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日本語のサイトしか見ていないのは情報弱者…ネット情報の6割を占める「英語コンテンツ」を使いこなす方法

プレジデントオンライン / 2023年10月21日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rawpixel

仕事で成果を上げるにはどうしたらいいか。ウェブ解析コンサルタントの江尻俊章さんは「あらゆる仕事の価値は、情報の質と量で決まる。世界中のウェブサイトの55%は英語コンテンツで、日本語のコンテンツはわずか3.7%。翻訳ツールを使えば簡単に英語コンテンツをアクセスできるので、使わない手はない」という――。

※本稿は、江尻俊章『ずるい検索 賢い人は、「調べ方」で差を付ける』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■日本語のコンテンツは全体のわずか3.7%

情報の集め方ひとつで、手に入る情報は大きく変わります。そして、現代ではあらゆる仕事において「情報」の質と量が仕事の価値を決めます。

顧客について調べるときも、新しいサービスを開発するときも、集客の方法を知りたいときも、私たちの仕事のすべては「情報」でできていると言っても過言ではないでしょう。

調査サービスW3Techsによると、世界中のウェブサイトのうち、英語のコンテンツは55.0%。日本語のコンテンツは3.7%で6位です(2023年5月23日現在)。日本語に比べて、英語は約15倍のコンテンツがあるわけです。

人口比率を考えると日本も頑張っていますが、やはり英語圏のほうが情報量は圧倒的に多い。当然、高機能なものや低価格なもの、使いやすいものがたくさんあります。

そして、この20年で言語のハードルは大きく下がりました。翻訳系のサービスやソリューションは多岐にわたり、低価格(多くは無料)かつ高機能です。

この状況で日本語のコンテンツしか読まないのは、情報弱者だと言えるのではないでしょうか。英語に苦手意識のある人も多いと思いますが、英語のコンテンツを利用できるだけで、集めることのできる情報は格段に膨らみます。

■ページ全体、PDF全体をまるごと翻訳できる

翻訳ツールの代表は、「Google翻訳」です。

Chromeのブラウザを使い、英語が書かれたページで右クリック、「日本語に翻訳」を選べば、ページ全体を簡単に翻訳してくれます。また、文章を入力して、英文から日本語、日本語から英語に翻訳するツールもあります。ブラウザだけではなくアプリ※1もあり、高機能で無料です。

PDFなどの翻訳をしたい場合は、Googleドライブにファイルを入れ、Google Docsで開いた後、ツールの翻訳機能で日本語を選択すれば、翻訳されたドキュメントが作成されます。レイアウトは崩れますが、理解の助けになるでしょう。

恐ろしいことに、従来プロ向けに使われていたあらゆる翻訳ツールも、Google翻訳のクオリティには勝てないといわれています。

しかし最近、Google翻訳を凌(しの)ぐといわれるツールが現れました。「DeepL※2」です。AIを活用した機械学習が備わっており、Google翻訳よりクオリティが高いと評価する人も多数います。

DeepLにもブラウザ・アプリ版があり、基本的に無料で使えます。有料版にすると、文字数の制限がなくなり、作成できる用語集の数が増えます。また、PDFなどのファイルを丸ごと翻訳してくれます(プランによって翻訳できるファイル数が異なる)。お陰で私は海外の大学の授業で参考資料として送られてきた数学の論文も、さっと目を通すことができるようになりました。本当に助かります。

DeepLのさらに便利なところは、日本語から英語に翻訳したときに、翻訳する単語や順番を変えられるところです。例えば受動態にしたい、ここは違う単語を使いたいというようなことにも対応してくれます。

【図表1】DeepLブラウザ版
出所=DeepLブラウザ版のスクリーンショット

※1:Google翻訳アプリ(https://translate.google.com/intl/ja/about/)
※2:DeepL(https://www.deepl.com/ja/translator)

■Google翻訳とDeepLのどちらが優秀か

Google翻訳とDeepLのどちらが優秀かというと、私は甲乙付け難いと感じています。ひと言で表すなら、「流暢な翻訳はDeepL、確実な翻訳はGoogle翻訳」だと思います。

まず、自然な言い回しはDeepLに軍配が上がることが多い印象です。しかしDeepLはAI学習の問題なのか、1つの文章を2回翻訳してしまったり、明らかな誤訳が起きたりします。

特に改行による影響は大きいです。例えばあるサイトの英文をコピペする際に、おかしな部分で改行コードが入ることがあります。これをDeepLでそのまま翻訳することで、意味がガラッと変わってしまうことがよくあります。対策として手っ取り早いのは、英文を一度ブラウザのアドレス入力欄にコピペして、それをさらにDeepLにコピペすると改行が消えます。Google翻訳では、こうした問題は少ないように思います。

それから、Google翻訳のほうが、文法のミスなどは見つけやすいと感じています。DeepLはよくも悪くも英語や日本語のミスに寛容で、おかしな文章でもそれっぽく訳してくれます。ある人がDeepLを使って英語版の契約書を作っていたら、「乙」の部分に過去に同じくDeepLで作った契約書の企業名が出てしまうことがあったそうです。大量に同じ社名を翻訳していたことで、AIがそのように学習してしまったのかもしれません。個人情報や機密情報の翻訳には気をつけましょう。

■「書いてある文字」も翻訳できる

海外旅行や出張で、お店の看板や標識に書かれている言葉がわからず困ることがあります。検索しようにも知らない文字は入力できません。

そんなときにも、Google翻訳アプリが便利です。元の言語と翻訳する言語を指定すれば、カメラ上で翻訳してくれます。海外で電車に乗るとき、お店で商品を買うとき、レストランのメニューを見るときなど、さまざまな場所で役に立ちます。手書きの文字でもある程度は対応できるようです。

さらに、アプリで翻訳した内容をテキスト化することもできます。もちろんコピーして保存したり、編集したりすることも可能です。

以前、中国人の友人がFacebookで中国語の書かれた画像の載った投稿をしていたのですが、私には読むことができませんでした。そこでその投稿をスクリーンショットで撮り、Google翻訳を使って読むことができました。また、中国のメディアへ広告出稿しているある担当者は、中国語のインターフェースが読めないため、Google翻訳アプリを使って管理画面へのログインや広告の管理などをしているそうです。

ただし、中国などの一部の国ではGoogleへのアクセスを制限していることがあります。その場合はVPNサービスという、その国ではなく海外のアクセスポイントから接続できるサービスを利用する必要があります。

香港の競馬新聞
写真=iStock.com/winhorse
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/winhorse

■翻訳ツールを使えば英語翻訳も簡単

英文を作成する時にも、翻訳ツールは便利です。

最近の翻訳ツールは、文法のミスやスペルミスを指摘してくれる機能が充実してきました。ただ、やはり細かいところまでは行き届きません。

英文のクオリティを上げるなら「Grammarly※3」というサービス(無料)がお勧めです。このサービスを使うと、英文の間違った部分に赤い下線を引いて、正しい言い回しを教えてくれます(たまにおかしな指摘もありますが)。

※3:Grammarly(https://www.grammarly.com/)

■ネイティブが見て違和感がない表現を検索する

翻訳家の下岡聡子氏は、できるだけネイティブに近い表現にするよう、実際に使われている表現を検索して、参考にしているそうです。

例えば「毎日のコーディネートをマンネリにしない」と英語で投稿をしたいとします。

まずGoogle検索で「make a difference everyday style」と検索します。すると類似表現を太字で表示してくれます。

【図表2】Google検索
出所=『ずるい検索 賢い人は、「調べ方」で差を付ける』

多少の英語力は必要になりますが、これらをヒントに別の文章を考えることができます。この例では、下記のような文章が考えられます。

・Making a difference everyday
・Elevate your everyday style in 3 steps
・How to look stylish every day
・Make everyday outfits more interesting

表現の参考にするには、とても便利な機能です。

また、完全一致検索(単語の順番を含めて完全に一致する文章で検索する方法。検索したい文字を""で挟む)を活用する方法もあります。こちらは元Googleの金谷武明氏からお聞きしました。

例えば「I wonder if you help」という英文が自然な表現かを調べてみましょう。私の環境で通常検索すると、「947,000,000件」の結果が出てきました。しかし、"I wonder if you help"にすると、「651,000件」しかありません。この表現はそれほど使われていないことがわかります。

これを"I wonder if you could help"にすると「1,020,000件」に増えました。

こちらのほうが一般的に使われていそうです。さらに"I wonder if you can help"にすると「7,180,000件」に増えました。

検索結果が多いということは、その表現がよく使われているということです。

そのぶん、ネイティブにも伝わる可能性が高いと言えます。

■英語以外に翻訳する時も一度「英語」にする

ここまで、日本語と英語の翻訳について説明しましたが、Google翻訳やDeepLを使えば、英語以外の言語への翻訳も簡単にできます。

江尻俊章『ずるい検索 賢い人は、「調べ方」で差を付ける』(クロスメディア・パブリッシング)
江尻俊章『ずるい検索 賢い人は、「調べ方」で差を付ける』(クロスメディア・パブリッシング)

その場合、日本語を一度英語に翻訳してから他言語に翻訳するのがお勧めです。どの翻訳ツールも、ユーザーが多い言語に対する機能向上に注力しています。例えば英語から中国語への翻訳は精度が高いのですが、日本語から中国語への翻訳はまだまだ十分なクオリティにはなっていません。日本語→英語→中国語と翻訳することで自然な中国語になります。

余談ですが、Google翻訳には「Google翻訳改善協力」にフィードバックを送信できます。これは世界中の翻訳者の協力により、ボランティアでGoogle翻訳のクオリティを上げる活動です。言語力に自信のある方は、機能向上に協力してみてください。

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江尻 俊章(えじり・としあき)
ウェブ解析コンサルタント
2000年に株式会社環を創業。2012年に一般社団法人ウェブ解析士協会を設立。業界ではもっとも早い時期からアクセス解析に着目し、アクセス解析を軸にしたコンサルティングを行っている。アクセス解析ASPサービス「アクセス刑事Pro」、「シビラ」を自社開発、運営、アクセス解析からエリアマーケティングを行う「エリアレポート」を提供している。著書に『稼ぐホームページ損なホームページ アクセス解析で一発判明!』(アスキー)『繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」 Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践』(技術評論社)『ずるい検索 賢い人は、「調べ方」で差を付ける』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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(ウェブ解析コンサルタント 江尻 俊章)

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