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最初のひと言で実力がバレる…一流は当たり前のように実践している「質問の鉄板ルール」3要点

プレジデントオンライン / 2023年10月26日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM

ビジネスシーンでの「質問」は、どうするのが正解か。話し方講師で心理カウンセラーの桐生稔さんは「『質問が3つあります』などと最初に質問の数を伝えるべきだ。『そんなの当たり前でしょ』と思う人が多いだろうが、実践できている人は決して多くない」という――。(第1回)

※本稿は、桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■質問するときはまず数を伝えるべき

【複数の質問をする】
三流は、ダラダラと質問し、二流は、「いくつか質問します」と伝え、一流は、最初に何を伝える?

質問したいことがたくさんある場合、一流は「質問が3つあります」という風に、最初に質問の数を伝えます。おそらく「そんなの当たり前でしょ」と思う人が多いと思います。

たとえば、「エクセルの計算式について質問したいことがありまして、数式が崩れてしまって直せなくて、データが重いせいかすぐに固まってしまって、なぜかコピーするとセルがずれてしまい……」なんていろいろ質問されたら、いったい何に答えればよいのか混乱してしまいますからね。複数質問したいことがあるときは、先に質問の数を伝える。これは、ビジネスシーンでは礼儀みたいなものです。

ただ、言うは易く行うは難し。それを徹底することは意外と難しいのです。なぜなら、ビジネスシーンでは「急に質問しなければいけない」「早く質問しないと聞くべき内容を忘れてしまう」など、質問の数をいちいち整理する時間がないことも多いからです。プロのインタビュアーですら、プロ野球の監督へのインタビューなどで、よくこういう質問の仕方をしています。

「代打を送る選択肢はなかったですか? そこに迷いはなかったですか?」
「選手を奮起させるときの言葉を教えてほしいのと、それから不調の選手にはどういった声をかけているのかも教えてください」
「監督は緊張しなかったのですか? どうやって自分の気持ちをコントロールしていたのかも含めて教えていただけないでしょうか?」

このように、最初に「○点質問があります」と伝えずにいくつも質問されると、相手はいつまで質問が続くのかわからず、答える準備ができません。

■質問はいくつもつなげず簡潔に

また、総理大臣による記者会見でさえ、記者からこんな質問の仕方が頻発しています。

「教育費についてはどのような施策を考えているのか教えてください。また財源についてもお答えください。それから使い道を限定する教育国債について……」
「諸外国の対応についてどう評価されているのか伺いたいのと、対応における懸念についてもお聞きしたいと思います。それからもう一つ……」

同じようなことは職場の会話でも起こっています。複数質問するときに、「質問が2つあります」「3つあります」と、質問の数を伝えることを徹底している人は意外と少ないのです。だからこそ、これも訓練が必要です。訓練というとハードに聞こえるかもしれませんが、質問するときのルールを少し決めておくことです。

●ルール1:質問と回答は一対一で
「○○と○○と、あと○○について」と五月雨式に質問しないこと。一つ質問して、一つ答えてもらう。答えてもらったらまた次の質問へ。いろいろと質問したくなっても我慢して、一つずつ答えてもらう。そうすれば相手も混乱せずに済みます。

●ルール2:質問は3つ以上しない
とはいえ、まとめて質問したいときもあります。そのときは3つまでと決めておくこと。「3の法則」というものがよく語られます。「世界3大○○」や「日本3大○○」など、3という数字は覚えやすいというものです。人間の脳のキャパシティ的にも3つまでが記憶に残りやすく、それ以上になると急に覚えづらくなるともいわれています。質問は3つまでと決めておく方が、相手の脳のキャパシティ的にも優しいです。

資料を示して説明をする人
写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PrathanChorruangsak

■「質問は多くても3つまで」と決める

●ルール3:質問数をカウントする
ルール1「一つの質問に一つの回答」、まとめて質問したいときはルール2「質問は3つまで」とする。とすれば、複数質問したいケースは自動的に「2つか3つ」になります。「いくつか質問がありそうだ……」と感じたら、まず「2つか? それとも3つか?」と自身でカウントしてから質問してください。

この3つのルールを徹底することで相手が質問の内容を整理する手間を省くことができます。常に相手が答えやすいよう気遣って質問する。相手をベースにコミュニケーションを設計するのが、一流の思考回路です。

一流は、いくつも質問する前に質問の数を伝える
⇒複数質問するときのルールを決めておく

■上司に指示を仰ぐときはどうすべきか

【指示を仰ぐ】
三流は、「どうしたらいいですか?」と質問し、二流は、自分の意見を入れて質問し、一流は、どうやって指示を仰ぐ?

「どうしたらいいですか?」と聞いて、「あなたはどうすべきだと思うの?」「自分の意見はないの?」と言われた経験はありませんか? 丸腰の状態で質問されると、一から答えを考えないといけないので、答える方は大変です。そういう背景もあって、「指示を仰ぐときは自分の意見とセット」ということがビジネス研修ではよく指導されます。

資料とパソコンを前に話をする2人のビジネスマン
写真=iStock.com/ChadaYui
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ChadaYui

「○○商事様からクレームが入ったようです。どうしたらいいですか?」と質問されるより、「○○商事様からクレームが入ったようです。まず弊社の担当者に状況をヒアリングしたいと思いますがいかがでしょうか?」と、持論とセットで質問される方が相手は答えやすいからです。

それはとてもいいことですが、一流はさらに上をいきます。複数の選択肢を示しながら指示を仰ぐのです。

仮に、「お昼はカレーにする? それ以外にする?」と聞かれたら、「ん~」と一瞬考えそうです。「他には何かあるかなあ」と考えるからです。でも、「お昼はカレーにする? チャーハンにする?」と言われれば、スパッと決めやすいでしょう。選ぶだけでいいから楽です。理屈はこれと一緒です。指示を仰ぐとき、「AとBというパターンがあります。私はAでいきたいと考えておりますが、いかがでしょうか?」という質問の仕方で、選択肢を複数用意するということです。

■複数の選択肢を用意することが重要

先ほどの例なら、「○○商事様からクレームが入ったようです。A:まずは弊社の担当者に状況をヒアリングするかB:至急私が○○商事様に連絡を入れるか今回は至急私が連絡を入れた方がいいと思いますが、いかがでしょうか?」と、比較検討できる状態で質問します。

それに対する答えは、「たしかに前回も弊社の担当がやらかしているから、今回は君から連絡を入れてくれ」「いや、まずは状況を把握することだ。弊社の担当にヒアリングをしてくれ」など、いずれにせよ選択しやすくなります。複数選択肢があるからこそ、「今回は私が直接出向く」という第三の選択肢も出やすくなります。

「どうしたらいいか?」と聞くのは三流、「私はどうしたいか?」を伝えるのは二流、「どういう選択肢があるか?」を伝えるのが一流です。相手が答えやすい質問に昇華させていく。選択肢を示すようにするだけで、質問のクオリティが格段に上がっていきます。

一流は、複数の選択肢を用意して質問する
⇒相手が決めやすい状態をつくり指示を仰ぐ

■答えづらい質問をするときはどうしたらいいか

【答えづらい質問】
三流は、ストレートに質問し、二流は、詳しく話してから質問し、一流は、どうやって質問する?
桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)
桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)

「突然ですが、あなたは脱炭素についてどう思いますか?」

その道の専門家なら別ですが、よくわからないことを質問されると、質問された方は非常に苦痛を感じます。なんと答えていいかわからないからです。しかも、相手に「わかりません」と言わせてしまうのは、相手を傷つける可能性もあるので賢明ではありません。では、「脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスである二酸化炭素の排出量をゼロにしようとすることで(かくかくしかじか……)、どう思いますか?」と、詳しく説明されたらどうでしょう?

先ほどの質問よりは答えやすくなるかもしれませんが、明確な答えを持っていないなら、いずれにしろ答えづらいですよね。普段の生活で、突然、脱炭素のことを質問されることはないと思いますが、同じような例は職場でも起こります。

「何か斬新なアイデアはない?」
「お客様を増やすにはどうしたらいい?」
「チームの結束を高めるには何をすべきだと思う?」

そんなザックリした質問を突然されても、当たり障りのない答えしか見つかりません。にもかかわらず、「そんな意見しかないの? もっとちゃんと考えてよ」などと叱られたら、たまったものじゃありません。ですから、答えづらい質問は、答えやすい質問に変換する。これが鉄則です。

■「枕詞」をつけることでハードルを下げる

答えづらい質問をするときの具体策。それは、枕詞です。「なんとなく」「仮に」「イメージ」「少し」「もし」といった曖昧な言葉を、あえて差し込んでしまうのです。

「次回会議で斬新なアイデアを提案したいんだけど、なんとなく思いつきそうなものはある?」
「仮に売上を上げるとしたら、どんな方法が想像できそう?」
「チームの結束を高めるために何かやりたいと思っていて。何かイメージできるものはある?」
「最近、課の様子はどう? 少し感じることってある?」
「もし思いつけばでいいんだけど、やめたいな~と思う習慣はある?」

「明確に答えて!」とは言われていないので、質問された方も答えやすいです。「もし思いつけばでいいんだけど……」と言われると、答えることを強制されていないため、心が楽になります。心が楽になるからこそ、素直に答えられるわけです。

答えづらい質問をするときは、枕詞を使って間違ってもいい、答えられなくてもいいという逃げ道をつくり、答える相手のハードルを下げること。そうすることで安心感が生まれ、答えてもらえる確率が高まります。ちょっとした枕詞ですが、言葉の端々まで注力できるのが一流の力量です。

一流は、枕詞を使って質問する
⇒回答のハードルを下げて質問する

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桐生 稔(きりゅう・みのる)
モチベーション&コミュニケーション代表取締役
1978年生まれ。新潟県出身。2017年、「伝わる話し方」を教育する株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー、日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー、一般社団法人日本声診断協会音声心理士。著書に『10秒でズバッと伝わる話し方』(扶桑社)、『雑談の一流、二流、三流』、『質問の一流、二流、三流』(ともに明日香出版社)がある。

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(モチベーション&コミュニケーション代表取締役 桐生 稔)

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