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おにぎりの具材は鮭派? それとも昆布派?…会話の達人が「どうでもいい質問」を用意しておく理由

プレジデントオンライン / 2023年10月27日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chachamal

会話を盛り上げるにはどうすればいいか。話し方講師で心理カウンセラーの桐生稔さんは「ときには『どうでもいい質問』をはさんだほうがいい。そうしたほうが会話に緩急がついて、場が盛り上がりやすい」という――。(第2回)

※本稿は、桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■「笑える質問」とはなにか

【笑いが生まれる質問】
三流は、変な質問で場をしらけさせ、
二流は、無理に笑わせるような質問をし、
一流は、どんな質問で笑いを生む?

盛り上がる会話には、やはり「笑い」も大事な要素です。プロの芸人さんのように爆笑を生み出す必要はないと思いますが、それでも思わずクスッと笑ってしまうような会話ができると、その場がパッと明るくなります。

笑いもまた、質問から生み出すことが可能です。「笑える質問とは何か」。これだけ考えるとなかなかハードルが高そうですよね。こういう難しいお題を考えるとき、我々講師がよくやる手法があります。それは、「反対から考える」です。

まず、「笑えない質問とは?」ということを考えます。たとえば、「○○で災害が発生しました。そのことについてどう思いますか?」と質問されれば、相手は笑わず真剣に答えると思います。会社の会議で、「先月の経常利益はいくらだった?」と質問されても真面目に答えるでしょう。こういった真剣なテーマに笑いを混ぜたら不謹慎です。では、その逆は?

「適当に答えても問題ない質問」、つまり、くだらない質問やどうでもいい質問です。

■「どうでもいい質問」が場を盛り上げる

以前セミナーで、「おにぎりの具材は鮭派ですか? 昆布派ですか?」という質問をしたところ、想像以上に盛り上がったことがあります。実はこのお題、メンタリストで有名なDaiGoさんのYouTube「絶対に滑らない話題」という動画を参考にしたものです。DaiGoさんはこの動画の中で、ダニエル・ギルバート氏の実験を紹介されています。

被験者を2グループに分けて、一つのグループには面白い動画を、もう一つのグループにはつまらない動画を見せたとのこと。つまらない動画というのがまさに「おにぎりの具材は何がいい?」みたいなどうでもいいことを話し合っている動画です。

動画を見たあと、グループ内で自由に感想を語ってもらいました。普通、面白い動画を見たグループの方が会話が盛り上がりそうですよね。でも、結果は逆で、つまらない動画を見たグループの方が断然会話が盛り上がったというのです。DaiGoさんいわく、「『おにぎりの具材は何がいい?』『目玉焼きはソース? 醤油?』みたいに、どうでもいい話の方が自由に意見を述べやすい。だから会話が盛り上がる」とのこと。

たしかに、私が出演させていただいたテレビ朝日の「マッドマックスTV・論破王」では、いろんな芸能人の方が「蓋をあけるときの音は『パカ』か? 『カパ』か?」などのどうでもいいお題についてディベートしています。だからバラエティーとして面白いんですね。

「○○さんは海外出張が多いんですね」などと真面目な会話をしつつ、「ところで機内食はビーフorフィッシュどっちですか?」なんて質問されたら、一瞬「それ聞いてどうする?(笑)」と思いますが、笑いながら答えてしまいそうです。時々どうでもいい質問を差し込んでみると、会話に緩急がつきます。くだらない質問を不意に差し込んで笑いに変える。そんな技も一つ知っておくと便利です。

一流は、どうでもいい質問で笑いを生み出す
⇒自由に意見が出せる質問で会話を盛り上げる

■話題が途切れたときにどう乗り切るか

【会話が止まったら】
三流は、携帯を触り出し、
二流は、無理やり質問を考え、
一流は、どう質問する?

ひとしきり会話したあと、急に訪れるあの沈黙。話すことがなくなり、ピタッと会話が止まる瞬間ってありませんか? 結構あの間が怖かったりしますよね。特に、あまり親しくない人との会話や、初デートなんかでは会話が続かないことがよくあります。

だとしても、会話が止まったとき、思わず携帯を触ってしまうのは悪手です。相手に、「話すことがないんだ……」「自分と話していてもつまらないのかも……」と思わせてしまいます。もちろん、そんなつもりはなくても、です。普通は、無理やり相手に質問するか、強引に話題をひねり出すか、どちらかですよね。でも、これも焦りが伝わり、相手も居心地が悪くなるので得策ではありません。会話が止まったときこそ、落ち着いて、優雅に、自然に、会話をリードしたいものです。

「会話が止まる」ということを悲観的に捉える人は多いです。でも、楽観的に考えれば、その前までは何かしら話をしていたということです。つまり、何か話題はあったということ。だから無理に話すことを見つけなくても、前の会話をフォローすればいいのです。

コーヒーを飲みながらおしゃべりをする人たち
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

■前の会話をフォローすればリスタートできる

たとえば、「鹿児島の屋久島に旅行してきた」という話をしていたとしましょう。

「すごいパワースポットだった」「縄文杉に最高に癒やされた」など、ひとしきり話を聞いて、「また行けるといいね」と言って、これで会話がピタッと止まったとします。ここで焦ってはいけません。そんなときこそ、落ち着いて、優雅に、自然に、「そっか」「そうだよね」「それって」「それから」など「そ」から始まるワードを使って、それまでの話に触れてみてください。

「そっか。めちゃめちゃ人気のパワースポットだよね?」
「そうだよね。縄文杉って有名だもんね?」

と言えば、会話がリスタートするきっかけになります。さっき同じ話をしたとしても、「そっか、そっか。それってやっぱりものすごい癒やされる感じ?」と、再度触れてもいいわけです。いずれにせよまた会話が始まります。「それって、リラックス効果もあるの?」と、相手の話を確認することもできます。「それからどうなるの?」と、さらに話を進展させることもできます。

オフィスの窓際のカウンター席で話をする2人
写真=iStock.com/Christopher Ames
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Christopher Ames

■「“そ”ワード」を駆使して沈黙を打ち破る

「そっか」は、相手の話を認識したことを表すワード。「そうだよね」は、相手の話に共感しているワード。「それって」は、相手の話を確認しているワード。「それから」は、相手の話を進展させるワード。

この「そ」で始まる言葉は、相手の話に再度フォーカスし、沈黙を打ち破る至極のワードになります。会話が止まれば、相手だって気まずさを感じています。だからこそ、あなたはひと呼吸おいて、冷静に、前の会話を振り返ってみてください。そんな落ち着いた姿が、相手にさらなる好印象を与えることでしょう。

一流は、前の話題を自然に広げる
⇒「そ」で始まるワードを使って質問する
【相手が考え込んだら】
三流は、気まずくてアタフタし、
二流は、違う質問で話題を変え、
一流は、どういう態度を取る?

あなたの質問によって相手が考え込んだら。そんなとき、あなたは相手が答えるまで待つ勇気がありますか? もし待てるなら、あなたは一流のコミュニケーターです。相当肝が据わっています。普通は、相手が考え込んでしまったら待てないものです。

気まずくてアタフタしたり、何か口走ったりしてしまうもの。

■相手が考えこんだら「じっと待つ」

桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)
桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)

具体例として、私の失敗談をお伝えします。営業職をしていたときのことです。お客様に「それではご契約を」とクロージングする場面がありました。お客様は少し考えています。私はそのときの沈黙が気まずくて、「今日ご契約いただければ入会金はゼロ円です」とか「今月は割引対象になります」などと、いろいろ口走りました。「何か気になる点はありますか?」と質問することもありました。

こういうときはだいたい、「検討します」と言われて契約がいただけません。お客様は契約するかどうかを黙って考えているのです。それを邪魔されたので契約しないのは当然です。では、一流は、相手が考え込んだらどうするか? 相手の答えを「じっと待つ」のです。

人は、自分のことは自分で決めたい、自分で考えたいからです。その時間を奪ってはいけないのです。とはいえ、「あの間にどう耐える?」という問題もあります。私が具体的に実施しているのは次の2つです。

① 軽く目線を外す
② 自分の呼吸に集中する

じっと見られていると、相手も答えづらいですし、自分の呼吸に集中していると気まずさを感じなくて済みます。あっという間に時が過ぎます。最初は勇気がいるかもしれませんが、大丈夫です。考え込むというのは、答えにつながる因子があるということです。相手もそれに向かって歩み始めています。私たちができることはそっと見守ることです。まさに「沈黙は金、雄弁は銀」です。待つことも、一流への登竜門の一つです。

一流は、相手の答えをじっと待つ
⇒相手が考え込んだら、目線を外し、自分の呼吸に意識を向ける

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桐生 稔(きりゅう・みのる)
モチベーション&コミュニケーション代表取締役
1978年生まれ。新潟県出身。2017年、「伝わる話し方」を教育する株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー、日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー、一般社団法人日本声診断協会音声心理士。著書に『10秒でズバッと伝わる話し方』(扶桑社)、『雑談の一流、二流、三流』、『質問の一流、二流、三流』(ともに明日香出版社)がある。

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(モチベーション&コミュニケーション代表取締役 桐生 稔)

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