1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

死ね、バカ、超うざい…ついに「乱暴な言葉」を使い出した子にデキる親が伝える"一流の返し言葉"とは

プレジデントオンライン / 2023年10月28日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA

子供が「うざい」と言い出したら、親はどう返すのがいいのか。文教大学教育学部の成田奈緒子教授と公認心理師の上岡勇二さんの共著『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)から、「乱暴な言葉」を使う子供への向き合い方を紹介しよう――。

■子供が「うざい」と言い出した時の対処法

ケンカして頭にきた! アキラ(小6)
友達とケンカをして帰ってきたアキラ。「○○、ぶっ殺す!」と怒っています。そんなアキラに、「『ぶっ殺す』なんて汚い言葉、使うんじゃありません!」と注意する母親。今までも道理が通らないことを言ったときには、厳しく注意をするようにしてきました。
そうして1年後――。コンビニの前に、不良少年たちがたむろしています。その中に、中1になったアキラの姿がありました。「うちの親、真面目なことばかり言って超うぜえんだよな」とアキラ。周りの仲間たちも「うちの親も!」と言い、盛り上がっています。

子どもが「ぶっ殺す!」などと穏やかではない言葉を吐いたら、本当に殺す気がないとわかっていても、たいていの親は戸惑ってしまうでしょう。

子どもが感情的な言葉を吐くのは、不安に思っているサインです。そのようなときの親子のコミュニケーションは、「オウム返し」が基本です。

「そっかあ、○○くんぶっ殺すんだ~」と何食わぬ顔で返してみましょう。きっと、そう返された子どもは焦って、「何言ってんだよ! ほんとに殺すわけないだろ!」などと否定するでしょう。

そうしたら、「一枚上手」のすました顔で「なんだあ、殺すんじゃなかったんだ。お母さん安心したけどさ、一体何があったわけ?」と聞いてみましょう。

そこから親子のコミュニケーションが始まります。

■正論ばかりぶつけると非行に走る

アキラの家庭のように、正論ばかりを言っていると、子どもの脳は不安でいっぱいになり、いつかストレスに耐えられなくなってしまいます。最終的に、非行に走ってしまうケースは決して少なくありません。

子どもが混乱して不安を感じているときは、正論を言うのではなく、脳育てのチャンスと考えましょう。

「ぶっ殺す!」「死ね!」「バカじゃねえの?」などのキツい言葉を子どもに吐かれると、感情的に耐えられなくなる親御さんもいらっしゃいます。私たちのもとに来た親御さんに、このようなケースがありました。

ケンカをして子どもに「死ね」と言われ、感情的になり、「私はいらないのね。じゃあ、お母さん、出ていくから!」と返してしまったのです。

■子供の不安な気持ちに寄り添うのがベスト

いくらキツい言葉を投げかけられたとしても、親が「出ていくから!」と言うのは、子どもに対する「脅迫」にほかなりません。経済的に自立する前段階である子どもは、親に育ててもらうことでしか生きていくすべがありません。親が「出ていきたい」などと言うと、感情の行き場をなくし、追い詰められてしまいます。

子どもの暴言に耐えられなくなったときは、「じゃあ、もう寝るね。おやすみ」などとだけ言って、いったんその場を離れるようにしましょう。

そして、夫に「こんなことがあった」と話を聞いてもらいましょう。私たちのような「第三者」に相談を持ちかけるのもいいと思います。

一緒に歩く家族
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

■不安の強い子に「しっかりしなさい」はNG

ちゃんとできるか心配 オサム(小3)
明日はサッカーの試合。「ちゃんとできるかな?」とオサムは不安でいっぱいです。心配性なので、肝心なシーンになるといつもプレッシャーに耐えられなくなってしまいます。
もっと堂々と自信を持ってほしいと思っているのが父親。オサムが弱音を吐く度に、「もっとしっかりしなさい!」と励ましています。
そんなある朝――。「めまいがする」とベッドから起きられなくなったオサム。病院に行くと、起立性調節障害と診断されてしまいました。診断を受けてから1カ月たった今も、まだ学校に行けていません。

自身がスポーツなどの部活動を一生懸命やってきた、いわゆる「体育会系」の親御さんほど、「もっとしっかりしなさい!」と言いがちです。自分が頑張ってきたからこそ、子どもにも「あなたにも越えられるはず」と押しつけてしまうのでしょう。

オサムは不安傾向が強く、「お父さんの言うように頑張らなくちゃ」と思ってしまう、典型的な「いい子」です。

起立性調節障害は「いい子」にも多い病気といわれていますが、ある朝、突然起きられなくなるわけではありません。実は、発症する前から徐々に、「気分」「からだの反応」「行動」「考え」にストレス反応が起こり始めています。

しかし、脳が未発達な子どもはこのサインに気づきにくく、気づいてもそれを言語化する脳がまだ十分に育っていません。そのため、ある朝、突然起きられなくなるように見えるのです。

■親の弱い部分を見せると子供の不安は和らぐ

オサムのような不安の強い子どもに対して、「もっとしっかりしなさい!」「もっと頑張れ!」などと言うことは絶対にNGです。「不安なんだね」と、まずは子どもの気持ちをそのまま受け取り、何が不安なのかを聞いてあげましょう。

子どもを注意深く観察して、「気分」「からだの反応」「行動」にかなりのストレスが表れていることがわかったら、無理をさせないように休ませてあげましょう。

「体育会系」の親御さんは、「からだが覚えるまで練習するんだ。そうすれば不安は消える!」といったような、「正論の根性論」をよく言うのですが、不安の強い子どもは、「自分にはそんなことできない」とより一層自信をなくしてしまいます。

本当は試合前に緊張したことなどなかったとしても、「お父さんも子どもの頃は、サッカーの試合前は緊張して足が震えちゃってさ。でもさ、頑張って練習したら、自然にからだが動いてくれたよ」などと、「子どもと自分は一緒である」という体験を伝えてあげましょう。

一見したところ完璧に見える父親が弱い部分を見せることで、子どもの不安は和らぎます。

サッカーをしている少年
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

■「ネガティブ言葉」を「ポジティブ言葉」に変換する

ところで、近年の脳科学研究では、同じことでも「ポジティブに捉えやすい脳」と「ネガティブに捉えやすい脳」では、前頭葉の反応が異なることがわかってきました。

その差異は免疫機能とも関連していて、ネガティブな脳の方がインフルエンザワクチンの免疫がつきにくいという報告もあるほどです。

私たちも、問題を抱えて来られる家族との関わりの中で、ポジティブな考え方を持っている親御さんの方が、トラブル改善の経過が良好であることを実感しています。

子どもも、大人も、物事をポジティブに捉える習慣をつけるために、「おかげさまで」という言葉を口癖にすることをおすすめします。

「おかげさまで」という言葉を日頃から意識的に口にし続けると、だんだん、「~のおかげでいい結果になった」と考えられるようになってきます。もしトラブルが起こったとしても、「おかげさまで、いいこともあった」「おかげさまで、大事なことに気づくことができた」とポジティブに脳が捉えるようになります。

また、親は、「子どものよいところ」を探す練習もするといいでしょう。子どもを見ていてネガティブな言葉が思い浮かんでしまったら、それをポジティブな言葉に変換します。たとえば、「忍耐力がないなあ」と思ったら「切り替えが早いね」というような具合です。

■子供は大人の振る舞い、言葉遣いを観察している…

さらに、同じ言葉でも、「言い方」によって伝わり方がポジティブにもなり、ネガティブにもなります。

成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)
成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)

にっこりとした表情で高いトーンの声で話すのと、暗い表情で低いトーンの声で話すのでは、同じ内容でも全く印象が変わります。ポジティブな伝え方をするには、表情や声のトーン、話す速さを工夫することも大切です。

親が伝え方のバリエーションをたくさん見せていると、子どもも表情が豊かになり、コミュニケーションがうまくなります。子どもは、大人の言葉や振る舞いをお手本にして育ちます。まずは大人から、ポジティブな振る舞いや言葉遣いを心がけましょう。

また、子どもは不安な気持ちを和らげるために、大人は日々のストレスを解消するために、リラクゼーションのストックを持つこともおすすめします。

特に親は、育児などのストレスがたまりすぎると、それを子どもの前で爆発させてしまうことになりかねません。自分にとってストレス解消になるリラクゼーションは何でしょうか。

「友達とランチをする」「映画館で映画を観る」「お風呂に入る」「アロマをたく」「ジョギングをする」……自分の脳が楽しくなる、癒されることは何かについて考えてみましょう。

■親も、子供も、リラックスできる習慣を持とう

誰かと一緒にすること、一人でもできること、外ですること、その場でできること、お金がかかること、無料でできることなど、リラクゼーションにもさまざまなバリエーションがあります。状況や気分に合わせて方法を選べるようにストックを持ちましょう。

さらに親は、リラクゼーションの方法を子どもにも伝えることが大切です。子どもが自分自身でストレスに対応できるように育てていきましょう。

----------

成田 奈緒子(なりた・なおこ)
文教大学教育学部 教授、「子育て科学アクシス」代表
小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。

----------

----------

上岡 勇二(かみおか・ゆうじ)
公認心理師・臨床心理士・子育て科学アクシススタッフ
公認心理師・臨床心理士・子育て科学アクシススタッフ。1999年、茨城大学大学院教育学研究科を修了した後、適応指導教室・児童相談所・病弱特別支援学校院内学級に勤務し、子ども達の社会性をはぐくむ実践的な支援に力を注ぐ。また、茨城県発達障害者支援センターにおいて成人の発達障害当事者や保護者を含めた家族支援に携わる。2014年より現職。

----------

(文教大学教育学部 教授、「子育て科学アクシス」代表 成田 奈緒子、公認心理師・臨床心理士・子育て科学アクシススタッフ 上岡 勇二)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください