無彩色にも意味があり、特にやさしい印象や落ち着いた印象を与えられるグレーは、どんな色にも組み合わせやすい万能カラーです。配色を行ううえで、白や黒を使うと資料内の写真・イラストのイメージが変わってしまうときは、グレーを使うと解決することがあります。

白に近いグレーと黒に近いグレーでは印象が変わる
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

白に近いグレーと黒に近いグレーを比べると、印象が違うことが分かります。資料に使う場合は微調整しながら読み手が受ける印象を検証してみてください。

■2つの色が合わさることで意味が変わる

デザイン研究所『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)
デザイン研究所『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)

なお、色単体の意味に加え、2つの色が合わさることによって意味が変わる組み合わせも存在します。黄色×黒色だと注意喚起、赤色×黒色だと強いメッセージ性や洗練、といった具合です。

上記のような色が持つ意味をすべて覚える必要はありません。デザインを行う際にネットや配色表などを使って調べてみましょう。

また、身の回りにあふれるデザインや風景を見て、使われている色から受ける印象を自分なりに言語化してみると配色の勉強になります。例えば次のような繁華街を目にしたとき、プロのデザイナーは普通の人とは異なる思考を巡らせています。

繁華街を目にした時の普通の人とデザイナーの思考の違い
出所=『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』

配色には意味が込められていることを理解できていると、赤い看板を見て「赤色を使うことで食欲をそそっているんだな」「目立たせて安さを訴求する効果もありそう」、入口の赤いネオンを見て「日本を代表する街だから国旗と同じ赤色なのかな」「歌舞伎の隈取(くまどり)に由来しているのかも」という風に考察できるはずです。

■「しっくり来ない」と感じたら配色を見直す

出来上がった資料を見て「内容はいいけれど、なんだかしっくり来ない」と感じたら、一度配色を見直してみてください。次のポイントを押さえて色を選ぶと、統一感があり、適切に内容が伝わる資料が出来上がるはずです。

・資料に使用する色数は無彩色+1~2色に抑える
・写真やイラストに使われている色を抽出する
・色が持つ性質や心理効果、与えるイメージを考慮する

配色センスは、日常に存在する景色を意識して観察し、目にした色が使われている理由を自分なりに考えて言語化することで鍛えられます。色を味方につけて、プレゼン資料のダメ出しから卒業しませんか?

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デザイン研究所(でざいんけんきゅうじょ)
グラフィック・Webデザイナー
デザイナーからノンデザイナーまでに、役立つデザインポイントをわかりやすく解説するメディア。SNS は総フォロワー数47万人以上を誇り、デザインジャンルでは日本最大級。また、3連休で終わる最速のデザインレッスン「ノンデザッ!」なども主宰している。

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(グラフィック・Webデザイナー デザイン研究所 編集協力=榎谷ゆきの)

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